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<ケテル編> 164.人類議会(ヒューパラメンタル)の恐怖

いつも読んで下さって本当にありがとうございます。

次話から風の大破壊ヴァシュヴァラ後の後半に入りケテル編のクライマックスに向けて物語が動いていきます。

楽しんでいただけたら嬉しいです。

よろしければ高評価頂けるととても励みになります。

164.人類議会ヒューパラメンタルの恐怖



 「あれは厳密には月ではありません」


 「それはそうだろうね」


 「いえ、造り物という意味ではありません」


 「どういうことだい?」


 「あれは月の女神セレネの頭部なのです」


 「はぁ?!」


 女神の頭部という聞き慣れないワードにシンザは驚愕と困惑の合わさった複雑な表情を見せた。

 いくら神とはいえ、月と頭部がどうしても合致しなかったのだ。


 「どういうこと?意味が分からない」


 「僕も原理はわかりませんが、僕の仕入れた情報だとそういうことなのだそうです」


 「き、君は一体何者なんだ?」


 「僕はこの街に住みながらこの街に恐怖を抱いている者です」


 ウィンチは自分のこれまでの状況を説明し始めた。


 「元々旧ノトスの首都だったルガロンでノトス神殿の警備隊に所属していたんですが、ノトス神が消滅された原因を探るために除隊してこのケテル全土を旅していたんです。そんな時に風の大破壊ヴァシュヴァラが起こってなんとか生き残ったんですが、その後全土にばら撒かれているクエストを受けてここに辿り着いたんです」


 「クエスト?」


 「はい。人間に対して発せられたこの人域シヴァルザに来れば快適な生活が送れるから来ないか?というクエストです。それまではこのシヴァルザというか人類議会ヒューパラメンタルに対しては何も疑問に思っていなかったんですが、各領域ヒューが登場する演説があったんです」


 「各領域ヒュー‥‥ああ、マスター・ヒューとかヴィカール・ヒューとかね?」


 「はい。そこでステージに登場した6人の大幹部を見た時にこれ以上ないほどの恐怖を感じたんです。それでこの人域シヴァルザには何か秘密があるんじゃないかと思ったんです。それで仲間と共にこの街と人類議会ヒューパラメンタルを探っているっていうわけです」


 「ちょっと待って、そんなこと僕に言っていいの?僕は君の敵にあたる勢力の者かもしれないじゃない」


 シンザのその言葉を聞いてウィンチは真面目な顔で言葉を返した。


 「シンザさん。僕‥‥ちょっと堅苦しいのは疲れたので普通に喋るっすね。えっと、俺ちょっと不思議な力があるっていうか、異常に感覚が鋭いっていう感じで映像というかイメージでその人がいい人か悪い人かわかるっていうか‥‥とにかくそういうのが幼少期からあって、それがほぼ100%当たってるんす。それで見るとシンザさんは間違いなくいい人っす。それにスクールに忍び込もうとしていたじゃないっすか。あれって人類議会ヒューパラメンタルを探ろうとしているってことでしょ?つまり目的は同じってことじゃないっすか。だから敵じゃないっす」


 「‥‥‥‥」


 あまりにも根拠のない理解できない理屈だったが、嘘を言っているようにも見えなかった。


 「君、もしかして半神か何かかい?」


 「いえいえ!俺は正真正銘人間っすよ。じゃないとこの人域シヴァルザにいられないじゃないっすか」


 「確かに‥‥い、いやその能力?直感力というか相手を見通すような力は神技シンギかと思って」


 「ああ、これは天技てんぎだって言われたことあります。名前は忘れましたっすけど‥‥」


 「そっか‥」


 (どうやら嘘は言っていないみたいだ。けど人類議会ヒューパラメンタルを調べている動機は恐怖からか‥‥怖いなら逃げればいいのになぜここにいるんだ?‥‥こいつを信用するにはもう少し突っ込んで聞いてみる必要があるな‥‥)


 「君はなぜこのシヴァルザから出ないんだい?」


 「お、俺は出たいっすよ。でも仲間がこの地は人類が住む場所として貴重だと言ってるんです。それに元々俺、孤児なんですけど、ルガロンにあるはずの孤児院のみんなをこの地に呼びたいってなってて‥‥。仲間は俺みたいな直感力的なやつはないんで、恐怖は感じてないんすけど俺の力は信じてくれてるんで、それなら人類議会ヒューパラメンタルが本当に恐怖を与える存在なのかどうかをしっかり見極めようってなったんすよ‥‥」


