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<ゲブラー編> 154.怒り

154.怒り



 ヤマラージャは軍を一旦離れたところへ待機させて地上へ登る階段の前まで来ていた。

 どのような敵が待ち伏せしているかわからなかったからだ。

 地上へ続く屋敷の中で待機しているはずのエミロク、シミョウ、シロクからの連絡がないため問題はないと思っていたが、万が一ということもある。


 そして扉を開ける。


 ガチャ‥‥


 「!!」


 「遅かったじゃないですか」


 「貴様は‥アルマロス!」


 ヤマラージャは驚愕する。

 扉を開けた先でヤマラージャの目の前に現れたのはアルマロスだった。


 「牛頭は?!‥‥ま、まさか?!」


 「あぁ、これかい?」


 アルマロスはゴッシの頭部を片手で持っている。


 ゴロン‥‥


 「牛頭!」


 ゴッシの頭部が床に転がる。

 無惨にもアルマロスに殺されしまっていた。


 カタ‥‥


 「おいおいおいおいおい!」


 「!」


 背後から別の声がしたためヤマラージャは振り向いた。

 背後にサルガタナスが現れた。


 「なんであんたがここにいるんだよ!アルマロス!」


 サルガタナスはアルマロスを見て驚いた表情で話しかけた。


 「ん?君は誰だい?」


 「ちっ!相変わらず相手を見下すのが得意だな。かつての自分の姿を切望しているのが見え見えだぜ」


 「口が減らない下等種族だね。これ以上余計なことを言うならお前‥‥消すよ」


 「おお怖!まぁいい。目の前の目的は一緒なようだからな。あんたを消すのはその後だ」


 ゴトン‥‥


 「馬頭!!」


 サルガタナスはアッシュの頭部を放り投げた。

 アッシュの頭部が床に転がる。

 ゴッシもアッシュも2体の悪魔に倒された。


 「‥‥‥」


 周囲の温度が急激に上がっていく。


 「‥‥‥」


 「おお!怒ってる怒ってる!はっはっは!その顔が見たかったぜ!あんな弱い奴を俺にぶつけるからだよ。大事な仲間なら箱にでもしまっときゃ良かったんだ」


 サルガタナスがさらに挑発的な言葉を投げかける。


 「き、貴様ら‥‥!!」


 「き、きさまらーってかぁ?!ってなんか暑いなここ」


 ヤマラージャの体が赫黒く変わっていく。

 そしてさらに体は赫黒さをましながら光を発していく。


 「おっと、これは少し危険ですね‥‥」


 アルマロスは周囲を確認する。


 「ゆ、許さん!‥‥許さんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 「!」


 ヤマラージャからとてつもない熱量の波動が発せられた。


 ナラカの第1層 トウカツにあるあらゆるものが消滅した。



・・・・・


・・・


―――アムラセウム―――


 準々決勝第1戦が始まろうとしていた。

 闘技場内にはスノウとヒーンが対峙している。


 「こんな形で君と戦うとはねぇ」


 「本気で行かせてもらうよ。じゃないと勝てそうにないからな」


 「ははは、そういう冗談は好きじゃないなぁ」


 レンスが炎魔法の拡声ブロックを周囲に浮遊させながら登場した。


 「いよいよ!トーナメントも準々決勝に入りました!あと7戦でエンカルジスが決まります!そしてその1試合目がなんと雷帝スノウ対紅炎鬼ヒーンだぁ!」


 『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』


 大歓声が沸き起こる。


 「それでは!!試合始‥!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ‥‥‥‥


 突如凄まじい地震がアムラセウムを襲った。

 地面が裂けると思われるほどの巨大な地震であり、アムラセウムの観客席に亀裂が入る。


 場内がざわついている。

 レンス、スノウ、ヒーンはこの地震の理由がなんとなく分かっていた。


 革命軍総司令のヤマラージャたちに何かあったのだ。

 しばらくして地震はおさまった。


 「レンス。とにかく早く試合を始めよう。この勝負にさっさとケリつけて確認しにいく必要があるからねぇ」


 「了解した」


 レンスは闘技場の中央に出る。


 「まるで大地も興奮して震え上がったのか?!それほどのカードがこれから続くということだ!それでは試合開始!」


 合図と同時にヒーンが炎魔法攻撃にうって出る。


 「八岐大蛇!」


 無数の炎の蛇がスノウに襲いかかる。


 ザバァ!!


 スノウはそれを流動で払い除けた後に両手を合わせて振りかぶるポーズをとったかと思うと、それを一気に横振りした。


 ブワン!!


 すると、スノウの腕からは螺旋の飛弾が発せられヒーンに飛んでいく。

 ヒーンは炎魔法で壁を作り避けた後、さらに炎魔法を繰り出す。


 「煉獄の渦」


 超高熱の炎の渦がスノウを襲う。

 スノウはそれを素早い動きで避けてヒーンの背後に回る。

 凄まじい速さのスノウの手刀がヒーンに放たれる。


 「レーバテイン!」


 ヒーンは炎の剣でそれを受ける。


 ガカァン!


