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33、馬鹿兄貴


朝、居間に降りるとお父さんの前にお兄ちゃんが正座していた。自己申告したようだ、ざまあみろ。お母さんと壮真は朝ごはんの準備をしている。


「おはよう、桃。」


「おはよう、壮真。」


「桃ちゃんおはよう、壮真君が手伝ってくれているの本当に優しい子ね。お客様なんだからゆっくりすればいいのに。昨日、真生がしょうもない事言ったんでしょう。ごめんなさいね。まさきお兄ちゃんは馬鹿だからね。でもいい子なのよ。」


「ちょっと母さん酷くない!」


「こら!まさき父さんの話はまだ終わってない!」


そしてまた正座で説教されている。


「とにかく今日帰るからね。ねえ壮真?」


「えっ?ああ、そうだな。」


「えーもう帰っちゃうの?じゃあお母さんお弁当とおかずと冷凍したおかずとカレーと……。」


とブツブツと言いキッチンに行ってしまった。


「だから冷蔵庫、家庭用の大きいやつを買ってくれたのかな?」


「とにかく朝ごはんをいただこうか。」


「壮真君、真生がすまなかったね。真生は馬鹿なんだよ。いい子なんだけどね。」


「いえいえ普通の反応ですから、家に帰ると知らない男がいたなんてああいう事を言いたくなります。」


「ありがとう、優しい義弟だよ。」


「ははは、ありがとうございます。」


「さあ食べましょう。朝ごはん冷めちゃうわ!」


いつの間にか戻ってきていたお母さんの一声で全員で朝ごはんを食べ始めた。

朝ごはんを食べ終え、お父さんは仕事に行き、お兄ちゃんはバイトに出かけて行った。


「桃ちゃん!これはすぐに冷凍庫に。こっちは……。」


どれ程の保存容器を持って帰らせようとしているのか?もうクーラーボックスが3つめになっている、そしてまだ出てくる。


結局、5つのクーラーボックスをレンタカーに乗せて帰る事になった。


「えっと今日が木曜日だから、日曜日にお父さんとクーラーボックス取りに行くからね!壮真君ごめんなさいね。この車レンタカーなのよね。これ足りるか分からないけどお願い受け取って。桃を連れてきてくれて、本当にありがとう。」


「すみません、ありがとうございます。」


「お母さんありがとう。」


「気を付けてね。2人共いつでも来ていいからね。」


「うんじゃあね。お母さん!」


「ええじゃあね、桃ちゃん、壮真君。」


「ええ、ありがとうございました。さようなら。」


車に乗り込み窓から身を乗り出し手を振る。お母さんも手を振って見送ってくれる。見えなくなるまで手を振り車内に戻った。


「はーあ、もうホームシックだ。」


「早いな!まだ5分も経ってないじゃないか。」


「ふふふ。さあ帰ろうか我が家へ。」


「ああ、安全運転で帰ろう。」



壮真の運転は危ういとこもなく、早めに出たからか渋滞に巻き込まれる事もなく無事に昼前に到着した。クーラーボックスを運ぶのに2人で往復して運んだ。


「じゃあ返してくるよ。」


「一緒に行く!」


「あれ全部、とけるぞ。」


「ああ、ああうん、お願いします。」


「ああ、じゃあな。」


「はーいありがとう。」


部屋に戻ると郵便物がたくさん入っている。チラシに紛れて封筒が1通入っていた。


「まただ。シークレットか。」


やあマリア、ダニエルはもう何もしてこない筈だ。こちらで手をうっておいた。ただ我を名乗った偽物が居るようだ。君も気を付けてくれ。正直、今は君の前にでることができないんだすまないね。じゃあ頑張りたまえ。


「そっか。シークレットは誰なんだろう。後で壮真に見せよう。」


冷凍庫と冷蔵庫に全て詰めて、クーラーボックスを玄関に積み上げる。洗濯をし始めると当たり前のように、うちに壮真が戻ってきた。


「おかえり。」


「ただいま、昼どうする?」


「あーとりあえず掃除もしたいし洗濯物も干したいしうちで食べようか。さっきあんなに貰ってきたし。」


「じゃあご飯だけ炊くか。」


「ダメだお米がない。……よかったお母さんが冷凍で入れてくれてる!」


「ありがたいお母さんだな。」


「うん、後、これ。」


「またか。」


シークレットの手紙を読むと私を抱き寄せギューッとした後、ご飯の準備をしてくれる。そしてその日はまたうちに泊まっていった。



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