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<ホド編 第2章> 84.常に生まれ変わる石像

<レヴルストラメンバー>

・スノウ:レヴルストラのリーダーで本編の主人公。ヴィマナの船長。

・フランシア:謎多き女性。スノウをマスターと慕っている。どこか人の心が欠けている。ヴィマナのチーフガーディアン。

・ソニック/ソニア:ひとつ体を双子の姉弟で共有している存在。音熱、音氷魔法を使う。フィマナの副船長兼料理長。

・ワサン:根源種で元々は狼の獣人だったが、とある老人に人間の姿へと変えられた。ヴィマナのソナー技師。

・シンザ:ゲブラーで仲間となった。潜入調査に長けている。ヴィマナの諜報員兼副料理長。

・ルナリ:ホムンクルスに負の情念のエネルギーが融合した存在。シンザに無償の愛を抱いている。ヴィマナのカウンセラー。

・ヘラクレス:ケテルで仲間になった怪力の半神。魔法は不得意。ヴィマナのガーディアン。

・シルゼヴァ:で仲間になった驚異的な強さを誇る半神。ヴィマナのチーフエンジニア。

・アリオク:ケセドで仲間になった魔王。現在は行方知れずとなっている。

・ロムロナ:ホドで最初に仲間となったイルカの亞人。拷問好き。ヴィマナの操舵手。

・ガース:ホドで最初に仲間になった人間。ヴィマナの機関士。ヴィマナのエンジニア。

 84.常に生まれ変わる石像


 ス‥ススン‥‥


 空視(クーシー)で特定した因の繋がりの綻びを断ち切ると、これまでと同様に静かに扉が消えた。

 反転状態の上部の部屋同様に部屋があるのだが、当然松明の光は届かないため薄暗く中がはっきりと見えない。

 魔法も使えないためスノウは慎重に中へと進んで行く。

 部屋に入ると壁がぼんやりと光出した。

 よくある発光岩の自然の光ではなく、明らかに人工的な均一の光だ。

 明るさは然程なく周囲がハッキリと見えるわけではないのだが、何があるのかは見えるようになった。

 すると前方に何かの物体が見えた。


 「!!‥‥何だこれは?!」


 視界に飛び込んできた景色にスノウは目を見開いて驚きの表情を見せた。

 部屋の中央に3メートルほどの石像があるのだが、なんとその姿が自分そっくりだったのだ。

 サイズ感が違うだけで、ほぼスノウであり、背中に背負っている剣も神剣フラガラッハそのものだった。


 (どういう事だ?!まさかこの神殿の仕掛け?!侵入者をコピーした石像を具現化して戦わせる感じか?!)


 スノウはゲブラーで受けたオーガの里の試練のザンテルーガを思い出した。

 その時も自分と対峙して打ち勝った。

 今回もこの神殿で祀られている神に近づきたくば、試練を乗り越えろと主張しているのだとスノウは思った。


 「おいおい何だよこりゃぁ!」


 上にいるはずの3人がやってきた。

 どうやら石畳にスノウがいないため、転落したのではと思い石畳の上から谷底を覗き込んだ際に偶然反転重力に気づいたようで、その時にぼんやりとした明かりに気づきこの場所へと辿り着けたのだった。

 ヘラクレスは驚きのあまり口を大きく開けて目を丸くしている。


 「スノウ。何故お前の石像が建てられている?」

 「シルゼヴァにはあの石像はおれに見えているのか?」

 「当たり前だろう?これを間違える者はレヴルストラにはいないぞ」


 スノウは顎に手をあてて石像を見ながら思案を巡らせた。


 (これはおれだけに対する試練なのか?!見る者の姿で現れて其々に試練を与えるのだと勝手に思っていたが違うらしいな‥‥もしくは最初の侵入者の能力を持った石像が訪れた者たち全員へ試練を与える‥‥いや、何か違う気がする‥‥)


 「マスター、周囲を見てください」


 フランシアが真剣な表情で言った。

 彼女の言う方向に目をやるとそこには先程まで壁だったはずが、1メートル程の石像が等間隔で存在していた。

 石像は全部で5体あった。

 いずれも背中に武器を背負っており、いかにも襲ってきそうな雰囲気を醸し出していた。


 「一体何がどうなってる?!」


 ギュワァァァン‥‥


 『?!』


 突如僅かに機械音が聞こえてきた。

 その直後、石像の指が動き出したかと思うとそのまま背中に背負っている武器を取った。


 「おいおい何かやべぇ雰囲気だぞ?!何となくは予想していたけどよ!」

 「構えろ!」


 シュン‥‥ガァン!


 「くっ!この力!」


 一瞬目で追えなくなりそうなほどの速さで石像はスノウに詰め寄り剣を振り下ろして来たのだが、かろうじてフラガラッハで受けた。

 だがその一撃の重さが異常であり、1メートルの体格から繰り出される攻撃とは思えないものだった。

 シルゼヴァ、フランシア、ヘラクレスへも同様に攻撃が放たれており、3人とも何とか受け切っている。


 「こいつはゴーレムの一種だが、構造が別物だ!空視(クーシー)ではこの神殿と同じ構造、つまり、絶対に壊れない構造になっているゴーレムなんだ!」

 『!!」


 3人は目を見開いて驚きつつも力で押し込んでくる石像に必死に耐えていた。


 ガコォォン!!


