<ゲブラー編> 73.崩れゆく戦況
73.崩れゆく戦況
王城は入り組んでいたが、モウハンがヘクトリオンとなって以来調べ尽くしているため、スムーズに移動できている。
更に5国一斉攻撃の知らせを受けて城内は対応に追われて警備を手薄となっていた。
ゾルグ兵の鎧を纏っている革命軍ヘクトル討伐隊は順調に進んでいた。
「もうすぐ大広間に出る!ここを抜けなければヘクトルがいる王室までたどり着くことはできない!だがおそらくかなりの兵が待ち構えているはずだ!いくら5国進撃の混乱があろうと、大広間を守る責務は怠らないはずだ!」
モウハンはメンバーに指示を出した。
全員頷いて戦いに備えた。
ガチャ・・・ギイィィィィ
恐る恐る大広間の扉を開けるモウハン。
「!!」
大広間にはこれまでの手薄な警備からは想像もつかないほどの数の兵が戦いの陣形を敷いて武器を携え待ち構えていた。
「まさかあなただったとはね」
「ジルガン!」
「ハーポネス迎撃部隊を指揮しているはずのあなたがここにいるということは・・・ヘクトル様の命に従わず我々を欺いているということ・・・そして、迫り来る多国連合の攻撃に対してこの広間から出ていく兵はいても、この広間に戻ってくる兵などいないにも関わらずそれだけの人数を引き連れて入ってきたということ・・・この2点から、あなたはこの一連の騒動における敵側の者であることが確定的となりましたよ。そして、恐らくはその首謀者!ヘクトル様の元へは行かせませんよ!さぁ皆殺しにしなさい!」
『おおお!!!』
300名はいると思われるジルガン率いる部隊と革命軍ヘクトル討伐隊50数名、この場にきて圧倒的不利な状況になったと思われた。
「さぁて!腕が鳴るわい」
「少し物足りませんでしたらかね」
「やっと暴れられるってか!」
「今までは教えるだけで焦ったいことばかりでしたから!」
タイザン、ゴドウ、ゴッシ、アッシュは指や首をポキポキならしながら戦いを待ってましたと言わんばかりにやる気を見せている。
その姿を見て、革命軍の他の者たちも一気に闘志を燃やし始めた。
「さぁて!モウハン殿は先に行かれよ!手筈通りこの10名をお連れくだされ!」
「いや!いらん!俺一人で十分だ!その代わり、さっさとこの場を片付けて加勢にきてくれ!」
『承知した!』
「よぉぉし!皆のもの!この戦いは弔い合戦!無念に散った仲間の魂を極楽浄土へと送り出す戦いじゃ!死してなお敵の首をとってみせい!」
『おおおおお!!!』
300人対50人の肉弾戦が始まった。
この規模になると数の原理はあまり当てにならない。
個々人の戦闘力や、連携力がものを言う。
当然ジルガン率いる300名もそれなりに武功を挙げた強者だ。
一方革命軍側は戦闘力が抜きん出ているタイザン、ゴドウ、ゴッシ、アッシュがいるため戦闘力はほぼ互角と思われた。
あとはどれだけ勝利に対する思いが強いかにかかっていた。
ガキィィィン!!!
突如鋭いヤイバがモウハンの脳天目掛けて振り下ろされた。
「だから簡単に通すわけないでしょう?」
「ジルガン!」
「あなたとまともに戦うのはこれが初めてですねぇ。手加減は要りませんよ。私はヘクトリアンだ。いくらヘクトル様のお近くに置いて頂いている身であっても負ければその場でお役御免です。私には勝つしか道はない。この背水の陣を敷いた者に勝てるだけの強い想いをあなたは持っていますかねぇ」
「俺が勝つ!」
ガキキン!!!ガキン!!!
凄まじい剣のぶつかり合いが始まった。
「あなたと私、うまくやれると思ったんですけどねぇ。これでも私あなたのこと買ってたんですよ。いや・・違いますね、友になれると信じていた・・・というのが正しい表現だ・・」
ゴカキィィィン!!!ガキン!!ガァァァン!!!
