<ゲブラー編> 193.勝利の後 その1
193.勝利の後 その1
―――ガザド公国―――
首都ガザナドの大公領内の合同会議室に爵位ある貴族たちが集まっていた。
これだけの規模で集められたのは過去になったが、集まったのはデューク・ガザナドの指示のためだった。
皆、今回のヘクトル討伐に成功し反乱共闘軍の勝利に終わったことによる褒賞のためだと考えていた。
実際には男爵のフィンツ家とパラディン・スレインの功績しかなかったが、貴族たちは公国の防衛と称して自身の領地を守るために騎士隊を配置させたり、パラディン・スレインの軍侵攻の際に後方支援として少数の騎士隊を派遣した程度でほとんど貢献していないにも関わらず、みな口々に自分たちの貢献を主張して大きな会議室はざわついていた。
「グランドデューク様がおいでです!」
皆静かになった。
ガチャ‥‥
『おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ』
パチパチパチパチパチパチパチパチ
歓声と拍手で迎えれるデューク。
デュークは椅子に座った。
一同は期待の眼差しでデュークを見ている。
「グランドデューク様。まずは此度のゲブラー全土を揺るがす戦いに於きまして、多大なる貢献と勝利!心からお喜び申し上げます!」
この場で最も実権を握っている侯爵が口を開いた。
そしてそのまま続けた。
「それはそれとして、本日召集頂きましたのはどう言った主旨なのでしょうか?皆グランドデュークのご指示で集まっておりますが、目的を聞いておりませんのでまずそれを伺いたいと思っております」
「そうですね」
デュークは目の前で手を組みながら話を始めた。
「本日はみなさんに重大な発表をしたくお集まり頂きました」
皆、デュークが何を話すのかに注目している。
「皆さん知っての通り、100年以上のヘクトルによるゲブラー全土の支配が終わりを告げました。ですが、簡単ではなかった。各国は多くの犠牲者を出し、街や村が破壊されたところもあった。大切な家族や友人を失った民も少なくありません。今回のこの勝利は多くの犠牲の上に成り立っていることを私たちは理解し、肝に銘じて復興に力を注がなければなりません」
すると、侯爵が口を開いた。
「流石はグランドデューク様!今回の勝利が我らガザド公国の貴族たちの犠牲の元に成り立っていることをよくご存知でらっしゃる!」
『おおお』
皆、歪んだ笑みで喜んでいる。
「ほう、あなた方貴族の皆さんが犠牲を払ったと?」
デュークが聞き返した。
「ええ!それはもう大きな犠牲を払いました。騎士団と兵たちのほとんどを出しゾルグやゼーガンの侵攻に怯える毎日を過ごしています」
「私も同様にほぼ全ての兵を出しており、外にも出られずに社交会にも出席できない日々で多大なるストレスを感じておりました」
「私も同様です」
「我が家系も同様ですが、戦火を逃れるためにわざわざガッザーノ山麓のミノスまで疎開致しております」
「子爵殿、それは単に避暑地にバカンスに行ったのではないのか?」
「何を言いうか男爵殿。誰が好き好んでこのような非常事態にバカンス気分でいられようか!」
「噂では狩を楽しんでおられたと」
「貴様!男爵の分際で子爵の私を愚弄するつもりか?!グランドデューク様!こやつめにはきつい処罰をお与えください!兵も碌に出さずに我が物顔で普通にパーティーをしていたのを知らないとでも思ったのか?」
「それを言うなら子爵殿。貴殿のご婦人はこの戦火の中、優雅なお茶会を開いていらしたぞ」
「これは伯爵殿、否ことを。あれは貴殿の奥様のご要望にお応えして開いたもの。このような戦火で自重する雰囲気にいい加減嫌気がさしたと仰って毎日毎日お茶会お茶会とプレッシャーをかけられたと我が妻が申しておりましたぞ」
「馬鹿な!無理やり誘われたと言っていたぞ。其方もまたこの戦争に全く貢献していない一人か!下手な主張で褒美を受け取ろうなどとがめついことだ」
「何と!いかに伯爵殿とはいえ、その発言はお取り下げ頂きたい」
「ふん!いい加減なことだ。‥‥グランドデューク様!お分かり頂けたと心得ますが、最も貢献したのは私ですぞ!最も心を痛め、この国に貢献したのは私です!」
「いや私だ!」
「私だ!」
貴族たちの言い合いが始まった。
デュークはそれを手を組んだままじっと見つめていた。
言い合いが続いている中、一人の侯爵が埒が明かないと考えたのか、全員を制して、デュークに褒美の授与を迫ることにした。
もちろん爵位の高い自分が最も多くの褒美をもらえる打算の上に制したもので、これまで通り若きデュークにプレッシャーを与えていた。
他の貴族たちも侯爵の提案を受け入れた。
デュークからむしり取ればよい、あわよくば爵位が上がるという目論見から一斉にデュークに対して鋭い眼差しを向けた。
「さぁ、グランドデューク様!我らへの功労をどのようにお与え頂けるのか!」
「さぁ!」
「グランドデューク様!」
「わかりました」
その言葉に一応は歪んだ笑みをさらに歪ませた。
「これからこのゲブラーは変わらなければなりません。我ら公国も同様です。その中で皆さんにも大きく変わっていただく必要があります」
デュークのその言葉に貴族たちは方々に想像した。
(この若造、相変わらずチョロいな)
(大きく変わる?!まさか爵位2段階昇格か?!)
