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<ゲブラー編> 36.同行者探し

36.同行者探し



―――時を同じくして町はずれの路地裏袋小路―――



「何事か」


「度々申し訳ありません。我が師よ」


以前と同じようにエスカは路地裏の壁に何やら梵字のようなものを指できって描き何かを呼び出していた。

エスカの目の前で発せられる光からなのか、光の奥なのか、それとも光以外からなのか、なんとも掴み取れないところから心がざわつくような落ち着くような低い声が響いた。


「まさかまだかの国を滅ぼしたいと言うために呼んだのではあるまいな?」


「・・・命に従い国を滅ぼすという行為は致しません・・・致しませんが、あの国の王の所業は許し難いのです。私は意味もなく殺される力なき者たちを目にしてきました。そのような人々を守ろうとした強い意志を持った者が無惨にも殺され、その者に生かされてきた多数の弱気者たちが露頭に迷う様も至る所で起こっております」


「それがどうかしたのか」


「どうか?!・・師よ!あのような事があってよいのでしょうか?力なきものが無秩序に無慈悲に殺されているこの現状が、このまま続いていてもよいというのでしょうか?」


エスカは握り拳に一層の力を込めて訴えた。

それに対して光のあたりから返される言葉には苛立ちが混じった心臓を抉るような声の波長で放たれた。


「我の前で秩序を持ち出すな」


「も・・申し訳ありません。ですがこれ以上放っておいたらこの世界そのものが壊れてしまいます」


「ならぬ。まだその時ではない。よいか、お前に下した命を確実に遂行せよ。それ以外はならぬ。もう一度言う。立場を弁えよ。感傷的になるな。命を完うせよ。守れぬならお前を追放せねばならん」


「・・・」


「きゃつが何を選択するのか。その時を見極めるのだ。それが唯一の救いになる。覚えておくが良い、命を完うすることこそゲブラーを救う唯一の道筋なのだ」


「・・・」


エスカが片膝ついて俯いている姿勢から顔を上げると光は消えていた。


(いったい何を待っておられるのか・・・。目の前の善民はどうでもよいというのか・・・)


片膝ついたままエスカは苦悩の表情を浮かべていた。



・・・・・


・・・


―――その日の夕方、宿屋の一室―――


「私はあのダンガーという大男がよいかと思います」


「理由は?」


ソニアとスノウは今日酒場で出会ったダイヤモンドクラスの冒険者3人の中から同行者を選ぶため情報の整理を行なっていた。

そこへエスカが戻ってきた。


「おお、おかえり・・ってどうした?なんか顔やつれてるぞ?」


「ああ、すまない。少し疲れただけだ」


「そ・・そうか。今冒険者を1人選ぼうとしているんだが・・」


「任せるよ。少し眠らせてほしい」


「わかった。ゆっくり休むといい」


いつになく弱々しいエスカにスノウとソニアは顔を見合わせて少し驚いた表情を浮かべていた。

ふたりはあまりうるさくならないように部屋を変えてどの冒険者を選ぶか相談することにした。


「エスカ、変でしたね」


「ああ。なんかあそこまで弱々しいと少し怖いな。いったい何があったのか」


「ええ。でもああいうタイプはこちらから質問しても絶対に答えないので、待つしかありません」


「そうだな」


(ある意味、悩みを打ち明けてもらえないという事はその程度の関係性しか築けていないということだな・・・。それを無理やり仲良しクラブを押し付けても迷惑なだけだ。そっとしておこう・・・)



「それでその大男のダンガーがいいという理由は?」


「消去法です。3人ともダイヤモンド級ですからそれなりの情報は持っているはずです。強さも得意な領域はそれぞれあるでしょうけれど、ダイヤモンドクラスの強さには変わりません。ですので後はキャラクターですね」


「なるほど」


「ザンコルドは無口すぎて正直誘える気がしません。私の力不足なのですが、交渉する時間がもったいないと判断しました。一方のシルベルトは物腰は優しいのですが・・・うまく言えない何か嫌な感覚を覚えました」