「ジルガン・・」
「あなたは私を利用したってことですよねぇ・・・。私の好意を逆手にとって・・・。どんな気持ちでしたか?!」
ガカカカン!!!ガキキィィィン!!!
「す、すまないジルガン!」
「謝ってほしいわけじゃない!あなたの素直な気持ちが聞きたいのですよ!私のことを少しでも友と思ってくれていたかどうかです!」
「ジルガン・・」
ガガキキィィン!!!ガキン!!!
モウハンの剣に迷いが生じ、その隙をついてジルガンの凄まじい剣撃が繰り出される。
(しまった!)
シュゥゥゥゥゥーーン・・・・ジャキィィィン!!!
「モウガン殿、惑わされてはなりませんぞ!此奴はこういう時のために貴方様に好意的に近づいていただけ。元から心など預けてはおらんかったはずじゃ!」
突然背後からタイザンが凄まじい速さで近づき、ジルガンの剣を弾くように払った。
「タイザン!」
「あらら、このクソジジイ。余計なことしてくれるじゃないか!」
「年の功でな、こういうのはほっとけないお節介が出てしまうんじゃ!」
ガキン!!カキィィン!!!
「さぁ!モウハン殿!先へ!ここはわしに功を譲ってくだされ!」
モウハンは気持ちを切り替えた。
「すまないタイザン!あとは頼む!」
「御武運を!」
・・・・・
・・・
―――数時間前・・・ジオウガ+ガザド共闘軍―――
ゼーガンとの戦いは拮抗していた。
その中で全体の指揮をとっているシャナゼン王子とデューク・ガザナドの本陣はその様子を見ていた。
「おかしい・・・」
「シャナゼン王子・・・あなたもそう感じているか?」
「ああ。この戦い・・・丁度良すぎる」
「そうなのだ!まるで我らをここで足止めするために用意した必要最低限の軍隊と主張するかのようだ」
「ああ。そしてゼーガンの戦いぶり。まるでこちらの攻撃に合わせているようにも見える」
「そうだ。それが余計に丁度良すぎる軍に見えてしまう。これをどう読む?シャナゼン王子」
シャナゼンは少し沈黙した。
頭の中を整理するためだった。
「王子!レグリア+ゲキ共闘軍、ゴムール王から鳩が届きました」
突如やってきた連絡兵から受け取ったレグリア王国ゴムール王からの伝令をシャナゼンとデューク・ガザナドが確認する。
・・・・・・
“ 順調に進軍中。予定通りゼーガンの足止めに注力されたし”
・・・・・・
「・・・・」
「どう見る?シャナゼン王子」
シャナゼンはしばらく沈黙した。
「ま、まずいぞ・・・」
「どういうことだ」
「この伝令、おかしいと思わないか?」
「・・・!!確かに!」
「そうだ。元々の我らの作戦は誰かが指示を出すものではない。それぞれが戦況を見ながら判断するものだった。我らジオウガ+ガザド共闘軍やハーポネス軍に課せられた任務は最低敵の足止め、よくて敵の壊滅。それ以上でもそれ以下でもない。既にそのような盟約となっているこの作戦の中で、なぜわざわざ “足止めに注力” などと伝令をよこすのだ?ということだ」
「つまり、ゾルグに近づけないため」
「そうだ。そしてこの異常なまでに丁度良く拮抗した戦い。危険な匂いがする。何か大きなものの手のひらで踊らされているような吐き気のする感覚がある」
「どうする?シャナゼン王子。これは逆に言えば、モウハン殿をはじめとした革命軍やレグリア+ゲキ共闘軍が危険に晒されているということではないか?」
「その通りだデューク。だが、我が敵方の総司令なら次の一手は決まっている。この軍からジオウガか、ガザドのどちらかをひっぺがす策を打つということだ」
「伝令―!!伝令―!!」
すると後方から伝令係りが声を上げながら走ってきた。
ガザド軍の伝令係りだった。
「どうした?!」
伝令係りはデューク・ガザナドの前にひざまづいた。
