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40、朱里さん


だめよため息なんかついちゃ幸せが逃げるわよ!


えっもう自己を保てたんですか?


ええ、私優秀だからねとにかく誰かに会ったりしたら私が話すから任せて。


お願いします。


じゃあ寝るわおやすみなさい。


ええ。


とにかくまずは整理しよう。瀬良君はデレクだった。そして元の世界に連れていかれてしまった。瀬良君はマリアが好き?それとも桃が好き?そこは分からない。

シークレットは英子ちゃんだった。この世界ではエイクと同じ騎士団に所属している。エイクが好きでエイクの為に私を助けてくれる。なんだか申し訳ない。もしかしたら追いかけようとしてくれている。アンちゃんと一緒に。でもなるべく私1人でどうにかしないと。


「マリア様、昼食を持って参りました。」


ノックと共に扉の外で声がした。朱里さん!カノンが!駄目だ返事がない。


「入ってください。」


「失礼致します。お昼はミルクリゾットにさせましたが、召し上がれそうですか?」


「はい、いただきます。」


「お嬢様、本当に具合が悪いようですね。いつもならもっと明るく声も大きいですもの。」


「ええ、ちょっと。」


疑いの目を向けているカノンのせいで味が全くしない。顔にでるタイプでなくて本当によかった。


「では下がります。ああ、16時に騎士団の者達が挨拶周りに来ますがいつも通りクッキーを配られますか?」


「ええ、はい。」


「分かりました。ではクッキーを準備させますね。」


「ええお願いします。」


カノンが下がった瞬間。朱里さんに話しかける。


朱里さん!クッキー配ってるんですか?


ええ、ちゃんとコックが作ってるから美味しいですよって言ってから渡してますよ!


そういう問題ではない気がするんですが。


いいんです。ここのお家は施しをしなさ過ぎだから。日曜日の礼拝にもコックの作ったクッキーやケーキを持っていって配ったり、その帰りに孤児院によって同じようにお菓子を配って遊んで帰るの。そこで先生と出会って仲良くなったんです。先生、孤児院の出身でよく遊びに行くんですって。


先生の出会い方が違いません?


ああ、そうなのゲームとは違うくて学校より先に会っちゃたの!


へーそうなんですか!とにかく騎士団の人の対応はお願いします!私もなんとなく自分を抑えてみますから!


分かったじゃあそれまで力をためておくわ。


ええ後3時間ありますから。お願いします。


ええじゃあおやすみ。


「私も試してみよう。ブレスレットさんマリアがいつも着ているようなドレスに着替えさせてください。お願いします。」


ぱあっと光って重いドレスに変わった。


「ありがとうございます。ブレスレットさん。」


よし、この重さもマナーも思い出してきた。ああ、壮真は大丈夫だろうかまさか世界を飛ばされるとは思わなかった。アンちゃんもせっかく戻ってきたのに。何より英子ちゃんにお礼を言いたい。いつも助けてくれてたのに。ああ、早く帰りたい。帰りたい。




「マリア様、そろそろです。」


「はい。」


朱里さんお願いします。


うん、これなら大丈夫そう。私が体を動かすね!


「さあ行きましょう!」



「騎士団の皆様!これいつものコックのサンドイッチとクッキーです。どうぞ召し上がってくださいな!」


「ありがとうございます。お嬢様。」

「いつもすみません。」

「わーいいただきまーす。」

「マリア様今日もお美しいですね。」


「いつもこの国を守ってくださってるお礼です。どうぞ召し上がってください!」


皆、ぱあっと顔が輝いている。



あの両親がよくも許しましたね。


何かあった時に媚を売っておけば1番に助けて貰えるかもしれませんよって言えばイチコロだったよ。


ああ、確かに。孤児院の方は?


ほぼ同じような理由で、寄付をすれば好感度があがり味方が増えるし便利ですよって。利害が一致すればあの2人はお金を出してくれるよ。私はお金さえ出してくれればいいし。実際、家の味方が増えたし。私、一応大人だったからマリアが小さい頃から賢くできたの。


そうですか。朱里さんって賢い人ですね。


あなたはこれが初めての人生だものここまで上手くはできないでしょ。私は死ぬ程働いて本当に死んでしまった。そこで2度目の人生がここなの。そりゃあ上手くできるよ!


尚更、私早く出ていきますね!


まあ焦らずに頑張りましょう!


「マリア様ではそろそろ帰りますね。何かあれば寄宿舎にお越しください。」


「ええ、ではごきげんよう。」


手を振って見送る朱里さんは本当に素敵だった。私にはできなかった両親との対話や、社会との関わりを可能にしている。私の為に生贄になってもらって申し訳ないと思っていたけど、朱里さんはもうマリアなんだ。


「マリア様私、騎士団のデレクと申します。」


「ええ、存じ上げていますわ。」


出た!私はひっそりとしておこう。朱里さんに対応を任せよう。赤毛で背が高く制服を少しだけ着崩している。


「マリア様竹中桃はそこにいますか?」


「デレク様が何をおっしゃっているか分かりませんわ。」


「そうですか。では失礼致します。」


「ええさようなら。」


うん、怖いな。



あの子やばいね。肌がビリビリしたよ。昨日まであんな感じじゃなかった。


朱里さん、あの人が私を無理に戻したんです。要注意人物です。中に入っています。


分かった覚えておくね。今日はこれで終わりだからもう休もう。カノンにそう伝えておくね。


はい、じゃあ明日の事は明日考えましょう。


ええ、おやすみ。

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