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<ケテル編> 47.アネモイ剣士協会裏本部

47.アネモイ剣士協会裏本部



―――否國カイキア最大都市ジジギーン近郊のとある場所―――



 「また砂嵐ヴァールカが発生したね。徐々に発生感覚が狭まってきているようだなぁ。神の息吹デヴァプラーナだけでは風の流れを制御しきれないんだね」


 声のする方向には光る輪の部分を光球がぐるぐると回っている存在があった。

 エークエスに属する旧神シャマシュだった。

 彼は遠くの地に砂嵐ヴァールカが発生したのを見て憂えた声で言った。


 ボアッサッ‥‥ボアッサッ‥‥ボアッサッ‥‥


 突如熱風が吹き付けてきた。

 小屋の上空に炎のオオワシが浮遊している。

 燃えるオオワシはゆっくりと着地した。


 「ギビルが一番乗りか。あ、エアも一緒だったんだね。そこの君コップを持ってきてくれないかい?」


 燃えるオオワシを見たシャマシュは近くにいた禍外他人カゲビトに指示した。


 「ただいま!」


 炎のオオワシはみるみるサイズを小さくし、小さな炎の小鳥となった。

 その影から移動してきた半神の禍外他人カゲビトのズオーがシャマシュの近くの影に移り上半身を見せた。

 シャマシュに指示された禍外他人がコップを持ってやってきたを見たズオーは、握っていた手のひらを開いてその中身をコップに入れた。


 「ふぅー、窮屈でしたね」


 「おや、大変な旅だったようですねエア」


 「シャマシュじゃないですか。久々に窮屈な旅でしたよ。ギビルの体の熱もあって危うく蒸発してしまうところでしたしね、ははは」


 「笑い事じゃないですねぇ」


 「それにしてもここは変わらないですね。ラフムは元気ですか?」


 「今、ラハムを起こしに行っていますよ」


 「おお、それは大変なことだ。他の者たちは?」


 「まだ到着していないですが‥‥と、噂をすれば‥‥ですよ」


 空から大きな鳥が、そして遠く平原の奥からはこちらに走ってくる者が見えた。



 ヴァサッ‥ヴァサッ‥ヴァサッ‥ヴァサッ‥


 大きな鳥が小屋の屋根にとまった。

 その姿は顔が獅子で体は大鷲だった。


 その直後に平原を走っていたものがたどり着いた。

 小型犬だった。


 「はぁはぁ‥負けたか!」


 「はっはっは最高神の座は譲ったとは言え、まだまだお前に負けるほど弱ってはいないぞマルドゥークよ」


 「ふたりとも子供じゃないんですから。まぁ無事でよかった」


 獅子の大鷲と小型犬の会話を聞いてシャマシュが言葉を返した。

 この2体もまた召集をかけた旧神だった。


 「おやエンリル殿、まだそのアンズーの姿を借りているのですか?」


 「エアか。そうだ。動きやすいからな。それに2度とこの怪物が俺を裏切らないように支配するのも兼ねている。‥‥そう言えばネルガルはどうした?」


 「ここだ‥‥」


 ギビルと呼ばれた小鳥の炎から黒い煙が立ち上っている。

 声はそこから聞こえた。


 「これで揃ったようだね」


 シャマシュが言った。


 召集をかけられたのは次の5神だった。


   ・獅子の顔に大鷲の体の怪物アンズーの姿のエンリル


   ・小型犬の姿をしたマルドゥク


   ・今はコップ入れられている水の姿をしているエア


   ・炎の小鳥の姿をしたギビル


   ・黒煙のネルガル



 「ラハムとラフムによって原初の2神が甦れば俺たちの本来の姿を取り戻し、このケテルに異神を不可侵とした我らの地を築くことができる。時間はかかるがな」


 エンリルが屋根の上から言葉を発した。


 「それにはまだまだ障害が多いけどね」


 「そんなものは蹴散らせばよい。我慢の月日はもうたくさんだ」


 シャマシュの言葉にマルドゥクが返した。


 「それには慎重を期さねばならないのですよマルドゥク。たとえアネモイ4柱のうち2柱が消えケテルの風のバランスが崩れたとはいえ、元々今のこの世界を創ったオリンポス神共は健在であり、さらに日陰にいた者たちまで出てきている。それにきゃつらの駒の半神達も日に日に増えている状況です。加えて唯一神の残したかすもまた暗躍している始末。世界は思いの外複雑な様相を呈しているのです。急いては事をし損じますよ」


