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<ケテル編> 31.スノウの苦悩

31.スノウの苦悩



 スノウたちは首都ゲズを出発して1キロメートルほど進んだところで馬車を止めた。

 ジェイドの計らいで馬車をもう一輌増やしてもらっていた。

 人数が増えたこともあり、流石に窮屈になったからだ。

 逸れた時のために、それぞれの馬車には鳥を積んでおり、お互いの馬車を探して行き交うよう調教されているため2輌でも安心できた。

 鳥は特殊な鳥らしく、喋るオウムやインコのように教えたことを喋ることができた。


 「バルカン、変な言葉を教えないで下さいよ?僕たちの存在がわかる言葉もダメですからね!」


 「分かってるって!ははは!でも面白ぇな!この鳥は!ゲブラーには居なかったぜ!」


 「バカルカン」


 「うまい!」

 「うまいな」

 「ナイセン!」


 バルカンの言葉に対してシアがツッコミを入れたのに対し、ソニアやワサン、シンザが乗っかった。


 「はぁ?!何だよ!誰がバカだ!?」


 「今ソニックから私たちの存在がわかる言葉もダメと言われたでしょう?」


 「言ってねぇじゃないか!」


 「バカルカン」


 「はぁ?!」


 「バルカンさん、ゲブラーって言っちゃってるじゃないですか。これディアボロスに聞かれたら一発で僕らだってバレますって」


 「あ‥‥」


 「バカルカン‥うまい!‥はぁ?!‥バカルカン‥うまい!‥はぁ?!‥バカルカン‥うまい!‥はぁ?!‥」


 『あははははは!』


 「おい!変なの覚えさせるんじゃねぇ!何だよこのバカ鳥は!」


 これまでの会話を鳥が真似て喋ったのを聞き、皆が笑ったのに対して恥ずかしいのかバルカンが大声で騒ぐ。


 「バカルカン!うまい!バカルカン!うまい!」


 「バカ鳥!バカ鳥!」


 『あはははははは!』


 バルカンが鳥と言い合っているのを見て皆大笑いしている。

 すると徐にソニックがやって来て、鳥の頭の飛び出ているアホ毛を引っ張った。


 「きぇぇぇぇぇぇ!!」


 奇声を上げる鳥。


 「‥‥‥‥」


 「何をしたんだ?」


 鳥が急に黙ったのを見てバルカンが拍子抜けとばかりに質問した。


 「こうやってアホ毛をピピっと引っ張ると鳥の記憶がリセットされるんです」


 「はは‥‥なぁんだよ、先に言ってくれよソニック!一生こいつと言い合うのかと思って焦ったぜ」


 「でもリセットできるからと言って、変なことを覚えさせないで下さいよ?この喋る機能は言葉を使うことで伝達しやすくしたり、本当に伝えたいことを言葉で誤魔化したりっていう用途で使うので、うまく使わないと危ないんですよ」


 「わ、分かったよ‥‥だけど、なんか可哀想だな。せっかく覚えたことを飼い主の都合で忘れさせられるんだからな。あ、せめて名前でもつけてやらないか?こいつらもオレたちの仲間なんだろ?」


 「そうですね」


 「そうねぇ‥‥」


 急にソニックからソニア代わって名前を考え始めた。


 「バカルカン!」


 「賛成ね」

 「賛成だ」

 「賛成ですね」


 「はぁ?!」


 「バカルカン!賛成ね、バカルカン!賛成ね、バカルカン!賛成ね」


 「バカ鳥!バカ鳥!バカ鳥!」


 『あははは!』


 和やかな時間が過ぎていた。


 ガタン!


 別の馬車にいたスノウがバルカンたちのいる馬車に移動して来た。


 「随分楽しそうだな」


 「スノウ〜助けてくれよぉー」


 バルカンがスノウに縋り付く。


 「何だよ気持ち悪いな」


 「だってよぉ、皆んなでよってたかってオレをいじるんだぜ?」


 「お前らあまりバルカンを弄るなよ」


 『ぷっ』


 皆反省しているフリをしながら笑いを堪えていた。


 「それでマスター、行き先が決まったのですね?」


 「ああ」


 1日5分だけ、メロの体に宿っているミトロが表に出て来てスノウとだけ会話することになったのだ。

 精神力の消耗が激しいため、5分以上、表に出ることができないらしい。

 スノウとだけ会話するとなったのは、他に人がいる場合、ミトロの精神力をより多く使ってしまうからとのことだった。

 1対1の会話であれば、意識をスノウだけに向けていればよいのだが、複数いる場合、精神力をより多く使って複数人に向けなければならず、そうなると5分という制約が1分にも満たない状態になってしまうらしい。