 スノウとヒーンは距離を取る。


 「はぁ、やめやめ」


 ヒーンは諦めたジェスチャーをしながらスノウに話しかけた。


 「本気で戦っても勝てる気がしないよ君には」


 「ヒーン‥‥」


 「実力が底知れない。そろそろ終わらせようかねぇ‥‥煉獄焦幻」


 ヒーンは両手を前に差し出した。

 すると闘技場の中央に超高熱の球体が発生しみるみる内に大きくなっていく。


 「煉獄の波!」


 球体に向かって超高熱の波を繰り出して球体に炎魔法を追加していく。


 「凝縮」


 ヒーンが両手で空気を押しつぶすようなジェスチャーをすると、球体も凝縮されるように小さくなる。


 「着弾」


 直径50センチメートル程度の球体はスノウに向かって飛んでいく。


 シュウゥゥゥン‥‥


 「こいつはやばいな‥‥はは」


 スノウはヒーンの作り出した超高熱の炎の球体の威力を一瞬で把握した。

 両手を前に出した。


 球体をスノウが作り出した炎が覆う。


 「バリアオブファイアーウォール」


 球体をスノウが作り出した炎の壁が覆う。

 スノウがそれを握りつぶす動きをすると、ヒーンの放った超高熱スフィアはどんどん小さくなっていく。


 シュウゥゥゥゥゥゥ‥‥


 そして消滅した。


 「はは‥‥あれを消し潰しちまうってどういう‥」


 ガタン!


 「ぐっ!」


 スノウは凄まじい速さでヒーンの背後に周り当身し、ヒーンを気絶させた。


 「しょ、勝者!雷帝スノウ!」


 『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』



・・・・・


・・・


 スノウの控室―。



 「ちょっとわざとらし過ぎたんじゃないか?」


 スノウがヒーンに話しかけた。


 「あまりああ言うの慣れてないからねぇ」


 「おれが負ける役の方がよかったか?」


 「なんでだい?」


 「浮かない顔をしているからさ」


 「そりゃそうでしょ!僕の全力の煉獄焦幻を最も簡単に消し潰したんだからさ」


 「そうか‥‥」


 「本気で戦っても負けてたからね。僕が負ける役で良かったよ。さて、そろそろ司令官どのがどうんな風に暴れているか見てくるよ」


 「表彰式までには戻ってきてくれよ」


 「もちろん。作戦は忘れてないよ」

 


・・・・・


・・・





―――レグリア軍―――



 ゲムール公はゾルグに向けて軍を進める。


 「ゲムール公!前方に正体不明の軍隊を確認!その数1千!」


 「斥候を送り偵察し、どの軍かを確認せよ」


 ゲムール公のいる本陣に伝令兵がやってきた。

 そしてしばらく調査の末、驚愕することになる。


 「伝令‥‥レ、レグリア兵のよ、鎧を着た者がま、混じっている軍ですが‥‥」


 「レグリア兵?!」


 ゲムール公と側近たちは驚く。


 「援軍か?!」


 「いや、そんな話はなかったはず」


 「そうだ!国を守るほどの兵しかいないのに援軍など送れるはずがない」


 側近たちは不安を隠せずに言葉を発している。

 伝令兵が報告を続けた。


 「そ、それが‥‥そ、そのほとんどが死んでいる者たちだと‥‥」


 「どういうことだ?!」


 「国に毒が蔓延し命を落とした者たちなのです!」


 レグリア兵たちは驚愕する。




―――ジオウガ軍―――



 トウメイ率いる獣人軍と共闘によって戦況を覆したジオウガ軍を率いるギーザナは、エルフのルシウス率いるネザレン軍を押し返して戦況を有利に運んでいた。


 「このまま行けば今日中にエルフ共を殲滅できますな」


 「油断は禁物だ」


 (彼らの情報ではネザレン軍の応援は来ないということだったが、何か変だ。手応えがない‥‥)


 ギーザナの予想は的中する事になる。



 「伝令!迷いの森の中に新たな軍勢を確認!エルフ共に援軍です!」


 「!」


 側近たちは驚愕する。


 「全軍後退!」


 ギーザナは指示を出した後、騎馬車に戻った。


 (一体どうなってる?!)


 「ギーザナ殿」


 「!!‥‥お、お前は?!」


 ギーザナが乗る騎馬車の中に突如何者かが現れた。






アップが遅れてすみません。

次のアップは月曜日の予定です。


いつも読んでくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ディアボロスの配下の悪魔の中ではサルガタナスとアルマロスがトップクラスの悪魔なのでしょうか?
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