「は!フィンツ男爵より伝令にございます!」
そういうと伝令係りは伝令文をデュークに渡した。
封を破り中身に目を通す。
「何?!」
「シャナゼンもその文書に目を通した」
・・・・・・・・
“ザンダールは背後でゾルグとの繋がりあり。想定3万の構成員には既にゾルグからの増員により5万に膨れ上がっている状況。既に首都ガザナド以外陥落。なんとか持ち堪える故、6国同盟作戦完了次第即刻ご帰還されたし”
・・・・・・・・
「・・・・」
「ぬぅぅ!一気にゼーガンを攻め落とす!そしてそのままゾルグへ侵攻しヘクトル共々ゾルグまで滅ぼすぞ!」
「だめだ!」
デューク・ガザナドの言葉にシャナゼンが割って入った。
「だめだデューク!今すぐガザドへ帰還されよ!」
「なぜだシャナゼン王子!」
「これはチェックメイトだ。」
「!!」
「わからないか?ガザドのその裏組織ザンダールの背後にゾルグがいるとあらば、おそらくガザドを落とし、ガザドを手中に収めた後に我がジオウガを攻める算段」
「しかし、我らが今帰還すれば、このゼーガンとの均衡した戦いのバランスが崩れ残されたジオウガ軍は相当のダメージを負うぞ!いや、私ならそのような策は取らんな・・・私ならば・・」
「だが、ガザドが落ちるより100倍は対策を立てやすくなる!」
「お前自分で何を言っているかわかっているのか?もし、ジオウガ軍のみとなれば、ゼーガンはジオウガ軍を足止めするだけの兵を残して、背後からレグリア+ゲキ共闘軍を攻めるぞ!そうすればゾルグは西側に対して兵を出す必要がない!つまり・・・」
「わかっている!おそらく東も同様だ!何かゾルグは策を講じているに違いない!」
(だからチェックメイトだと言っているのだ・・・これは・・・非常に苦しい選択を強いられることになるだろう。自国を取るか友を取るか・・・のな・・)
「モウハン・・・」
・・・・・
・・・
―――場面は変わってゾルグ東側 ハーポネス軍対ゾルグ軍―――
ハーポネス軍は善戦し、ヘクトリオンのウーレア、モウハン(影武者)の2つの軍を相手に互角の戦いを繰り広げていた。
「伝令―!伝令―!」
「なんだ!」
総司令のリュウオウの元へ伝令がやってきた。
「天帝様から・・?」
「なんですと!天帝様からこのタイミングで伝令?!」
リュウオウもヨシツネも驚きを隠せなかったがひとまず伝令に目を通した。
・・・・・・・
“北より突如ゾルグ軍が現れ朕の国へ進軍中。ゾルグ本体を叩き次第即刻帰還せよ”
・・・・・・・
「な、なんだとぉ!!!」
「なぜ、ゾルグが我がハーポネスの北から進軍してくるのだ?!」
「まさか!あの狡猾なエルフがゾルグへ寝返ったか!?」
「い、いやそれはないのではないでしょうか!?モウハン殿の友、上流血統家であるグレン・バーン・エヴァリオス氏によって調整が行われているはず!仮に静観することはあってもゾルグに寝返ることなど!」
「ではどうやって我らを出し抜き、且つ西側のガザドやジオウガに見つからずに兵をハーポネスの北に陣取れるというのだ?!」
「ふ、船・・・」
「船だとぉ!!」
「それしか考えられません!船でハーポネス沖合を渡り北へ回って陣を張った・・・それしか」
「馬鹿な!ハーポネス沖合にはカミカゼと呼ばれる荒波が渦をまく、船など絶対に通れない危険区域があるのはお前も知っているだろうヨシツネ!」
「ですがそれしか説明がつきません!」
「ぐぬぅぅ・・・しかし、この戦況・・・5国共闘などと言っている場合ではない。我が国が滅ぶか否かの瀬戸際だ!」
「なりません!それでは敵の思う壺!この5国同盟そのものが敗北すれば我がハーポネスは敗戦国として罰を受けることになります!」
「馬鹿な!国が滅んで何が勝利か!」