「あれか?クエスト行動を共にした者たちがほとんど死んでしまったっていう・・・」


「はい。それは結果だと思いますが、その原因が彼にあるのではと思っています」


「まさか」


「は、申し訳ありません!でしゃばりすぎました。あくまで私の勘ですので、無視していただいて構いません!」


ソニアは顔を赤らめて謝罪した。


「い、いや否定しているわけじゃないよ。いいんだ尊重するし、そんな遜らなくていいから。ソニア、お前の感覚を信じるが、実際に会話を聞いていたソニックの意見も聞きたいんだが」


「はい、スノウ。僕も姉さんと同じ感覚を持ちました」


一瞬で瞳の色が変わりソニックになった。

久々の登場で本人は嬉しそうだ。


「おそらく、金か名誉かわかりませんがクエストという傘に隠れて邪魔な者たちを殺めているのではないかと推測します」


「わかった」


「これは兄弟ひいきではありませんが、この手の感覚というか直感は姉の方が鋭いので、僕でも感じたこの感覚はかなり可能性が高いのだと思います」


「了解、ありがとうソニア、ソニック」


スノウは少しの間考えて答えをだした。



「よし、それじゃぁシルベルトにしよう」


「ええ?!それはなぜでしょう?あ、いえ、決してスノウのご決定に異議を申し立てるわけではありません!」


「焦るなソニック。理由は、もしそのシルベルトが私利私欲のために冒険者たちを消しているのなら、それを止めるべきだとは思わないか?」


「は!さ・・流石はスノウ、我がマスター」


「スノウの思慮深さに感動しております。この地の冒険者や冒険者によって救われる民のことを考えた選択という事ですね。そしてそれを明るみに出す事によりこの国のフォックスに認められると同時に王宮への接触の足掛かりとするだけでなく、王宮やフォックスの力を利用してさらに裏の情報網を築き、ヘクトルの企みを知る土台づくりを考えておられるのですね。私たちには考えも及ばない思慮深さ。改めてこの命あなたに捧げることを誓います」


ソニアに入れ替わったようでルビーのような美しい紅い目から感動の涙をこぼしている。


(ま、まぁそこまで考えてなかったんだけど、そ、そういう事にも繋げられるってことが今わかりましたよ・・・ははは・・)


シルベルトが悪人であっても自分たちが殺されるような力関係はないだろう、うまく利用して最期に悪事を吐かせてフォックスに名を売ろう程度にしか考えていなかったスノウに対して、相変わらず頭の回る賢い姉弟だと思ったが、いつものごとく、この2人にいつ愛想をつかされるかヒヤヒヤするのだった。


「あと、ひとつ相談なんだが・・・」


「はい!」


ソニアは自分が役に立っていないと絶望していたのに対し、相談を持ちかけてもらえた嬉しさから一気に笑顔になって返事をした。


(うう・・言いづらい)


「えっとだな。そろそろエスカにはソニックの存在を話してもいいんじゃないかと思っているんだが・・・」


「ええ?!」


笑顔から一気に絶望の表情に変わるソニア。


「あ、いやソニア。お前が役に立たないとかエスカと仲悪いとかどういうことで言ってるんじゃないんだ・・・はっ!!」


「!!!」


ソニアには役立たずでエスカと喧嘩ばかりしてうんざりだと聞こえてしまったようでスノウはしまったと思ったが、既にソニアはショックのあまり白目を向いて固まっている。


「ソ・・・ソニア!!!」


「スノウ、申し訳ありません。姉は意識の部屋で気絶しています」


ガーン!