 シルゼヴァが相手の攻撃を受け切りつつローキックゴーレムの足元に喰らわせ転ばせた。

 そしてそのまま馬乗りになり、顔面をひたすら叩きまくった。


 ボゴボゴボギボゴボゴォォン!!


 「なるほど。確かに何度壊しても壊れないな。これは厄介だ」


 ドッゴォォォン!!


 シルゼヴァはゴーレムの強烈な鉄拳を喰らって後方へと吹き飛んだ。

 そして丁度その方向にいたもう1体のゴーレムが待ち構えていたとばかりに石斧をシルゼヴァに向かって振り下ろしてきた。


 ゴォォォン!!


 シルゼヴァの首を落とさんばかりに振り下ろされた石斧が、大きな金属音とともに真横に吹き飛ばされた。

 ヘラクレスが凄まじい勢いで石斧を殴り飛ばしたのだった。

 彼のもう片方の手にはゴーレムの頭部が握られている。


 「うおりゃぁ!!」


 バゴォン!!


 ヘラクレスは握っていたゴーレムをシルゼヴァを攻撃しようとたゴーレムに向けて投げつけた。

 だが、何事もなかったかのように2体のゴーレムは立ち上がった。


 「ハーク。いいことを思いついた。付き合え」

 「そりゃぁ楽しいのか?」

 「結果は分からんが楽しいはずだ」

 「よし、乗った」


 シルゼヴァは目で合図するとゴーレム1体の背後に周り、凄まじい力で遠くへ蹴り飛ばした。

 そして残ったもう1体の足を掴んで引っ張った。

 バランスを崩したゴーレムはうつ伏せに倒れてしまったのだが、シルゼヴァはそのまま足を引っ張っていく。

 そしてもう片方の足はヘラクレスが引っ張り出した。


 「おほぉ!股裂の刑だな!」


 グギギギギギィィィィ‥‥


 二人の凄まじい力にゴーレムは股間から徐々に裂け始める。

 だが、裂けては再生を繰り返しており、スノウの指摘通り、神殿の構造と同様に因の繋がりが常に破壊と再生を繰り返して生まれ変わっている状態を示していた。


 「さて、どっちが強いか力比べだ」


 ズン!ズン!

 ズズン!


 二人は両足で地面を掴むようにして立ち、さらに力を込めてゴーレムの足を引っ張った。

 徐々に裂ける力の方が勝っていき、亀裂が増えていく。


 「うおりゃぁぁ!」


 ヘラクレスの気合いの雄叫びと共にゴーレムは一気に裂けていく。


 ビギギギギガガァァァ!!


 「できるだけ対角に投げろハーク!」

 「おう!」


 完全に裂けて二つに分裂したゴーレムを二人はそれぞれ反対方向へと投げた。


 ドォォォン!


 分裂した右半身と左半身はそれぞれ部屋の端へと飛んでいき、壁にぶつかった。

 だが、壊れることなく、必死にふたたび合体しようと動いている。


 スタタ‥‥トンッ!

 ガゴォォン!!


 シルゼヴァは凄まじい速さで這うようにして半身となったゴーレムに詰め寄り、裂けた断面の一部を短剣で攻撃した。

 すると半身は砂に変わっていくようにして崩れた。

 ヘラクレスが投げた方の半身も勝手に砂のように崩れてしまっていた。


 「スノウ!シア!体の内部にあるコアを叩け!」

 『!!』

 (コアって言っても体を壊せない以上コアまでいきつかないんじゃないか?!)


 トン‥‥スタダシュン!!


 スノウは大きく後方へと回転しながら飛び退き、着地と同時に凄まじい速さでゴーレムに詰め寄り、フラガラッハを突き立てた。


 ゴコォォォン!!


 余程凄まじい勢いの剣突だったのか、ゴーレムの体にフラガラッハが深く突き刺さった。

 次の瞬間、ゴーレムは砂と化した。

 シルゼヴァの大まかなジェスチャーでコアの場所を想定して剣で突き、強引にコアを破壊したのだ。

 フランシアも同様に破壊している。

 残り2体はシルゼヴァとヘラクレスが破壊し終わっていた。


 「ふぅ‥‥片付いたようだな」

 「しかし間一髪だったな。シルズがコアに気づかなかったら、今頃ヘトヘトになりながら土塊どもと戦っていたかもしれねぇぜ?無限ループのようにな」

 「そうだな」

 「それよりもこの石像は一体何なんだ?なぜお前が石像になっている?」

 「おれにも分らない。調べてみる必要があるが、何とも気持ちが悪いな‥‥」

 「わっはっは!気持ちが悪いときたか!俺だったら嬉しいけどな!どこの誰だか知らねぇが、俺を敬い拝みまくってんだろ?悪い気はしないぜ?」

 「単純だな。善人が祀っているか分らないんだぞ?悪の宗教団体が‥‥って可能性だってある。それでも嬉しいか?」

 「なるほど‥‥なんか複雑だな‥‥まぁとにかく調べてみようや」


 スノウは苦笑いしながら石像を調べ始めた。




いつも読んで下さって本当にありがとうございます。

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