 「ノトスだ」


 「ノトス‥‥このケテルの南にある国ですね。ノトスと言っても広いです。具体的にどこに行くとか、誰に会うとかの話はあったのでしょうか?」


 「ああ。どうやら探し物はノトスを統べている神ノトスのところにあるらしい」


 「はぁ?!いきなり神かよ。メロの中にいるそのミトロとかいうおっさん、一体何者何だよ」


 「さぁな。本人が記憶をなくしていると言い張っていて、おれ達にそれを確かめる術がない以上、確認しようがない。だが、越界となれば、例えばこれまでおれ達が越界して来たように古代装置を使うか、それなりの高位の魔法技術を使う事になると思うが、そうなればただこの世界を回っていても越界する方法には辿り着かない。つまり神でも魔王でもいいが、それなりの存在に接触しなければ辿りつかないということだと思う。そういう意味では好都合だ」


 「そうですね。ここでは魔法は使えない‥‥というかかなり強い力で制限がかかっているようですからそうなればゲブラーから飛んできたように古代装置を探すのが妥当でしょう‥‥このケテルにもあるのかどうかは知りませんが。でも皆さん、忘れないで下さい‥‥このケテルにはスノウを攫った大魔王、ディアボロスがいる。いつかあれと対峙する時が来ます。どうやらスノウさんがやつに捕まり連れ去られた時、時間が止まったような形で攫われたらしいんです。魔法なのかどうかは知りませんが、それも警戒した方がいい」


 シンザが珍しく口を挟んできた。


 「その通りだシンザ。ありがとう貴重な情報だよ。情けながおれはその状況を全く覚えていない。いや、この中にその止まった時とかいうのを認識できた者はいないだろう。そしてもう一つ。ディアボロスと共にいるアミゼン・ユメの存在も警戒が必要だ。あいつは天技アルキナ・コントロールという人を夢の世界に引き摺り込んで捕らえる能力を持っている。そして夢の世界に引き摺り込まれたものはあいつの作り上げる拷問地獄に落ちる。拷問っていうのも曲者で、痛みや恐怖を使う場合もあれば、家族・友人を利用したり、良心に訴えるような心の隙間や人の弱みに漬け込むこともできる。もちろん快楽で骨抜きにすることだって可能だ」


 「オレ達もまた強靭な精神力を養う必要があるということだな」


 「その通りだワサン。ディアボロスの大魔王としての力、ユメのアルキナ・コントロール、加えて魔王の手下の上位悪魔達。おれ達はそれに対抗できる精神力と戦闘力を身につけなければならない。そういう意味でも極力高難易度のクエストは受けていく」


 「ミトロの探し物に神、ディアボロス、エネモイ剣士‥‥この世界は複雑だな‥‥」


 「まぁ今から気にしても仕方ないよバルカン。おれ達はまだ情報を十分に得ていない。とにかく、ノトスへ向かおう」


 『おう!』


 スノウ達はノトスに向けて馬車を進めた。

 元々使っていた馬車をレヴル号、ジェイドにもらった2号車をストラ号と名付けた。

 基本的に誰がどちらに乗るのかは決めていない。

 都度臨機応変に連携しながら入れ替わる。


 1日も移動すれば、否國アペリオに入る。

 今回は否國アペリオ最大都市カイトンには寄らないことにしていた。

 寄ってもよかったが、前回ケンタウロスとの接触時にヘラクレスの襲撃を受けたことから、厄介ごとを避ける意味で寄らないと決めたのだった。


 途中、何体か魔物との遭遇があった。

 レヴルストラメンバーの敵ではなかったが、やはりまだ魔法を使わない戦闘に慣れていない者は苦戦していた。

 スノウ、シア、ワサン、バルカンは問題なく順応しているが、ソニアックとシンザはまだ戦いのコツを掴めていないようだった。


 (極力魔物と戦うのと、戦闘系クエストは積極的にソニアックとシンザに受けてもらうか‥‥。並行して魔物の強さを見ながらフランとロイグのレベル上げも必要だ。それにはサポートもいるからな。そこはスパルタなシアと片腕でも器用に戦うバルカンに面倒を見てもらうか‥‥。ソニアックとシンザはどうするか‥‥サポートは不要‥だな)


