<ゲブラー編> 166.一騎討ちと罠
166.一騎討ちと罠
グムーン自治区の中に入ったジオウガ軍騎兵隊300名は中央通りを慎重に進んでいた。
範囲はさほど広くないにせよ、ほとんどのエルフが生まれながらにして魔力感知能力を持っているため、ジオウガ軍が既にグムーン自治区に入っていることは先に到着しているペルセネス率いる西側に陣取っていたクリアテ軍には察知されているはずだったからだ。
(最低でも7千はこの街にいることになる。ある程度散らばるにしても、それだけの兵数を一度に潜ませるのはほぼ不可能だ。必ずどこかに固まって待機しているはず。そこに入ったらいくら強靭な精鋭部隊の我らであってもかなりの苦戦を強いられるか最悪全滅するだろう。そして、敵軍大将はおそらくそこにいる)
ギーザナたちは周囲を見渡して警戒した。
(だが、既に我々の目的は敵の大将首を取る事ではなくなっている)
「全員ここで待機。ただし警戒は怠るな。炎魔法及び矢の攻撃またはその合わせ技がやつらの得意な攻撃方法であり、このような障害物が多い状況は奴らに地の利がある。なるべく開けた場所で待機し攻撃に備える。そして攻撃があっても決して深追いしてはならない」
『は!』
(さて・・・あとは時を待つだけか・・・)
―――ペルセネス軍―――
「ちっ!本当に小賢しい!野蛮種族の分際で。中途半端に知恵を付けるだけでこうも厄介とはな」
ペルセネス軍は、グムーン自治区の北側の広場で待機している3千の軍と、町の外で待機している4千の軍、そして町中に散らばらせた200の兵という配置を取っており、200の兵でヒット&アウェイで引き付けて誘導し、広場の3千で叩き潰す、という作戦を練って陣を張っていた。
仮に待ちの外へ逃げても外の4千の軍で囲んで叩き潰す、という作戦だ。
だが、ペルセネスの思惑は外れ、ジオウガ軍騎馬隊300はグムーン自治区に入った大通りの開けたところで待機して動かないため、誘導作戦がしづらい状況となっており、苛立ちを隠せずにいた。
「追加で捨て駒覚悟の兵を投入して相手を刺激しますか?」
「そうだな。300の兵を3つに100ずつ分けて投入だ。まず兵100を差し向けろ。差し違える覚悟でぶつけて、少し遅れて更に100を投入して遠方から攻撃させろ。そしてそいつらも捨て駒にして更に残りを遠方から攻撃させて誘い込め。そこまで動かせればやつらは街中に入ってくるはずだ。あとはあちこちに配備している者たちが手筈通り上手く誘い込むことができよう」
「は!」
側近は分隊に指示を出し300名を選出させた。
もちろん捨て駒などという言葉は使わずに、陽動作戦を任せる部隊と煽てた形だった。
―――ジオウガ騎馬隊―――
「ギーザナ様!エルフ兵約100名がこちらに来ます」
「武具は備えているか?」
「はい!弓矢をいつでも打てるように構えております!」
「よし、全員防御態勢。とにかく耐える。我らの距離に近づいたら肉弾戦で殲滅。ただし、遠距離攻撃のために潜んでいる兵がいるかもしれん。周囲への警戒は怠るのな。その際は攻撃チームと防御チームで連携する。よいな?!」
『は!』
エルフ兵100名がジオウガ騎馬隊の方へ近づいてくる。
ジオウガ騎馬隊は構えるが、ギリギリ肉弾戦に持ち込めない距離でエルフが止まり武器を構えたため、睨み合いのこう着状態となった。
そしてしばらくしてエルフ兵100人隊の後方から新たに100名の兵が現れた。
今度は弓矢を構えて遠距離からの攻撃を仕掛けるようだ。
「エルフの弓攻撃が来るぞ!備えよ!」
ジャジャジャジャジャジャジャジャジャジャ!!!!
一斉に矢が放たれた。
それと同時に前衛のエルフ100人隊がジオウガ騎馬隊に向かって距離を詰めてくる。
カンカンカンカンカン!!
