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<ホド編 第2章> 113.四つ巴

<レヴルストラ以外の主な登場人物>


ー魔王・悪魔たちー

【アドラメレク】:ホドを拠点としている魔王。何かの計画に沿って行動しており、アレックスを巨大亀ロン・ギボールに幽閉した。瑜伽変容(ゆがへんよう)を引き起こした。

【剣士アロケル】:体は人型だが、頭がライオンの剣士で二刀流。結界杭ではフランシアを幽閉していた。騎士道を見せるのはフェイクで騙し討ち、不意打ちを好む卑怯な剣術を使う。


ー守護天使ー

【ラツィエル】:Tシャツにジャケットを着てメガネをかけたの姿の守護天使。コクマを守護している。神の神秘と言われている不思議なオーラを放つ天使。

【ザフキエル】:青いスーツを着た黒人の姿の守護天使。ビナーを守護している。気性が荒いが、守護天使の責務を最も重要視している責任感ある天使。

【サンダルフォン】:最高級のスーツに身を包んだ紳士の姿の守護天使。メタトロンと兄弟でマルクトを守護している。罪を犯した天使たちを永遠に閉じ込めておく幽閉所の支配者と言われている。


ー元老院ー

【ニル・ゼント】:ガレム・アセドーの後を継ぎ、元老院最高議長となった人物で、謎多き存在。ガレム・アセドーを大聖堂の最上階テラスから突き落とし殺害している。その後、ホド中央元老院の最高議長となった。また、普通では不可能とされるオーラを自在に操る力を持つ。

【ザザナール】:ニル・ゼントの配下の剣士 昔は冒険者でレッドダイヤモンド級を超えるレベルだったが、その後殺戮への快楽に目覚め悪に堕ちた。その後ニル・ゼントに拾われ用心棒兼ゼントの護衛部隊の隊長を務めている。


113.四つ巴


 最高議長であるニル・ゼント、その守護者のザザナール、洗脳されている護衛カヤクの3人は元老院としてこの場にいる。

 突如現れた魔王アドラメレクと配下の3体の上位悪魔はオルダマトラからこの地へ降りてきた。

 一方ラツィエル、ザフキエル、サンダルフォンは守護天使としてオルダマトラに引き上げられているアヴァロンを取り返そうとこの場に降り立った。

 そしてオルダマトラから伸びる黒い稲妻の鎖でつられている大陸の欠片の中にいるレヴルストラの仲間を救いに来たスノウとフランシア。

 この4つの勢力が集結し、一触即発状態となっていた。

 4つの勢力から様々なオーラが放たれ、その中央にはオーラが混じり合った異質で歪んだ空間が生まれていた。


 「おや、誰かと思えばラツィエル、ザフキエル、サンダルフォンではないですか。ニンゲンのような格好をしているから一瞬戸惑いましたよ。其々守護する世界があるはずなのに、このような場所で油を売っていて良いのかしら?我らの部隊が滅ぼしに行きますよ」


 アドラメレクが挑発するように言った。


 「貴様ごときが我らに話しかけるな、冥府の雑魚の分際で。我らに真に屠られたくなくば即刻、黒雷鳴の鎖を解け。そしてオルダマトラを解体し我が主へ赦しを乞うのだ」


 ザフキエルが言った。

 その声は低く太く、そして透き通るような荘厳なものだった。


 「ククク‥‥相変わらずの威勢だけはよい空っぽの口だけ天使ですねぇ。遥か昔2度ほど貴方とはやり合っていますが、惨敗したのを覚えていないのですか?」

 「貴様が卑怯な手を使わなければ今頃冥府で三下に成り下がっていたはずだ。何処までも卑劣で愚鈍な下郎だな。いいだろう、今ここで貴様が卑怯な手を使えなければ勝てないということを教えてやる」


