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<ホド編 第2章> 119.分断された戦い

 119.分断された戦い


 「さぁて‥‥第2ラウンドといこうぜ」


 ヘラクレスはゆっくりと立ち上がると不適な笑みを浮かべながら言った。

 その姿を見た剛力王バラムは腕を組みながら満面の笑みを見せている。


 「負け惜しみの笑みか。まぁ無理もないな。貴様より遥かに小さな1メートル程度の儂の体から、内臓が飛び出そうなほどのパンチが放たれたのだ。いや貴様の内蔵は既にズタズタに破壊されているな。回復魔法を持たぬ貴様はそのまま放置すれば間も無く死ぬだろうな。半神とは言え、モータルな生き物というのは何とも哀れなものだ。ニンゲンの転生はほぼないと聞いているから貴様という存在は間も無く消える。言い残すことはあるか?」


 体が格段に小さくなった一方で速度は2倍、パワーは4倍に引き上げられているバラムはヘラクレスとの戦いに勝利したことを確信し、眉を顰めながら蔑むような笑みを見せて言った。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ‥‥


 「よく喋るな」

 「ふん。負け惜しみか。無理もない。貴様より遥かに小さき儂に殺されるのだからな。それが最後の言葉と理解した。死ぬ覚悟は出来たか?いや、儂としたことが、無粋な質問だったな。覚悟があろうがなかろうがここで死んでもらう。さらばだ」

 「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。小っちぇぇから何だ?いいからかかってこいよ」

 「ふん、では死ね!」


 ヒュン‥ドッゴォォォォン!!


 「?!」


 凄まじい瞬発力を見せヘラクレスに攻撃を繰り出したバラムは何故か頭部を地面にめり込ませていた。

 体はくの字に曲がり、両腕はピンと伸ばした状態で固まっている。


 (何なのだ‥‥一体何が起こったのだ?!)


 地面に顔をめり込ませた状態のバラムは自分に一体何が起こったのか把握できずに困惑していた。

 全身に激痛が走るが無意識に回復魔法をかけていた。

 魔法でダメージは回復したが、まるで電流でも流されているかのようにピンと硬直した体は戻らない。

 しかも頭部は地中に埋まっているため呼吸が出来ないのだが、体が硬直してしまっているため、自分の頭部を押さえつけているヘラクレスの手を払うことも出来ない。

 突如陽の光が遮られた。


 ヒュゥゥン‥‥ドドドドドドドドドドドォォォン!!


 陽の光を遮っていたのは空から無数の人影であり、次々に着した。

 その人影は皆悪魔で、総勢約200もの数であり、中央には智慧の悪魔ストラスが立っていた。

 ストラスは10以上の魔法陣を出現させ魔法を詠唱した。


 ドゴゴゴゴォォォォン!!


 凄まじい雷鳴と暴風が吹き荒れ、ヘラクレスは一瞬体勢を崩したのだがその隙をついてストラスはバラムの足を掴んで強引に引っ張り出した。


 「バラム。油断するからそのような無様な状態となるのだ」

 「誰が助けろと言った?」

 「言い合いをしている場合か。アドラメレク様がお怒りだ」


 スタ‥‥


 ストラスはバラムを地面に立たせると自身もゆっくりと着地した。


 ドォォォン!


 そのそばにアドラメレクが降り立った。


 「おや、バラムさん。本気モードでありながら負けたのですか?」

 「いや、負けてはおらん。ちと油断しただけです」

 「ふん‥‥まぁいいでしょう。貴方には挽回の機会を与えます。ヘラクレスを必ず殺しなさい」

 「は‥‥」

 「さて、そろそろこのくだらない戦闘を終わらせましょうか」


 ザザン!


 アドラメレク、その両脇に剛力王バラムと智慧の悪魔ストラス、そして背後には約400ほどの下級悪魔たちがヘラクレスたちを威圧するように対峙していた。


 「おや、アリオク。まさかお前が来るとは嬉しいニュースですよ」

 「お前の相手はシルゼヴァとシアだったはずだが、何故ここにいる?」

 「あぁ、あのふたりですか。私の言霊(プネウマ)で廃人と化していますよ」

 「有り得んな。あの二人はお前より実力は上だ」

 「ヌハハハハハ!冗談もそこまで来ると芸術です!私がニンゲンに遅れをとるなど有り得ませんよ。そしてこの軍勢。どうあってもお前たちに勝ち目はありませんが、おバカなお前たちは(あらが)うのでしょう!さぁ、かかってきなさい!」


 余裕のアドラメレクに対し、レヴルストラは半数が戦闘に参加できない状態であった。

 しかも主力であるシルゼヴァ、フランシア、ルナリがほぼ動けない状態だ。


 ザン!