スノウはやってしまったと項垂れた。


「ご心配は無用です、スノウ。仰りたかったのは、今後どのような相手が敵として現れるかわからない中で少しでも戦力を上げていくために僕と姉さんの炎と氷のコンビネーションが必要だということですよね。特にこの世界は炎の世界。僕の冷気が必要になるタイミングが出てくる、そういうことですよね」


「そ・・・その通りだソニック。悪いがうまく伝えておいてくれ」


「もちろんです、スノウ。マスターにお願いするのは不躾で申し訳ないのですが、落ち着いたら姉に一言ねぎらいのお言葉をかけていただくことはできますでしょうか?」


「も、もちろんだよ!」


「ありがとうございます。喜怒哀楽の激しい姉にとってスノウのお言葉が一番のモチベーションになります」


「そ、そうか、わかった」


・・・・・


・・・


―――翌朝―――


「という訳だ」


「そうか。なんとなく2面性を感じていたのだが、これで納得した。弟の方は冷静で私と気が合いそうだ。しかし、不思議なこともあるものだな。脳筋に近いコウガには理解できないだろうし、阿呆のグレンはソニアが男だったと喚き散らすのが目に見えているから言わない方がいいだろう」


エスカは意外にもすんなりとソニアとソニックの二魂一身に理解を示した。

それどころかソニックに行為的でさえあった。

ソニアとのやりとりが面倒な時にソニックに代わってもらうことで楽になると期待でもしているのだろうとスノウは思った。


「エスカさん不束な姉と同様によろしくお願いします」


「いいだろう、よろしくソニック」


「ちょ、ソニックあんたね!なんで私が不束なのよ!それに私はこの女によろしくしてもらうつもりは全くありませんからね!」


「わかってますよ姉さん。人としての礼儀、挨拶はマナーでしょう?姉さんは大人だから心象悪いかもしれませんがグッと堪えていただける女性ですよね」


「も、もちろんだわ!よ、よろしく頼むわよ!えっと、弟のことだからね!」


「ということです」


ソニックは苦い笑顔を浮かべている。

ソニアにとっても面倒な時ソニックに代われる気持ちの余裕ができたのかもしれない。


「そして、情報収集とこの国への慈善事業の一環でシルベルトという冒険者を仲間に入れようと思う」


「どういう人物なのだ?そのシルベルトという輩は」


「まぁ、直感通りであれば表面的にはナイスガイ、だが本性は性悪な犯罪者ってとこだろう」


「いいのか?レヴルストラというトライブはお前にとって思い入れのある絆なのだろう?そんなやつをレヴルストラに加盟させて」


「加盟はさせない。フォックスにも登録はしない。あくまで同じクエストを受けるヘルパーという位置づけだ。ありがとうエスカ。おれのレヴルストラへの思いを汲み取ってくれているとはな。まかり間違ってもシルベルトのようなやつがレヴルストラを名乗ることは絶対にありえないから」



・・・・・


・・・


昼前にフォックス横の酒場バンナミへ赴いた3人。

シルベルトは予想通り酒場で食事を摂っていた。

昨日ソニアが王宮クエストと高報酬を匂わせていたことから必ず待っていると踏んでいたが、予想は見事に的中した。

ダンガーとザンコルドはいなかった。



「ということで2つの王宮クエストをクリアするという前提で一時的に同行してもらうことは可能かしら?」


ソニアがシルベルトに正式に話を持ちかけた。


「本当にいいんですか?私なんかで。お忘れではないと思いますが、私は呪われているかも知れないのですよ?」


「大丈夫よ。我がマスターにそのような呪いは効かないから」


「ははは、よくわかりませんがご納得の上ということでなら喜んで仲間になりましょう」


「いえ、2つのクエストをこなすために目的を同じにして行動を共にするという関係でお願いするわ」


「はぁ、なんだかよくわかりませんが、私もそのクエストを受ける形となり、報酬も得られるわけですよね?」


「もちろん。それは保証するわ」


「いいでしょう」


「ありがとう。フォックスで正式クエスト受領する前に我がマスターともうひとりの仲間を紹介するわね」


「そうでしたね、たしか3人だけで心細いというお話でしたね」


ソニアは心の中で舌打ちした。

スノウを前にして3人の実力では心細いという言葉を吐いたら殺してやろうと思っていた。


スノウとエスカのいるテーブルにシルベルトを連れていくソニア。


「マスター、紹介しましょう。私たちが受けるクエストに同行してもらえることとなったシルベルトです。シルベルト、こちらは我がマスター、カムス様、そしてこの目隠しをしているのが用心棒のアンです」