(まさか侯爵殿と大公が交代するのか?!)
この中で中心的存在の位置付けの侯爵もまた、顔は真剣な表情でデュークを見ていたものの、その心の内は自身がグランドデュークにとって代わる時が来たと興奮していた。
「私はガザド公国の大公爵位を放棄します」
(来た!!)
侯爵は表情を変えずに心の中でこれ以上ないほどのいやらしい表情の笑みを浮かべていた。
そして白々しく発言する。
「そ、そんな!グランドデューク様!貴方様が大公を止められては一体この国はどうすればよろしいのでしょうか?!此度の戦いでこの国は多くの血を流しました!我ら貴族たちもどうようです!ですが仰った通りこの国はまだ発展し続けなければなりません!そのためには指導者は必要!もしグランドデューク様に代わる者がいるとしたら、この苦しい戦いに最も犠牲を払い心を痛めたものこそそれに値するかと!‥‥グランドデューク様の突然のお言葉に少々動揺しておりますが今言えることはこれしかありません!」
「そうですね」
デュークはうんざりしたような表情で侯爵の言葉に答えた。
「それでは、今回の反乱共闘軍の戦いで貴族内で最も大きな犠牲を払ったのはどなたか分かりますか?」
(来た来たー!!)
侯爵は思わず笑みを隠しきれずに顔を歪めたがすぐに表情を戻した。
そして周囲にいる自身の派閥にいる貴族たちに目配せした。
「それはこの中の何人かに聞きましょう。一個人が主張したところで自分の功績を主張したいという意図があるかもしれませんからな。それでは‥‥」
侯爵は自身の派閥の伯爵を指名した。
「悩ましいですが‥‥最も自らを犠牲にされた功労者は侯爵様でしょうな」
続いて同派閥の子爵たち数人が口裏を合わせたように同内容の発言をした。
「いやはや、参りましたな。ここまで皆に言われてしまっては‥‥謙虚な発言も嘘に聞こえてしまうか。‥‥グランドデューク様。この通りでございます」
自信に満ち溢れた表情でデュークの方を見て発言した侯爵は次の一言でいよいよ自分が大公に指名されるのだと確信した。
「困りました‥‥。戦火の最中、私の執務室に来て作戦に参加したり、状況報告や戦況を見た支援の申し出など色々と期待してはいたのですが、誰一人執務室に来られた方はいませんでした。その状況がありながら私は何を信じればよいのでしょう」
デュークが答えた。
侯爵たちは思いもよらない返答に一瞬戸惑いの表情を浮かべたが侯爵が切り返した。
「グランドデューク様‥‥それは流石に難しい話だと思います。皆、それぞれ与えられた指揮権の下、配下の騎士団や兵団への指示などで忙しかったのです。ひとときでもその場を離れれば今頃このような勝利を祝う結果にはなっていなかったはずです。従ってグランドデューク様の執務室へ行ったか行っていないかなどは全く持って関係のない話です。さぁ、それではそろそろお辞めになって以降のお話を!」
侯爵はいつも通り威圧的な物言いでデュークにプレッシャーをかけた。
「間違えました」
「そうでしょう。さぁ次の大公は!」
「いえ、そうではありません。戦火の最中、誰も私の執務室に来ていないといのは間違えたと言ったのです」
「はぁ?!」
「ジェラルド・ルーレン・フィンツ男爵が来ました」
ドン!!
