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<ゲブラー編> 12.ルーキー4

12.ルーキー4



 『ワァァァァァァァァ!!!!!』


 アムラセウムの闘技場に入ったスノウたちは大歓声に包まれた。

 既に4人ともグラディアートリアと呼ばれる剣闘士協会にエントリーしており、いつでも自身のクラスに応じたグラディファイスに参加できる状態にある。

 今、目の前にこれから自分たちが出場するであろう戦いの場があった。

 そして熱い視線で怒号にも似た歓声をあげている大勢の観客たち。

 圧倒的な雰囲気に飲みこまれてしまいそうな、そんな雰囲気だった。


 「すげぇな‥‥」

 「臆することはない。自分の実力をとにかく発揮することだ」

 「今行われている剣闘は1対1のフェイターと呼ばれるものね」

 「頭痛に響く‥‥」


 4人は先ほどグラディアートリアに登録する際に基本的な情報を得ていた。

 剣闘には大まかに4つの種類がある。


  ・フェイター:1対1のバトル

  ・マニエ:複数が一同に介し戦う。バトルロイヤル。

  ・ジャダ:5人のチーム勝ち抜き戦。

  ・ハディマン:1対複数の戦い


 その他には騎馬で戦ったり、投擲武器だけで戦ったり、武器を一切使わず戦ったりと様々なスタイルがある。

 目の前の闘技エリアで行われているのはエスカの言う通り、フェイターと呼ばれる1対1のグラディファイスだった。

 闘技場の周囲には様々な武器が立てかけられており、好きなタイミングで好きな武器を使うことが許された試合のようだ。

 屈強な男が小柄で細身の男と戦っている。


 「あいつは‥‥」

 「グレン、あの戦っている者たちを知っているのか?」

 「あのでかい方は知らないが、小柄で細身の方は見たことがある。たしかローラスのメザってやつだ」

 「強いのかい?」

 「見てればわかる」

 「それもそうだな」


 ローラスは上位20位のクラスの名称だ。

 ガタイのいい屈強な体つきの男は巨大な斧を振り回しているが、重量武器にもかかわらずまるで木の棒でも振り回しているかのように軽々と扱っていた。

 その風圧でメザと呼ばれた小柄で細身の男は吹き飛ばされておりなかなか攻撃を与えられずにいた。


 「劣勢に立たされているように見える」

 「お前の目は節穴?コウガ」

 「節穴とは心外だなエスカ。俺はただ今の状況を口にしただけだ」

 「あらそう」

 「だが、おそらくあのメザという男、武器を弓に持ち変えるはずだ」

 「なんでそう思うんだ?コウガ」

 「彼の体つき。右の背筋が異常に発達しているように見える。あれは弓を引く力が相当強い証だ。そしてあのガタイの良い男の振り回す斧の風圧に対抗するには風の抵抗が最も少なくて済む武器が必要だ。普通なら矢すら吹き飛ばしてしまうだろうが、あのメザの体つきから見れば問題ないだろう」

 「正解ね。先ほどの節穴発言は取り消すわ」

 「ありがとう」

 「お前らなんだか気が合いそうだな」

 「‥‥‥‥」


 コウガの予想通りメザは飛び跳ねながら弓矢を手にした。


 「俺様の斧に弓矢で対抗かぁ?!バカにしてくれるじゃぁねぇか!ローラスだからって過信しすぎじゃねぇのか?」


 大男は体を回転させながら巨大な斧を振り回し、竜巻のような風の流れを作り出している。

 一方メザは弓を分解し、弦を短くして張り直した。

 そして素早く弓を弾き始める。

 細い腕が異常なほど盛り上がっている。


 バシュゥゥ!!