「お初に、カムス様、アン殿」


「シルベルトさん、初めまして。カムスで構わないよ。君と私は何か主従関係や師弟関係があるわけではないからね。この国は初めてなので色々と教えて欲しい。短い間かとは思うがよろしく頼むよ」


スノウは軽く会釈をした。


「私のこともアンで構わない」


無愛想にエスカもアンを演じて答えた。


「ありがとうございます、カムス、アン。私のこともシルベルトで構いません」



・・・・・


・・・


それからソニアは4人でクエストを正式に受領し、4人でクエスト内容をこの国の情報整理と共に整理し始めた。

スノウたちが受けた王宮クエストは2つ。


<王宮クエスト1005235>

・依頼内容:植物が育ちにくい土壌となってしまった原因を探り、解明してほしい。

・報酬100万ガル



<王宮クエスト1002775>

・依頼内容:地下迷宮で出ると噂されているライオンとも蛇ともわからない奇妙な見た目だが獰猛かつ恐ろしく強い魔物が出現した。いつ地上に現れるかわからない。退治してほしい

・報酬:18000ガル及び可能な限り希望に沿った報酬


「そうですね、まず先に2つ目の地下迷宮の魔物退治からがよいかと思います」


「ほう、なぜかね?」


「植物が育ちにくい土壌となってしまった原因には土壌への何らかの影響があるからですが、地下迷宮で何かが起こっている可能性があるのではということです。丁度ゾルグ王国の使節団がこのレグリア王国にやってきて帰国された後に突然土壌が悪化したのですが、タイミングとして彼らがこの土地に何か手を加えたのではないかという噂が一番濃厚ですし、私もそう思っています」


「なるほど」


「そして土壌を汚染するのに際し、土地に何かをばら撒くというのは非効率ですし、そのような動きはありませんでした」


「つまり?」


「土壌を一気に汚染するためには水に何らかの毒を混ぜて汚染するのが手っ取り早いということです」


「なるほど。だが、それでは飲料水なども汚染されてそもそも植物が育つ育たない以前に人々が体調を崩すのではないか?」


「いえ、このレグリア王国は建国以来農業が盛んで農業の治水事業に多額の資金と労働力を投入してきた歴史があるのです。現王の曽祖父にあたる王の時代からこの地に洪水などが発生せずにきちんと用水が引けるようにしたのですが、その中の一つが地下迷宮でこれは雨水を飲料用と農地用に分けて供給するように設計されているのです」


「なるほど、君の仮説ではそのゾルグからきた使節団が農業用の水路に毒のようなものを混入し土壌を汚染させたということなんだね」


「そうです。ですので、先に地下迷宮を探索するのが論理的かと思った次第です。もしかすると魔物はゾルグ王国使節団がその土壌汚染を隠し、排除することを妨害するために置いた可能性さえあると私は考えています」


「筋は通っているな。だが、もしそこまでわかっているのならどうして君はその対応を取らないんだ?」


「おっしゃる通りですね。お恥ずかしながら私は怖いのかもしれません。怖くて行動に起こせなかった臆病者なのかもしれません。私が行動を起こすには単独では難しいですがまた死者を出しかねない。それにそれなりに強い者でないと魔物を倒すことすらできないかもしれない。私はこの通り、マジックキャスターですから前衛の攻防力があってこその存在です。そういう信頼できる仲間というものに巡り会わなかった・・・言い訳ですね」


「いや、臆病であることは決して悪いことではないよ。弱さを知ることはとても大事だ。自分の力量を正しく把握するだけでなく、自分以外の心の内をちゃんと理解することにもつながる。世の中強者ばかりではないからね」


