<ゲブラー編> 86.転機
86.転機
ザラメスが9歳になったある日。
ディル、ニーラとウーラは、ザラメスに稽古をつけていた。
ザラメスは10歳にも関わらず、炎魔法と弓矢の腕はずば抜けていた。
剣撃はいまいち伸びず、特に剣術に長けていたニーラとウーラが特訓していたが、剣の振りの荒さが目立ち隙を作ってしまう。
この頃になると、メザナという名のディルの娘と稽古をすることが増えていた。
メザナは炎魔法、弓矢、剣術、棒術、拳術どれをとっても器用に使いこなす優秀な子であった。
一方のザラメスは炎魔法と弓矢はメザナより使いこなし秀でていたが、それ以外はかなり劣っているというアンバランスな状態だった。
「よし!少し休憩だ」
ディルの合図でみな少し休憩を取ることになった。
「ザラメスは剣が下手ね」
「君はいいよなぁ・・・どれをとっても上手くてさ。でもおかしいなぁ・・・頭の中ではうまく振り回せているんだけどなぁ」
「きっと弓矢の感覚で剣を振っているのね」
「どういう意味だい?メザナ」
「弓矢は感覚としては遠くの的に対して軌道を計算して少しずらして放つでしょ?あと、相手の動きを読んでその動きの先のタイミングを狙って矢を放つ。つまり、2つの予測が入るのよね。厳密には風とか温度とか色々な要因が重なるけどね。一方の剣は今目の前のこの瞬間の駆け引きだから予測というより体が勝手に反応する感じっていうのかな。この感覚の差をうまく使い分けなければ弓矢も剣もうまく扱えないのよ。なぁんて、これはお父さんの受け売りだけど」
「僕は相手の動きを計算して読んでそこに当てる弓矢とか炎魔法の方が戦っていてすっきりするんだよなぁ。剣だと一振り一振りの軌道を読む時間が短すぎて相手の動きに振り回されてしまうからさ」
「そうそれ!相手の動きに振り回れちゃだめなのよ。相手の動きを読むんじゃなくて、相手の動きに反応するの」
「うーん。よくわからないなぁ。どうやって反応するの?」
「私が心がけているのは・・・相手の目線と手首と爪先。あとは細かいところだけど、腕とか足の筋肉?それらの動きで次の0.01秒後に剣の刃先がどういう風な軌道を描いてどこ目掛けて振られるか一瞬で見極めて体に反応させている感じかなぁ」
「すごいねメザナは!みんなディルさんがお父さんだから自分たちより沢山教えてもらっているから強いって勘違いしているけど、メザナが誰よりも鍛錬しているのは知っているよ。そうやって自分に厳しく鍛錬しているから体がついてくるし、体がついてくるから頭で理解したことも納得できているんだね」
「そ、そんなんじゃないよ・・・。でもありがとう!えへへ。ザラメスに褒めてもらえるとすごく嬉しいな。でも私が本当にすごいなぁって思うのはザラメスのその読みの速さと正確さだよ?お父さんも驚いていたもの」
するとメザナは父親のディルの表情を真似て言った。
「ザラメス様の動体視力と予測スピード、正確さはすばらしい!あれはエルフいちの弓使いになられるぞ!」
「あっはっは!似てる!似ているよ!そっくりだ!ディルさんに!あっはっは」
メザナはザラメスの笑った顔が好きだった。
一方ザラメスは、年下だが優秀なメザナを尊敬していたし、悩んだり落ち込んでいる時いつも自分を笑わせてくれる優しいところが大好きだった。
「よぉし!それじゃぁ稽古再開だ!ザラメス様はニーラと、メザナはウーラと組んで稽古を始めてくれ!」
2組は実戦さながらの稽古をつけている。
ディルはザラメスとメザナの稽古の大半をニーラ、ウーラに任せていた。
ニーラ、ウーラはグレンの計らいもあり、首都クリアテにある名門の学校を上位の成績で卒業していた。
卒業後は必死の勉強の甲斐もあって優秀さが買われて首都クリアテで上級公務職に就いた。
だがそれは表向きで実際にはディルの組織したラガンデという諜報活動組織に属しており、クリアテで上級公務職に就いたのも情報収集のためであった。
そういった努力に努力を重ねて知識を得て高度な仕事ができるようにまでなった二人だが、裏では幼少期から父が亡くなっていることを知り、自分たちが母親を守ると決め戦闘訓練をディルに申し出たのを受けて、徹底的に鍛えあがられたのがニーラとウーラだ。
ラガンデの諜報員を育成するロールモデルになっている二人でもあった。
一方ディルは昼間は、ラング・リュウシャーがトップを務めるグムーン自治区で区の要職に就いている一方で夜はラガンデの総帥として諜報活動と諜報員の育成を行っていた。
既に20名ほどの諜報員がゼネレス全土に散っており様々な情報を収集できる体制となっていた。
