<ホド編> 1. アレクサン
1.アレクサン
視界が光に包まれた直後一気に視界がひらけた。
そこは黒光りした黒曜石のような素材で作られた部屋だった。
いや、部屋どころかそこから続く廊下や転送装置と思われる機械まで黒曜石でできているようだ。
「おお、余計なとこ触るなよ?これは世界に1隻しかない貴重な船なんだ。しかも神からの借り物だからな。壊したりしたら3回転生してもまともな人生送れねーくらいの呪いがかかっちまう。はっははー」
(はは‥‥呪い‥‥迂闊に触るのはやめよう‥‥しかし随分明るいやつだな‥‥)
天井に頭を擦りそうになりながら陽気に笑っているアレックス 。
スノウにとってこういうあっさりしてるタイプは接し方として楽な方だった。
「しかしすごいなこの石造りなのに未来的な感じ。なんか昔見たアニメの空飛ぶ城みたいだな」
「ん?なんだそのアニメっていうのは?神の名前か?」
「あ、あぁいやなんでもないよ。」
(いかんいかん、反省した矢先から何も考えずに話してるじゃないか‥‥記憶喪失装っているんだからペラペラ喋ったら余計に怪しまれる‥‥)
ついつい軽率に警戒を解いてしまうスノウ。
(しかしこのアレックスはあまり気にしないタイプのようだし、少しこの世界をわかっていない状況を見せて色々と聞き出すのもいいかもしれないな‥‥)
情報収集は重要だとスノウは思った。
「それで、人間BBQになる前に助けてもらってこんなこと言うの何なんだけどさ、この後おれはどうなるのかな?ちょっと色々とあってここ最近の記憶がないんだ。自分が今どこにいてどんな状況かわかってなくてさ‥‥」
スノウは再度気の毒な記憶喪失者を装ってポジティブに少し頼ってみた。
「んぁ?どうもしねーよ?帰りたけりゃ帰ればいいし、ここに居座りたいというなら拒まねぇ。近場のステーションで降ろせと言うなら降ろしてやるしな。それはそうとお前なんで記憶なくしてるんだ?」
(なんだ?近場のステーション?駅でもあるのか?そこに行けば家に帰れるんだろうか?そもそも変な光のゲートくぐって宇宙を飛んで来てるわけだし‥‥‥)
スノウはあまりの非現実的な状況の連続でうまく整理できなかった。
(あ、あれか?宇宙を旅する蒸気機関車的なやつか?でも金が‥‥‥そもそもお金ってあるのか?昔自分の寿命を金がわりにしてる映画があったが、何か自分の重要なものを使って利用するシステムかもしれない。この辺りも聞いてみた方がいいな)
非現実的な状況に元いた日本のSFの知識が溢れ出てきて想像が想像を呼んで思考が明後日の方向に進んでいる。
(何より富良野さんを探さないと帰れない気がする)
結局はこの結論に行き着く。
とにかく状況を把握する事が先決だとスノウは思った。
「どうやら落下の衝撃で頭を打ったみたいで、どこから来たかの記憶もなくしてるみたいなんだ‥‥。そ、そのステーションに行くとあの光の川に乗れるのかな?‥‥もしそうならとりあえず近場のステーションで降ろしてもらえると嬉しい。ステーションというからには何か乗り物で移動できるとかなのかい?」
頷きながら答える。
「記憶なくしてるとはそりゃしんどいな!確かにあんな思いっきり水面に叩きつけられりゃ記憶も失ったりするか!はっははー!」
軽い。
「光の川‥‥カルパだな。ってことはお前は越界者ってことになる。恐らく落下衝撃でカルパに入る前の記憶が無いのだろうが、残念だがステーションからカルパ‥つまり光の川には行けねぇなぁ。でもまぁいい、ステーションで降ろしてやってもかまわねぇがお前、ホドフィグは使えるのか?」
「ホドフィグ?」
「あぁ、そうだったな、記憶なくしてんだったな。てかこのホドの記憶そのものも無いんじゃ無いのか?‥‥まぁいい、腕見せてみな?」
