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44、理由


「マリアお待たせ。じゃあ行くぞ。」


ノックもなしに扉があきデレクが入ってくる。手にはアイマスクと布を持っている。


「ねえ瀬良君なんでしょ?もうやめにしない?」


「とうとうだんまりをやめたのか。いや、俺はデレクだよ。最初から瀬良でもましてやアランでもなかった。」


「どうしてそんな事を言うの?あっちには家族もいたでしょう?優しいお母さんや可愛いミカちゃん。それに友達も。」


「家族?友達?あんなもの。俺にはマリアがお前がいればいいんだ。」


「どうしてそこまで?」


「どうしてどうしてって。それ以外生きる意味を見いだせなかった。農業にも向いていないと父に言われ、他の道を探した。なら前世とは違って人を助けようと医者を目指した。でも今落ちこぼれているんだ。教授にもっと努力しろって。俺には何もないじゃないか!生きる意味を失いかけた時マリアを見つけた。そもそもあの世界に来た意味はお前だった。この世界でも騎士に向いていないと言われ、両親に見放されそんな中でマリアはマリアだけは俺を。だから探しに行ったんだ。家族も友達も関係ない!」


「私はあなたの生きる意味にはなれない。それに生きる事に意味なんてないのよ。自分の好きに生きればいい。」


「黙れ、黙れ、黙れ!お前だけはいつも俺の味方だろう。俺が何をしたってさあ。」


「そこまでだ!もうマリアの事は諦めろ!」


扉を蹴飛ばして開けたのかすごい音がして騎士団の制服を着た男性2人が入ってきた。

1人はわかる、長身でキリッとした顔、濃い紺色の髪の男性はエイクだ。

もう1人はあまり見た事がない、エイクより背が少し低くオレンジの髪色で今は厳しい顔をしているが普段は優しい顔をしているのだろう少年ような男性だ。今、叫んだのはこちらの男性だ。


「桃!大丈夫か?」


「壮真?来てくれたの?」


「ああ、とにかくこっちに来い!」


勿論だけど瀬良君腕を離してはくれない。


「離すわけがないだろう。」


「瀬良君、もう自由に生きようよ。」


「無理なんだよ。俺にはお前以外に生きる理由がない。お前が誰を愛していようと、俺を憎んでいても関係ないんだ。俺はお前がいないと生きる意味がない。」


「瀬良君。」


「桃ちゃん!英子だよ!大丈夫すぐに助けるからね!」


オレンジの髪の男性が叫ぶ。ああじゃあ彼がシークレットなんだと頭の隅で考えていた。


「ああ、ライアンも俺と一緒じゃないか。だってお前があの世界に行った理由も。」


「黙れ!それ以上口を開くな!」


デレクがオレンジの髪の男性をライアンと呼んだ。初めて名前を認識できた。シークレットはライアンという男性なのか。なんだか頭がぼおっとしている。モヤがかかっているように何も考えられない。


「言ってやれよエイクに!お前を追いかけてあの世界にいったと!エイクと一緒になる為に性別も変えたんだろう!なんともしおらしいじゃないか!」


ライアンは今にも泣きそうな表情でデレクを睨んでいる。ああ、英子ちゃんを助けないと。でも言葉をかけられない。エイクも驚きライアンを見つめている。朱里さんはさっきから一切話をしない。


「黙れ!黙れ!黙れ!違う!違う私は佐藤さんをちゃんと愛している。」


「へーあのバイトの時、佐藤さんと話して聞いたよ。告白はしたけど断られたって言ってたけど?」


瀬良君の口調で話す。英子ちゃんと佐藤さんは付き合っていない?私最低だったんじゃ?片想いしてた人から横から奪ってしまった。またモヤがかかる。


「今は本当に付き合っている。こんな私を、私の全てを打ち明けて受け入れてくれたんだよ。だから。」


「でも、マリアがいなければ、桃がいなければエイクと一緒になれるって考えた事はあるんだろう?友達なんてそんなもんだろう。最低だな。」


「違う、私は桃ちゃんと友達だから。」


泣きながら膝をついて弱々しく話している。デレクは徹底的にライアンを壊そうとしているようだ。


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