 一般人には見えないほどの矢のスピードだった。

 放たれた矢は遥か先の闘技場の壁に突き刺さっている。

 しばらくすると大男の回転は弱まり、そして力なくその場に崩れた。

 大男の額から血が滴っている。

 審判が詰め寄り状況を確認する。


 「勝負あり!勝者インビジブルアロー・メザ!」

 『ウァァァァァァァァァァァ!!!!!』


 地鳴りのような歓声が響く。


 「何がどうなった?」

 「メザが放った矢が見えない速さであいつの眉間を貫いたんだろう!」

 「相変わらず見えない矢、インビジブルアローだな」

 「なんだ?インビジブルアローって」


 スノウがグレンに聞く。


 「見えない矢って意味だな」

 「知ってるよ。なんで二つ名みたいなのがついてるんだって意味の質問だよ」

 「ああ、そういうことか。ローラスになると名乗れるんだよ。でも大体が観客やファンたちにつけられたものをそのまま使うけどな」


 スノウは少し嫌だなと思った。

 いわゆる小っ恥ずかしいというやつでスノウが苦手なもののひとつだった。


 (勝ち進んでいく自信はあるが、変な名前をつけられるのは耐えられん‥‥)

 「おいスノウ!次のグラディファイスが始まるぜ!」

 「ひっきりなしだな‥‥」

 「そりゃそうさ!グラディアートリア登録者数どれくらいだと思ってんだ?3000人だぜ?!ちんたらやってたら一生自分の戦いが巡って来こねぇってもんだ!」

 「確かに‥‥」

 (そんなにいるのか。でも入れ替わりも激しいんだろう。さっきも1人亡くなっているしな)


・・・・・


 その後5試合が行われた。

 これだけの大歓声の理由はグラディファイスそのものがエンターテイメントでもあるが、観客が勝者に賭ける “賭博” もあった。

 ローラス以上のスターグラディファイサーが出る際も盛り上がるが、賭けとして盛り上がるのがグラッドが出る試合だった。

 どちらが勝つかわからない状況の中で勝てば大金が得られるチャンスがあるからだ。

 特にバトルロイヤルのマニエは最高の盛り上がりを見せる。

 そうこうしている内にその日の最後のグラディファイスとなった。


 「おい!バルカンが出るぞ!」

 「誰だ?バルカンって」

 「スノウ、流石に彼を知らないとなると問題だぞ。俺たちが頂点を目指す上で必ず立ちはだかる強者のひとり。エクサクロスと呼ばれる上位3名の内のひとりだ。実力的には3000人の中の2番目と言われている」

 「へぇ‥‥」

 「興味ないのか?どれだけ余裕なんだ?君は」

 「因みに1位は誰なんだ?」

 「スノーウ!教えただろうが!」


 スノウとコウガの会話にグレンが割り込んできた。


 「闇虎!急に現れていきなりトップだ!異常な強さらしいぜ。今最もエンカルジス(優勝者)に近い人物と言われている」

 「ああ、思い出した」

 「というわけで見に行こう」


 スノウたちは闘技場内に目を向ける。

 フィールドには20人ほどのグラディファイサーたちが準備している。


 「18、19、20、21‥‥21人いるぞ?例のバトルロイヤルのえぇっと何って言ったっけ‥‥マニエ!マニエか?」

 「おいおいスノウ、あの巨大ボードを見ろよ。ハディマンだ!1対複数のグラディファイスだよ!」

 「ってことは1人で20人を相手にするってことか?」

 「そうだな。まぁ相手はバルカンだ。これでも足りないくらいだろうぜ」

 「そんなに強いのか‥‥」


 審判が現れた。


 「よーし!今回のグラディファイスはハディマンだ!オーナーはバルカン!それ以外の者たちはチャレンジャーだ!」


 チャレンジャーたちに緊張している素振りはない。

 さまざまな武器を手にした屈強な剣闘士たちが今か今かと待ち侘びている。

 そして相対するオーナーと呼ばれたのが上位3名しか名乗れないエクサクロスの中のひとり、業魔剣の二つ名を持つバルカンだった。

 青い髪が風に靡いている。

 イケメンだった。

 女性ファンも多いようで黄色い歓声も聞こえる。


 「よーい!はじめ!」


 チャレンジャーたちは連携を組んでいる。

 周囲を重装備の盾を持った者たちが固め、その後方には剣を持った者たち、さらにその後方には弓を持った者たちと炎魔法の使い手たちが構えている。

 青い髪の男バルカンは怪しくそして鞘に収まった剣を左手に持っている。


 「かかれ!」


 盾を持った防御隊がバルカンに向かって詰め寄る。


 「くだらない‥‥なめられたものだ‥‥」


 バルカンはゆっくりと鞘に収まったままの剣を右手で持ち両手を広げるように構えた。


 「ふん!」


 バッファァァーーー!!