盾で矢を防ぐ。
だが、同時にエルフ兵が後衛から放たれた矢によって自分たちもダメージを負う覚悟で側面から剣や槍での攻撃を仕掛けてきた。
グザ!グザザ!!
たまらず数人のオーガ騎馬兵はエルフ兵を攻撃しようとするが、すぐさま後方へ下がっていく。
数人のオーガ騎馬兵は無意識につられてそれを追ってしまい、隊列が崩れる。
そして一斉に矢が放たれ、エルフ兵共々数人のオーガ騎馬兵が倒れた。
(なるほど考えたな。矢に対する防御体勢を取ったら肉弾攻撃をしかけ、それに対処しようとしたら少し後方へ下がりおびきだして矢で仕留める。仕留められなければまた近寄って引いて誘き寄せて矢で攻撃か‥‥‥だが、同時に前衛のエルフ兵も死ぬことになる。肉を切らせて骨を断つではないが、数で勝っている側の戦略だ。しかし、命を粗末にする戦略‥‥気に食わんな‥‥)
ギーザナは周囲を見渡す。
そして隣の兵が持参している槍を受け取り少し前にでる。
槍を高々と掲げる。
その腕、肩、背筋それぞれに異常な筋肉の盛り上がりが見える。
そしてその槍を一気に振り下ろした。
ブワン!!ゴゴゴゴン!!
横に振った槍の軌道に沿って地面が掘り起こされたように横ラインを形成した。
「ジオウガ騎馬兵たちよ。この線を超えて前に出るな」
『は!』
その直後もエルフ兵から放たれた矢が襲ってくる。
ジオウガ騎馬兵たちはひたすら防御で耐え続けた。
―――ペルセネス本陣―――
「報告!」
「どうした?」
「ジオウガ騎馬兵300はペルセネス様の作戦であるエルフ兵300名の押し引きと矢の攻撃によってほぼ全滅で残るはオーガロード・ギーザナと2〜3名のみとなりました」
「そうか!」
ペルセネスは笑顔で喜んだ。
自分の作戦が思った以上にジオウガ騎馬隊にダメージを与えほぼ壊滅状態になったと聞いて上機嫌になったのと、オーガロードを討てる状況になったことでこの戦で武功をあげて評議会での発言力を強められると考えたからだった。
そして騎馬車から側近の騎馬に乗り換えた。
「よし!200名で我についてこい!これからオーガロード・ギーザナの首を取りに行く!歴史的瞬間に立ち会えるぞ!」
『おう!!』
ペルセネスは200騎の騎馬兵を引き連れてグムーン自治区の街入り口へと向かった。
(今頃倒してしまっているかもしれんな。まぁそれはそれで良い。我の手柄にすればいいだけのこと。討ち取ったのが手柄を主張する者なら後で殺してしまえばよいからな。要は評議会にギーザナの首を持って帰ればよいのだ)
先ほどの伝令兵が先駆けを務めていた。
「あの角を曲がった先にジオウガ騎馬兵がおります!」
「いよいよか!」
ペルセネスはニタっと笑いながら先頭に躍り出た。
そして角を曲がる。
「!!」
ペルセネスの表情がニンマリとした笑みから驚きのそれに変わる。
「ジ、ジオウガ騎馬兵‥‥200以上いるではないか!」
そこにあった光景は差し向けたエルフ兵300のほとんどが傷つき倒れており、その先で大量の矢が刺さった盾を持ったジオウガ騎馬兵約230騎が悠然と構えて並んでいたのだ。
「エルフ上流血統家のペルセネス・スーン・ガンターマンとお見受けする!クリアテ軍総司令だな。私もジオウガ軍を率いる総司令だ。一騎討ちを申し出る!どうか受けられよ!」
ギーザナが前に出た。
「!!‥‥」
(で、デカい‥‥‥)
ペルセネスは思わず心の中でつぶやいてしまった。
背丈や体格はほぼ変わらないにもかかわらず、相手が大きく見えたのだ。
そしてその周囲にいるオーガ騎馬兵たちもまた、腕を組んで威圧感を出している。
「一騎討ちだと?!」
(馬鹿な!こっちは数で圧倒しているのだぞ?なぜそのようなわざわざ冒険するような条件を受けると思ったのだ?そんなもの受ける理由がない!)