 「なるほど。それで君の仲間って?」


 「そ、それは言えないっす。すんません‥‥こうやってシンザさんに接触したのも俺の独断ですし‥‥。俺の直感があのスクール前でシンザさんを止めないとだめだって言ってるような感じだったんすよ。仲間に相談する前にあの状況になったんで、仲間の許可なしに言えないっす。すんません」


 (一応は理に適ってるか。けどせめて人数くらいは聞いておこう。どれくらいの規模でこのウィンチは活動しているかは把握しておいた方がいいからね)


 「わかったよ。でも僕も君を信用するだけの情報がほしい。成り行きで僕の家に招き入れたけどこの状況は普通じゃあり得ないからね。君の仲間は何人いるんだい?」


 「そ、そうっすよね‥‥えっと‥‥俺を入れた3人で行動しているっす」


 (3人‥‥随分と小規模だな。でもまぁ3人ならいずれ誰が仲間なのか特定も早そうだ。ここは一旦信用した素振りを見せてもいいかな‥‥い、いやおかしい!こいつなんで僕のことをシンザで呼ぶんだ?エムゼオさんの部隊の一員として名乗っている名はレヴシンザだぞ?!あまりに自然すぎて気づかなかった!迂闊だった!)


 「あの‥‥俺、本当にシンザさんの敵じゃないっす‥‥」


 シンザは僅かに距離をとりウィンチに悟られないように戦闘体勢に入った。


 「なぜ僕をシンザと呼ぶんだい?」


 「え!!違うんですか?」


 (とぼけた!)


 「あ、いや‥‥すんません。これも俺の直感力っていうか‥‥イメージなんすけど、このシヴァルザでシンザさんと行動を共にするビジョンみたいなのが浮かんだんすよ。その時にシンザさんの名前が頭に浮かんだんす。確かにレヴシンザって名乗ってたのは知ってたんすけど、ビジョンに浮かんだ名前の方が本名だって直感で信じたんす。そして、偽名を使わないとならない理由がシンザさんにはあるんだなって思って気になってフルイドに対応役変わってもらって観察してたんす。これが全てっす‥‥」


 「‥‥‥‥」


 シンザはウィンチの顔をしっかりと観察した。


 (こいつ‥‥嘘をつける顔じゃないんだけど‥‥言ってることが突飛過ぎて信じ難いんだよな‥‥ここはこっちの認識を素直に言うか‥‥)


 「分かった。でも君が仲間を明かさないように僕も僕の素性は明かさない。君を100%信じることもできない。人類議会ヒューパラメンタルを調べるという一致した目的のために協力するのはOKだけどね」


 「十分っすよ。それでいいです。正直俺、不安だったんす。3人であの恐ろしい存在に近づけるのかって‥‥‥。でも多分シンザさんかなり強いっすよね?一緒に調べてくれるだけでいいんす」


 「それも君が見ているビジョンにあるのかい?」


 「はい!‥‥ってやばいっすね俺。俺のこの能力みたいなのは秘密にしておいて欲しいです。お願いできる関係じゃないかもしれないっすけど。それにこのシヴァルザに来てからやたらこの直感力が働くんすよ‥今まではたまにしかなかったのに‥‥」


 「いいよ。ただし僕のこともあくまでエムゼオの部隊の者だっていうことにしておいてよ?僕を呼ぶときもレヴシンザだから」


 「もちろんす!」


 不安定な関係だがシンザは協力者を得た。

 ウィンチの性格からすると嘘は言わないのだとシンザは思った。

 つまりウィンチからの情報には信憑性があるということだ。


 (聞けることを聞き尽くそう。まずこのウィンチは大幹部全員を見ている‥‥貴重な情報が得られるかもしれない)


 「それで‥‥いくつか聞きたいんだけど、6人の大幹部とやらを見た時にどんな感覚を持ったんだい?詳しく教えてくれる?」


 シンザはカエーサルを始め大幹部及びどのようなで軍を構えているかと、終末ドグマの書なる怪しい書物について情報を得ることが人類議会ヒューパラメンタルを理解するのに重要だと考えていた。

 この情報を十分に知れればレヴストラの今後の作戦に大いに役に立つ。

 ウィンチはシンザに少し信用された気になったのか嬉しそうに話始めた。


 「6人が一同に会したところを見たんです。少し離れた場所だったので正確には掴みきれませんでしたが、なんというか、大勢の恨みを持った黒い影みたいな存在と、もうひとつ滅茶苦茶不気味な感覚で、耳というより頭に響いてくる笑い声が幾つも幾つも重なって聞こえて来て飲み込まれそうになったんす。無数の黒い恨みの影はただひたすら怖かったんすけど、笑い声はもっと怖くて自分の精神みたいなのが、切り刻まれるような感覚になったんですよ‥‥」


