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<ゲブラー編> 75.ヘクトル

75.ヘクトル



「・・・やはり・・。なぜあなたがここにいるのです!リュウオウさま!!」


「それはこちらのセリフだ、ヨシツネ。お前こそなぜこのような場にいるのだ?ここはお前のような下郎が足を踏み入れて良い場所でないのだ」


ヘクトリオン・ジガンはハーポネスの金剛の槍頭領であるリュウオウだった。

その事実を他のヘクトリオンも知らなかったようで、面白そうに状況を伺っている。


「あらあら、仲間割れ的な?そういうのって素敵よねぇ」


「相変わらず根性ねじ曲がっているなフェイ」


「あら、ウーレアも楽しそうに見ているわよ」


「やめていただける?私はそんな趣味悪くなくてよ?」


「そうやって腹黒いところが気色悪いのよね」


「おいおいやめろ、こっちも仲間割れか?くだらん言い合いはやめろ」


フェイとウーレアのいつものじゃれあいをよそにリュウオウとヨシツネの間には緊張が走っている。



「天帝様を裏切ったのですか?!」


「裏切った?!裏切られたのはこちらだぞ!!」


「どういうことですか!!」


「内乱時に将軍側との攻防で最も貢献したのは私だぞ?!私が天帝にハーポネスの覇権を将軍から取り戻してやったのだ!それなのに何だあの権力を笠にきてやれ朕の国、やれ朕のために、やれ朕の言うことがきけないのかとわがままな要求ばかり!私は戦士だぞ?!だが、それらの要求を全てこなしてきた!」


「・・・・・」


「それがなんなのだ?!オーガ一人の活躍を讃え、しかも国が傷ついて瀕死の状態にも関わらず、あのモウハンの戯言に踊らされて兵を出すなど!外面はいいが守るべき自国の民は放ったらかしだ!」


「あなたの苦労は皆知っている!だからこそ皆あなたについてきたのですよ?!だが、天帝様への不満がどうしてゾルグのヘクトリアンに成り下がることに繋がるのですか?!」


「知れたこと!ヘクトル様は私にきちんと役割を与えてくださり、その功績に報いてくださる。それも戦士としてな!天帝のようなくだらないわがままを押し付けるようなことは一切ないのだ!」


「くっ!・・・ではハーポネス北のゾルグ軍というのは嘘だったと?!」


「嘘ではない。私がきちんと密かに我がゾルグ軍を送り込み待機させて置いたのだ」


「まさか!!」


「今頃私の影武者が無能ぶりを発揮して我がゾルグ精鋭軍と交戦し疲弊していることだろう。これでハーポネスはほとんどの戦力を失うことになる。ハーポネスだけではない。ジオウガもガザドもレグリアもゲキもだ!全てはヘクトル様の筋書き通り!ゾルグに反旗を翻そうとしている国々の戦力を削ぐ!モウハンの稚拙な策を逆に利用したと言うわけだ」


「ばかな!!あの作戦が漏れるはずはない!」


「さぁな。ヘクトル様は我々の理解をはるかに超えた頭脳の持ち主であられるからな!我らは作戦を聞き、指示に従い命を全うしているだけだ!」


「くっ!だ、だが!ヘクトルのお命は頂戴する!モウハン殿を必ずこの場からヘクトルの部屋へ送り出す!この命に変えてもです!さぁ、革命軍のみなさん!ここが正念場、ここで命を賭けずしてどこで死のうというのか!行きますよ!」


「あっぱれ!ヨシツネ殿!もっと早く知り合いたかったわい!ゴドウ、ゴッシ、アッシュ、動けるか?」


『もちろん!!』


ヨシツネに鼓舞され、タイザン、ゴドウ、ゴッシ、アッシュは最後の力を振りしぼってヘクトリオンたちに挑んだ!

ヨシツネがリュウオウ改めジガンと、タイザンがジルガンと、ゴドウはフェイ、ウーレアはゴッシと対峙している。

アッシュはその他の兵たちを次々に斬ってまわっている。


「さぁ!モウハン殿!今が最後のチャンス!出口へ!!」


「させないって言ってるでしょ!」


一瞬だった。

一瞬の隙をついてヘクトリオン、フェイ、ジルガン、ウーレアが同時に攻撃を繰り出した。

フェイがゴドウを押し切ってモウハンに向かって剣を振り下ろす。

モウハンはそれを剣で受ける。

さらにジルガンも剣を振り下ろし、それをモウハンは落ちていた相手兵の剣を拾って受け切る。

両手が塞がっている中、ウーレアが無数の短刀を投げつけた。


(しまった!)