 『うあぁぁぁぁ!!!』


 バルカンは大きく鞘に収まったままの剣を横に振った。

 重装備の男たちは吹き飛んでしまった。


 「おい!バルカンはどこへ行った?!」


 バシバシバシ!!!


 弓を持った男たちが次々に倒れていく。


 「炎魔法で焼き尽くせ!」


 バシュァァァァァ!!!!


 炎魔法の使い手たちは一斉に炎魔法を放ったが、バルカンが指を鳴らしたとたんに一斉にかき消えた。

 そして次々に倒れていく。

 バルカンが凄まじい速さで峰打ちし、気絶させているのだ。


 「さぁて。残ったのは剣使いだな。かかってこい。お前らはどこまで鍛えた?」


 バルカンは剣を鞘に収めたまま構えている。


 「いつも通り、本当に認めたものにしか剣を抜かないってことは俺たちはまだあんたに認められてねぇってことだな、なめやがって」

 「なめてるわけじゃない。物事には順序があるだろう?オレはその順序に従って戦っているだけだ。気にするな」

 「なめてるのとかわらねぇじゃねぇか!いくぜてめぇら!」

 「うるせぇ!おめぇが指図すんな!」

 「連携崩すんじゃねぇ!俺たち単独で勝てる相手じゃねぇんだぞ!」

 「分かった。少し時間やるから陣形立て直せ。なんなら作戦立ててくれてもいいんだぞ」


 その言葉に剣士たちは一斉に頭に血を登らせて血管を浮き出させ猛り出す。


 『なめるなぁ!うぉぉぉぉ!!!』


 ダダガガダダン!!!


 一瞬だった。

 誰1人剣を振り下ろすことなく、8人ほどの剣士たちは白目を剥いて立ったまま気絶していた。


 「勝者バルカン!」

 『わぁぁぁぁぁ!!!!!』


 観客席が一斉に湧いた。


 「相変わらず何が起こったのか見えなかった!」

 「強すぎるぜ業魔剣バルカン!」

 「この賭けは堅ぇんだがオッズが低いんだよな。だがこの爽快感たまらねぇ!」

 「バルカンさまーーー!!!」


 様々な歓声が響き渡る。


 「見えたか?」


 驚いた顔を見せつつグレンが言った。


 「ああ。俺よりかなり早い。しかもあれは本気じゃない。異常だ。だが、勝ちたい!彼に勝ちたい!今ここに大きな目標がひとつ増えた!」


 コウガは額から汗を滴らして身震いしながら言った。

 眼力鋭く、しかし嬉しそうな表情だった。

 エスカは黙っている。


 「あの動き。流れを止めない剣技はまさに基本中の基本。ある意味極めているけど、少し愚直な気がしたな」


 スノウの言った言葉にグレンとコウガが目を丸くしてスノウを見ている。


 「お前なぁスノウ。あれのどこをどう見たらそういう感想になるんだよ、全く」

 「いや、言われてみればそうかもしれない。だが、あの速さと力の調整、余裕の表情から圧倒されていた自分がいた。でもスノウは圧倒されなかった。君はどれほどの力を隠しているんだ?スノウ」

 「おいおい、やめてくれ。おれはそんなんじゃないって。少しだけ動体視力がいいんだよ。気にするな」

 (危ない。あまり目立ちすぎるとどんな敵が現れるかわからないからな。あくまでここにいる者と同等か少し強いくらいに見せておかないとな‥‥)

 「‥‥‥‥」


 エスカは無言でスノウを見ている。


 (やべぇ‥‥エスカ、何考えてるんだ?)