 「‥‥‥‥」


 有益なのか分からない抽象的な情報にシンザは少し落胆したが、これがウィンチが恐怖を覚えた理由なのだと理解した。


 (カエーサルたちのことはこれからしっかりと調べる必要があるな‥)


 「わかった。ありがとう。あともうひとつ終末ドグマの書って?」


 「あれは俺もよく分かってないんすが、未来を記した書物らしいっす。カエーサルさんが書いている書らしいんすけど、抽象的っていうかよく分からない表現らしくて、それを分析して解釈をつけることで予言的に使っているって聞いてます」


 (予言!?‥‥もしかして風の大破壊ヴァシュヴァラのことも以前から知ってたのか?!‥‥これはしっかりと調べる必要がある。例の5章7節03項も含めて‥)


 「了解だよ。あ、それと月の話!女神の頭部が月だって話だけど、あれは一体どういうことだい?色々と聞きたいことがありすぎて忘れるところだったけど、ここまでこそこそと演技しなきゃいけなかった理由を聞いていなかったよね?」


 「はい。このドーム状の内壁に沿ってレールのようなものが敷かれてあり、そこを太陽と月が交互に入れ替わってこのシヴァルザに昼と夜を齎しているのは知ってるっすか?」


 「いや知らない」


 「その太陽と月ってのが、どうやら神の頭部だって噂されているんす。このシヴァルザを作ったクラフトメンって言われているアルティザン・ヒュー配下の技術者たちの中で情報を漏らしたものがいて、それが伝わっているんす。それで驚くべきは、その神の頭部ってのはまだ生きていて、この街全体を見ているっていうんすよ。」


 「!」


 信じがたい話だった。

 どういう技術か分からないが神の頭部を生きたままこの施設に据え付けて、その頭部の目で街全体を見張らせているというものだった。


 (そんなことが出来るんだろうか‥‥)


 シンザは改めて人類議会ヒューパラメンタルの不気味さを感じた。

 そしてこの技術についても調べる必要があると思った。


 「そのクラフトメン?の技術者には会えるかな」


 「いえ無理っす」


 「どうしてだい?」


 「既に亡くなっているからっすよ。俺は知らないっすけど、噂では殺されたらしいっす」


 「そっか‥‥分かった。ありがとう。それでこれから僕らはどう連絡を取り合えばいい?」


 「はい、俺の仕事ってこのシヴァルザに住んでる人たちのサポートを行うことなんすけど、その職場と家の中間にシンザさんの家があるんすよ。なので、シンザさんの家のドアの部分にこの小さな札をかけておくってのはどうすかね」


 そう言ってウィンチはドアノブに引っ掛けられる小さな丸い札をポケットから取り出した。

 羊皮紙を丸めて保管する時に使う紐に小さなメダルのようなものをつけた作りだったが、このサイズであれば目立たずに済むと思ったシンザは頷いた。


 「俺から何か連絡とりたい時は手紙を扉の中に差し込んでおくっす」


 「了解だよ」


 こうしてシンザとウィンチの協力関係が生まれた。



・・・・・


・・・



―――グザリア跡―――


 大きめの部屋にスノウを始めとしてシア、ワサン、ソニック、フラン、ロイグ、ヘラクレス、シルゼヴァ、ギルガメッシュ、サルぺドン、キュレネ、アスクレビオス、ジェイドが集まっていた。

 スノウたちレヴルストラメンバーたちはアルカ山に向かう準備をしていたのだが、それに協力したいと申し出てくれた者たちもその場にいたのだ。

 バルカンの体を手に入れるためにアルカ山山頂の神殿にある図書館に蔵される書物を手に入れることと、このグザリア跡にいる者たちの住める場所を確保するため、禁断区域の使用許可を得るためだった。

 勿論その相手はセプテントリオンを率いるペルセウスだった。


 「よう、リーダー。今回アルカ山にいくメンバーはどうするんだ?まぁこの地が攻撃される可能性は少ないとは思うが、ここも人が増えすぎたからな。何かある場合、守護する者は必要だと思うんだがな」


 ヘラクレスがスノウに問いかけた。


 「おれの考えもあるが、まず皆んなに問いたい。アルカ山に行ってくれる者は手をあげてくれ」


 レヴルストラメンバーであるシア、ワサン、ソニック、フラン、ロイグ、ヘラクレス、シルゼヴァ全員が手をあげた。

 その状況を見てヘラクレスが口を開いた。


 「お前アホか。そんな質問して手をあげないやついるかって」


 ガタン!