侯爵はテーブルを叩いて叫ぶ。
「あの男爵如きがなんだというのか!!今はそんな話をする場ではないと言っているのでしょう!!」
その威圧的な態度と怒号に怯むことなく、落ち着いた表情でデュークは話を続けた。
「彼は言いました。‥‥あなた方のような私利私欲のためにしか行動できない貴族に支配された状態でこの国を救うためにはゾルグに屈するしかないとして反乱共闘軍の方々を裏切った私に‥‥‥ガザドを頼むと‥‥。そして、私の裏切りが表に出ないようにして、ゾルグからのプレッシャーで押しつぶされそうになって半ば洗脳状態だった私に、自らの命を賭して気づかせてくれたのです」
「一体なんのお話ですか?!それではグランドデューク様!貴方様はゾルグにこの国を売るおつもりだったということですか?!何たること!こ、これは反乱だ!」
「静かにしなさい!」
デュークが叫んだ。
「私は責任をとって大公を辞める。でもそれだけではダメです。ジェラルドが命を賭して私に託したこの国を変えるためには私が辞めるだけでは何の意味もない!‥‥従って私は最後の仕事として、この国を変えます!」
「はぁ?!な、何を言っている?!」
侯爵が半ば怒り口調で言った。
「ガザド公国を共和国にします!ガザド公国は、ガザド共和国となる!」
沈黙が流れる。
『あははははははははは!!!!』
会議室は嘲笑の嵐となった。
「そんなことができるわけないだろう!グランドデュークはご乱心だ!これより私が臨時で大公代理となる!みなそれでよいな!」
全員が侯爵に賛同し、立ち上がって拍手した。
それをしばらくだまって聞いていたデュークは静かに口を開いた。
「大公権規第1条第1項。大公はいかなる場合においても公国民の生活を第一に考え国を治めること」
貴族たちは皆デュークがおかしくなったのだと思いながらデュークの言葉を聞いていた。
「大公権規第11条第1項。万が一、国が公国民の生活を維持できなくなった場合は、大公は国民の生活を最優先とするあらゆる決断をする権限を有し、それを行使することができる」
『!!!』
貴族一同は、これ以上ないほどの驚愕の表情を浮かべている。
デュークは表情を変えずに発言を続けた。
「大公以外のいかなる立場の者が反対しても、国民の生活を最優先としている決定である限り大公の権限で行使することができる。これはあらゆる権限、法規に優先するものとし、公国全ての領土、爵位、役職を国に帰属させることができる」
「た、確かに権規にはそのようにか、書かれている!だ、だが!貴方の発言は国民の生活を最優先に考えていない!そんなものは認められない!」
「ではこうしましょう。共和国化とその共和国を背負って立つ指導者である “大統領” を決める選挙を行うのです」
『!!』
「立候補者は公国維持を説いてもいいし共和国化を説いてもいい。そしてその立候補者が次の国家体制とその指導権を得る。決めるのは国民ひとりひとり。これほど公平公正な進め方はないと思います。異論があるとすれば、それは国民からの支持を得られる自信がないと言うこと。そのような者にこの国を背負うことはできません。異論はありませんね」
「くっ!」
言い返すこともできない侯爵は、一瞬何かを考えたようで表情が急に余裕を見せ始めた。
(このクソガキ‥‥誰かに入れ知恵でもされたか?!‥‥だがまだ知能もガキなんだよ!)