右手首を指差して言う。
スノウは着ているシャツの袖を捲りアレクサンの指している右手首を見せる。
「ほう!おお!あのくそったれタトゥーがねぇな!残念だが、ステーションから出てる乗り物に乗れないどころか、ホドカンの中でお前1人じゃぁ飯も食えねぇだろうな」
アレックスは絶望的なことをなんとも嬉しそうにいう人物だった。
「そのくそ‥‥タトゥを入れればなんかできるようになるのか?」
「ああ、そうだぜ。町の8割はそのくそったれタトゥに溜め込まれる忠誠心ってやつがないと酒も飲めねぇし、何も買えねぇし、宿に泊まったり、何ひとつサービスを受けたりすることもできねぇ。つまり、何も得られねぇってことだ。この世界で生き抜く術をしらねー記憶喪失のお前じゃぁ腹減って死ぬだけだな!はっははー!」
(笑ってやがる‥‥)
「あと、ホドカンってなんだい?」
「ホドカンってのは、‥‥あぁーめんどくせぇ、あとで俺の部屋で説明してやる」
(面倒臭がり屋だなぁ‥‥。だが、なんとなくわかってきたぞ‥‥)
どうやらそのホドフィグというものを使う許可を得ないとなんのサービスも得られないらしいが、くそったれといってるところからすると、アレックスはそのシステムを嫌っているようだ。
タトゥのないスノウに好感じみた反応をみせたところからすると、アレックスも使えないようだとスノウは推測した。
おそらく忠誠心をポイントにしているとすると、何かしら奉仕したり、貢献したりするともらえるポイントかなにかで、それをタトゥで溜め込むって仕組みのようだ。
ホドフィグが金と同等だとするとその宗教じみた信仰は金を集めるのが目的じゃぁなく、信仰を広めて地位を確保することが目的なのでは?とスノウは思った。
アレックスが毛嫌いしてる様子からすると、その元老院とかいう教祖みたいな存在を嫌っているのだろう。
(もう少し情報を聞き出す必要があるな。生きていけるかどうかの瀬戸際だ。それと聞き方も気をつけよう。いつ敵と見なされるか分からないからな)
それはそうと、自分の持ち物くらいチェックしておく必要があるとスノウは今更ながら気付く。
あとで確認することにした。
「んぁ?本当に何もしらねーのな、にーちゃん。よしまずは俺の部屋に来い。この世界のことを教えてやるよ」
そう言って案内されるままに黒曜石の廊下を歩いていく。
エレベータのような上下に移動する床に乗って上へ進んだり、5分くらい移動しただろうか。
しかしこのヴィマナという船らしきものはとてつもなく大きい。
やがてアレックス の部屋に着く。
石の扉が彼のかざす手に反応し消える。
現代社会ではあり得ないSFレベルの科学力だ。
部屋に入ると、20畳くらいの空間が広がっており、中央にこの世界を形取っているのであろうホログラムが映し出された台座がある。
奥にはベッドやキッチン、シャワールームと思われるような生活感ある設備がならんでいる。
(扉が消えた。それにホログラム‥‥このSFそのもの状況‥‥一体なんなんだよ‥‥)
「よう、にーちゃん、まーそこに座ってくれよ。これから簡単にこの世界のことを説明するからさ」
「あぁ、ありがとう。というかさ、さっきからにーちゃんって呼んでくれるけど、明らかに君の方が年下だと思うんだが‥‥」
「んぁ?なーに言ってんの!自分の顔鏡で見てみろよ?その顔が俺より年上っていうなら俺へこむぜ?‥‥これでも俺、20歳そこそこのイケメンって言われてんだぜ!‥行きつけの酒場じゃぁ女どもが放っちゃ置かないほどにな!はっははー」
(まったく、何いってんだか‥‥)
スノウは面倒だが言われるままに鏡のような鏡面の黒曜石に移る自分に目をやる。
(!!!)