 シアが凄まじい勢いでヘラクレスの首を締め上げた。


 「うぐぐ‥じょ、冗談だ冗談、お前には笑いのセンスねぇのか?」


 「マスターを侮辱する言葉は冗談であっても死に値する」


 「おお、フランシア。そのままハークの首を引きちぎれ」


 シルゼヴァが嬉しそうな顔で見ている。


 「ははは!シア、それくらいにしてやってくれ」


 「はいマスター。ヘラクレス。良かったわね。マスターのご慈悲に感謝しなさい」


 ヘラクレスとシアのこのやり取りもだいぶ定着してきた。

 それだけヘラクレスとシルゼヴァがレヴルストラに馴染んできたと言えたが、それを見てサルぺドンは羨ましそうな目で見ていた。


 「みんなありがとう。最悪のケースを考えた場合、アテナ神とペルセウスたち7人の半神との戦いになる可能性がある。いや向こうの戦力は増強されている可能性だってある。となればそれに対応するメンバーで行くべきだと思うんだ。だが、もうひとつ気にかかっていることがある」


 スノウはソニックを見た。

 それでソニックは悟ったのか少し驚いた表情を見せた。


 「ゼピュロス神とナーマ住民の行方とアカルたち平民兵の行方だ。これらも捜索する必要がある。アルカ山でのバルカンの件と禁断区域での居住地域の確保の後と考えていたんだが、人類議会ヒューパラメンタルの不気味な動向と亞人域ロプスの強行策を取りそうな懸念を考慮すると時間がない可能性がある。特に戦闘力の乏しいゼピュロス神とナーマ住民の方だ」


 「確かにそうだな。人類議会ヒューパラメンタルの調査のために潜入捜査しているシンザからは連絡はあったのか?」


 ワサンが質問してきた。


 「ああ。流石はシンザでFOCSにクエストを出してきたんだが、そのクエストの依頼文の中で暗号で状況を知らせてくれた。現地で得た情報としては予言が出来るらしいということと、神の体の一部を建物に融合する技術があるらしい。文字数に制限があるからこれが限界だったんだろうが、これだけでも恐ろしい情報だ。予言ができて、神を使える力を持っていることになる」


 「シンザの身の安全が心配ですね‥‥無理をしなければよいのですが」


 ソニックは仲間を失う恐怖がトラウマになったのか、真っ先にシンザのことを心配した。


 「そうだな。だが、シンザから一定期間連絡が途絶えてしまったらすぐに人域シヴァルザに乗り込んで暴れまくってやる。仲間は絶対に失わない。仲間の命より優先するものは何一つないからな」


 スノウの真剣な眼差しに皆緊張して聞いていた。

 

 「はっはっは!そんときゃ俺も本気で暴れまくってやるぜ」


 「面白そうだ。俺も本気を出して人類議会ヒューパラメンタルを壊滅させよう」


 ヘラクレスとシルゼヴァが満面の笑みを浮かべながら言った。

 そんな中でソニックが手をあげた。

 それを見て言いたいことを悟ったのかスノウは軽く頷いた。


 「ゼピュロス様たちの捜索を僕に任せて頂けませんか?」


 「僕も行くよ、もちろんロイグも一緒だよね?」

 「もちろんだ。俺はフランと常に一緒だ」

 「くるるっぴー!」

 「おお、お前も俺についてくるかフラマ!」

 「ぐるるぅ!」


 フラマは “違う、自分はフランと一緒に行くんだ” と主張しているかのようにフランの頭に乗ってロイグを突いている。


 「ありがとうフラン、ロイグ、そしてフラマも」


 フランたちは笑顔で返した。


 「俺も行こう」


 そう言い出したのはギルガメッシュだった。


 「ギルさん!で、でも怪我がまだ‥‥」


 ギルガメッシュは立ち上がってボタンを外して胸を見せた。

 ひどい火傷があったはずが、すっかり治っていた。


 「アイオロス様のおかげで既に完治しているんだ。アイオロス様からゼピュロスさんのことを頼まれてもいるしな。それにお前らレヴルストラ見てたら羨ましくなってな。俺も仲間に入れてくれ。もちろんゼピュロスさん捜索隊のリーダーはお前でいい」


 ギルガメッシュはソニックを見ながら言った。


 「ギルガメッシュ。大歓迎だ。よろしく頼むよ」


 「はい、もういいでしょ。早くその汚ったないおっさんの毛むくじゃらな胸をしまってよね。レディの前にいること忘れてるんじゃない?」


 キュレネがイラつきながら言った。


 「ほう?興奮でもしたか?後で相手してやるから少し我慢しぼふぇぇ!」


 ドゴン!