 スノウは御者を務めながら頭の中で個々の戦闘力強化方法についても思案を巡らせていた。


 (こういうの、ホドにいた頃はエントワがやっていたんだよなきっと。アレックス見たいな性格じゃ難しいだろうしな‥‥ははは。いや、そうでもないか。あいつはあいつで優れた直感力や想像力を持っていたしな)


 スノウは納得した。

 エントワの論理的、合理的戦略とアレックスの直感的発想力、この二つが合わさってレヴルストラの個々の強さと連携の強さがあったのだと。


 (おれにはエントワのような論理的合理的思考もアレックスみたいな直感的発想力もないな‥‥ただたんに状況を整理しているように見せてるだけ‥‥それでいいんだろうか‥‥)



 「悩んでいるみたいだなスノウ」


 「ワサン‥」


 ワサンはエントワとアレックスの強さを知っているひとりだ。


 「リーダーとは大変だな」


 ワサンはスノウが何に悩んでいるかを悟っているかのように話しかけた。

 それに対して少し苦笑いした表情でスノウが答える。


 「まぁな‥‥。確かにリーダーと言われればかっこよく見えるし、優位な立場として見る者もいるだろうからリーダーになりたがるやつは世の中沢山いるんだろうけど、それ以上にとてつもなく大きな責任を背負うことになるだよな‥‥。おれは元々ホドに越界する前からリーダーなんてのに興味は無かったし、そういう煩わしいには苦手だったから極力避けていたけど、周りを見るとリーダーになりがっている奴のほとんどが、自分のわがままを通すとか地位欲、権力欲に囚われたのがほとんどだったよ。そして国や組織が徐々に腐っていくのを見てた」


 遠くを見ながらスノウはさらに話を続ける。


 「問題なのはその腐るスピードに対して欲に塗れたリーダーの切り替わりが早かったことだな‥‥。皆リーダーが代わると状況は好転すると勘違いするんだけど、欲まみれリーダーが続く限りは腐る方向性は変わらない。その腐っていっていることに気づかない、気づけなくされていることだ。‥‥って話がおかしな方向に行ってしまったな」


 スノウは雪斗時代を思い出していた。

 そして、越界以降の状況、ホドの元老院やティフェレトの悪魔が成り代わっていたムーサ王、ゲブラーのヘクトルたちのような圧政もまた、欲まみれのリーダーのわがままの皺寄せで国や組織が壊れていったのだと理解し、どこの世界も同じなのだとスノウは思った。


 「おれには地位や権力欲みたいなものはないと思っているが、有能さもまたないと思ってる。目的を明確に知らしめて心を一つにしてチームを同じ方向へ進めていくことは出来ているかもしれないが、それだけじゃだめだ。どんな目的を持つかを考え整理し、組織を強くし、その目的を達成できるように仲間を守りながら進んでいく勇気。時には仲間を犠牲にしなければならないこともあるだろう‥‥これは命をかけた冒険でもあるからな。進まなければ得るものはない‥‥」


(目的や目標も小さく低ければ達成は容易だしリスクも少ないから大体のリーダーはそれを選択して偉ぶるのだろうけど‥‥)


 スノウは遠くを見つめながら頭の中を整理できずにそのまま話を続けた。


 「今はまだ、皆おれと行動を共にすることが目的になっているから不満はないだろう。だけど、それぞれに目的ができた時、トライブや自分、仲間の誰かの目的を優先して、他の仲間に我慢を強いて、結果そいつらに目的を諦めなければならないような被害を与えてしまったどうしようとか考えてしまう‥‥」


 スノウの言葉を黙って聞いていたワサンが話始めた。


 「自分に自信が持てないと?」


 「自信か‥‥そうだな。そんなものどうやって持つのかもわからないが、確かに自信はないな。おれもある程度は強いと思っているから以前は戦闘力の高さについては自信があったが、今では神や大魔王なんかと比べたらまだまだ弱いことを痛感しているしな‥‥自信も取り柄もないな‥‥。なんでおれみたいなのがリーダーやっているんだろうな‥‥ははは」