・・・・・
・・・
―――グムーン自治区 区長室―――
「だから何度言ったらわかるんだよラング!」
「ディル・・・何もお前の言っていることを信じていないわけじゃないんだ。だが、マルトス卿は約束を果たしてくださっているんだよ。こうやって俺たちに自治権を渡し、自分たちで得た利益を街のために使えている事実が物語っているじゃないか」
「いや、それは養豚場で豚を肥させているのと一緒だ!太れば出荷だよ。今このグムーンは肥に肥えた豚だってことだ。そのうち回収に来る」
「口が過ぎるぞディル!どこで誰が聞いているかわからないんだ!少しは慎め!」
ラングは小声で叫びながらディルを制した。
「俺はあんたを心配して言っているんだよ。いや、最早あんただけの人生にとどまらず、この街に住む十数万人というエルフたちが苦しめられるかもしれないって話なんだぞ?」
「17万人だ。ってそこまでいうならじゃぁ証拠を見せてくれよって話だろ。そのためにお前に資金援助しているんだから」
「その話はここではやめてくれ。それこそ誰が聞いているかわからないからな」
「す、すまん。だがディル。少しは信用してくれてもいいんじゃないか?ここまで街を大きく強くしたのは誰だ?」
「あんたを始めとしたこのグムーンに住む住人全てだよ」
「違う!俺だ!俺がそういう環境を作ったんだよ!その環境下でこの街に住む住人が俺の思い描いた方向に歩みを進めて発展している結果なんだよ」
「・・・・・」
その後無言でディルは区長室をあとにした。
(一体どうしちまったよラング・・・。驕り高ぶって本質を見失ってしまったか・・・?師匠ならどうしたか・・・決まってるか・・・ラングを信じつつマルトス卿の悪事を止めるとかいうんだろうな・・・。そんなこと出来るわけもないのにさ・・・)
・・・・・
・・・
―――ザラメス10歳の誕生日前日―――
「母上!明日は父上こちらに帰られますか?」
「うーん。どうかしら」
「そ・・・そうですか・・・」
「なぁんてね!きっとプレゼント沢山持って帰ってくださるわよ!」
「ほんと?」
「ええ!」
「やったぁ!!」
「だから良い子にしてなきゃね!」
「はい!」
・・・・・
・・・
―――ネザレン当主邸―――
「グレン様。本日くらいは早めにお帰りになられては?」
「ありがとう。気を遣ってくれたのですね。ですがあとこれだけでも終わらせないと。前任者が色々と抜け道を作った賄賂のルートと操作した税率のカラクリがもう少しで整理できそうなのです」
「そんな仕事は当主様が行うものではありませんよ」
「いえ、僕が記憶をなくしたばかりにこのようなひどい状態になったということはこれはいわば僕の責任です。これは僕の手でなんとかしたいのです」
「ええっと、これは申し上げにくいのですが、グレン様。あなた様が公務から離れられた期間は確かにひどい有様になりました。戻られてからかなり元の状態に戻ってきているので安心しておりますが。でも何より私たちがありがたいと思っているのはグレン様のその・・・」
「ん?なんでしょう?」
「その性格が変わられたようなところでしょうか。以前は公務にあまりご関心がなかったというかやる気をお持ちでなかったというか・・・」
「ああ、ゼーゼルヘンさんから聞いています。申し訳ありませんでした」
「ああ!いえいえ!そういう意味ではありません。むしろ私たちも忙しく仕事ができていた訳でして・・・それにきちんと決済はいただいておりましたら・・でも、戻られてからのグレン様はなんと言いますか、謙虚でらして且つ迅速にお仕事をなされていて、まさにスーパーエルフとでもいいましょうか」
「ははは・・ありがとうございます。一応褒め言葉と受け取っておきます」
「い、いえ・・失礼しました!私のような立場のものが上流血統家のグレン様に生意気なことを申し上げまして申し訳ありません!」
「いいのですよ。僕も記憶がないので何を言われても分かりませんしね。それに上流血統というものが一体何なのかもわかりませんから」
「グレン様・・・」
「さぁて。一応ひと段落つきました。それではそろそろ失礼しますね」
「なんと!今の会話中に終わられたのですね。さすがマルチタスクが凄まじいと言いますか。お見それしました」
「ははは。たまたま後少しだったってだけです。それでは戸締り等含めて後はよろしくお願いします。今日はゼーゼルヘンさんもおりませんから」
「は!承知しました!お気をつけて!」
グレンはネザレンの当主邸を後にした。