 「父上がそう仰るならそうなのだろう。承知した」


 エアの説明にマルドゥクは納得した。


 「さて、各自が得てきた情報をまずは共有する必要がある。動く時期と動き方の話はそれからだ」


 エンリルの言葉に皆頷いた。



・・・・・


・・・



―――ゼピュロス国 ゼピュロス神殿内―――



 「すまねぇな、わざわざ出向いてもらって」


 「嫌味で言ってます?同じ建物でそれほど歩かない距離なのにー」


 ゼピュロスに召集され、アルジュナとレヴルストラメンバーが集められた。

 この場に来たのは、アルジュナ、バルカン、ワサン、ソニック、クゼルナだった。

 フランとロイグは部屋で留守番させられており、現在は不貞腐れている最中だ。


 「よう、片腕の。手に入れたみてぇだな。見せてみな」


 バルカンは自身の左腕に嵌って取り外すことのできないアームガード状ののミトロの探し物をゼピュロスに見せた。


 「外れねぇな。どれどれ‥‥」


 ゼピュロスは色々な角度から見ている。


 「おお!」


 「ええ?!」


 ゼピュロスの声に驚くバルカン。

 そしてそれに何か新たな発見があったことを期待してソニックが尋ねた。


 「何か見えたのですか?」


 「いや、何も分からねぇ」


 ズコッ!


 一同がズッけた。


 「あー、イラつくわー。みんな気をつけろよ?ゼピュロス様、こういうところあるからー」


 アルジュナがイライラしながらツッコミをいれる。


 「おいおい、失礼なやつだな。我は神だぞ」


 「神は神らしくしているから神なんですよー。そんな薄っぺらい感じじゃ神は神でも薄っぺらいペラペラな紙、ペーパーゴッドって言われますよ」


 アルジュナは我ながら上手い事言ったとドヤ顔になっている。

 だが、言われたゼピュロスは真顔になっている


 「ほう‥‥お前‥‥そこまで言ったからには覚悟が出来てんだろうなぁ」


 『!』


 一同が凍りつくような恐ろしいオーラが部屋に広がる。

 体が緊張するが、防御体勢は取らなければならず必死に体に力を入れている。


 『‥‥‥‥』

 

 バルカンたちはいつでも防御できるように構えている。


 「なぁんてな!冗談だよ。お前らごときに殺意覚えるわけもないだろう?」


 冗談と言われてはいるものの、ゼピュロスの戦闘力の高さから一度入った戦闘スイッチはそう簡単にオフには出来ない。

 メンバーの体はしばらく緊張と警戒状態となった。


 「それで今日呼んだのは他でもねぇ。俺を守ってくれるってんなら会っておいてもらいてぇと思ってな。一つはアネモイ剣士協会裏本部だ。アルジュナ、お前ぇ知ってんだからちゃんと案内しておけ」


 「えぇ?!いいんですか?ボレアス様の許可は?!」


 「俺がいいっつってんだよ。お前ぇ俺に逆らうってのか?」


 「い、いえ、そんなことは‥‥」


 「じゃぁ黙って言うことを聞け」


 アルジュナは不満そうな表情を浮かべているが何か言うと次は本当に怒らせそうだったため、言葉を飲み込んだ。


 「もう一つは‥‥お前ぇら聞いたことあるか知らねぇが人類議会ヒューパラメンタルという組織の本部であるセントラルロッヂがここナーマにある」


 「人類議会ヒューパラメンタルなら僕らはその会員に会っていますし、エウロスのワウザーンやウロザナのロッヂに行っています」


 「そうか、それなら話は早えな。今回はその人類議会ヒューパラメンタルのグランドマスターに会ってもらいたい。彼らもまた、この世界を守ろうとして動いている者たちで、アネモイ剣士協会‥‥ゼウス派じゃない本来の剣士たちだが、そいつらと連携してくれている。この二つの組織との連携が得られればお前たちも行動しやすくなるはずだ」


