<ホド編> 4 生きる意味
4.生きる意味
マジックアイテムの台座が割れたことが広まり且つスノウ・ウルスラグナという冒険者だと知れ渡り有名になってしまった。
しかし、自分ではなんら変わったところはない。
なんといってもレベル1なのだから。
スノウ・ウルスラグナという名前も自分のものと感じられない違和感があるし、やはり別の世界線に存在する自分説が有力か。
とすると元々この世界にいたスノウ・ウルスラグナという人物はいったいどこに行ったのか?
突然現れて、ばったり鉢合わせて本物登場した瞬間に雪斗は偽物扱いで悲惨な状況になるのではないか。
(もしくはパラドックスなんたらでおれの存在が消し飛ぶとか?まぁ、これまでのサラリーマン人生と同じだな。華やかな部署のマネージャーに昇格と思いきやミスを押し付けられて飛ばされる予定だった。それと同じだ。ただ舞台が変わっただけ。今回は存在が消えるかもしれないリスクはあるけど、別に今の自分が好きってわけじゃないし別にいいか‥‥)
スノウは元いた世界の映画やら小説やらのSF知識が頭の中でごちゃごちゃに暴れていた状態だったが、結局は自分に根付いた人を拒絶するネガティブ思考に落ち着く。
長年しみついた性格だ。
(‥‥はぁ‥‥でも気が重い)
底辺でも目立たない安定した暮らしがいい。
はっきりと言おう別人だと!スノウはそう思った。
そんなことを考えながらエントワ、ニンフィーの後をついて歩いていると武器屋らしき店の前にいた。
「スノウ殿、さぁこのあたりで一通りの武具や道具を揃えましょうか」
(エントワは強いし紳士でなんだか世界貴族の公爵らしいから色々と詳しいんだろうな。任せてみよう)
レベル1のスノウは、サラリーマン時代もPC、スマホを武器に戦っていたスノウにとっては同じ戦うの意味がまるっきり違う。
剣やら盾やら防具やら何がよくて何が悪いのかさっぱりわからない。
とは言え、ひとつだけ要望するとすれば動きやすく逃げやすく且つ守備力の高い防具をお願いしたいとスノウは思った。
エントワと店主の進めるままに武具を購入し装備する。
剣は刀のようなタイプだ。
軽い。
盾は腕につけるタイプでセラミック製だろうか、厚みはあるのに意外と軽い。あまり大きくないからか。
鎧は軽装の肩、胸と腹の一部を隠したタイプだ。鎖帷子のようなシャツとセットで購入してもらった。
アームカバーとレッグカバー、ブーツもセットに含まれている。
意外と動きやすいなと思った。
これならなんとか走れるしいざとなれば逃げることもできそうだ。
ホドフィグを支払うエントワに心の中で、スノウはお礼を言いながら頭を下げた。
(ん?!エントワはホドフィグを払えるの?なんでだろう‥‥アレックスはよく仲間にしてるな‥‥わけわからない‥‥‥‥)
「スノウ殿、合流地点の宿屋に行きましょう。そこで飛翔石の眠っていると噂されるダンジョンの階層の情報収集結果を確認して、明日ダンジョンに入りましょう」
「お、おぉ了解です」
横でにっこりと笑うニンフィー。
(なぜかずっと見られてる気がする‥このニンフィーに‥)
・・・・・
・・・
スノウたち3人は宿屋に到着した。
既にアレックス 達は宿屋に着いていた。
「よぉ〜、見違えたな、はっははー」
「孫にも衣装。ひ弱そうな見てくれもそれなりに見えるザマスな」
さっきは素っ気なかったガースじいさんが偉そうに言う。
(っつーか腕を寄せて胸強調すんのやめろってロムロナ。どーでもいいけど皮膚イルカだかんな!美人だけど!‥‥その隣で狼野郎はより一層目をギラギラさせてこっち見てるし‥‥)
「んぁぁよぉーし、それじゃぁ情報シェアだ。まず俺からだな。」
(やはりリーダーだな、アレックス 、一応こいつの一言にはみんなが反応する。慕われているんだろうな‥‥)
雪斗時代にこのような状況にほとんど遭遇していないため、スノウは新鮮な感覚を抱いた。
「まず、情報屋から仕入れたネタとして飛翔石はダンジョンの53階層にある隠し扉の先にある落とし穴から降りて65階層まで行く必要があるらしい。これまでなかなか見つからなかった場所だが、どこぞのアホな冒険者が偶然に落とし穴を見つけたらしい。そこにはフェニックスがいたらしいのだが、そいつの守っているものが飛翔石らしい。らしいというのは単なる推測なためだが、どうやら巫女の予言があったようなんだ。そんな予言なんぞ信じる価値はねーかもしれねーが、なにせフェニックスがいるっていうんだからそれなりのお宝があると思わないか?」
「若、フェニックスといえば不死鳥。殺せない相手に宝を奪うのはいささか骨がおれますね」
「それじゃぁこのボウズに囮になってもらってその隙に奪い取るって作戦がgoodガス!あ、ザマスな!」
(おい!殺すぞじじい!ってこいつの喋り方のパターン、わかってきたぞ!)