ゴドウ、アッシュ、ゴッシの背筋が凍る。

自分たちの攻撃の甘さが原因で切り札のモウハンに致命傷を与えられてしまうことになるのだ。


シャキキン!!!


凄まじいスピードでモウハンの前に立ち塞がったのはヨシツネだった。

そしてヨシツネは剣を大きく振り、剣の衝撃波でフェイたちを吹き飛ばし、そのままもう片方の手でモウハンの背中を押して出口の向こう側へ押し出した。


「頼みましたよ」


「ヨシツネ!!」


ガタタン!!!


そのままヨシツネは回し蹴りを繰り出してドアを閉めた。


「さぁ!ヘクトリオンども!どうしてもモウハン殿を捕らえたいならこの私を殺してから行け!!」


「ヨォシィツゥネェェェェ!!!!」


一瞬の隙をついて出し抜かれてしまったリュウオウは怒りの声をあげる。


「ヨシツネ殿・・・おぬし・・・!」


タイザンが驚きと心配の表情をヨシツネに向ける。

なぜならウーレアが放った短刀がヨシツネの脇腹と腿に突き刺さっていたからだ。


「はっはは!威勢だけはいいけど、しっかりダメージ食らっているじゃない!」


「私の攻撃がヒットしてましてよ!」


「一気にたたみかけるぞ!モウハンを追うのだ!」


ジルガンは他のヘクトリオンに指示を出す。


「言われるまでもない!!」


ジガンがいち早く反応しヨシツネに斬りかかる。

と同時にウーレアから再度無数の短刀がヨシツネに向けて放たれる。

一方で棘のついた鞭でゴッシとアッシュに鋭い攻撃を放ち入り口付近まで吹き飛ばした。


「ゴッシ!!、アッシュ!!」


ゴドウは叫びながらウーレアに攻撃を仕掛ける。

一方タイザンはジルガンに向かって剣を振り下ろす。


ジャキキン!!!


ゴドウとタイザンの攻撃は軽々と受け切られてしまう。

一方ヨシツネはウーレアからの短剣攻撃を避けながらジガンの攻撃も受け斬っている。

だが、体をひねる度に脇腹と腿に刺さった短刀の部分から血が吹き出す。


「流石は我が国随一の剣士ヨシツネ!だがこれで最後だ!昇竜激衝!!!」


ジガンは大きく飛び上がった後、体を回転させながら竜巻のように剣を振り回してヨシツネに向かって突進してきた。

ヨシツネはそれを剣で受けるが、凄まじい勢いに押されて、攻撃を受けてします。


ザバァーーー!!


「ぐあぁぁぁぁ!!!!」


ヨシツネは腹を斬られ、口から血を吐いた。

だが、倒れない。


「ま、まだ・・・未練がありますか!ジ・・・ジガン・・いやリュウオウ!」


「未練などない!私はジガン!ヘクトリオン・ジガンだ!」



「いや・・・あなたの本当の願い・・は・・・ハーポネスで天帝様に認められ・・天帝様の一本槍として名を・・・馳せる・・・こと・・だ!」


「そんなことはない!私はもうハーポネスを捨てた!」


「な・・・ならば・・・なぜ・・先ほど・・・私の・・ことを・・我が国随一の剣士と・・・まだ・・未練があるから・・でしょう・・?」


「くっ!!」


「なぁにたらたら喋ってるのよ!」


フェイがヨシツネの背後にまわり剣を振り上げている。


「死ね」


『やめろぉーー!!!』


タイザンたちが叫ぶ。

フェイの剣がヨシツネの左肩に突き刺さる。


グザァァァ!!!