「滅びません!この戦いで勝てば、北のゾルグの軍など指揮を失った残兵となるだけ!我らの活路はこのまま今対峙しているゾルグ軍を押し切ることです!」
「ならん!ならんぞ!私は元よりこの作戦には懐疑的だったのだ!これには我が国を貶める裏の策があったに違いない!そもそも考えてもみろ!なぜ内戦時都合よくジオウガからあれだけの手誰が使いとしてやってきたのだ?!この期に乗じて我が国を滅ぼすという画策をしていたのではないのか?!」
「な、、何を・・・何をおっしゃっているのです?!今我らの敵はゾルグです!そのゾルグが我らと戦っている、もしくはハーポネスの北に陣取っている、それだけです!どうして仲間を疑う発言がここで出てくるのですか?!」
「ジオウガ、ゲキ、レグリア等の国々が既にゾルグの手に落ち、隷属化していたらどうだ?」
「・・・!!!ありえない!9国会議の折、彼らの王、ゼンムール王は殺害され、ガッハド王は未だ再起不能になるほどの仕打ちを受けているのですよ?!」
「だからだ!だからこそ、ゾルグには逆らえないと諦めたのではないか?!」
「な!か、彼らの目に諦めはありましたか?!あのゲブラー全土の平和を望む希望の目に偽りはありましたか?!」
「私はそんなもの見てはいない!あくまで貴様の話を聞いただけだヨシツネ!現実を見ろ!今最も対処すべき危機はなんだ?!自国への対処だろう!国が滅んで何の大義があろうか!私はこのまま戻る!モウハンとやらへの義理を果たしたければ貴様の好きにするがいいヨシツネ。だが兵は貴様の部隊以外は全て引き上げさせ私と共にハーポネスの北の防衛に当たらせる!よいな!」
「くっ・・!!ぎょ、御意・・」
こうして善戦していたハーポネス軍はヨシツネ軍だけを残し5分の1に減ってしまったためゾルグ軍を惹きつける役割すら果たせない状況となってしまった。
圧倒的な数の差によって一気に崩されてしまったヨシツネ軍の陣形は立て直しも効かない状況となった。
「ヨシツネ様!ここはもうだめです!ですが、この戦いには是が非でも勝たねばなりません!我らが命を賭してこの場を守り切ります!よってヨシツネ様にはヨシツネ様にしかできないことを!!どうか我が国をお守り下さい!!」
ヨシツネの側近が詰め寄る。
自分たちは死ぬ覚悟でこの場に戻り、未来を主人であるヨシツネに託したいという思いから出た言葉だった。
と同時にヨシツネの思いを察した言葉でもあった。
「いや!リュウオウ様がいらっしゃる!私はここでお前たちと共に最後まで戦うよ」
「いや、だめです!リュウオウ様にはどこか影がある。天帝様を真にお守りできるのはあなた様しかおりません!ですが、先ほど仰った通り、この戦いでゾルグに負ければゲブラー全土がゾルグの支配下に置かれ敗戦国となるハーポネスがどのような仕打ちを受けるかは想像に固くない・・・。この状況は前線で戦われているモウハン殿革命軍に知らせるべきではないでしょうか・・・?!」
「!!・・・そうだな・・。鳥を飛ばす!」
「鳥などこの戦況目まぐるしい中で役には立ちませぬ!どうか我が主人よ!この場は我らにお任せいただき、どうかモウハン殿の元へ出向き、彼らに加勢くだされ!それしかハーポネス・・・ゲブラーを救う道はありませんぞ!」
「・・・・」
今のこの状況を自らモウハンに伝えに行き、打倒ヘクトルに加勢したい自分の思いを見透かされていたことに対し、自分たちの命を犠牲にしてもそれを叶えさせようとする部下の気持ちにヨシツネは涙が溢れて来た。
「なぁに!これまで散々あなた様のわがままを聞いて来た身。それに応えるのが我らの幸せなのです!」
「くっ!すまない!ここは任せたぞ!」
「は!幸い、あのモウハン軍の頭領は影武者、手加減してくださるでしょうよ!」
「死ぬなよ!武運を祈る!」