「囮はそちらのガースさんがいいんじゃないでガースか?」
意地悪そうに仕返しする。
これまでのスノウだったら決してやらなかったことだが、なぜかこのメンバーでは良いような気がした。
「ムキー!坊主よく言ったガスな!忘れんでガスぞ!あ、ザガス!」
(‥‥‥‥やっぱり言わない方がよかったか‥‥(汗))
「はっははー。まぁまぁ落ち着けよ。そこで次にアジーダカーランから仕入れた情報だが、フェニックスの劫火で焼かれない方法があるっていうので入手したのがこれだ」
アレックスが徐に袋からなにかランプのようなものを取り出す。
「なぁにぃ?その古びたランプみたいなのは、アレックスボウヤ?」
「なんと!それは闇のランプ!どこで手に入れられたか!」
「ナンダソノヤミノランプッテノハ?」
(おい、このワンコロしゃべれんのかよ!しかも片言じゃね?!)
「ギロリ!」
(うわー、心の声聞こえてんのか?心の中でも迂闊に本音がいえないのか?)
「入手経路は秘密らしいんだが本物だぜ。これならあの永遠の劫火でさえも吸い込んじまう。このランプの中の深淵の闇にさ。とはいえ、戦力は未だ不十分の可能性がある。そこで、このスノウ君に2〜3日でそこそこの戦力になってもらう必要があるっていうわけだ」
「はいい?!」
(おれ、無理だけど。そんな伝説上の生き物前にして戦力です!なんていえねーの、いいたくねーのなんのって‥‥)
「コイツニソンナ成長スル ポテンシャルハナイダロウ‥‥フッ」
(何コイツ、何こいつ、今鼻で笑ったな、そのナゲー口の先についている鼻で笑ったな!ムキー!!‥‥ああ!なんかムカつくな!やってやろうじゃぁないの!どうせこのままじゃいつか死ぬわけだし、強くなるチャンスがあるならそれを利用しない手はない)
雪斗時代にはない前向きな感情を見せたスノウだった。
(なんかこの世界に来て少し前向きになってきたのか‥‥おれ)
「んぁよーし、それじゃぁ、エントワとワサン、ニンフィーはスノウとともにダンジョンに入ってくれ。つまりビシバシ鍛えてくれってことだな!はっははー」
(まじか、エントワはいいが、イヌコロはいやだ!あいつまじで殺しに来そうだし!)
ギロリ!
