2、私がすること
「アンちゃん私はこれからどうすればいい?色んな疑問があるけどとにかく巻き込まれるのは本当にごめん。」
「せやなー。そろそろこの世界のゲームに巻き込まれるかもしれへんな。私が無理やり入ったからちょっと事情が変わるかもしれへん。とにかく自分から探しには行かんでええと思う。これからゲームに巻き込まれるから恋愛に関するイベントが増えると思うわ。そういう時に桃ちゃんに関わってきた子らを桃ちゃんが好きになる前に調べないと。」
「別に恋愛なんて……。」
「桃ちゃん、ヤンデレの子を好きになってもええねんで。ただ前はそれで危ない目にもあったし苦労もしたやん、だから私がきた訳やけど。だけど桃ちゃんの好きにしたらええねんで。好きになった子がヤンデレでも応援するから。でも恋愛イベントが増えるから危ない事に巻き込まれるかもしれへんねん。」
「えー怖いー。何故そんなイベントが。てか恋愛イベントって。」
「そこで桃ちゃんにいいものをあげます。他の世界の人からもらってきてん。魔法が存在する世界の女王様から貰ったものやねんけど。桃ちゃんの話をしたらこれをあげるって。めちゃくちゃ大事な物やのに、桃ちゃんにあげたいって。これをつけてる人は何からも守られる、相手が言った事が真実か嘘かわかる、早着替えできる。っていう魔法がついたブレスレットや。いろんな事情で早着替えに魔法をつけなおしてんて。めっちゃ焦って言うてたけど。でその人から桃ちゃんに伝言。私にはもう必要ありません。私は今とても幸せなんです、だからこれをあげます。きっとあなたを守ってくれる、あなたに幸あれって。」
アンちゃんが差し出したのは白い百合のモチーフとキラキラした石が順番に満遍なく輪っかについたブレスレットだった。
「えっ?本当にいいの?。私なんて関係ないなのに。いい人過ぎない?」
「うん。本当にいい人やで。優しくて慈悲深くてよー色んな人の話を聞いてる。だから私みたいなんの……。だからこれは貰っとき。大事に使えば桃ちゃんを助けてくれる。それともう1つこれもあげる。」
ブレスレットは私にぴったりでありがたく頂戴することにした。守ってくれるなら守ってもらおう。
次に差し出したのは黒いシンプルなタブレット端末だった。
「それは桃ちゃんが話した人の情報が勝手に入力されていくねん。とにかく少しでも話せば名前、生年月日、性格傾向、趣味、学部等やな。後話した内容も全て入力される。だからちょっと怪しいって思った人は話を読み返すのありやな。」
「なんだかすごい端末だね。」
「とにかく両方持ち歩いてな。端末はスマホと連動してるからまあ忘れてもええけど、ブレスレットは肌身離さずつけといて。本当に便利やし。」
「分かった。ありがとう。」
そう言った後、ブレスレットをつける。その一瞬、暖かく包まれた気がした。
「良かった。ブレスレットに認められたな。そのブレスレットも女王様が大好きやったから。まあ桃ちゃんいい子やから大丈夫やとは思ったけど。これで完全に桃ちゃんの物になったな。さっきの3つの魔法は使い放題やからね。」
「ありがとう。ブレスレットさんもありがとう。」
「じゃあ次は情報を共有していこか。私が知ってる事を話すわ。とにかくここはまた違うゲームの世界の中。でも桃ちゃんはモブキャラクターだから自由な人生を送れるし、ゲームの期間だけちょっと色んな事が起こるけど、それが終わればまた今までと同じような生活が送れるようになるから。このゲームも恋愛ゲームで看護師を目指す主人公のヒロインが医大で恋愛する。攻略対象は指導官、同級生、幼馴染、研修医、医者、看護師ね。この夏から大学卒業までこの世界は一気に恋愛モードになるから桃ちゃん頑張ったらテストで1位取れると思うで。この時期皆がくんと学力が落ちるから。」
「うわぁじゃあバイトじゃなくて勉強しよう。もっと頑張る。」
「うんええと思う。知識は身を助ける。とにかく今は5月やから今の内にできることはしときや。」
「できること?」
「うん。とにかく夏までは目立たない。夏以降は皆ちょっと浮ついた感じになるから目立たへんと思うけど。後、情報は集めといてな。今まで話した事ある人には話しかけておいて端末に保存させる。ああもう1つもってきてたわ。これもつけといてな。」
黒いおしゃれな腕時計だ。時計盤は液晶のようだ。
「それは私と通信できる機能と、時間と万歩計と地図の機能をもってるねん。何かあったらそれに叫んで。私も外では桃ちゃんのそばにおられへんし。だからそれも持ってて。」
「ありがとう。なんでそばにいられないの?」
「私と当たるともしかしたら前世の記憶が蘇るかもしれへんねん。自由に思い出させたり忘れさせたりできひん多分。だからもし前の攻略キャラと当たったらもうヤンデレ一直線になる。今はまだ、変わろうこんな気持ちいけないっていう子もいるから。気質もあるけど環境も作用するからね。前はマリアを落とせばお金持ちとか権力がとかで親が子に歪んだ恋愛観を植え付けてたからね。今回はそんな親は存在しないと思うから。」
「そっかじゃあ外には出にくいよね。」
「うん。でも最悪桃ちゃんに何かあったら透明になって人にあたらんように出るわ。その女王様の夫の国王にもらってん。透明になれる首輪。これつけて出るわ。だから心配せんでいいで。」
「うん。ありがとう。でもアンちゃんは何故私を助けてくれるの?」
「1番は本当に可哀想やったからやな。だってマリア全然太陽見れんと終わっていくからね。あんなに太陽の下で笑って走ったりピクニックしてたのに。ずっと暗い場所に閉じ込められてって思っててん。だって今も素直に信じてくれるしいい子やから。」
「そっか。ありがとう。ねえ今マリアはどうなってるの?」
「ああ、今はめちゃくちゃヤンデレが好きな社畜だった女性が代わってくれてん。彼女も前世の記憶を持ったまま生きてるわ。めちゃくちゃ幸せそうやで。仕事以外でこんなに求められるの初めてって言うていつも目がキラキラしてるわ。攻略キャラ達は前よりもヤンデレの子達がやってるわ。だから上手いことまわってるから心配せんでええ。今回のマリアはめちゃくちゃ幸せそうやから。」
「良かった。私からしたら生贄だから。」
「大丈夫。さあこれくらいかな。今はもう聞くことなかったらおいおい聞いて。」
「あっアンちゃんは何食べるの?作ろうか?」
「あーなんでもええで。人と同じもん食べられるから。」
「分かった。その人を知るには食事から。ね。」
「そうやね。ありがとう。」
「じゃあご飯にしましょう。」
明日から情報を集めて何とかヤンデレから逃げ切らないと。まあ相手は私って分からないし大丈夫でしょう。