「がはっ!!!」


剣は心臓まで達してる。


「あはは!こう言う時なんていうんだっけハーポネスでは。討ち取ったりーだっけ?!あはは!手こずらせてくれたけど、お前が死ねばあとは雑魚だけだからね。ほらジルガン、モウハンを追いなさいよ」


「でかしたぞ!フェイ!」


「上から言うんじゃないわよ!」



すると部屋の中心に突如光が差し込む。

皆その光に気づいて釘付けになる。

ジルガンはその光を目で追って光が差し込む天井を見上げた。

しかし、天井に穴が空いているわけではない。


「なんだ?!」


すると次の瞬間――


ズドォォォォォン!!!!


大広間中央から凄まじい爆音と共に砂煙が立ち込めた。


「!!!」


一同は目を見張る。

砂煙がおさまっていくにつれ、爆音の中心に何かの影が見え始める。


「な、なんだ・・あれは?!」


ジルガンが驚きの声をもらす。

そこに立っていたのは4枚の羽をもちもピンクに染まった鎧に身を包んで長い槍を手に持った仮面をつけた女性だった。

そして次の瞬間、その存在はフェイの背後に立っていた。

誰もその動きを目で追うことができていない。


「ぐばあぁぁぁ!!!」


突如フェイが口から血を吹き出した。


「な、なんだと?!」


フェイの腹から背後にいる存在の手刀が突き出ていたのだ。


「だ、だ・・れ・・よ、あんたぁ!!!」


フェイは力を振り絞り、ヨシツネを蹴り飛ばして剣を抜き、そのまま前に出て手刀を腹から引き抜いて振り返る。


「ぎややかかかかぺぺ!!」


フェイの両目がその存在指の突きによって潰された。


「フェイ!!!」




「我は大天使アールマティ。このものは我の伴侶たる存在。この者に剣を向けるは我に向けるも同じ。我に剣を向ける者は誰であろうと魂ごと滅するのみ」




アールマティと名乗った存在は倒れたヨシツネのところへ行き、魔法をかけた。

ウルソー系回復魔法のクラス4魔法だった。

一瞬にして傷が回復し、多量に出血した状態も回復し、完全に傷が癒えている。

だが、意識は失ったままだった。


「我は人間を愛おしく思っている。だが、魂の汚れた存在は神も人も等しく嫌悪する。この場にいるものは我の嫌悪の対象でよいな?」


タイザンはハッと我に返り、剣を入り口のドアに投げつけ叫んだ。


「ゴドウ、ゴッシ、アッシュ!!急いで入り口から出るんじゃ!!!」


その言葉の意味を理解した3人はすぐに行動を起こす。

おそらく次にこの場にいる大天使は何か壊滅的な攻撃を仕掛けてくるはずで、この場にいたら死は免れないであろうと言うことだった。

アールマティは槍を高らかに掲げた。

槍の先から光が発せられる。

そしてその光が急激に大きくなっていく。

ジルガン、ジガン、ウーレアもこの場に危険が迫っていることを察知して出口に向かって走り出した。

フェイは両目を潰されて何が起こっているかわからないまま激痛で叫んでいた。


アールマティの破壊の光が限界を迎えた瞬間。

ゴドウはゴッシとアッシュを入り口から蹴り出して扉を閉めた。


「おい!ゴドウ様!!何してんだよ!!」


「さらばだ!ヤマラージャ様を頼む!」


「ゴドウ様ぁぁ!!!」


バタン!!!


入り口の扉が閉まる。

そしてタイザンは素早く出口に回り込み出口の扉を閉めて大の字になってジルガンたちを通さないようにしている。


「どけ!!じじいが!!」


「ひょっほっほ!お前さんたち道連れにできるとはなんたる幸運!あの世で将棋でもしようぞ!」


「どけぇ!!!」


ジルガンたちは剣でタイザンを斬った。


「がばばば!!!死してなお己貫く有り難き!」


タイザンは倒れない。

ジルガンはタイザンの胸ぐらを掴んで横へ放り投げた。


シャヴァヴァン!! ガキン!!!


「老人は労るものです!」


「貴様!!!」


ゴドウは剣を扉前の床に突き刺した。

手前に開く扉であるため、剣が邪魔で扉が開かない。


「このクソガァ!!!!」


ウーレアが叫ぶ。

光はいよいよ部屋全体を包み眩しくて目を開けていられなくなる。


「ヨシツネ・・・」


ジガンはその場に座り込み目を瞑った。


ファァァァァァァァァァァン・・・・ドッゴォォォォォン!!!!!