 「さぁて!じゃぁ俺たちも帰るか!その前に明日以降に開催されるグラディファイスに登録してからだけどな!」


 スノウたちは思い思いのグラディファイスに登録した。

 1日10試合から20試合行われる。

 基本的に参ったと言えば戦意喪失となり試合終了または試合から離脱となるが、大概は参ったなどと言えずに死ぬか再起不能、よくて全治数週間から数ヶ月の大怪我で終わる。

 参ったなどと言えば笑い物で次から試合に出られなくなるリスクさえあるからだ。

 スノウたちはそれぞれバラバラの試合に登録して宿舎に戻った。


 因みに、地上に出てからというもの狭い宿舎にスノウ、ソニア、ナージャの3人が川の字に寝ているが、ソニアだけ興奮して寝られない状況が続いていた。

 その後普通の宿舎に替わり広くなったことで別々の部屋で寝ることができている。

 ソニアは興奮して寝られない夜はなくなったが、あまりに慣れてしまった川の字で寝ることがなくなり寂しさで逆に眠れない日々が続くことになった。


・・・・・


――翌日――


 スノウ、グレン、コウガ、エスカは各々が登録したグラディファイスに出場する。

 既にスノウ以外の3人は試合を終えており、見事に勝っている。

 クラスレンジが低いグラディファイスであったため、当然と言えば当然の結果だった。


 「いや、余裕だったぜ?」

 「そうだろうな。あの程度の一般剣士(グラッド)もいるのだと目を疑ったほどだったからな」

 「だ、だろう?全く手応えがなくてつまらなかったぜ」


 グレンは少し苦戦したようだった。

 コウガにいじられている。


 「さて、スノウ次は君の番だな。君に限って苦戦するなどありえないと思うが念の為、油断するなよ?」

 「そ、そうだ、油断は禁物だぞスノウ」

 「あなた、近寄らないで汗臭いわ」

 「なにぃ?!ポニーテール!どういう意味だ!」

 「汗かくほどの試合だった‥‥という意味よ」

 「はぁ?!あ、汗なんてかいてねーし!服洗ってねぇだけだし!」

 「ははは、じゃぁ行ってくる」


 スノウはクラスレンジ最下位のマニエと呼ばれるバトルロイヤルにエントリーしていた。

 闘技場内に出る。

 上から見るのとは違って、全て歓声が自分たちのいる中心に注がれており、地面が揺れているとさえ感じるほどだ。


 (ほぇぇ。凄いな‥‥こんな経験したことないそ。おれ少し緊張しているかも‥‥)