「こ‥」
「望むところだ!我らが上流血統家にして最強のエルフと謳われるペルセネス閣下が貴様のような下等種族の者の申し出を受ける義理などあるはずがない!だが、この申し出を断るのもまた無意味だ!なぜならペルセネス閣下が勝つに決まっているからだ!」
「な!?」
断ると言いかけたところに先ほどの伝令兵であり先駆けを務めていたエルフ兵がペルセネスの発言を遮って申し出を受けてしまった。
「お、おい貴様何を勝手にしゃ‥」
「流石は漢の中の漢ペルセネス卿だ。逃げずに立ち向かうその姿はエルフ、いや種族を超えて戦う戦士の鏡と言えるだろう!」
ギーザナがペルセネスの発言を遮って声を張り上げた。
ペルセネスはもはや後に引けない状況に陥ってしまった。
「う、受けてやろう!貴様など瞬殺である!」
ギーザナは馬を降りた。
そしてペルセネスも馬を降りた。
二人は向き合って剣を構えている。
そしてペルセネスが先に仕掛ける形で一騎討ちが始まった。
凄まじい速さでフェイントを挟みながら距離を詰めるペルセネスは剣で攻撃すると同時にもう一方の手をギーザナに見えないようにして背後に回し、短刀を抜いている。
ガキィィン!!
剣と剣がぶつかりあって火花が散る。
力はペルセネスが押し負けている。
グザァ!
「ぐっ!」
剣で押されているところでもう片方の手に握られた担当がギーザナの脇腹に突き刺さった。
バァン!!
ギーザナはすぐさま短刀を払い除けて、傷口を手で押さえて炎魔法で焼いて出血を止めた。
「ふぅ‥‥」
その間も容赦無く攻撃を繰り出すペルセネスは剣攻撃に加えて炎魔法を放ち、さらに体をひねって回転蹴りをギーザナの後頭部へお見舞いした。
ドン!
「ぐっ!」
更に剣撃のラッシュを繰り出した。
カカン!キン!キキン!カキキキン!!
その間も炎魔法を挟みながらの攻撃でギーザナの体に火傷痕がつき始める。
ブワン!!
そしてペルセネスの強烈な一撃がギーザナに振り下ろされる。
ガカン!!
ギーザナはそれを剣で受けた。
「ぬおおおお!こぉのぉまぁまぁ斬られろ!!」
ペルセネスは力任せに剣を押し付ける。
グワン!ガキャン!
ギーザナは剣で押し返した。
そしてギーザナが剣を凄まじい速さと力でペルセネスに向けて振り下ろす。
ペルセネスはその瞬間死を覚悟した。
シュウゥゥゥゥゥ‥‥ガキャン!!
突如右後方から矢が飛んできた。
それをギーザナは避けるためにペルセネスに向けていた剣を下ろし、矢を弾いた。
「一騎討ちを邪魔する者は誰だ?!」
ギーザナが矢が飛んできた方向を見ると、馬に跨った青色の布を顔に巻いてる兵が走りながら更に矢を放ってきた。
ドォォォン!カキン!!カカン!
ギーザナは全て避ける。
「ペルセネスの仲間か」
「いえ、ギーザナ様!エルフの新たな軍のようです!」
「何?!」
顔に青い布を巻いた戦士の後に続いて登場したのは豪華な騎馬車に乗ったマルトスだった。
「マルトス!」
ペルセネスはマルトスが来ていることに困惑しているが、そういう状況にしてしまった自分の不甲斐なさを悔いていた。
(マルトス!なぜここに?!‥‥そうか!この手柄を独り占めするためだな!‥‥なんとも小賢しい男だ!)