「ガース、ロムロナはヴィマナの整備を頼む」
2人がうなづく。
「アレックスはどうするんだ?」
「俺はちょっと野暮用だ」
その日はそのまま宿の酒場で飲んで部屋に戻って寝た。
この世界、食い物も酒もうまい。
それなりにホドフィグ稼げてたらいい暮らしできそうだな。
なんてことを考えながらスノウは眠りについた。
翌朝、朝食を済ませ装備を整えダンジョンに向かう一行。
「スノウ殿、朝食は控えめにされたかな?」
「え?なんでですか?そこそこ食ったけど。美味しいし、ここの料理。」
横で呆れ笑いするワサン。
「え?なんで?」
よくわからない雰囲気のままダンジョンに入り口と思われる巨大な扉の前に到着した。
扉横に何やら手をかざす台座のようなものがあり、先に到着したであろう冒険者一行が手をかざしていた。
台座が光ったと思うと扉がゆっくりと開き始めた。
「なるほど、冒険者以外は開けられないっていうことね、じゃぁおれも一応冒険者だし、入れるってことか」
エントワ一行も先ほどの冒険者一行と同様に台座に手をかざし光を浴びて開いた扉の中へ入っていく。
外の明るさが次第に届かなくなり薄暗くなる。
こういうのダンジョン系のアニメだとなぜか洞窟内に明かりがあったり岩々が光ってたりするのだが。
(さておれの冒険ではどうなんだか)
辺りがほぼ真っ暗になるかどうかの瞬間、みんなそれぞれ何かを口ずさみ始めた。
すると、まるで見えているかのようなスムーズな動きでそのまま歩いていく。
「ちょ、ちょっと何も見えないんだけど、君たちなんか問題なく歩いているのはどうしてかなー?ハハハ‥‥」
「アハハ」
小声で笑われた気がした瞬間、一気に視界が広がる。
「サイト オブ ダークネスの魔法をかけたわ。これであなたも不自由なく歩けるはずよ」
「あ、あぁありがとう‥‥」
(ま、魔法だったのか‥‥夜目が利くようになる魔法か。しかし昼間と変わらない明るさというか見え方だ。これなら洞窟じゃなくても普通に夜使えば不自由しないじゃないか。電気代も節約できるし、なんてお得な魔法なんだ?)
つまらない事を考えるスノウ。
というかこの街、電灯みたいなのに明かりが灯ってたし、宿屋も明かりがあった。
何気無くスイッチいれて使ってたが、電気通ってるってことなのだろうか?
どこかに発電所でもあるのか?
そんな事を考えながら3人について歩いていると突然足がとまった。
ワサンは何やら指をポキポキ鳴らし始めたり、首を回したりし始めた。
ニンフィーはスノウの後方に下がっている。どうしたんだ?一体。
「さて、軽く準備運動といきましょうか」
「ザコニハヨウハナイ」
(敵か!いよいよ戦闘か!さぁて、おれのレベル1の実力やいかに!って感じだな。しかしどんな敵が現れたんだ?って)
「うぉーい!!な、なんじゃぁありゃぁ!!!」
目の前に現れた無数の緑色の小人が牙を見せながら間合いをつめている!
しかも中には武器持ってる奴もいる。
「もしかして、敵?こいつら、ひょっとしてゴブリン?」
「おぉ、よくご存知ですね、スノウ殿。その通り、力は弱いが素早くてうるさい餓鬼。そうそう、あなたの初陣にはうってつけです」
「フン!ココデ死ンデカマワナイ」
(よく言ったこのイヌコロが!そこまで理由なく俺を嫌うそのねじ曲がった根性叩き直してやるよ!強くなったらな!一生追い抜ける気もしないけどな!)
心の中で強がってみるスノウ。
「わ、わかった!やってみます!」
「頑張ってね❤️応援してるよ」
一瞬腰が砕けそうになる。
ハーフエルフのニンフィー。
可愛い顔でそんな言葉をかけられた経験もないことはないが、それは遥か昔の事。
素直に喜べない自分もいるし慣れてない分逆に精神的ダメージを受ける。
とにかくなんの戦闘経験もないため、見よう見まねで刀剣を構える。
ゴブリン達も警戒しているのか、少しずつ距離を縮めてくる。
(しかしこの数、いっぺんに来られたら瞬殺になりかねないぞ‥‥でもきっとこのエントワが助けてくれるはず。イヌコロは遠くから見物でニヤニヤして見殺しにしそうだが!)
