<ケブラー編> 98.戦いの交差
98.戦いの交差
半日止まることなくキョウに向かって四千の軍を進めるトウメイ。
金剛の槍頭領にして天帝軍最強の軍を率いているトウメイがこれまでの戦で焦ることなどなかった。
戦いに出れば必ず勝つ。
武力で負けたことはないし、策で出し抜かれたこともない。
今回も最後に颯爽と登場しノウマンの首を獲るはずだった。
(なぜだ・・・何を間違えた?)
馬を走らせながら思考を巡らせるトウメイだったが一つの結論に辿り着く。
(ザムザだ・・・)
どこからともなく突然現れた異常な強さを誇る剣士。
うまく飼えていたはずだった。
マカムが年の功で上手く使いこなしていたはずだった。
(どこで変わった?)
ザムザ隊を単独で出兵させた際になんらかの罠に嵌まったのか、ザムザが将軍側に寝返った瞬間からおかしくなった。
あの者を失ったところから作戦が読めなくなった。
もう一人、突然現れた強者のカムス。
(やつをザムザ奪還に向かわせればよかったか?)
さらに自分に問いかける。
(いや、カムスがザムザの後を負っていたところ見ると奪還に失敗したのだろう。いや、そもそもカムスは奪還しに単独行動したのか?違う、天帝軍を抜けたのだ。私の命を無視して単独行動を取ったその覚悟を伴った判断はそういうことだ)
つまり二つ間違えたのだ。
一つ目はザムザ隊を単独で出兵させたこと。
マカムに指揮をさせていればあのような結果にはならなかったはずだ。
そして二つ目はカムスを抑え込んだこと。
ホロマへの指示をザムザ隊殲滅からカムスと共にザムザ奪還に切り替えてカムスをホロマ軍へ加えればよかったのだ。
下手に天帝の仕業などと偽った説明が彼を余計に追い詰めたのだろう。
トウメイは奢っていた自分を恥じた。
自分は実力で摂政まで上り詰め、間違うことなく権力を掴み続けてきた。
だが、たまたま運がよかっただけだ。
自分の実力を過信して、自分の地位が誰にでも通用すると思い込んで傍若無人な振る舞いになっていたのだろう。
馬を走らせながら、目指している平和な世が遠のく気がして悔やんでも悔やみきれない思いで険しい顔になっていた。
「摂政様!あれを!」
「ああ!見えている!」
視界に山脈が入ってきたが、その右側の奥に黒煙が立ち上った跡が見える。
間違いなく戦闘が行われている証拠であり、前方で行われている戦闘は紛れもなくキョウの北側で行われている天帝側のマカム軍と将軍ノウマン軍の戦いだった。
「このまま北側に進路を取れシンザ!回り込んでマカム軍と挟み込む陣形で北軍を一気に殲滅する!」
「は!」
トウメイ軍はまだ将軍側に目の前の森に阻まれており、自分たちの存在を悟られていないと捉え森の中を突っ切って将軍側の前衛軍の北側に回り込み南にいるマカム軍と挟み込む作戦に出た。
トウメイにとって気がかりなのは行方が掴めなくなってしまったザムザたちだった。
(寝返っている以上ザムザは敵だ。そしてその配下の女も敵であることからすると、カムスも敵だろう。カムス自身将軍側につくつもりはなくとも、少なくとも天帝側の立場で戦うことはないはずだ・・・)
「ちっ・・・どこまでもイライラさせてくれる・・・ザムザめ!」
トウメイ軍は不安要素を抱えたまま森へ突入した。
―――キョウの北側の平原―――
ここではノウマン将軍率いる将軍側前衛軍と金剛の槍マカム大将率いる天帝軍がまさに激しい戦闘を繰り広げていた。
ノウマン将軍の本陣は最後方にあったが、ノウマン将軍の算段は両軍相討ち状態に持ち込む直前でボクデン軍一万の到着によって圧勝するものであった。
―――マカム軍本陣―――
「おかしいのぉ」
「どうされましたマカム様?」