「なっ!、なぁぁぁぁぁにぃぃぃ?!若っがえってるなぁぁ?!」
なんと自分の顔が若返っている。
年の頃でいうと18歳くらいか。
「わ‥‥若い‥‥」
(あの、ビジネスパーソンとしての脂ののった感じや大人の余裕、貫禄、ダンディーな雰囲気は消し飛んで、なんとも幼稚だったジャリ時代の風態になっている‥‥いや、調子に乗って嘘ついた‥‥そこそこ年相応に老けて頼りなさそうな風体の雰囲気は消し飛んで、これから生活費稼ぎながら大学を出なければとプレッシャー抱えて頑張ろうとしていた頃のおれ‥‥‥これもこの世界のSFのひとつなのか‥‥だが、異常にリアルだ‥‥今更ながら肌触りや質感、空気の匂いや温室度の感覚、視界に入ってくる明暗や色使い‥‥全てが現実のそれと一切変わらないリアルさ‥‥)
自分の行動が明らかにおかしいと認識しつつも、スノウは目の前にあるカミソリで自分の指を切ってみる。
「お、おい!にーちゃん!お前なにやってんの?!自分で自分の指切るってよー!」
痛い。
そして現実世界で何度か見たことのある血が自分の指から流れ落ちる。
鼓動に合わせて痛みが走る。
「リ、リアルだ‥‥現実だ‥‥」
(これは‥‥しかも、傷ができるし血も流れるということはこんな世界でも致命傷を追えば死ぬ!)
そういえば殴られたり、火傷したりだが、なぜか傷がいつの間にか消えているのにスノウは今更気づきやっぱり夢かと一瞬思ったが、滴る血を目の当たりにし無茶すれば自分は死ぬ可能性があると悟った。
「あぁ、ごめん、なんかおれ記憶喪失みたいで混乱しているんだと思う。もう落ち着いたから大丈夫だよ。ちょっとすまないけど、包帯みたいなものもらえるとうれしいのだけど」
「そっか、そりゃぁ大変だな!困ったことがあったらなんでも言ってくれ!ってかよー、傷もう治ってるぜ?」
(えっ?!)
本当だ。
見た感覚はリアルでも現実と思えない感覚から、意外と思いっきり切った傷は結構深かったのだが、傷跡すらないほどに元どおりに治っている。
残っているのは先ほど吹き出した血の跡だけ。
(おかしい‥‥異常だ‥‥)
異常な速さの治癒スピードだ。
殴られたような痛みの痕や火傷痕が消えていたようにさっきの切り傷も消えた。
痛みと流れ出る血の感覚はあったが、ものすごいスピードで治っている。
「んーなんだか知らねーけど、にーちゃん、名前と同様に本当に英雄神の半身か何かだったりしてな?はっははー」
血を拭き取った後、アレックスからこの世界についての話を聞いた。
「いいかい?にーちゃん。この世界はまず見てもらった通り、全て水だ。厳密には海だな。今、人族が認識している上ではこの世界にランドはねぇ。ランド、つまり陸地だ。その陸地がねーんだ。だから水上と水中にホドカン、つまり人口の居住区を作ってそこに居住している。」
ホログラムを示しながらアレックス の説明が続く。
確かにこの世界表面には陸地のようなものはなく、3箇所のホドカンと呼ばれる巨大な水上・水中の街があり、それらは線でつながれていた。
「それでな、このホドカンを結ぶ線が魔導列車アレトガだ。人々はこのアレトガを使ってホドカンを移動するんだ。もちろんさっき言った通り、元老院に忠誠を誓っているやつしか使えねぇ、まさに使えねぇ代物だな」
「この黒い点と黄色い点はなんだい?」
「んぁ、まずこの黄色い点は破壊されたステーションだ」
「破壊?!」
(こんな巨大な建造物を破壊する力ってなんだ?自然災害かな‥‥巨大なハリケーンや地震・津波とか。もう少しこの世界のことを知る必要があるな)
スノウは一度に流れ込んでくる大量の情報をどこかで整理しなければと思った。
