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45、デレクとライアン


「ライアン!」


エイクの鋭い声が薄暗い倉庫に響き渡った。ライアン、いや、英子ちゃんが顔をあげる。


「ライアン、お前は騎士道精神を重んじ騎士団長だった父親の誇りだ。強く優しく清廉潔白な人間だ!」


「英子ちゃん!他人を妬ましく、疎ましく思ったりするのは普通なんだよ!こんな事で傷付いてしまう所に英子ちゃんの純粋さ誠実さが出てるよ!」


「エイク、桃ちゃん。私ね確かにエイクが好きだった。でもマリアも好きだったよ。友達として。桃ちゃんはあんまり覚えられなかったんだよね。でも私は覚えてる。一度ね言った事が、というかバレた事があるんだ。マリアとはルートによっては普通の友達だったりするんだ。」


「うん、少しだけ覚えてるよ。」


「うん、それでエイクを愛しているとバレた。そしたらさ笑顔で言ってくれたんだよ。そうねエイクはとってもいい男だもの。ってそれだけ。それからマリアを敵視しなくなった。この子ならエイクにふさわしいって。だから本当に友達として助けにきた。」


「うん、分かった。英子ちゃんありがとう。」


「それに英子としても助けられた。入学式の時話しかけてくれて、大学に居場所を作ってくれて、何より友達になってくれた。記憶を持って女になってしまったから戸惑う事が多くて友達なんていなかったんだ。」


英子ちゃんは自然と立ってデレクを見つめている。


「記憶を持って生きないとエイクとマリアを助けられないと思っていたんだ。実際そうだったし。デレク諦めろ。もう立ち直ったぞ。この2人は一直線馬鹿だから。きっと何を仕掛けたってその通りになるが、お前の手には負えないぞ!」


英子ちゃんがぐっとデレクを睨みデレクが怯んで隙ができ、私は腕を振りほどき英子ちゃんの胸に飛び込んだ。


「英子ちゃん、いつもありがとう。」


「いいんだよ桃ちゃん。早く帰ろうね。」


「うん。」


デレクははっとしてしまったという表情をしている。そして叫んだ。


「仕方ないだったら力ずくで!」


どこからともなく騎士団の制服をきた男達が出てきた。これは桃が得意な分野だ。15人位いるな。


「桃ちゃん下がって。」


「ううん英子ちゃん、私こういうの得意なの。」


「おい無理はするなよ。」


「壮真、ありがとう。」


「マリアを捕らえろ!エイクとライアンは殺せ!」



「あの女はなんだ?本当にクッキー配ってたマリア様か?」

「あの動きこの世界にあんな武道はないぞ!」

「駄目だ。傷付けていいから捕らえろ!」

「嫌だ!こっちに来るな!」

「数でかかれ!1対1は秒殺だぞ!」


少しづつ数を減らしていく。久しぶりに体を動かすのでとってもやりがいがある。しっかり暴れてやろう。


「かかってきなさい!全員ぶっ飛ばす!」



「エイク?」


「なんだ?」


「君の彼女は特殊部隊か何かなのか?」


「なあーめっちゃ強いなー。見ろよ俺たち2人、2人しか倒してないぞ。びっくりだな。あいつの周り何人倒れているんだ?もう怖いよ。」


「さっきはよくもエイクを殴ってくれたわね!あっあんたはライアンを突き飛ばしたわよね!全員倍返しでやってやるわ!」


「しかも元気で無傷っぽいぞ。桃ちゃんって何者?ボディガードとして雇おうかな?」


「ははは。いいんじゃないか。浅田はか弱いからな。」


「ええ、そうよ。か弱いんだから。可愛いでしょ?」


「ああそうだな。可愛いくて素敵だ。」


「私彼氏がいるんで口説かないでください。」


「ああ、悪かった。早く帰さないとな彼氏のとこへ。」


「壮真、英子ちゃん!全員倒したよ!5分かかっちゃったよ。昔はこの人数3分でいけたのに…。」


「充分だよ。さあ瀬良、次はどうするんだ?」


「竹中さん強いとは聞いていたけど、皆訓練された騎士だよ。さすがに強過ぎない?」


「あーだから5分かかったのかー。」


「5分。」


「私昔から自分の身は自分で守るって強く思ってたの。だから3歳からずっとお父さんに稽古をつけてもらってた。毎日ひたすら。筋がいいんだって!県大会2位、全国大会5位だったよ。」


瀬良君は少しだけ笑っている。


「竹中さん君にはきっとかなわない。こんなにも追い詰めたのに、疑心暗鬼を誘ったのに。全部ダメだった。まさか脳筋だと思わなかった。諦めるよ竹中さん君を諦める。さあ捕まえてくれ。」


「待って、こんなに騎士団の人がいるんだもの。誘拐を対処する訓練よね。エイク、ライアン。」


「えっそれはさすがに、なあエイク。」


「ああ、そうだな。」


「あら2人共私の相手をしてくれるの?どちらが先?」


「さあ訓練は終わりだ全員寄宿舎に戻れ!」


エイクとライアンの前にいた2人はむくりと立ち上がりのろのろと出ていった。


「さあお前はどうする?」


「俺は、ここでやり直す。騎士団長からちゃんと指導を受ける。もっと真面目にやり直すよ。だから許さないでくれ。さようなら。」


瀬良君は憑き物が落ちたように晴れやかな顔でそう言い扉から出ていった。



アンちゃんにもらったという謎のお茶で私と英子ちゃんと壮真は元の世界に戻った。

戻る途中朱里さんがやっと口を開いた。


お疲れ様、なんとかなったでしょ。


もう急にいなくなるから!


部外者が口を挟むのは良くないからね。じゃあ戻っても頑張ってね。


はい、さようなら。



目を覚ますと私の部屋だった。



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