湖の一人の自宅までは迷いの森ジーグリーテ内を迂回しなければならず馬車で3時間ほどかかるため、普段は当主邸内にある当主専用の宿泊室で寝泊まりしているが、明日のザラメスの誕生日のため今日は自宅へ戻ることにしたのだった。
途中、武具やマジックアイテムを売っている店に行き、ザラメスが欲しがりそうなものをいくつか買い込んだ。
もちろん誕生日プレゼントだ。
誕生日ではないが、一緒に稽古に励んでいるメザナにもお揃いのものを買った。
ネザレンを出て1時間ほど進むとジーグリーテに入った。
「ちょっと止めてもらえますか?」
グレンは何かある訳でもない道の途中で馬車を止めさせた。
そして御者には馬車の中へ入るように指示し、周囲を警戒しながら馬車を降りた。
(おかしいですね・・・。この場所にはあり得ない刺すような気配を感じたのですが・・・気のせいでしたか・・・)
「!!」
グレンは馬車の前方に人影を見つけて警戒する。
ほとんどのエルフが持ち得ている昼目と夜目に切り替える能力で暗闇を見つめた。
(人影が二人・・・何者だ?こんなところいる理由はただ一つ。僕に用があるってことですね・・・)
グレンはその人影から目を離さずにゆっくりと近づいていく。
そして10メートルほど離れた位置で立ち止まった。
この距離であれば相手が攻撃を仕掛けてきても対処できる位置だったからだ。
「こんなところで何かお困りですか?」
一応単なる通行人として出会った形で声がけする。
「グレン・バーン・エヴァリオス様とお見受けしました」
「!!」
金色の縁が目立つ黒のローブに身を包み、フードを被って顔が見えない人物が声を発した。
落ち着いて穏やかな声で引き込まれそうになる。
グレンは、いきなり自身を名指しで接触してきたことで警戒心を強めた。
「いかにも。僕はグレンです。こんなところで何か御用ですか?話ならネザレン当主邸で伺いますよ」
「いえ。あのような場所は好きではありませんのでここで結構です」
「・・・そうですか。それでどう言ったご用件ですか?このような場所ではお話をきちんと伺い切れるかわかりませんが・・・」
「いえ、ここでよいのです。申し遅れました。私、名をセンノウと申します。このゲブラーに2つの用事がありましてね。1つは済みました。ですのでもう一つの用事を済ませようと思いましてここに赴いたのです」
「用事・・?」
「はい。お見受けしますとあなた、記憶を無くされていますね?」
「!!!」
「いえ、私、そういったことがわかってしまうちょっとした力を持っていまして。いえ、怪しいものではございません。どうか警戒心を解かれますよう」
見るからに怪しい人物から警戒するなと言われてもどだい無理な話だとグレンは思ったが、深呼吸をして心を落ち着けた。
(距離は十分にとっている。どのような素早い攻撃にも対処はできる。目を離さずに、威圧感を与えないように会話だ・・・)
「どこでお知りになったかわかりませんが、確かに僕は記憶を失っています。ですが、現在は僕という存在とその立場、そして今の僕自身の意識でおそらくは以前と同様の生活レベルは取り戻しているかと思いますのでご心配には及びません」
「そうでしょうか。いえ、決して今のあなた様を否定するものではないのです。今のあなた様を維持しつつ、失われた記憶を取り戻して頂きたいと思いましてね」
「どうしてあなたがそのように僕の記憶に拘るのです?」
「いえ、私ではありません。この者が拘っておりまして。まぁこちらの事情でこの者の素性は明かせないのですが、この者との盟約になっておりますのであなた様の記憶を蘇らせて差し上げましょう」
「!!!何かしようというのですか?!」
センノウと名乗った男は右手を軽くあげて手のひらをゆっくりとグレンの方へ向けた。
グレンは警戒したが、何も怒らなかった。
「うーむ。物理的に弄ったようですね。これはいけません。あともう少しなのですが」
すると、少し後ろに立っていた者がセンノウを片手で制して前に出た。
紅いローブでフードを被った男だった。
顔は見えないが、刺すようなオーラを感じた。
(先ほど感じたオーラはこの者でしたか。これはまずいですね・・・)
「おや、あなた・・・。なるほど。そういうお考えですか。それもまたよいでしょう。グレン殿、少々荒治療になるようです」
すると紅いローブの男は一瞬消えたかと見紛うほどの凄まじいスピードでグレンに向かって跳躍し、後ろに背負っていた剣を抜いて上から振り下ろした。
グレンはその動きを的確に捉えていたので、遅れることなく腰に下げている剣を抜きながら無駄のない動きでその剣を受ける。
ドガキィィィィィィィィン!!!!!!!