「あぁ、漆市という名前のステーションでな、巨大な亀のロン・ギボールに破壊されたんだよ。陸地みてーに巨大な亀が起こした津波で水上のステーションは一撃で壊滅状態になった。水中も海水が浸入して人が住める状態じゃぁねぇ。この世界屈指の船騎隊が挑んだが、海じゃぁやつの土俵だ、歯がたたねぇ」
(きょ、巨大亀‥‥あの亀みたいな大怪獣ギャメラーみたいなやつか。まさにSFだな)
「そんな巨大な亀がいるのか‥‥‥でもなんで襲って来たのかな。それに船騎隊って?」
「んぁ、船騎隊ってのは戦闘船アーリカや巨大戦艦グルトネイを持ってる軍隊だよ。ステーションを様々な魔物や海獣から守るこの世界の軍事力ってやつだ。。だがよー、海じゃぁ奴に分がある。奴の手ビレのひとかきで発生する大津波であの大戦艦グルトネイすら動きを封じられた」
「なんかその目でみてきたような話ぶりだな‥‥‥その亀による破壊は最近のことなのかい?もしかしてその場に君がいたとか?」
「あぁ、いたさ!俺の親父は第一艦隊長で火のアーリカ隊を指揮していたんだ。そして‥‥あのにっくき亀になすすべもなく沈められた‥‥軍事訓練見学でグルトネイに乗って見てた子供の頃の俺はそれをただただなす術なく見てるしかなかったんだ!仲間の船をかばって最後までなんら効かねぇ攻撃を続けて傷一つ負わせることなく沈んだよ、親父の船はな!」
ホログラムの台座を壊れんばかりに掴みながら声を荒げるアレックス。
小さい頃の記憶をいまだに感情露わに話すとはよほどの出来事だったのだろう。
「だからよー、俺は!このヴィマナを空に飛ばして亀を殺すんだよ!誰一人信じてねーけどこのヴィマナはかつて空を制した巨大飛空船なんだ。‥‥俺はな!この赤い点のダンジョンに眠ると言われているこの船を空に飛ばす飛翔石を手に入れてこのヴィマナを飛ばし、かの腐れ亀ヤロウを殺すんだよ!」
(亀はアレックスの仇なんだな‥‥しかしこのアレクサンという男は心が引き込まれるような感じになるやつだな‥)
今の話にも入り込んで同情してしまった。
この男にはそういう魅力があるのだろう。
話の内容は気の毒に思うがこの男の魅力はスノウにとって羨ましいものだった。
だがはやりちょっと情報量が多い。
一旦整理しないと話についていけなくなりそうだと改めてスノウは思った。
ここはホドと言われる海の世界。
陸地はなく、ホドカンと言われる人口島が4つ。
元老院が統治していてホドフィグと呼ばれるタトゥーに信仰心がカウントされるシステムで、それを使って買い物やサービスを受ける経済体系。
そもそもタトゥーがないと信仰心という貨幣を得る事すら出来ない。
最低限の生活すらままならない。
ステーションのうちの一つは、ロン・ギボールという巨大な亀に破壊された。
それを阻止しようとしたアレックスの父は船騎隊と呼ばれる船団で迎撃したが敗れ亡くなった。
アレックスはその巨大亀を倒し父親の仇を取ろうとしている。
そのためにこのヴィマナと呼ばれる船を空に飛ばそうとしている。
(ところどころ不明点があるけど、ざっと整理するとこんなところか‥‥)
「ま、目的はそれだけじゃないけどな!」
アレックスは平手に拳を当てながら何かに思いだしたかのように話を進める。
「ほとんどの奴らは永劫の地を探すことを作戦としているよ。陸地があれば勝機はあるからな。大きな防御壁を作って津波を防ぎそこから集中砲火することで奴を殺せると思ってやがる。だがな!そんな陸地はないんだよ!」
「永劫の地?」
「んぁ、そうだ。この見渡す限りの海に陸地があると信じてるやつらがいて、そこを永劫の地と呼んでるんだ。それを広めてるのが元老院のクソジジィどもだな。そのクソジジィどもや信者達はダンジョンの最下層に永劫の地につながる転移法陣があるって信じてやがる・・・」
「転移法陣?」