「辱い!」
そう言って数人の配下を連れてヨシツネはジグヴァンテに馬を走らせた。
―――場面は変わってレグリア+ゲキ共闘軍―――
「なんなのだ?!この軍隊は?!」
「まるで我々の策を知り万全の準備を整えていたかのようです・・・」
トツ王とゴムール王は現在の戦況に懸念を示していた。
レグリア+ゲキ共闘軍の進む先に待ち構えているゾルグの軍勢はまるで待ち構えていたかのようにバリケードの柵を築き投擲具を配置し、万全の体勢を敷いていたからだ。
突然の多国侵攻に慌てふためいている様子はなく、むしろ速攻で攻め入る体制を敷いているレグリア+ゲキ共闘軍の方がこのように開戦準備をした戦争に対しての準備が不足している状態で不利な戦いを強いられることが明らかだった。
「一体何が起こっておるのだ?!」
「これは・・・全てヘクトルに把握されていたとしか思えません!」
「ぬぅぅ。しかし、ゼーガンをジオウガ+ガザド共闘軍が止めているのであれば我らは目の前のあやつらを叩きつぶすのみ!東に陣取るハーポネスがゾルグ軍を2分してくれている限りは我が息子と革命軍がヘクトルの喉元を掻き切るチャンスを作れるということ!それぞれがなすべきことをなす、これは変わらないのではないか?」
「仰る通りではありますが、問題はヘクトリオンの動きです。ヘクトルを討つ最大の阻害要因となりうるヘクトリオンが5国共闘の相手としてゲブラー全土に散っていれば、先ほど仰った勝機もありましょう!ですがそこが見えないのがなんとも不気味!」
「伝令―!伝令―!」
伝令係りが両王の元へ走ってきた。
「トツ王、ゴムール王への伝令にございます」
「我らに?!」
ゴムール王はその伝令を読んだ。
・・・・・・・
“ハーポネス北にゾルグ軍出現につき、防衛のためハーポネス軍隊の5分の4は帰還。現在5分の1の軍勢でゾルグ東軍応戦中。状況に変化あり、おそらく作戦がヘクトリオンに知られている模様”
・・・・・・・
「な!なんじゃとぉ!!!」
「こ・・これでは・・ゾルグ東軍はその大半をジグヴァンテに帰還させるはず・・・。さすれば今王城でヘクトル討伐に向かっているモウハン殿たちは・・・・!」
「伝令―!伝令―!」
「今度はなんじゃ!」
さらに別の伝令が大急ぎで両王の前にやって来て伝令を渡した。
・・・・・・・
“ゼーガン帝国軍3万が東へ進軍中”
・・・・・・・
「なんですと!!!」
「その軍は一体どこへ向かっているのじゃ!!」
「仮にゲキ王国にしてもログル山を迂回しなければなりません。さすれば必ずレグリアに入るはず。そのまま南下するなら王都レグリアリアンテ・・・どちらの可能性もある・・・」
「くっ!!なんとも狡猾な・・・ヘクトルめ・・・」
「トツ王!ここは決断の時・・・どうされますか?!」
「ここはわしの軍勢でなんとかする!ゴムール王はゼーガンの迎撃に向かわれよ!!」
「で、ですが・・」
「それしか手はあるまい・・・なぁに名門ゲキ王国の騎士たちの底力をみせてやろうぞ!」
「承知しました・・必ずやゼーガンの侵攻を食い止めます!自国はもちろんのこと、ゲキ王国へ一兵たりとも足を踏み入れさせはしない!」
「頼みましたぞ!若きレグリア王!」
(モウハン・・・頼んだぞ・・・!)
・・・・・
・・・
戦線が崩れゆく5国同盟。
暗躍するヘクトル軍と全てを読んでいたかのような動きのゼーガン帝国。
そして未だ所在のわからないヘクトリオンたち。
そのような状況を知らずに突き進むモウハンと革命軍の面々。
果たしてモウハンはヘクトルに辿り着き、ゲブラーを一身に背負って歴史を変えられるのか。
モウハン編クライマックスです。次回は火曜日アップの予定ですが、水曜日にずれ込む可能性あります。