大広間は破壊波で包まれ、中にいる者は一瞬で蒸発してしまった。

しばらくしてゴッシとアッシュが中に入ったがそこに生き物の存在はなく、アールマティやヨシツネもいなかった。


「タイザン様ぁぁぁ!!ゴドウ様ぁぁぁぁ!!!!」


ふたりは泣き崩れた。

だが思わぬ大天使の登場はあったが、見事にモウハンをヘクトルのいる場所へ送り出し、ヘクトリオンを葬った。

タイザンとゴドウは犠牲となったが見事に革命軍としてのミッションを果たしたのだ。


・・・・・


・・・


モウハンは階段を登っていた。

大広間を抜けて以降はゾルグ兵はほぼおらず、ヘクトルのいる王室にもう少しというところまで来ている。

途中大広間から爆音が響いたのを聞いて革命軍の仲間を心配したが、引き返すことも足を止めることもできない。

そしてついに王室にたどり着いた。


バァァァン!!!


モウハンは勢いよく王室の扉を開けた。

20畳のほどの部屋の奥に暖炉があり、その暖炉に向かって椅子に座っている男がいる。

フードを被った男で、モウハンが優勝したグランヘクサリオスの会場で見た人物と同じ容姿だった。



「騒がしいな」



「ヘクトル!俺はお前を倒す!」



「ほう・・・トツ王の小倅か。予定通り我を裏切ってここまでたどり着いたということは・・・我がヘクトリオンたちは負けてしまったか・・・。全く役に立たぬ者どもだ。次はもっと強き者を据えなければなるまい」


「お前に次はない!」


「ふぅ・・・」


ため息をつきながらフードの男はゆっくりと立ち上がった。


「まさか・・・我を倒すなどと本気で思うておるわけではあるまいな・・・」


「俺はいつも本気だ!」


そういってモウハンは剣を構え凄まじい勢いでヘクトル目掛けて突進し、剣を振り下ろした。


スファァァ!!


確実に捉えたはずの剣筋は空ぶった。


「何?!」


「なかなかの太刀筋だ」


モウハンの背後からヘクトルの声がする。

声のした瞬間に剣を後方に振り斬りにかかったが、またしても空ぶる。

すると、暖炉に向かって椅子に座っている。


(どういうことだ?!)


「どういうことだぁ?と思っているな?モウハン」


「ああ!思っている!」


「なかなか素直な男だ。捨てるには惜しいな・・・」


シャファン!!! ガララン!!


モウハンは攻撃を繰り出すが虚しく椅子を破壊しただけだった。


「少し稽古をつけてやろうか」


モウハンが声をのする方向を向くとヘクトルは壁にかかっている剣を手にしていた。


「我を幻か何かだと思うておるのだろう。そうではないことを示してやろう。どうせなら馴染みのある姿がよいか・・・」


そう言ってゆっくりとフードをあげた。


「!!!・・お前は・・・ジルガンじゃないか!!なぜここにいる?!」


シャカキン!!!


目の前にいたと思った次の瞬間背後から剣が振り下ろされた。

獣のような勘でモウハンはそれを剣で受ける。


「すばらしいですねぇ!この攻撃を受け切るとは!流石はモウハン王子!」


「お前!!」


ガキキン!!!シャキン!!


ジルガンの姿のヘクトルとモウハンは激しく剣を交えている。

モウハンの凄まじい剣撃を軽々と受けているヘクトル。


「お前は一体何者だ?!」


「ヘクトルですよ!最初にあなたに近づいたのも私。ことあるごとにあなたに接触したのも私。うまく取り入ったおかげであなたの作戦を聞き出すことができましたよ」


ジャキン!!!ガキャン!!


「じゃぁ大広間にいたやつは何者だ?!」


「あれはねぇ、正真正銘ヘクトリオン・ジルガンですよ。でもあれには二つの役目を与えていたのです。ひとつはヘクトリオンとしての役目、もうひとつは私ヘクトルが隠れ蓑にする存在です」


ガキャン!!ギャキン!!


凄まじい剣撃の応酬が続いている。


「なぜだ!!お前は80歳くらいのはず!!!」


「その秘密を話すと思いますかぁ!!ははは!!!」


キキキン!!!カカン!!


「さてぇと!お遊びはおしまいです」


ドゴォォォン!!