ペルセネスは助かったという安堵感と手柄を持っていかれるという悔しさで複雑な表情を浮かべていた。
一方のマルトスは、目の前でペルセネスがオーガロードのギーザナと一騎討ちを行っている状況を見るや否や騎馬車の上に立ち上がって叫んだ。
「貴様ら一騎討ちの状態か!いいだろう!存分に戦え!」
マルトスは意外なことを口にした。
ペルセネスは驚きの表情を浮かべている。
助かったと思った矢先、このマルトスの発言でペルセネスはギーザナを倒すしか選択肢が無くってしまったからだ。
だが、いざとなればマルトス軍が助けてくれるはずだと思い返してペルセネスはギーザナとの一騎打ちに集中する。
激しい剣の応酬が繰り広げられるが、ペルセネスは次第にギーザナの剣の威力と速さに圧倒され始める。
一方マルトスは何かを気にしているのか周囲を見渡している。
ガキキン!!‥‥ザバンン!!
「ぐぁぁぁ!!」
ペルセネスの胸から血が噴き出る。
ギーザナの鋭い一撃がペルセネスを斬ったのだった。
「勝負あり!」
マルトスが叫ぶ。
馬に跨ったまま二人の側に近寄る。
「ペルセネス卿。貴殿の負けのようだ」
「!!‥‥いや、まだ負けてはいない!まだ戦えるのだ!」
「いや無理だ」
ズバン!!
マルトスはいきなりペルセネスを斬り殺した。
「!!」
そして軽く手を上げると、背後にいるマルトスの兵達が一斉にペルセネスについてきた兵を攻撃し全滅させた。
「オーガロードよ。私はエルフ上流血統家の一人、マルトス・レーン・ラガナレスである。確かに一騎討ちを見届けた。貴殿の勝ちだ。そして降参する。この者は上流血統家にしてエルフ・ゼネレス評議会メンバーでもある。このペルセネス卿の首を差し上げる故、ここから軍を引いていただきたい。そして然るべき場‥‥つまり評議委員と貴国の要人とで会談し戦勝国として我が国への要求事項を述べるといい。その場を私の責任で設定すると約束する」
「‥‥」
ギーザナは黙っている。
「それともあえて戦いを選ぶかな?我が軍は街を完全に包囲している上、このペルセネス卿の兵も奥で数千は残っており、私の指揮下に入る」
「‥‥いいだろう。その申し出受けよう」
「懸命だ」
そう言うとマルトスは横の兵から槍を受け取るとその槍でペルセネスの首を切断してギーザナに差し出した。
ギーザナはその首を受け取ろうと前に出る。
「それはそうと、この街に入ってきたのはここにいる勇敢な騎馬兵のみかな?」
マルトスの問いにギーザナは答える。
「そうだ。残りの兵は街の外でクリアテ軍、ネザレン軍と交戦中だ」
「そうか。それはよかった」
グザァァァ!!
「うぐっ!」
マルトスはペルセネスに突き刺した槍をそのままギーザナに突き刺した。
「謀ったか‥‥」
「つくづく馬鹿で愚かな種族だなオーガとは。私がそのような申し出をするわけがないだろう。圧倒的に兵力で優っているのだぞ」
ガシィ!