 「分かりました。早速会いに行ってきますよ」


 バルカンが答えた。


 そして早速その二つの組織の面々と面識を持つべく目的の場所へ向かった。



・・・・・


・・・



―――アネモイ剣士協会ゼピュロス支部前―――



 「ここが?」


 「そうだよー」


 「ボロいぞ」

 「ボロいな」

 「ボロいわね」

 「ボロいね」

 「ボレぇ」


 バルカン、ワサン、ソニア、フラン、ロイグが順番に同じ指摘をした。

 目の前に見えるのは10坪ほどしかない土地に建てられた平家のボロ屋だったのだ。


 「冗談だろ?」


 「冗談じゃないというか、冗談でもあるというかー。要はカムフラージュだよ。誰もこんなところがアネモイ剣士協会支部だとは思わないだろー?」


 「確かにだが‥‥」


 「まぁ、入ってくれよ」


 バルカンたちはアルジュナに言われるままに建物の中へ入って行った。

 中は意外と小綺麗にされている。

 ボロ屋といっても古いだけで、傷んだところは修繕されているし掃除も行き届いている。

 だが狭い。


 「で?」


 「ってなるよな?とりあえず扉閉めて」


 ワサンは建物のドアを閉めた。


 パッ‥‥


 灯りが灯る。


 カチ‥‥


 灯りが消えた。


 「おいジュナ。お前今わざと灯りを消したな?」


 バルカンが指摘した。


 「まぁそう慌てなさんな」


 しばらくすると闇に慣れてきたのかうっすらと建物の中が見えてきた。


 「!」


 その中でわずかに光っている場所があった。


 「今回はここか」


 アルジュナは光っている場所に触れた。


 ゴゴゴゴゴォォォォォォォォォ


 突如音を立てながら床が下がり始めた。


 「なんだこの仕掛けは?!」


 「まるでエレキ魔法で動く箱みたいね‥‥」


 (姉さん!)


 ソニアが思わずぼそっと口走った。

 まずいと思ったソニアは口を押さえた。


 「へぇ‥‥エレキ魔法‥‥よく知っているなその言葉―」


 アルジュナが食いついてきた。


 ドォォォン‥‥


 「ついたね。ソニア、その話は後でゆっくり聞かせてくれよなー。さぁこっちだ」


 ボッ‥‥ボッ‥‥


 進むにつれてあまり眩しくない暖かい光の灯りが灯っていく。

 目を痛めない配慮のようだ。

 10メートルほど進んだところに扉が見えた。


 ズズ‥‥カチン‥‥ズズ‥‥ガチャ‥‥


 アルジュナは持っている鍵で錠を外すと扉を開けた。


 「おお!」


 そこには一般的な体育館くらいの大きさの空間が広がっていた。

 中には大勢の者が働いている。

 ざっと見て50名ほどだ。


 「おお、君たちがゼファーの言ってた越界人たちか」


 今まで視界にいなかったはずが突如空気が具現化されたような形で現れた人物が話しかけてきた。


 ガチャチャ‥‥


 バルカンたちは一斉に構えた。


 「おいおい、そう気負うなよ。何も取って食おうってんじゃないんだから」


 気さくな雰囲気の人物を前に一同は構えを解いたが体がビリビリと痛いほどのオーラに反応していた。

 ゼピュロス以上の強さであることは明白だった。

 そんな中アルジュナだけは深々と頭を下げていた。


 「アイオロス様!ま、まさかこちらにいらっしゃったとは!仰って頂ければ真っ先に参りましたのに!」


 「ジュナか。お前もそう固くなるな」


 「誰ですかこのおじさんは?」


 無邪気にフランが聞いた。


 (フランーーーー!!)


 バルカンたちは一斉に心の中でツッコミを入れた。


 「はっはっは!おじさんかぁ、まぁそうだな、確かに僕はおじさんだな。君は正直でいいね。たしかフラン君だったかな?」


 「はい!僕はフランです!」


 「おお、元気がいいね。それもいい。‥‥へぇ‥‥なるほど‥‥君は将来有望だねぇ。そこのケンタウロス君もだな」


 「そうなのか?!俺はフランと共に強くなれるのか?」


 「ああ、もちろんだ。少なくともこのジュナよりは強くなれるよ」


 「アイオロス様!」


 「はっはっは!でも本当のことだから。それよりこんなところで立ち話もなんだから‥‥ほら、ジュナ、奥へご案内しないと」


 「は、はい!」


 いつになく緊張しているアルジュナを見て一同はこのアイオロスと呼ばれた人物がアネモイ神よりも上位にいる存在なのだと思った。





少しアップが遅れてしまいまして申し訳ありません。

ケテル編もだいぶ登場人物が増えてきたので整理してToFに記載したいと思います。

(その前にゲブラー編のあらすじや登場人物も書かなければ‥‥)


いつも読んでくださって本当にありがとうございます!

楽しんで頂けておりましたら是非高評価とレビューをお願いできればと思います!

どうぞよろしくお願い致します!

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