マカムの呟きに側近が問いかけた。
「将軍のやつはわしを倒した後、天帝様を倒さねばならん。だがこの戦い方、相討ちになってもよいと思っておるようにみえてならんのだ」
「相討ち・・?」
「お主はまだまだだのう。相討ちしては天帝様は倒せんだろう?お主が将軍ならどうする?」
「相討ちにはしません。策を労して千でも二千でも兵を残すように戦います」
「じゃな。だがそれをやっておらんというのはなぜじゃと思う?」
「・・・まさか!・・・援軍・・・」
「そうじゃ。おそらくボクデンじゃろう。残っておる敵方大将はリュウソウ、ボクデンだけじゃ。ヨイチとマゴイチは討ち死にしサイゾウは重傷を負っておるはず。リュウソウは東で摂政殿にて足止めされおる。とすればボクデンしかおらんからな・・・ふぅー」
マカムはため息をついた後、ゆっくりと立ち上がりストレッチをし始めた。
「・・・・今回将軍自ら軍を率いてやってきたのは捨て身の攻撃だという主張だ。皆これを将軍の最後の足掻きと思うであろう。そこが罠だな。なんとも狡猾な男よのう。だがそれを許すわしではない。孫とのんびりした余生を過ごすはずじゃったがどうやらそれも叶わんようだ。あとは頼んだ。死なんように守りきれ」
「マカム様!!」
シュバン!!!
マカムは一瞬でその姿を消すほどの凄まじい跳躍で戦場へ飛び出した。
シュゥゥゥゥ・・・ダン!!
跳躍を繰り返して一気に前衛に着地した。
コキコキ・・・
首を鳴らすマカム。
「ファッファッファ!天帝軍大将マカムの首が欲しいものは遠慮なく挑んで来い。存分に相手してやる。命の保証はせんから死ぬ覚悟があるものだけじゃがな!」
「マ、マカム!!!皆のもの!!大将首をとれ!!!武功を上げろ!!!」
『おおおおおおおおおお!!!!』
将軍側の兵たちが一斉にマカムに襲いかかる。
ザバババババババババババババババババババババババババン!!!
まるで映像の早回しのように動きがブレて見えるほどのスピードで刀が舞う。
ほぼ全力疾走のスピードで相手を斬りながら進んでいく。
マカムの特攻で将軍側の軍勢に亀裂が入る。
「マカム様に続けーーー!!!!」
『うぉぉぉぉぉ!!!』
マカムの特攻によって生じた切れ目にマカム軍が突撃していく。
ザバババババババババババババババババババババババババン!!!
―――将軍側本陣―――
「殿!我らの軍をものとものせずに斬り込んで来る者がおります!」
「言われなくとも見えていますよ!さっさと対処しなさい!」
「は!貴様ら!盾を作れ!・・殿を後方へ!!」
ザバババババババババババババババババババババババババン!!!
徐々に突進していくスピードが落ちて行く。
無理をした特攻であり将軍兵たちの攻撃を完全に避け切ることは難しくかなりの傷を負ってしまっているためだ。
マカムの勢いは徐々に失われて行く。
将軍兵も必死でマカムを抑えようとしている。
そしてダメ押すようにその直前に巨大な盾を持った守備兵たちが厚い壁を作った。
タタン!!
マカムはその厚い壁を軽く踏み台にして大きく跳躍した。
「なにをしておる!!」
着地点が自分の目の前になることが容易に想像できたノウマンは思わず叫ぶ。
「ノウマンよ!わしと一緒に死んでくれぃ!」
傷だらけのマカムが刀を振り上げてノウマンに襲いかかる。
ガキィィィィィン!!!
「なんじゃとぉ!!!」
マカムの刀はノウマンに届くことなく遮られ思わず叫ぶ。
あと少しで将軍の首が手に入るとこを阻まれた。
阻んだのはザムザだった。
「お主ザムザか!!」
ザムザはその声に反応することなくマカムに襲いかかる。
カキン!!キィィン!!シャキィィィン!!