 ザフキエル、ラツィエル、サンダルフォンは各々小さな魔法陣を展開し、そこから武器を取り出した。


 「ククク!いいでしょう!どのような状況下であっても負ける気はしない!今度は完膚なきまでに壊してあげますよ」

 「おいおいお前ら。天使と悪魔のケンカってんなら他所でやってくれ。お前らの小競り合いのとばっちり喰らうのは嫌なんでな」


  ザザナールは守護天使や魔王、悪魔たちを前にしても臆することなく余裕の表情で話しかけた。


 「ニンゲンの分際で生意気な。殺しますよ」

 「おいおい相手間違えるなよ派手な扇子背負ってるおっさん。俺が言ってんのは場所変えてくれってことだ」

 「仕方ありませんね。ここは私とバラムで対応します。アロケル、あのニンゲンを殺しなさい」

 「ニンゲンなど手応えありませんがいいでしょう」

 「余裕だなアドラメレク。元々我らには勝てない下郎がさらに戦力を割くとは。バラバラに引き裂いて地肉を冥府の業火の竈門に放り込んでやろう」


 アドラメレク、バラム、ストラスはラツィエル、ザフキエル、サンダルフォンは凄まじい殺気のオーラをぶつけ合いながら徐々に間合いを詰めていく。

 そして一定の距離まで間合いを詰めた瞬間、ラツィエルは転移魔法を地面に展開した。


 「アヴァロンをこれ以上穢すことは許しません。少し場所を変えますよ」


 アドラメレクたちは3体の守護天使と共に底なし沼にハマった者のように地面の中へと消えていった。

 突如遥か上空に転移魔法陣が出現し、そこから3体の守護天使たちとアドラメレクたちが登場した。


 「さて、本来であれば、我が守護天使どもを斬り刻んでやるはずなのだが、貴様のようなふざけた愚か者がいるせいで、この場に留まり手柄を立て損ねたではないか。この代償は重いぞニンゲン」

 「はぁ‥‥面倒くせぇな。まぁいい。やつら全員を相手にするかと思ったから、ちと焦ったがお前程度なら問題ねぇな」

 「減らず口を。ニンゲンにしては珍しく肝が据わっているようだが、直ぐに現実を思い知ることになるだろう」


 ガチャン‥‥


 アロケルは二刀流で剣を構えた。


 「さぁかかって来‥」


 ズバザァン!!


 いきなりアロケルの首が飛んだ。

 凄まじい速さでザザナールがアロケルに攻撃を繰り出したのだ。


 「ごちゃごちゃ喋っているからこんなことになるんだよ。まったく悪魔は直ぐに慢心するから斬りやすくて手応えがねぇんだよな」


 ググググ‥‥バショォォン!


 アロケルの頭部が生えてきた。


 「ニンゲンにしてはやるではないか!だが、これで貴様に勝利は無くなった。何故なら我が本気を出‥」


 ズバザァン!!

 ググググ‥‥バショォォン!


 アロケルが話している最中にザザナールは凄まじいスピードとパワーでふたたび一瞬の内にアロケルの首を飛ばした。

 だが、その直後、アロケル首の切断面からふたたび頭部が生えてきた。


 「貴様!我が話している最中に攻撃など卑‥」


 ズバザァン!!


 ザザナールはふたたび一瞬でアロケルの首を斬り飛ばした。


 ズアバババババァァン!!


 さらに斬り刻んでアロケルは微塵になった。


 ズリュ‥‥ズリュリュリュ‥‥ズリュリュリュ!!


 みるみる内にアロケルの肉片は融合し始め、元通りとなった。


 「貴様馬鹿か!悪魔の話は最後まで聞くものだ!よいか?貴様はそこで意識を失い茫然と立ち尽くすのだ。もう一度言う。貴様はそこで深い眠りにつき意識を失い茫然と立ち尽くすのだ」


 ザザナールはその場に立ち尽くした。

 目は白目を剥いており、意識がなくなっているように見えた。


 「やはりニンゲンなど取るに足らない空っぽの器。言霊(プネウマ)を使えば簡単だ」


 アロケルは両手に持った剣を左右に広げながら構えた。

 そしてザザナールに向けて振り下ろす。


 スファン!!


 「え?」


 思い切り力を込めたアロケルの双剣は空を切り、あまりの手応えの無さに思わず前のめりに倒れ込んだ。


 ズザ!


 「!!」


 目の前にいるはずのザザナールはいつの間にか姿を消していた。


 「どこに行った?!」


 アロケルは周囲を素早く顔を動かし確認するがザザナールは見当たらない。


 「ここだよ」

 「!!」


 バッ!