 この試合には30人ほどが出場している。

 スノウの他には9割型男だった。


 「よーし!それではクラスレンジ10のマニエを始める!用意はいいかグラッドたちよ!」

 『おう!!』

 「よし!それでははじめ!」


 合図と共に一斉に外周に立てかけてある武器に向かって全員が散る。

 スノウはその場に立ったままだった。

 クラスレンジ10の最下位のため、さすがにスター剣闘士もおらず集中攻撃のような連携も見られないため、武器を取った瞬間から戦いが始まっていた。

 炎魔法の使い手たちはまず弓の使い手目掛けて炎魔法を放つ。

 弓使いは遠距離攻撃ができるため死ぬリスクが多少軽減されるメリットがある。

 一方で動きの速い戦士を相手にする場合は避けられるデメリットもある。

 しかし相手が炎魔法使いである場合、動きが遅い者が多いことから弓矢攻撃が当たる確率が上がる。

 従って弓使いはまず炎魔法使いを狙うのがグラディファイスにおける鉄則だった。 

 炎魔法使いは遠距離で広範囲の攻撃が可能だ。

 弓矢使いからの攻撃を避けながら炎魔法を放つ。

 弓矢使いに対し、剣や斧、槍などの使い手との間合いは近いことが多いため、攻撃が当たる確率を重視し炎魔法使いは弓矢使い以外を狙う。

 近距離攻撃しか出来ない剣、斧、槍などの武器を使う者たちは炎魔法に警戒しながら自分と同様に武器をもって戦う戦士を相手に戦う。

 そして最も不利なのが何の武器も持たず炎魔法も使わない拳闘士だ。

 このグラディファイスで拳闘士を真っ先に狙うのが定石だった。

 上位3名のエクサクロス、10名以内のルデアス、20名以内のローラスの中に拳闘士はいない。

 スノウはそんな拳闘士をあえて選んだのだった。

 なぜ選んだのか。

 螺旋、流動、共鳴、無動。

 この4つの波動気を操る拳闘士に非常に興味を持ったからだった。

 これら4つの波動気は様々な武技に応用できるとスノウは思っていた。

 もちろん魔法にも応用できるとも考えていた。

 それをこのグラディファイスで極めようと考えていたのだ。


 「カモ見つけたぜぇ!」


 ジャンケンでいう負けしかない位置付けの拳闘士を見つけて3人の男がスノウ目掛けて武器を振り上げてきた。

 スノウはそれをギリギリで躱していく。

 油断禁物と警戒していたものの、あまりの低レベルの戦闘に少し退屈しているスノウだった。

 そして螺旋と流動を交互に当てて次々に倒してく。

 突如炎魔法が飛んでくる。

 基本的にコグバシラを変形させて、矢のような形で飛ばしたり、ナイフのような形で飛ばしたりと様々な攻撃だ。

 スノウはそれを素手で受けて弾いている。

 炎魔法の使い手はそれを見て信じられないとばかりに驚いている。

 からくりは簡単だ。

 炎魔法のバリアで熱を遮断するのと同時に螺旋の一点集中の波動で弾いているのだ。

 開始から10分。既に5人に減っていた。

 炎魔法の使い手は全滅し、剣、斧、槍、弓使いの4名、そしてスノウだった。

 これまでの戦いでスノウの異常な強さを知った4人は標的をスノウに向け共闘することにしたようだ。


 「即席だが頼むぜてめぇら」

 「足手纏いになるなよ」

 「お前がいうな」

 「援護は任せておけ」

 「こいつ倒したら次はお前だからな」


 一斉にスノウに向かってきた。

 矢も飛んでくる。

 スノウは矢を人差し指と中指で軽く掴み指と手首を捻って矢の飛翔力を失わせずに向きを反転させて弓使いに向かって飛ばし返した。

 自分で放った矢が返ってきたことが信じられず全く防御がとれないままスノウの飛ばし返した矢に射抜かれ弓使いは倒れた。

 同時に側頭蹴りで斧使いの腹に流動を叩き込む。

 広がっていく波動の影響で振り上げた斧の軌道をずらして横にいた剣使いに攻撃を当てさせる。

 不意をつかれた剣使いは倒れ、さらに流動のダメージもあって斧使い自身も倒れた。

 その隙をついて槍使いが連突きを放ってくる。

 スノウはそれを避けながら槍の矛先を叩き流動を走らせる。

 打撃の波は槍を伝わって槍使い本体に伝わり、破裂した打撃によって血を吐いて倒れた。

 観衆だけでなく審判も何が起こっているのか理解できていなかった。


 「審判さん?」


 スノウのその言葉に我に返った審判は慌てて手をあげて声を張り上げる。


 「勝者スノウ!」


 その声で我に返った観衆は一斉に声をあげて湧いた。


 『わぁぁぁぁぁ!!!!』

 「すげぇやつが現れた!」

 「いや、最下位クラスレンジだぜ?どうせグラッド止まりだよ」

 「なんて華麗な戦いっぷりだ!」

 「ちょっといい男ね!」

 「きゃー!」


 スノウはグレンたちの元へ戻ってきた。

 ソニアとナージャも来ていた。

 アンジュロはトラクレンとしての訓練中で4人の初陣を見ることはできなかったようだ。


 「さすがですスノウ!」

 「やるな!スノウ!オイラの見込んだ男だな!」

 「お前やりすぎだっつーの!一気にスター扱いになるぞ?」

 「あそこまで打撃の波動を簡単に操るとは!君はどれだけの強さを持っているんだ!」

 「武器は使わないのね。それもまた面白い」

 「ははは‥‥なんか目立っちまったか。まぁでも皆んなそうだったように余裕だったな。だが始まったばかりだ。ここからのし上がろう!」

 「そうだな!」

 「ああ」

 「‥‥‥‥」


 4人の勝者たちはその日に支払われる賞金で晩餐をもった。

 試合を見た者たちはスノウたち4名が共に食事をしているのを見てルーキー4と名付けたようで、レストランでは有名人となってしまった。

 ソニア、ナージャ、アンジュロも含めた7人には昨日とは変わって特等席が用意され、楽しい晩餐がもたれた。

 ここからこのルーキー4の快進撃が始まる。


ゲブラー編は少し長くなりますがかなり色々なことが進みます。

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