 ソニック、ヘラクレス、ワサン、アリオクは並んで立ちはだかったが、その表情には不安は無く、むしろ自信に満ち溢れていた。

 それを少し離れた場所からロムロナとニトロが見ていた。


 「俺、不甲斐無いっす‥‥何のお役にも立てなくて‥‥」

 「これでいいのよぉ。あの子たちが思う存分暴れ回れる状況を作るのがベストなのよ。今はね。それより私たちにはやることがあるわねぇ」

 「姉さん、まさか‥‥」

 「ふふふ、さぁ行くわよぉ」


 ロムロナとニトロは悪魔たちに気づかれないようにその場から移動し始めた。

 一方アドラメレクは満面の笑みで片手を上げ、気取ったようなポーズをとり、指を鳴らす。


 パチン!


 「皆殺しです!」

 『おおおお!!』


 アドラメレクの号令で悪魔たちは一斉にレヴルストラの面々に襲いかかった。


 ドッゴォォォォン!!!ドゴゴォォォォン!!


 突如悪魔たちのいる場所のあちこちで魔法爆発が起こった。

 爆発の場所では多くな悪魔が吹き飛び空中で暴れて落ちていく。

 入れ替わったソニアが音熱魔法で複数箇所に凄まじい爆裂魔法を展開したのだ。


「続きといこうか!」


 腕を組みながら笑みを見せてヘラクレスが言った。


「ヌフフフフ!少しは抵抗してくれないと張り合いがありませんからねぇ」


 バッ!


 アドラメレクは美しい孔雀の羽のような翼と共に両腕を広げるとヘラクレスたちの頭上に五重の魔法陣を出現させた。


終焉遊戯(アポカリプス)!」


 アドラメレクが発した言葉に連動し、五重の魔法陣が輝き出し魔力が集中する。


 スタッ!

 シュヴァヴァヴァヴァン!!


 アリオクが大きく跳躍し長魔刀獅子玄常(ししげんじょう)で魔法陣を切り刻んだ。

 すると魔法陣はガラスが割れるように散らばり消えた。


「次元刀の獅子玄常(ししげんじょう)ですか!」

「いきなりとんでもない魔法を使うとはお前も焦っているようだな。何かミッションでも抱えているのか?」

「あるわけないでしょう!あっても貴方には言うわけがない!小賢しい!貴方は私が直々に殺してあげるわ!」

「臨むところだ」


 フワァァ‥‥ズバババババババン!


 アリオクの流れるような優しい長刀の動きが突如凄まじい刀捌きへと変わり、アドラメレクは細切れになった。


「いきなりこんなに切り刻むなんて、相変わらず失礼な男ですねぇ」


 斬られているはずが、まるで肉片ひとつひとつが独立して生きているかのように動き結合して元通りとなった。


「貴方の魔刀は役に立たないと分かったでしょう。さぁ今度はこちらの攻撃です!」


 アドラメレクは三重に重なった魔法陣を出現させた。


舞踏遊戯(ロンド)!」


 ドッゴォォン!!


 凄まじい熱線がアリオクを襲う。

 だがアリオクはそれを獅子玄常(ししげんじょう)の先端で防いだ。

 凄まじい熱戦は魔刀の先端から5つに分かれて放物線を描きながら飛んでいく。


「ヌウウウ!相変わらず面倒な強さねぇ。じゃぁこれはどう?!舞踏遊戯(ロンド)・散!」


 今度はアドラメレクの作り出した魔法陣から複数の光線が其々違う方向に向かって放たれたが大きくカーブしながら凄まじい勢いでアリオクに到達した。


 ズドドドォォォォン!


 激しい爆裂で黒煙が蠢くように湧き起こるが、突如掻き消えた。

 アリオクが長刀で黒煙を斬り刻み散らしたのだった。


「俺に中途半端な魔法を効かないぞ。本気で来るがいい」

「あら、随分と余裕ねぇ。バリアで魔法攻撃を防いだのかしら?でもこれはどうかしらねぇ!」


 ドッゴォォォォォォォォン!!


 突如アリオクの右肩が爆発を起こし、アリオクはその場に膝をついた。


 ズン‥‥


「私の羽は肉体に感覚を与えずに突き刺さるのよ。そしてその羽には爆裂魔法が付与されている。さすがにその肩じゃぁ長刀は握れないわねぇ!」


 アリオクは膝をついた状態でも体勢を維持できず、その場に両手をついた状態となった。


(何が起こっているのだ?たかが爆裂魔法のはずだ‥‥)



 全身に力が入らないどころか、徐々に呼吸まで苦しくなってきていた。


 ズン‥‥


 アリオクはうつ伏せに倒れてしまった。


「まさか‥‥アドラメレク、貴様‥‥あの羽に言霊(プネウマ)を仕込んだか?」

「ご名答。私はねぇ、攻撃や武具に言霊(プネウマ)を縫い付けることができるのよぉ。攻撃でダメージを受け防御力や気力が低下した瞬間、私の言霊(プネウマ)は自動で発動するのよねぇ。そしてアリオク。貴方には全身が麻痺した状態になってもらっているわねぇ、ウフフ」


 アドラメレクはゆっくりと手刀を振り上げた。


 丁度その頃、ロムロナとニトロはニル・ゼントへゆっくりと近づいていった。



いつも読んで下さって本当にありがとうございます。

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