 アロケルは慌てたように声のする方向に顔を向けた。


 「な!」


 ザザナールは手に持った剣を肩に乗せながら左手で掴んでいる何かを見せつつドヤ顔で話し始めた。


 「お前、俺に言霊(プネウマ)が効くと思ってんのか?あれは自分より弱い者にしか効力を発揮しないんだぜ?つまりお前は俺よりも弱いってことだ。そして俺が手に持っているもの。これが何かよく知っているようなぁ!」


 ザザナールが手に持っているのは半透明の肉片だった。


 「き、貴様!止めろ!その手を離せ!」

 「おいおい離すわけねぇだろ。だってこれがお前の核なんだからな。お前はこの核がある限り何度でも蘇る。だがこの核と肉体を繋ぎ止める綱はそれほど長くない。つまりお前は常に核を近くに保持しながら行動しているってやつだ。相手の視界に入らないように常に動かしながら核を隠していたんだな。何度も蘇る悪魔に相手は恐怖を覚え自滅する。そこをお前は首を刎ねてきたってことだな。何とも悪魔らしい卑怯な戦い方だなぁ。だぁが、この核を潰せばお前は死ぬ。そうだな?」

 「ち、違うぞ!検討外れだ!我はそのようなもの知らぬ!」

 「じゃぁ潰すか」

 「潰してみよ!我には何の影響もないことが直ぐに分かるであろう」

 「へぇ。この核からお前のオーラが漏れていることに気づかない時点で、せっかくの能力も上手く使いこなせてない証拠なんだが、まぁお前が潰せっつーんだから潰して構わんってことだな」


 グググ‥‥


 ザザナールはゆっくりと核の肉片を潰し始めた。


 「待て!待て待て!分かった!認めよう!それは我の核だ!貴様の言う通りそれは我にとって最も重要な部位なのだ!だからそれを離せ!そうすれば我はこの場から去る!貴様にも迷惑はかけぬ!」

 「そうなの?じゃぁ返すか」


 ザザナールは半透明の小さな肉片をアロケルへとトスで返そうとする。


 グジャリ!


 ザザナールは核の半透明の肉片を握りつぶした。


 「え?」

 「フフ!」

 「ぎぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 凄まじい叫び声を上げながらアロケルの体は徐々に溶け始めた。


 「貴様!返すと言っておきながら潰すとは!この大嘘つきめ!」

 「大嘘つき!フハハ!悪魔にとっちゃぁ褒め言葉だろ?ってことは俺は悪魔にベタ褒めされているってことだな!はっはっは!愉快愉快気持ちがいいねぇ!そしてその恐怖に怯えながら怒りを露わにする表情!たまらんよ!これだから殺しは止められねぇんだなぁ!」

 「お、おのれザザナール!貴様に呪いをかけたぞ!この呪いによって貴様は悪魔に永遠に追われることになるだろれれれれろれれ‥‥がぶれ!」


 アロケルは溶けて消えた。


 「はっはっは!ウケるぜ!悪魔が呪いだってよ。呪いってのは人が悪魔に頼むもんだ。頼まれる側が悪魔ってことは誰に頼んだんだよ全く。断末魔がそれじゃギャグじゃねぇか。まぁ仮に魔王が来るってんなら逆に大歓迎だがな」


 ザザナールが剣を鞘にしまおうとした瞬間、何かに気づき剣を下から振り上げた。


 ズバァァン!


 その勢いで斬撃波が飛んでいく。

 その標的はスノウだった。


 シュヴァァン!


 スノウはその斬撃波を素手で弾き飛ばした。


 「おいおい、俺のお楽しみ中においたはいけないぜ?」

 「さっきも言ったろう?おれ達はカヤクを回収出来ればいい。お前はそこで黙って見ていろ」

 「そうもいかんのだよ兄ちゃん。事情が変わってそいつにはゼントさんを守って貰わないとならないんでな。天使と悪魔が戦っているが、そのケリが付いたらこっちを襲ってくるだろ。そん時俺が戦っている間、ゼントさんを守って貰わにゃならなくなったってことだ」

 「じゃぁ、今ここでおれがニル・ゼントを殺せばその必要もなくなることだな」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ‥‥‥‥


 突如ザザナールから凄まじい殺意のオーラが広がった。


 「お前‥‥死ぬぞ」


 ザザナールの表情が一気に真剣な怒りのそれに変わった。


 「シア。少し離れていてくれ。戦いに集中する必要がありそうだ」

 「加勢は必要ですか?」

 「いやいらない」

 「では私はカヤクを気絶させていつでも離脱できるようにします」

 「頼んだよ」


 スノウはフラガラッハを構えた。




いつも読んで下さって本当にありがとうございます。

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