マカムは力を振り絞り応戦する。
「フハハハハァ!!!やはり私はモッてますね!ザムザよ!マカムを殺しな・・」
シュウ・・・・・
形勢逆転とばかりに叫んでいるその視界右側から矢が飛んでくるのが見えた。
まるでスローモーションのようにノウマンは矢とその先に現れた矢を射った人物の姿を見た。
(トウメイ!!!)
シュヴァン!!!
「!!」
矢はノウマンの目の前で叩き落とされた。
可憐な剣捌きで防いだのはエスカだった。
「おお!!!ザムザの連れの女剣士か!!」
だが、さらに無数の矢が飛んでくる。
シャヴァン!シャヴィン!!シャン!!
エスカは悉く剣で矢を弾き落とすが、その中で数本剣をすり抜ける矢があった。
グザァ・・!!
「アアアウチイィィィィ!!」
ノウマンの叫び声が響いた。
矢はノウマンの右肩に刺さった。
「な、何をやっているのだ女剣士!無能な奴め!もういい!貴様はザムザと代われ!あのボロボロの老ぼれ剣士くらい貴様で十分だ!ザムザよ!トウメイを斬れ!!」
まるでロボットのように相手を入れ替えるザムザとエスカ。
ザムザはマカムとの戦いでさらにその体を変化させていた。
皮膚は黒ずみ始めている。
「貴様はザムザなのか?!どういうことは分からんが身も心もノウマンに売り払っていよいよ悪魔にでもなったか!」
トウメイはザムザに向かって一度に5本の矢を放つ。
トウメイの放った矢は、不規則な動きをしてザムザを四方から囲むようにして前後左右と上から飛んでいく。
ババババン・・グザザァ!!
3本は剣で弾いたが2本はザムザに突き刺さった。
1本は肩、そしてもう1本は背中だった。
だが、ザムザは痛がる様子もなくトウメイに斬り込んでいく。
凄まじい勢いのザムザに間合いを詰められて思わず剣を抜いて受けるトウメイだったが、その直後に矢を放ちながら後方へ飛び退いた。
グザァ!!
放った数本のうちの1本の矢がザムザが振り下ろした剣をありえない動きで避けて彼の左目に刺さった。
だがザムザの動きは止まらない。
「化け物め!」
トウメイはさらに矢を一度に5本放つ。
摂政であり金剛の槍頭領であるトウメイは弓の名手でもあった。
だが、単なる弓の名手ではない。
ホロマのように純粋な弓矢の力と技と知恵で名手と呼ばれるに至ったのではない。
トウメイの放つ矢は特殊だった。
どこへ放っても必ず対象を射抜く。
何本放っても必ず全てが対象を射抜く。
凄まじいスピードで飛ぶこともあれば、急に緩やかに飛ぶこともある。
さらに緩やかにとんでも放物線状に飛ぶこともあればまっすぐ飛ぶこともある。
その技を見たものは皆“神の弓”と称賛するほどだった。
だがこれは技でも魔法でもなく彼の天技のなせる技だった。
天技 “テレキネシス”。
遠隔念動力とよも呼ばれる物体にエネルギーを注ぎ込むことで手を触れずに物を動かし操る能力だ。
(私の天技でこれだけの矢を体に突き刺しても尚死なない者がいるのか?!い、いや・・この姿・・・もはや人にあらず!)
既にトウメイの放った矢は6本もザムザの体に突き刺さっている。
しかも矢が刺さる度にザムザの体がさらに黒ずんでいく。
トウメイはザムザが死なない理由と体の異変に気を取られていた。
「しまった!!」
一瞬の隙をつかれてザムザが放った小石が足にヒットして体勢を崩してしまう。
(終わった・・・)
黒光りした巨体が凄まじい速さで距離を詰めて同時に剣を振り下ろしている。
崩れた体勢で避けることは不可能であり、トウメイは確実な死を感じていた。
(この世でも夢半ばで散るか・・・さらば)
グアキン!!!
ザムザの大剣が弾かれる。
トウメイの目の前に突然現れた人影は大剣を弾いたと同時にザムザの腹部へ強烈な正拳突きを放った。
ドッゴオォォォン!!!