 少しの沈黙の後、ワサンが口を開いた。


 「エントワがレヴルストラメンバーのブーツや武具の手入れをしていたのは知ってるか?」


 「ん?ああ、知ってるよ。おれにはできない配慮だよな‥‥あのダンディは本当にすごいよ」


 「以前一度だけ聞いたことがある。なぜ、そんな余計なことをするのかってな。自分のブーツや武具は自分が使うものであり、自分の命は自分で守るものだから自分が手入れすべきだし、副船長なら自分でやれと指示すればいいと言ったんだ。そしたら何と言ったと思う?」


 「さぁ‥‥」


 「皆んなのブーツや武具を手入れしていると心が落ち着くんだとさ‥‥なんだそりゃって聞いたら、自信がなく不安な気持ちを少しでも和らげるため‥‥皆のためであり、自分自身のためでもあるんだと言っていた」


 「あのエントワがか?」


 「ああ、あのエントワがだよ」


 「信じられないな‥‥」


 「ああ。だが、本人から聞いたから間違いないんだが、オレはその時に思ったよ。人間くさいなってな。完璧なモノに人が惹かれるかって言えば、正直ないんだろうな。オレも最初はエントワは完璧な男だと思っていたし、どこか近寄り難い感覚があった。オレの感情などやつの戦略には入る余地などないんだと。だが、実際には違った。メンバーの目的や思いとトライブが目指すべき方向にギャップがあった時、一番悩んでいたのはエントワだったよ。少しでもメンバーが生き残る可能性を上げて、その次こそメンバーの思いを優先してやるんだという気持ちを込めてブーツや武具の手入れをこっそりしていたんだな‥‥」


 「‥‥‥‥‥‥」


 スノウは言葉を失った。


 「まぁこれはエントワの話だ。スノウにはスノウの進むべき道があるんだろうから、エントワとは違う悩みを抱えながら進むんだろうな」


 ワサンが言いたかったことをスノウは理解した。

 良きリーダーほど、悩んでいるのだということを。

 毎度のごとく思い出されるドワーフのエンキ王の言葉。


 (銀髪になってよかったな。黒いままなら今頃ちらほら白髪が生えてたところだ‥‥)


 いくら悩みが多いとは言え、20歳そこそこのスノウに白髪が生えるわけもなく、思わず雪斗時代の感覚で想像してしまったようだ。


 ポン!


 「まぁせいぜい頑張れよ。リーダー。オレはお前がどんな決断しようと納得するよ」


 ワサンはスノウの肩に手を乗せて一言いうと、奥に下がっていった。


 (ワサン‥‥)



・・・・・


・・・



 スノウたちは途中にある小さな村で宿をとり休みをいれつつ進み、翌日には否國アペリオに入った。


 スノウとソニアック以外はアペリオに来たことがあるため、然程緊張感はなかった。

 しばらくは順調に進んでいた。


 「スノウ!」


 1号車レヴル号からバルカンが2号車ストラ号にいるスノウの下にやって来た。


 「どうした?」


 「前方に魔物と戦う冒険者一行がいるが何やら苦戦してるみたいだぞ。助けるか?」


 「ああ。だがその前に魔物はどれくらいのレベルだ?」


 「かなり強そうだ。ダイヤモンド級でも厳しいんじゃないかと思うぜ」


 スノウはスメラギスコープを取り出してバルカンの示す方を見た。


 (あれは‥‥ベヒモスだったか?相当高レベルな魔物じゃないか?)


 「風の化身の恵だよスノウ」


 フランが割って入って来た。


 「何だいそれは?」


 「とってもおっきな生き物の風の化身が生んだ子供ってこと!」


 フランの語彙力では理解できないスノウだっだが、それを見かねてバルカンが割って入って来た。


 「スノウ、オレが見たその風の化身ってのは超巨大な象だった。いや、象みたいな生き物って言った方がいいか。おそらくその超巨大な象みたいなやつ、風の化身が生み出した魔物なんだと思う」


 「殺していいのか?そもそも風の化身ってなんだ」


 「大丈夫だよ。風の化身が生み出したあの魔物を倒して、肉とか骨とかを皆で分け合うんだ。小さな街とかだったら数年くらい食べ物とかに困らないよ」


 「なるほど、だから恩恵なのか。そしてその恩恵を得るためのクエストに参加したのがあの今戦っている冒険者たちってことだな」


 「おそらくな」


 「割り込んだらクエストルールに反するな。少し離れたところから様子を見よう。もしリタイヤ、もしくは助けを求めて来たら助ける。そしておれ達であの恩恵を倒す」


 「わかった。レヴル号にいるやつらにも伝えてくる」


 スノウ達は馬車を少し離れた場所に止めた。

 そして後方にフラン、ロイグ、メロ、その護衛としてワサンとシアを置き、前にいつでも対応できるようにスノウ、バルカン、ソニック、シンザが立って戦況を見守っていた。


 戦っている冒険者たちから見える位置なので、彼らの意思で助けを求めてくるならすぐに助けに向かう準備を整えていた。



 ドッゴォァァァァン!!