そして言った。
「それではその選挙のやり方ですが、後見人を立てるやり方でよいですな?それは正当な権利であると主張します。誰も彼も勝手に立候補しては選挙そのものの質が問われます。きちっと立候補者を支援する者がいなくてはこの国を任せることはできないのは明白!」
「いいでしょう」
ニタァ‥‥
侯爵の表情が歪んだ。
「私はここにいる貴族全員に後見人になっていただきます。皆さんよいですな?もちろん私が当選すれば大公となりますが、その時は皆さんの爵位をあげて差し上げると約束しましょう!」
侯爵派は真っ先に手をあげ、他の貴族たちも取り残されてはならないと皆手を上げた。
ガチャ‥‥
「私も後見人となります!」
そう言って会議室に入ってきたのはパラディンのスレイン・レイトラルだった。
「おお!これはパラディン殿じゃないか。彼の家柄はかつては爵位を持っていなかったが此度の戦いの功績は高い。グランドデューク様。レイトラル家に再び爵位を与えるということでよいですな?」
「もちろんです。元々そのつもりでした。共和国化が受け入れられた際はすぐにその爵位そのものがなくなりますが、その後のことも考えています」
「おお!物分かりの良いお人でよかった!さぁパラディン殿こちらへ」
スレインはゆっくりと歩き出した。
そして足を止めた。
デュークの背後で。
「?‥‥パラディン殿。こっちだ。そっちではないぞ。こっちへ来くるのだ」
「いえ、ここで良いのです」
「どう言う意味だ?」
「私はグランドデューク様の後見人になるからです」
『!!』
「ば、馬鹿な!!こ、後悔するぞ!!貴様!一介の騎士風情が」
「侯爵。彼はすでに爵位を得ている。先ほど手続きを済ませた。敬意を払って頂きたい」
「くっ!」
デュークの毅然とした態度と物言いに返す言葉がく、悔しさで歪んだ表情を見せた侯爵は立ち上がった。
「国民への選挙の告知及び投票日、開票日の通達をお願いしますぞ!」
ダァン!!
ドアを思い切り叩き開けて侯爵を先頭に貴族たちは出て行った。
その場に残ったのはデュークとスレインだけだった。
「ふぅ‥‥」
デュークは椅子にもたれかかって目を腕で覆いため息をついた。
「よくぞ頑張られましたグランドデューク様」
「うまくできたかな‥‥」
「もちろんです。私にはジェラルド様がガッツポーズをされているのが見えます」
「ここにジェラルドがいてくれたらもっとうまくできたと思うんだけどな‥‥」
「この場にジェラルド様がいらしたら会議が荒れて今頃乱闘になっていたかもしれませんよ」
「ははは‥‥そうかもしれないね‥‥じゃぁ僕が頑張らないとな」
「そうです。本番はこれからですから!」
「そうだね。こんな僕だが支えてくれるかいスレイン」
「もちろんです。我が兄をお許し頂いたばかりか、兄にも爵位をお与えくださった御恩はレイトラル家全員でご支援申し上げます。それに本当に民のことをお考えのグランドデューク様にお仕えする以外選択肢は持ち合わせておりません」
「ありがとう」
・・・・・
・・・
―――ハーポネス―――
天帝御所。
「此度は大義であった」
天帝の前には金剛の旋風七聖が集結し平伏していた。
天帝より今回の反乱共闘軍の勝利に貢献した者たちへ褒賞を与えるために集められたのだった。
だが、本来勝利を祝う場でありながらその場は勝利を喜ぶものではなく、悲しみを堪えたものだった。
なぜなら七聖として馳せ参ずることができた者は、トウメイ、サイゾウ、イシル、そしてエスカの4名しかいなかったからだ。
天帝の護衛にあたっていたボクデンは天帝御所に突如現れた怨霊ノウマンから天帝を守るために戦い命を落とした。
トウメイを探していたようだったが、怨霊ノウマンはボクデンを取り憑き殺した後、遠くのどこかで何を感じ取ったかのように突然消え、天帝は事なきを得たのだ。
彼の命を賭して天帝を守った功績はこれ以上ない程大きなものだった。
そしてゾルグ王国へ侵攻し、ゾルグ王国軍を惹きつける大役を果たすも命を落としたマカムとリュウソウの功績もまた大いなるものがあった。
ゾルグ王国軍だけであれば命を落とすこともなかったであろう戦いだったが、ディアボロス率いる悪魔の軍勢アディシェス軍の登場によって大きく不利な戦いを強いられた。
だが、彼らは援軍が到着するまでの間を守り切り見事悪魔の軍勢を撃退する立役者となったのだ。
もしマカムやリュウソウほどの大将が軍を指揮していなければ即座に軍は大敗し、そのままハーポネスに攻め込まれて今頃国は崩壊していたかもしれない。