ザムザは50メートルほど先へ吹き飛んでしまった。
「お、お前は!!」
トウメイが見たその姿はカムスに扮したスノウだった。
スノウはトウメイの襟首を掴んで後方へ飛び退く。
シャワン!!
「ちっ!!勘のいい奴ですね!」
ノウマンが刀を振り下ろしてきたのを察したスノウはトウメイを掴んで後方へ飛び退いて避けたのだった。
「ノウマン・・・貴様!」
「トウメイ・・・いつもいつも邪魔をしてくれますねぇ!」
トウメイは弓を構える。
スノウが距離を作ってくれたおかげで弓使いに有利な間合いとなっていたからだ。
「なぜ私を助けたカムス」
「・・・」
スノウは答えなかった。
「礼は言わんぞ」
トウメイは弓を思いっきり引く。
「させるものですか!ザムザ!!」
ザムザは操り人形のように素早くノウマンの前にたち壁となった。
「私には壁など無意味!」
シャシャーン!!
3本の矢が放たれたが、まっすぐどばずに三方に分かれて飛んでいきザムザの壁を回り込んで背後のノウマンに襲いかかる。
「何?!」
驚くノウマン。
グザァ!!
「やったか?!」
明らかに矢が突き刺さった音を感じ取ったトウメイが叫んだ。
ザムザが大剣を振り上げた体勢で徐々に背後のノウマンの姿が見え始める。
「!!!」
スノウのウカの面が一瞬にして狐面から鬼神面に変わる。
胸に2本の矢が突き刺さっている姿が見えた。
その主はエスカだった。
ノウマンはエスカを自分の盾としていたのだ。
虚な目で痛がるようすもないまま、口から血をはくエスカ。
「フハハハァ!!!トウメイ!!あのようなヒョロヒョロと飛び回る程度の矢で私を殺せるとでも思いましたか?!無駄ですよ!!」
トウメイは間髪入れずに矢を放つ。
グザザァ!!
今度はなんとマカムが自ら盾になって矢を受けた。
エスカと同様に虚な目をした無表情のまま血反吐を吐いた。
「無駄です!!私の前では何もかもが無駄に終わります!さぁトウメイ!こっちへ来なさい!あなたも私のマリオネットにしてあげましょう!!さぁ・・・ひっ!!」
一瞬にして痛いような空気に包まれたためノウマンは思わず声を上げた。
「ソニア」
「はい!」
スノウの背後からソニアが凄まじい速さで飛び出す。
そして鬼神の面となったスノウの目の前に光と煙が集まって行く。
炎の球体のようなものが目の前に発生し、その色は赤から橙、そして黄色から蒼に変わる。
「燃え尽きろ・・・」
ファン・・・ドッゴーーーーーン!!!
半径200メートルに及ぶ超爆発が巻き起こる。
ソニアはエスカとマカムを抱え、凄まじい跳躍と共に爆心の外へと走る。
爆熱の壁が差し迫る中ギリギリ巻き込まれずに射程外へと逃れた。
トウメイもまた共に戦っていた部下のシンザによって担がれて危機一髪逃れることができた。
だが、それ以外の兵たちは一瞬にして燃え尽きて消えた。
巨大なキノコ雲が生まれる。
スノウの魔力が怒りによって爆発的に集中して放たれたジオエクスプロージョンだった。
爆風はこれまでの戦いで倒れた兵たちを吹き飛ばす。
しばらくして風によって爆煙と埃が流されていくとそこには巨大なクレーターが出来ていた。
「!」
スノウは目の前の光景を見て驚く。
漆黒の体となったザムザが両腕を広げて立っていたのだ。
その背後にはノウマンがいた。
「ふ、フハハハ・・。鬼の面の者よ・・・素晴らしい!あの超爆発!惚れ惚れします!あなたも私の忠実な僕としてあげましょう!・・・おっとお前はもう使い物にならなそうですね」
ザムザは両腕を広げたまま動かない。
それをまるで払い除けるような仕草をしてザムザの前に立つノウマン。
両手を前に出して三角形を形作って構える。
「さぁ!私の僕になりなさい!!!」
何も起こらなかった。
「貴様。言いたいことはそれだけか?」
スノウは怒りを通り越して低く淡々とした口調でノウマンに問いかける。
「な、なぜだ?!はぁ!!僕になりなさい!!」
スノウはゆっくりと歩き出す。
その一歩一歩に恐怖して後退りするノウマンは何度も呪文のような言葉を叫んでいるが何も起こらない。
「お、おい!!どうなってる?!What the hell’s going on?! 出てこい!!なんとかしろ!!」
シュゥゥゥ!!!