「知らねぇか。なんつーか転送装置だよ、このヴィマナにあるようなやつだな。その転送装置から永劫の地に飛ぶことができるというお告げがあったんだ。中央元老院の一人の巫女が占ったらしい」
「だがなぁ、おれはこのヴィマナで世界をくまなく回った。見渡す限り海・海・海だ。仮に陸地があったとしても、あの亀を倒せるだけの艦隊陣形を取れる広さがなきゃだめだ。だが、そんな広い陸地はねーんだよ」
相当な想いで世界を旅したのだろう。
そして陸地がないと認めた時の絶望も計り知れなかっただろう。
それでもこの男は希望を捨てていない。
本当に強い意志を持った男なのだと感じる。
自分にはない、そういう芯の強さをもった人物だとスノウは思った。
「そっか。おれはアレックス、君を信じるよ。」
「ん?あぁ、ありがとよ。しかしお前、変わったやつだな。普通は信じねーんだがな」
「さっき言ってた中央元老院?と巫女の占い?ってのは?」
「ああ、その巫女のお告げによると、空から降る神が光の矢をもって永劫の地に導くとある。その神がダンジョンの最下層に眠っていると。それを聞いた政府のやつらは神を転送装置と読み替え、光の矢を現存する兵器火力としてあの亀を倒せると解釈したんだ。確かに情報筋では元老院は恐ろしい兵器を持っているらいしい。古の技術で作られた破壊兵器って噂だ」
「神・・・。兵器・・・」
(破壊兵器というと爆弾とミサイルとかが ”?” だけど神と古の技術ってワードが出てきた‥‥)
「だが、それを使うには衝撃が大き過ぎてステーションでは使えないらしいんだ。だから永劫の地と呼ばれる陸地が必要でな。あいつらは必死になって探している。まぁやつらに信じられるのは、今手にあるその恐ろしい兵器しかないからな。巫女の予言もそう解釈されたってわけだ。」
「なるほど」
「それで今冒険者たちがこぞってダンジョン攻略に乗り出している。多額の報奨金がでるからな。俺はそんなチンケなもんはほしくねぇ。このヴィマナを飛ばす飛翔石が手に入ればいい」
「でもダンジョンって言ってるけど、陸地はないんだよね?どこにあるの?そのダンジョン」
「んぁ、ホドカンは地底に繋がっているからよぉ、その中に洞窟があってそれがダンジョンって言われてるんだ」
「なるほど!あと飛翔石ってのは?」
「んぁ、飛翔石だ。文字通り飛翔する石だ。これを使うと飛翔することができるっていう貴重な石だ。だが、純粋な飛行力を抽出することが難しいんだ。どうやっているか全くわからねぇ。だからいまじゃぁ御伽話になってる。」
「でも君は信じてるってことだね?」
「質問が多いな!そうだ。それがありゃぁこのヴィマナを飛ばせる。空を制すれば亀を必ず殺せる」
「でもそれって、その、元老院?ていうこの世界を牛耳ってる感じの組織からすると、なんていうか異端な思想なんじゃないか?巫女さんの予言と違うこと言っているわけだから」
「おお、鋭いな!そうだ。俺は異端児だ!はっははー。誰がなんて言おうとおれは自分の信じる道をいくだけだ!」
気づけば話に引き込まれている。
スノウはどんどんアレックスの話に食いついて気づけば色々と質問をしてしまっていた。
いずれにしてもさっき会ったばっかりの空から降ってきた怪しい男にある意味、危険思想な感じの身の上話をするのだから、簡単に人を信じる相当なお人好しか馬鹿かどっちかだなとスノウは思った。
「今頃になってあれだけど、とりあえず助けてくれてありがとう」
「んぁ?ああ、まぁな。俺の細胞が助けろって言ってたからな。自分には嘘はつかねぇ。それがおれの唯一の自分との約束だ」
(名言だな。なんとも豪快なやつだ。)
「んぁ、でもただでとは言わねよ?この世界に慣れるまでっていっても、ここに居座りたいなら働いてもらうぜぇ?はっははー」
(前言撤回だ‥‥‥)
いよいよ<ホド>編がスタートします。