それどころか、ヘクトルの打倒が果たせずゲブラー全土が更なるヘクトル支配を受けていた可能性もあったのだ。
今回の反乱共闘軍に与したハーポネスの勝利は、命を落とした三人の功績の上に成り立っているといっても過言ではなかった。
そのような中で天帝から褒賞の授与が行われた。
「まずはトウメイ。そなたはジオウガ軍と共闘し、ゼネレス軍を抑え込んだ。その際ハーポネスの軍ではなく、獣人軍を指揮して尚且つ、強力なゾルグの改造生物軍と戦い見事これを撃退した。それによってジオウガ王国軍の作戦成功だけでなく、ゼネレス内部における正義も貫く結果となった。この功績は何よりも変え難い大なるものがある。よって最高関白に昇進とする。そして継続して金剛の旋風のまとめ役として従事してほしい」
「ありがたき幸せにございます」
トウメイは褒賞の錫杖を受け取った。
「続いてサイゾウ、イシル。其方たちはハーポネス内部に巣食っていたゾルグ王国の諜報員や軍隊からこのキョウのみならずハーポネスの都市を守り抜いた。反乱共闘軍がヘクトル政権に勝利しても国が滅亡しては意味がない。それを守り抜いた功績もまた何よりも変え難い大なるものがある。よって太政大臣に任命する。また金剛の旋風のひとりとしても変わらぬ貢献を期待する」
「ありがたき幸せにございます」
「マカム、ボクデン、リュウソウにおいては言うまでもない。彼らこそ、この国の最高英雄である。ゾルグだけでなく、人智を超えた存在に対しても臆することなく勇敢に立ち向かいそして見事その大役を果たし切った。彼らの功績もまた何事にも耐え難い大なるものがある。よってこのキョウに彼らを永遠に語り告ぐ意味も込めて大きな闘技場をつくりそこに彼らの大きな石像を建て、祀ると共に彼らの強さを後世に繋げていくこととする。三人の流派はその闘技場で弟子を取り、育成に励むこととする」
イシルたちは大粒の涙を流して嗚咽のように声を殺しながら泣いた。
リュウソウの悲願でもあった神楽巳流道場がここに復活することになった。
「そしてエスカ。其方の功績は最早語り尽くすことすら難しいほどだ。よって筆頭太政大臣としてこの国を支えてほしい。そして金剛の旋風の副頭領として国力増強にも力を注いでほしい」
「は!ありがたき‥‥幸せにございます‥‥」
天帝はさらに続けた。
「そなたの生い立ちは聞いた。この国ではそなたの父、ヨシツネ・カグラミを悪く言うものもいるが、金輪際それはないと約束しよう。いや、それだけでは足りんな。何か他に要望はあるか?」
領土や金銭などの褒賞はすでに先立って十分すぎるほど与えられているため、褒賞としてさらに何かを要望するなどなかったが、エスカにはどうしても天帝にお願いしたいことがあった。
「天帝様。ひとつだけお願いがございます」
「何だ?」
「もう一人大きな功績を残した者がおります。彼をどうか金剛の旋風へお加え頂きたいのです」
「それはもしや?!」
「はい。イシルの弟のザムザです」
「!!」
イシルが驚きの表情を浮かべる。
「彼は威霊神となりました。過去、彼は悪神によって操られこの国で大きな反乱に加担した罪はありますが、今回の功績で帳消し以上の働きだったのは明白。さらに威霊神として強い力を正しく使う心も得ています。どうかお認めいただけませんでしょうか?」
「も、もちろんだ!それは良い提案だ!」
「天帝様。私からもよろしいでしょうか?」
トウメイが後に続いた。
「今回の私の戦いの中で自らの命をも顧みず戦った者たちがおります。獣人たちです。それを実際に先導してくれた者たちが二人おります。ファーゼルとモルカです。二人もまた強い力を正しく使う心を持っております。どうかこの2名も金剛の旋風に加えることをお許し頂きたい」
「あいわかった!認めよう!ザムザ、ファーゼル、モルカの3名を加えて新生金剛の旋風七聖とする!これでよいな!」
『はい!!』
四人は涙を流しながら喜びの表情を浮かべていた。
あと2話ほどでゲブラー編が終わります。
物語が大きく進む中で物語の舞台がまたゲブラーに戻ってくるのですがまだまだ先になります。
次のアップは月曜日の予定ですが、日付跨ぐ可能性ありますことご容赦ください。
現在、ゲブラー編を書きながら、次の世界、ケテルのストーリーを整理している最中でしてどうすれば面白いストーリーになるかを思案しております(汗)
楽しんでいただける物語になるよう頑張ります!
いつも読んでくださって本当にありがとうございます!感謝です!