「!!」
ギーザナは自分の胸に刺さっている槍を握った。
そして槍を引っ張られたため、思わずマルトスは落馬しそうになる。
ギーザナのもう片方の手には剣が握られており、今にも斬り込もうとしている。
「シンク!助けろ!」
マルトスが叫ぶと、顔に青い包帯のような布を巻きつけたエルフ屈強戦士のシンク・ゼンヴィールが凄まじい速さで詰め寄り剣を振り上げてギーザナの握る剣を弾いてキャッチした。
「出来したぞシンク」
「くくく‥‥」
「??」
シンク・ゼンヴィールは突如笑い始める。
「どうしたのだ?何がおかしい。この状況の何がおかしいのだ?」
「クハハハハ!!」
シンクは大声で笑い始めた。
そして持っている剣をギーザナの方へトスした。
ギーザナはその剣をキャッチすると同時に炎魔法で槍で刺された傷口を焼いて止血しそのまま剣を構えた。
同時にシンクも剣を構えて剣先を前に突き出した。
マルトスの方へ。
ギーザナとシンクに剣を向けられて逃げ場ない状況となったマルトスは事態が飲み込めていないといった表情を浮かべている。
「シ、シンク!き、貴様裏切ったのか?」
「裏切った?これはおかしな事を仰る」
シンクは剣を構えたまま、もう片方の手で顔に巻いた青い包帯を外していく。
「私はね、生まれてから一度もあなたの仲間にも部下にもなった覚えはないのですよ。それよりむしろこの状況をずっと待ち望んでいたのですから」
包帯を外しながら話続けるシンク。
徐々に外れていく包帯と発せられる言葉からマルトスの表情は怪訝そうなものに変わっていく。
「き、貴様‥‥何者‥‥!!!!」
包帯が取れて露わになった顔は。
「私ですよ。マルトス卿」
シンクに扮していたのはザラメスだった。
ーーーアムラセウムーーー
闘技場には闇虎とゲントウが向き合っていた。
ゲントウの腕は先の試合で失われたままとなっていた。
そしてレンスが登場する。
「さぁ!泣いても笑っても後2戦!そしてこの試合は!新旧エンカルジスの戦い!世代交代するかどうかを決める戦いと言っても過言ではないでしょう!現グラディファイサーランク1位の神槍・闇虎!そして前回のグランへクサリオスの覇者である死魂斬波・ゲントウ!いよいよ試合のはじま‥‥」
「待てい!」
いきなりゲントウが耳が割れんばかりの大声で叫んだ。
「この目の前の漢、闇虎は真の強さを持った強者であり、先ほどの通り間違いなく参加者の中で最も強き者であろう!」
観客席は静まりかえっている。
「本来ならば!頼み込んででも戦いたい相手である!それはグラディファイサーとして戦いに身を置いたものなら!最強を目指した者なら誰しもが抱く感情である!」
そう言いながらゲントウは片腕を空高く掲げた。
「だが今の我を見よ!この片腕となった体は!この最強の漢と戦うにふさわしくない!‥‥よって我はここで棄権する!」
『!!』
観客は驚いて声を失った。
レンスもまた驚きのあまり声を失っている。
『ブゥゥゥゥゥゥ!!!!』
すぐ後、観客席からは大ブーイングが巻き起こった。
まるで怒号のような地響きとともに観客の不満が響き渡る。
それもそのはず、このグランヘクサリオスは突然現れたゲントウ本人によってルールが変わり、混乱したまま始まった大会であり、その張本人が最終的に棄権を申し出たのだ。
弱き者に戦う資格なしと言い切り凄まじい波動で参加者を消し去った場面もあった。
そんなゲントウが戦いを途中で投げ出すと言い出したのだ。
「鎮まれい!!」
観客ひとりひとりの脳を揺らすと思われるほどの凄まじい声を発するゲントウ。
「貴様らの不満も分かる!我も漢だ。ただで棄権するとは言わん!」
そう言うとゲントウは天高く掲げている腕に自ら噛み付いた。
ガシィ!!
『!!』
驚く観客たち。
グググ‥‥ギリギリ‥‥ブチッ‥‥ブチブチッ!!
肉が避ける音が静まりかえった闘技場に響く。
ブチャァァァァ!!
ついにはゲントウは腕を噛みちぎって切断した。
『ぎゃぁぁぁぁぁぁ』
観客席の至るところから悲鳴が聞こえる。
「これをけじめとして棄権させてもらう!さらばだ!」
そう言うとゲントウは書き消えるように姿を消した。
後には噛みちぎられた腕と散乱した血が残っていた。
闇虎はそれを静かに見つめていた。
だいぶアップが遅くなりました。申しわけありません。
次は土曜日のアップ予定です。
いつも読んでくださって本当にありがとうございます!
面白いと思っていただけましたら高評価よろしくお願いします!