「ありがとうございます。あなたは素晴らしい人だ」


「だが腑に落ちないな。別にお前が動く必要もないだろう?他にも冒険者はいるはずだ。その者たちに出向かせることもできたはずだ。この国を思うならな」


「・・・」


エスカの発言にほんの数秒沈黙があった。

ほんの一瞬、認識できるかできないかのほんの一瞬だが禍々しい気をスノウ、ソニア、エスカは感じた。


「おっしゃる通りですね。他の誰かに手柄を取られるのが嫌だったのかもしれません。私のひねくれた性格のせいかもしれませんね。そういう意味では私はこの国に貢献できていません。ダイヤモンドクラスでありながら・・・。全く情けない限りです」



「まぁそう言わないでくれ。別に責めているわけじゃないんだ。この者の非礼は詫びよう。この通りだ」


「いや、そんなつもりで申し上げたわけでは・・・どうか頭をお上げください」


頭を下げるスノウに慌てるシルベルト。


「まぁでもこうやってこの国の役に立てるチャンスが巡ってきたということがありがたいことです」


「そうだな。それでは出発は明朝ということで。それまでに各位準備を整えておくようにしよう。それでよいかな?」


3人は頷きそこで解散となった。


・・・・・


・・・


―――宿屋に戻ってーーー


「スノウ、感じましたか?」


「ああ」


「あれほど異様なものを感じたことがない。人間で出せるものなのか?」


「おれ、いやソニアやソニックも感じたことがある。人智を超えた存在のあの禍々しさを。だが気のせいもあるだろう。そんな存在がこんな場所で細々と冒険者をやっている理由も理屈が通らない。泳がせよう。だが油断は禁物だ1人で行動は絶対に避けるんだ」


「はい」

「わかった」



・・・・・


・・・


―――翌日―――


「さぁ出発だ」


フォックスを待ち合わせ場所にしており時間通りに集合した4人は地下迷宮入り口に向かった。

入り口はこの巨大な街の中心にある一等地の芝生で綺麗に緑がかった小高い丘だった。


「シルベルト、そういえばこの街、首都であるのもあるが、これほどの規模の街でありながら城の大きさが釣り合っていないのと、今向かっている中心の広い丘だが、普通に考えればあの位置に城があるはずなんだが、なぜあそこには何もないんだ?」


「あれは、5年前まではあの場所に立派な城があったのです。それは立派なものでした。ですが、例のゾルグからの使節団が帰った直後からそこで働く者が次々と倒れ始めまして、死者もかなり出たと聞いています」


「まさか、仮説にあった毒の影響か?」


「と私は睨んでいます。王家の身を案じたことと、これ以上あの場で王政を執り行うことは不可能と判断し、丁度この街の中にあった大農園をその地主が無償で提供して仮の城を建てたのです」


「なるほど」


スノウたちは納得した。


「だが、植物が育たないはずだが、あそこには芝生が生えているじゃないか?」


「いえ、あれは芝生ではありません。誰も立ち入らないように城も取り壊した後、なぜかあのあたり一帯の土や石が緑色に変色し始めたのです。その結果があのような美しくも毒々しい緑色になっているというわけです」


「え?!あれは芝生ではなく、土や石があの色に変化してるということかい?」


「そうです」


(この国に一体何が起こったって言うんだ?これはこのクエストを完了した後、王宮に出向いて何とかゾルグ使節団と何があったのかを聞き出さないとならないな・・・)



城跡の小高い丘に近づくにつれて、シルベルトが言っていたことが本当だとわかった。

まるでペンキで塗りたくったかのような不気味な真緑の土と岩や石。

仮にゾルグが強大な力を持っているとしても土や岩岩をこのような状態に変えられるものだろうか。

何かまだ見たことのない魔法か。

スノウは思案を巡らせていた。

そして貧しい暮らしの中でもお互いを思いやって笑顔を絶やさず暮らしている街の人々の顔を思い出し必ず解決すると決意新たにしたのだった。






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