 ギルガメッシュは喋っている最中にキュレネから強烈なエルボーを脳天に喰らった。


 「おいおい!ひははんはっははないはー」


 ギルガメッシュは舌を噛んでしまったのか、口から血を流しながら涙目で何かを訴えた。


 「自業自得ね」


 『はっはっは!』


 スノウはこの笑いの絶えない雰囲気がとても好きだった。

 ここにバルカンやアレックスたちやエスティたちがいたらどれほど楽しかったかと思った。


 「よし、それじゃぁふたチームに分かれて行動だな。アルカ山チームはおれ、シア、ワサン、ヘラクレス、シルゼヴァの5人、そしてゼピュロス神捜索チームはソニック、フラン、ロイグ、ギルガメッシュだな」


 「ぐるっぴー!」


 「おお、ごめん、フラマもだな」


 それらを聞いていた他のメンバーの中で代表するようにアスクレビオスが話始めた。


 「ここのことは私たちに任せてくれ。少し心許ないがアネモイ剣士のプライドにかけて君たちが不在の間、ここの住人たちを守ってみせる」


 キュレネ、ジェイドは頷いている。

 サルぺドンはどうやらスノウと一緒に行きたかったようだが、ここを守る重要性も理解しているため、苦い笑顔で頷いていた。


 「それじゃそれぞれ明朝出発とする。それまでしっかりと準備してくれ」


 一同は解散した。


・・・・・


 武器庫で自分の使う武具を吟味しているギルガメッシュの下へスノウがやってきた。


 「ギルガメッシュ。今回はありがとう」


 「ん?ははは‥‥背中がむず痒くなる。そういうのもうよそうや」


  ギルガメッシュは短剣を吟味しながら応えた。


 「正直ソニックは本調子じゃないと思ってる。だからワサンかシアに同行をお願いしようと思っていたんだ」


 「だろうな」


 「そんな雰囲気を感じて申し出てくれたんだろ?」


 「まぁな。だがそれだけじゃねぇよ」


 「どういうことだい?」


 「俺にはソニックとソニアが弟と妹みてぇに感じるだな。まぁお節介かもしれないが守ってやりてぇ気がしてな。それにアイオロス様もそう望んでる気がしてんだ」


 「そっか」


 スノウは少し嬉しくなった。

 自分の仲間が誰かに好かれているのを見るのは嬉しいのだと改めて気づいた。


 「それにな」


 「ん?」


 「俺はお前と初めて剣を交えた時からお前らに興味を持ったんだな」


 「え?」


 ギルガメッシュは突如手に持っている短剣をスノウに向けて振り下ろした。

 スノウはそれを咄嗟に螺旋の手刀で受ける。


 ガキン!


 「!」


 スノウはこの感覚を覚えていた。


 「この感覚‥‥なんでおれは知ってるんだ?」


 「ノトス神殿の地下だ」


 「!‥‥黒ローブの男!」


 「ああ、そうだ」


 「なんで?!」


 「あの宝ってのぁ元々アイオロス様のもちもんだったんだよ。中身は知らなかったが、アイオロス様から守るように言われててな。事前に指示を受けてノトス神殿に訪れてたんだ。もう少し到着が早ければノトスさんを救えたんじゃねぇかって今だに悔やまれるが、その時アイオロス様の宝だけは守らないとと思ってな。だが、お前さんと剣を交えた時に分かったんだよ。お前には預けてて大丈夫だってな」


 「そうだったのか‥」


 「ちなみにバルカンとも剣を交えてる。お前さんとバルカンの2人と剣を交えてからかな。いつかお前らと共に戦いてぇなと思ってたんだ。こんな形で叶うってのはぁ良かったのか分からねぇが、これもまた運命だと思って俺の出来ることをする。そう決めた」


 「‥‥ありがとう、ギルガメッシュ」


 「ギルでいい。お前さんは俺のリーダーでもあるんだ。気軽に命令してくれ」


 レヴルストラ4thに新たにギルガメッシュが加わった。




いつも読んで下さって本当にありがとうございます。

次のアップは月曜日の予定です。

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