けたたましい金属の衝撃音と共に凄まじい尖ったオーラが異常な重圧とともにグレンを襲った。
パワーでは負けていないグレンだったが、その重圧で思わず膝をつく。
キュィィィィィィィン・・・・
次の瞬間。
グレンは意識の中にいた。
影ひとつない真っ白な空間に一人佇んでいた。
すると、周りにぽつり、ぽつりと人影が生まれ始める。
長身細身のシルエットや弓を持った影。
そしてその真ん中に、自身の中で忘れ去られていた一人の男の存在が浮かび上がる。
その男はゆっくりとグレンの方へ振り向いていく。
光のコントラストで見えづらかった顔が少しずつはっきりと見え始める。
「き・・・君は・・・!!!」
次の瞬間、地面に足がめり込んでいる状態で紅いローブの男の剣撃を受けている状態に意識が戻ってきた。
「ぬぅぉぉぉぉぉ!!!」
グレンは捻り出した声とともにその剣を弾き返す。
グアァキィィィィン!!!!
紅いローブの男はその勢いで吹き飛ぶが、センノウのすぐ横に綺麗に着地した。
「ほう!なるほど!このような方法もあったか。お喜びください。見事に記憶は元通りです」
「うぅぅぅ・・・」
グレンは頭を抱えている。
「さて、用事も済んだことだし我々は行くとしましょうか」
そういうと黒ローブと紅ローブの二人は闇に消えた。
「うぅぅぅ・・・ぐああぁぁぁぁぁ!!!」
頭を抱えていたグレンは天を見上げるように顔を上げた。
「僕は・・・なんてことを・・・!!!」
グレンは目から涙を流しながら森の木々の合間から見える星を見ていた。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ジーグリーテに悲痛の叫びが響いた。
・・・・・
・・・
―――翌日―――
ザラメスの10歳の誕生日が少人数ながら盛大に行われていた。
多くのプレゼントが所狭しと並んでいた。
ザラメスは何よりグレンからの贈り物が嬉しかったようで、早速開けてみた。
中には弓のグリップとミスリル製のリストバンド、そして右手につける小さな盾が気に入ったらしくすぐに装着していた。
メザナにも同じものがプレゼントされて、早速二人で庭へ出て矢を放ち始めた。
「父上!ありがとうございます!このリストバンドも右腕の盾も重さを感じないのに、十分な防御ができそうです!」
「そうですか。それはよかった。ザラメス、そしてメザナ。自分の心と体、そして仲間を大切にするんですよ?決して後悔しないように」
『はい!』
誕生パーティーは夜遅くまで行われた。
グレンは疲れて寝てしまったザラメスの寝顔を見て少し悲しそうな顔をしていた。
「ゼーゼルヘンさん、ディル、そしてシルビア。ちょっと大事な話があります」
そこで告げられたのは自分が記憶を取り戻したこと、そしてモウハンを救えなかった罪を償わなければならないということだった。
「それでグレン様。何をされるおつもりですか?」
シルビアが心配そうな顔をしている。
「僕は納得がいかないのです。モウハンほどの強い男がヘクトルまで辿り着いたのに宿願を果たせずにこの世を去ったことが。最初僕はもしゼネレスが6国同盟の一員として動いていたら勝利していたのではと・・・そうすればモウハンは死なずに済んだのではないかと思いました。ですが、あの厳しい状況の中、仲間が繋いだ好機を逃さずモウハンはヘクトルへ辿り着いた。だが勝てなかった。あのニンゲンの年齢にして当時80歳を越えた老人にモウハンが勝てなかった理由はなんでしょう?」
「ありえない・・・」
ディルが下を向きながらつぶやいた。
「そうなのです。あり得ないのですよ。あの男には何か秘密がある。今後ディルが組織したラガンデやモウハンが残した革命軍が新たな絆を生んで更なるチャンスを作るはずなのです。その時にこの謎が解けていない場合、再度失敗に終わる可能性が高い・・・僕はそう思ったのです」
「それで!あなた様は・・・どうなさるおつもりなのですか・・」
シルビアは自分の想像が外れていることを祈りながら、頼み込むように尋ねた。
「僕はモウハンと同様にグラディファイサーになってあのヘクトルの秘密を探るつもりです」
「グレン様!なりませんぞ!それはなりません!初めてグレン様に歯向かう無礼、どのような罰もお受けします!ですが、これだけはなりません!」
「ありがとうゼーゼルヘン。もう決めたことなんだ。これは僕の贖罪なのです。力足らずにも関わらず、彼にいや、彼に希望を託したゲブラー全土への贖罪なのです。最後の我儘です。これだけは僕じゃなきゃだめなのです」
ゼーゼルヘンもディルもグレンの気持ちが痛いほど分かるだけに言葉が出なかった。
モウハンを知らないシルビアはただただ泣きじゃくっていた。
翌朝。
湖の辺りにある小さな屋敷から馬車が出た。
誰も見送ることのない馬車が。
それは必ず帰ってくると信じてあえて見送らなかった悲しい別れだった。
次のアップは水曜日です。うまく書ければ火曜日にアップします!