と考えている矢先、一匹のゴブリンが飛び上がり襲いかかってくる。
(速い!確かにすばしっこいな)
一瞬腰が引けてよろめくが、飛び上がったまま空中で避けられない状態だったのか、振り上げた刀剣に自ら串刺しとなった。
それと同時に飛び散る血しぶき。
(うえぇぇ、気持ち悪い!しかも臭えぇ‥‥キモいキモい!)
しかし敵はそんな悪態ついているスノウを待ってくれない。
次々に襲いかかってくるゴブリンたち。
あまりの数にビビりながら闇雲に刀剣を振り回す。
飛びかかってくる小鬼たちは切りつけられているようだが、横から素早く忍び寄って来た一匹の餓鬼に腿を切られた!
小さなナイフを持っている。
切りつけて来たゴブリンはしてやったりといったドヤ顔だ。
切られた痛みで現実を突きつけられたことと、そのゴブリンのドヤ顔に怒りがこみ上げてきて妙に冷静になる。
振り回す刀剣の重さも小鬼たちのスピードを捉えられないわけではない。
次第に動きも見え始めて、時代劇で見る殺陣のようにスムーズに切り殺していく。
夢中になって斬って斬って斬りまくった。
いつしか残り少なくなった餓鬼たちは逃げてしまったようだ。
「見事でしたな、スノウ殿。初陣とは思えぬ冷静さ。感服しましたぞ」
「フン」
「さぁ、これでお拭きなさいな。血だらけよ?」
渡されたタオルで顔を拭く。
そこにはべったりと餓鬼たちの血が付いていた。
よく見ると、胸や腕、足、全身が血まみれだった。
そして周りを見回すと、バラバラになっている無数の死体が転がっている。
(これは自分がやったのか‥‥?)
魔物とはいえ、曲がりなりにも人の形をした生き物だ。
大きさでいえば人間の子供だった。
集団の子供達を惨殺したかのような風景。
血まみれの自分。
我に返った瞬間、一気にたらふく食べた朝食と再開した。
(そういう事か‥‥)
初めての生き物を殺す行為。
(朝食をたらふく食べる余裕なんかあるはずもなかったんだ‥‥‥‥なめていた‥‥)
これは自分もこうなる可能性があるという事を思い知らせるという意味でも強烈な光景だった。
無数の生き物を殺した。
(魔物イコール殺してよいのか?!‥‥こいつらの人生、いや鬼生はいったいどんな価値なのか?)
自分の常識では人もゴブリンも人型の生き物には変わりなく散乱する腕や足、首などを見ると完全に人を斬り刻む殺人鬼に感じられた。
一方で自分にも斬りつけられた痛みが再度思い出される。
(‥‥覚悟が必要だ‥‥)
無数の生を終わらせる覚悟。
いつ死ぬかわからないという覚悟。
感覚を麻痺させるのではなく、自分のやっている事の意味、生きる意味をきちんと認識して覚悟を持つ必要がある。
魔物だろうと何だろうと生き物の ”生” を終わらせることに慣れてはならない。
大勢いるであろう冒険者が自分と同じような感覚になるかはわからないが、殺人鬼のように命を終わらせることに鈍感な人間にはなりたくない。
そして自分に対して刃を向ける存在が自分と同じような感覚とは限らない。
自分の常識で相手を見てはならない。
(この感覚を忘れないようにしよう‥‥)
自分の ”生” に対する感覚を変えずに、常識と現実のギャップを埋めなければと、スノウは耐え難い吐き気を噛み締めながら、自分の心を整理し覚悟を決めるべく必死だった。
そしてその覚悟が芽生えた頃、吐き気は自然と止まった。
「フム。良い顔になりましたね。初陣でそのような顔になるとは。ダンディズムとは自分に降りかかる全てを受け止め磨くこと。その決意をした漢の顔です」
その言葉を聞きながら、自分の体に何やら力がみなぎるのを感じた。
どうやらレベルが上がったようだ。
だが、生命力の器は大きくなっていてもそこにたまっている水までは回復しないらしく、疲れは否めない。
ニンフィーが何やら呪文を唱えると、その疲れは消え去りダンジョンに入った時と同じ元気な状態になった。