 「ジルコ、ババールは後方へ回れ!チャラールは弓で目を狙うんだ!」


 『了解!』


 20名以上いたであろう小規模キュリアのようだが、既に半数以上の仲間が恩恵の攻撃によってやられていた。



 「あれは時間の問題だな‥」


 「そうですね。早く撤退すればいいと思うんですがね」


 バルカンの感想にソニックが答えた。


 「それができないんだろう‥」


 さらにスノウが被せて言った。


 (半数以上仲間を失ったことで引くに引けなくなったんだろうな‥‥仲間の死を無駄してはならないと。でもそれは自分の判断が間違っていたと認めたくないというエゴ‥‥あの状況ならすぐにでも撤退すべきだ‥‥)



 スノウの推測は当たっていた。


 「俺たちの槍じゃ背後から攻めてもこいつの皮を突き破ることはできない!撤退すべきだ!」


 「ここで引くわけにはいかない!ここで引いたら死んだ仲間が無駄死にになる!」


 「無駄死にどころか全滅するぞ!がはぁぁ!!」


 後方で槍攻撃していたジルコと呼ばれた冒険者が攻撃を受けて呆気なく潰されてしまった。


 「ジルコ!くそ!チャラール!早く矢で目を潰せ!」


 「何度も当たっているけど、目に膜があって刺さらないんだ!撤退すべきだよ!」


 「自分の仕事をしろ!リーダーの俺に指図するな!戦略がブレる!グレビロ!剣でやつの足を攻撃だ!動きを止めれば勝機が生まれる!」


 「無茶言うなよ!ジロール!俺たちの中で一番強かったブルガーの剣が効かなかったんだぞ!」


 「弱音など聞きたくない!やれと言ったらやるんだよ!」


 「お前が行けよ!」


 「あそこに人がいるぞ!応援を求めよう!」


 「馬鹿な!そんなことをすれば報酬を山分けしろなどと要求されるぞ!」


 「報酬?!そんなこと言ってる場合じゃないだろ!死んだら報酬もクソもねぇ!」




 「バラバラだな‥」


 「見てられませんね」


 「スノウさん助けに出ますか?」


 「いや、まだだ」


 「だが今ならまだ数人は救えるぞ」


 バルカンの問いにスノウは一瞬悩む。


 (‥‥ダメだ!救える命を救いたいのも分かるが、彼らに助けてもらいたいという意思がないのに仲間を危険に晒してまで助けるリスクはおかせない)



 ガシュバァァァァン!!


 恩恵の攻撃で戦っている冒険者キュリアの仲間のほとんどが殺されたしまった。


 「バハール!!己れよくも俺の弟を!チャラール!弓を捨てて槍で突進しろ!近くで槍を目に投げれば潰せるはずだ!」


 「い、いやだ!もういやだ!あんたがやれよ!指示ばっかりで自分は何もしないじゃないか!強いんだろ!俺はもうゴメンだ!離脱させてもらう!」


 「お、おい!逃げるな!」


 とうとうリーダー1人になってしまった。


 「くそ!こ、これでは戦えない!引くのも勇気!前向きな撤退だ!」


 リーダーも逃げ出した。



 「あらら、1人になったら逃げ出したよ」


 「最低ですね」


 「リーダーの資格どころか冒険者を名乗る資格すらないですよ」


 「どうするスノウ?」


 「行こう。彼らはクエストを放棄した。そしてあの恩恵という名の怪物もおれたちを認識している。」


 「よし!」


 「おれとバルカン、ソニック、シンザでやる。シアとワサンはフランたちと馬車を守ってくれ。馬車は最悪捨ててもいい。仲間の命最優先で各自連携してくれ」


 『おう!』


 スノウ達は戦闘体勢に入った。





アップが遅くなり申し訳ありません。激務が続き体力が限界となってしまいました。

次のアップは日曜日の予定ですが、日付跨ぐ可能性あります。


いつも読んでくださって本当にありがとうございます!

とても感謝です!

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