「ぐはぁぁぁ!!!」


ヘクトルが放った凄まじい速さの重い蹴りでモウハンは吹き飛んでしまう。


「モウハンよ。お前は見事に我の掌の上で踊ってくれた。おかげでレグリア、ゲキ、ガザド、ハーポネスそしてジオウガ・・・これら全ての国々の弱体化に成功した。フハハハハ!!!これで9国会議での序列を正式に適用できる」


「ま、まだだ!ゼネレスには・・・エルフにはグレンがいる!!」


「あぁ。あの国はすでに骨抜きにしてある。残念だったな。そのグレンとか申す上流血統の者も悲惨な末路がまっていることであろう。フハハハハ!!」


「そ、そんなことはない!」


「囀るな」


またも瞬間的にモウハンの背後に回って耳元で語り変えるヘクトル。


ズザァ・・・


「グボァ・・・」


ヘクトルはそのままモウハンの背後から剣を突き刺した。


「簡単に死んでくれるなよ。貴様にはまだ我の役に立ってもらわねばならない。まぁ今はただただ絶望を味わえ。フハハハハ!!!」


(すまない・・・みんな・・・・父上・・・グレン・・・シャナゼン・・・エニー・・・)



モウハンの意識が薄れていく。



そしてモウハンの心に灯されていた澄んだ光の炎は消えた。




・・・・・


・・・


―――ゲキ王国 王妃の部屋―――



パキン・・・



「どうしましたか?エニー」


「お妃さま・・・ブレスレットが・・・いえ、なんでもありません」


(モウハン・・・どうか無事で帰ってきて・・・)



・・・・・


・・・



翌日、ジグヴァンテにある大広場で公開処刑が行われた。


処刑された者は、ヘクトル王政に対して謀反を起こしたモウハン・ゲキ、旧王政の生き残りタイザン、ゴドウの3名だった。


アールマティの攻撃によって既に亡くなっているタイザンとゴドウはヘクトル王政によって容易された影武者だった。

モウハンを処刑することによって5国同盟に対して敗北を示すことと、タイザン、ゴドウを処刑することによってヤマラージャを初めとする革命軍に対して反撃が無意味であることを示したのだった。


3名の首は白骨化するまで広場に放置されていたという。

体はズタズタに切り刻まれて家畜の餌にされたとも噂されている。


モウハンが敗北したことはゲブラー全土に知れ渡った。


ガザド軍は首都ガザナドでヘクトリオン・フェイが仕掛けた裏組織との交戦で疲弊するもかろうじて勝利した。

だが、国としてのダメージは計り知れず国力を大幅に落とした状態となった。


北へ向かったハーポネス軍はジガンが容易したゾルグ軍との交戦でほぼ壊滅。

ゾルグ王国内で交戦していたヨシツネ軍もほぼ壊滅し、ハーポネスは軍をほぼ失った状態となった。

ヨシツネがハーポネスに戻ったという話は聞こえてこなかった。


レグリア軍はゼーガンと交戦し善戦したが、半数の兵を失った。

レグリア王国内、そしてゲキ王国へのダメージはなくゴムール王の捨て身の防御によってレグリア、ゲキの2国の平和は保たれたが、軍力は半分になってしまった。


ジオウガ王国は2倍の兵力のゼーガン軍と互角に戦ったが、兵の半数を失う結果となった。

さらにシャナゼン王子帰国後、怪我で療養していたガッハド王の容体が悪化し、亡くなってしまった。

喪に服した後、シャナゼンが王となったが、祝賀ムードとはならずジオウガ王国始まって以来の暗く寂しい戴冠式となった。




そして、モウハン王子を失った失意のゲキ王国軍はゾルグ軍との戦闘で大きなダメージを負って帰還した。

トツ王はそのままゾルグへ突進し、息子モウハンの仇を打つと暴れたが、側近たちに取り押さえられなんとか帰還した状態だった。



しばらくして9国会議で形上締結された新9国宣言が、実際に適用された。

これによってゾルグが9国序列唯一の筆頭国となり事実上ゾルグ王国によるゲブラー全土の支配が始まった。



・・・・・


・・・






モウハン編はこれで一旦終了です。この後スノウのオリジナルストーリーに戻りますが、その中でグレンのその後にも触れる予定です。

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