突如森から1本の矢が飛んでくる。
矢はザムザに向かって飛んでいた。
その矢を放ったのは森に潜んでいたホロマだった。
だが、その矢はみるみるスピードを落として行く。
矢だけではなかった。
あらゆるものが動きを遅くして最後にはその動きを止めた。
ホロマの放った矢はザムザの心臓に突き刺さる直前で止まった。
ノウマンの後ろあたりに立ち込めている砂埃が動き出し徐々に人の形になって行く。
現れたのは白いダブルのスーツに身を包んだ白髪の若い男だった。
そしてゆっくりと歩いてくる。
一歩一歩、歩く度に袖が動きその手首からタトゥーが見え隠れする。
ノウマンには目もくれずに一直線にスノウの下へ近づいてくる。
「ほう。これがアノマリーか。天技の影響を受けないとはあの方が欲するわけだ。まだ熟してはいないがあれだけの魔力を練ることができるのであればあとは料理次第だな」
白スーツの男は徐に手をスノウの額にかざすように差し出した。
「ん?」
スーツの男はかざす手を下す。
「俺の時ノ圍に紛れ込んできた者がいるな」
スーツの男はゆっくりと振り向き、ザムザの足元にいるカマキリを見た。
カマキリが溶けるように自分の影の中に消えた後、その影から漆黒の得体の知れない動くものが這い出てきた。
その漆黒はウネウネとした動きでせり出てきて徐々にその形を現しにした。
2メートルはあろう身長の人型のそれは、全身漆黒で顔には中央に大きな目が一つあるだけ、背中には同じく漆黒のカマキリの鎌の腕がまるで羽のように生えていた。
「どういう了見で俺の領域に踏み込んでいるのか知らんが、速やかに出て行くならなにもしない。去れ」
スーツの男は慌てる素振りも見せずに異形の姿をした漆黒の何かに話しかけたが、それはまるで聞こえていないかのように無反応だった。
そしてザムザの体をキョロキョロした不気味な動きで見ている。
「無視するとは大したものだ。異系の神よ」
それに無反応な漆黒の存在は、ノウマンによって操られてザムザの感情が爆発しないことに不満を持ったのか、何かを喚いた。
そしてその理由を理解したのか、ノウマンのそばにクネクネとした不気味な動きで近寄った。
そして、背中のカマキリの鎌の腕のような羽を広げた。
直後ノウマンの首は宙を舞った。
その後、再度ザムザの側に近寄り何かを確認して満足したのか、自身の影に溶け込むようにして消えた。
「フハハ、とんだ邪魔が入ったが自分の玩具のメタモルフォーゼにご執心だったか」
そう言うとスーツの男はスノウに向き直って再度手をかざした。
「さて・・」
スーツの男の手から黒い光が放たれる。
が、すぐに手の中に戻って行くように消えてしまった。
「?・・なんだ?どうしたのだ?」
スーツの男は何かをしようとして思うようにいかなかったのか不思議がっている。
「随分とお盛んじゃないか。この男に何のようだ?」
スーツの男の背後に突如影が現れる。
「!!誰だ!」
思わず振り向くスーツの男。
「主人を忘れるとは。いやもはや我の配下ではないか。先ほど耳を疑う言葉が出ていたからな」
高いのか低いのか鋭いのか柔らかいのか分からない不思議な声でゆっくりとした口調で語りかけてくる。
「!!!・・か、閣下・・・」
スーツの男は膝をついて頭を垂れた。
頭を垂れているその相手はトウメイの部下のシンザだった。
構成に悩んでしまったためアップが遅れました。次は木曜日アップの予定です。間も無くハーポネスでの戦いが終わります。