回復魔法だった。
その後もスノウのレベル上げ戦闘は続いた。
レベル7を過ぎたあたりから、これまでトントン拍子に上がっていたレベルが上がりにくくなってきた。
どうやらこのあたりの敵ではいわゆる経験値というものが低くて、これ以上のレベル上げには時間を要することになってきたらしい。
階層をさらに進むことにした。
20階層に来た頃には、スノウのレベルは10まで上がっていた。
戦いの連続でコツもつかめて来た一方で少し疲れて来たようだ。
ニンフィーによる回復魔法で体力的には問題ないのだが、長時間の集中力を要するため精神的な疲れが出たのだった。
それを察したのかエントワが切り出す。
「そろそろこのあたりで少し休みましょう。レベルは30程度まで上げる必要がありますが、このペースで行けばあと2日もあれば問題ないでしょう。」
(さすが副船長‥‥ありがたい‥‥)
こういう洞察力と判断力をもった上司がいたらスノウの職場ももう少しよくなっていたに違いない。
一行は地上に戻り宿屋で休むことにした。
(帰りもそれなりに戦闘になるだろうな‥‥もう少しだけレベルを上げられるだろうか‥‥戦って分かって来たが、このレベルの上がる感覚は明らかに自分の延命の可能性につながっている。いつ自分ひとり放り出されるかわからないこの世界ではなるべく今のこの状況、エントワやワサンという頼れる存在に守られた状態で自分を可能な限り強化する必要がある‥‥)
そんなことを考えながら歩いていると不意に壁に光る物体があることに気づく。
(ん?なんだ?あれは?‥‥)
導かれるようにその光る物体に近づいていく。
先を歩いていたワサンが急に振り向き叫ぶ。
「オイ!サワルナ!!」
ハッと気づいた瞬間に無意識にその物体に手が触れている。
(罠だ!)
触れた瞬間に光る物体から溢れんばかりの光が一向を包む。
光が消え去った後に訪れる暗闇。
「サイト オブ ダークネス」
ニンフィーの声だった。
途端に視界が開けていく。
「ど、どこだ‥‥?ここは?」
「みなさん、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ」
「アア、モンダイナイ‥‥イヤ、マズイゾ!ニオウ!トリヤロウノニオイダ!」
エントワの表情が一気に引き締まる。
どうやら俺の触れた光る岩は転移トラップだったらしい。
触った瞬間に別の場所に転移させるものだ。
仲間全員が転移されたのは幸運だった。
スノウ1人だけ転移された場合1分と持たないだろう。
「ニンフィー、後方へ、ワサンいいですね?スノウ殿私の後ろへ」
スノウは状況を掴めていないが、テキパキと指示を出すエントワ。
(うろたえるなおれ‥‥)
そう自分に言い聞かせるスノウ。
急いでエントワの後ろに隠れる。
(こういう時に自分がでるなぁ。すぐうろたえる。情けない‥‥)
「な、何もいないけど?」
(いや、いる!魔物の影が無数に!まずい!この数は!熊のような魔物や巨大ムカデ見たいなやつもいるじゃないか!)
しかしエントワとワサンは魔物の群れとは別の方向に目を向けている。
(なぜ?!こんなに目の前に魔物がたくさんいるのに?!‥‥‥‥ん?魔物が動かな・・い?)
「い、、石?いや岩?魔物の彫刻のようだ‥‥!ま!まさか!」
エントワとワサンが向ける視線の先に目をやる。
岩の奥からゆっくりと動き大きな影がゆっくりと動き出す。
次第に影の形が露わになる。
(とり?‥‥やろう?‥‥鳥だ‥‥‥‥)
鶏みたいな見てくれだが大きさは桁違い。
3階建てのビルくらいある。
明らかにこれまで倒して来た魔物とは一線を画す。
これは今のスノウでは太刀打ちできないどころか瞬殺されるレベルだった。
「こ、こいつは?」
エントワが警戒しながら口を開く。
「バジリスクです。そこらに無数に転がっている彫刻はやつの作品です」
(8/28修正)




