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15、本当の幸せ


あの後、壮真からメールが来て今日はどうする?って聞かれたけどどうしてもあわせる顔が無くて断ってしまった。壮真が覚えてくれていた事嬉しかったのに。


「アンちゃん私ね壮真が好きになっちゃった。」


「ええんちゃう。告白しーさ。」


「でもねエイクってどのルートに入っても傷付く事になるでしょう。だから少しずつ離れて行こうかなって。」


「なんで?壮真はどう思ってるか分からんやん。」


「そうだね。でもマリアのせいで傷付いて、私のせいで記憶を戻されて、罪悪感から私を守ってくれてるの。可哀想じゃない?冷静に考えてそう思わない?」


「ああ、まあ。」


「でしょう?壮真の人生なのに私が負担になってるの、だから私から自由になってもらおうと思って。」


「まあ 程々にな。」


「うん分かってる。」


「でもそれやと桃ちゃんはまた幸せを我慢する事になるんちゃうん?」


「でも好きな人に幸せになって欲しいの。」


「分かった。どんな選択でも桃ちゃんを応援する。」


アンちゃんのご飯を食べた後壮真にもう1通メールを送った。明日から一緒に帰るのやめよう、そして付き合うふりもやめよう。と。これが大人な対応だろう壮真の幸せの為に身を引こう。マコちゃんと付き合わなくても誰か他の人でも幸せになってくれれば嬉しい。

結局、返事は返って来なくて大学にきてしまった。今日は3時限までで終わりだから早い時間に帰れるな。カフェでも行こうかな。この頃いつも壮真とまっすぐ帰るので寄り道なんてできなかったし。


「英子ちゃん、帰りにお茶しない?」


「あーごめん今日バイトだ。」


「そっか。じゃあまた今度にしよう!」


「うんごめん。じゃあまた明日ね!」


「バイバイ。」


仕方ない1人でパフェでも食べよう。


マンションから10分程のカフェのスイーツは全て美味しいのだけど、中でもイチゴパフェが好き。カフェに入ると真部さんが居た。何度か来ているけど初めて会ったなと考えていると。


「やあ!竹中さんここにおいでよ!」


今日もテンションが高い。


「こんにちは真部さん。」


「やあこんにちは!今日は夜勤明けなんだそれで奇跡の明日から3日休みなんだ!だからここでちょっとだけ甘いものを食べて帰るよ!」


「あははは。今日もテンション高いですね。」


「それは自覚しているよ!君もこうなるんだ!」


「うわぁ嫌だな。」


「はっはっ。僕の先輩は女性なんだけとても元気な人でね僕の教育係をしてくれたんだけど徹夜もへっちゃらでなんで元気なんすか?って聞いたら透君が作ってくれるご飯を食べたらなんでも吹っ飛ぶって。透君っていうのがお子さんなんだけどシングルマザーで自分より年下は全員子供に見えるからってものすごく面倒見がいい人なんだよ!君もそういうパワフルな女性になるかもしれないよ。」


「素敵な女性ですね。」


「ああ、だから結婚したんだ。今は透君と先輩と3人で暮らす家を探している最中なんだ!だからあのマンションはもうすぐ引っ越すんだよ。」


「そうなんですかおめでとうございます!」


「ありがとう!ん、あれは前にエントランスで話した。」


「どうしました?」


「君の彼氏っぽい人を見かけたんだけど違ったかな?」


「えっ?」


振り返っても誰もいなかった。


「あっ!」


「どうされました?」


「病院に弁当箱忘れた!ごめんね取りに帰るよ。パフェゆっくり食べてね!」


と言って会計を払ってくれた。


「ありがとうございます。ごちそうさまです。」


と頭を下げパフェを食べた。喫茶店を後にして幸せな気分でマンションに着くとそこに居たのは壮真だった。


「そんな笑顔で帰って来てお前、あの男と会うために俺と帰る約束を破ったのか?しかもあんなメールで俺は別れないぞ。」


「えっ。」


「えっじゃないよ。お前さ俺の彼女なんだろだったら俺の傍にいろよ。他に好きな奴ができて横から奪われる。また前と一緒だよ。」


「えっ違。」


「ああそうか。まだ偽物だもんな。お前に好きな奴ができたって俺にはどうする事もできない。お前を引き留める力もない。」


「待ってよ。」


「待たねえよ。結局、お前は閉じ込めないと俺のものにはならない。今から俺の部屋に連れて行って、鍵をかけてしまおうか。」


嘘でしょ。まさかのバッドエンドに入りかけているぞ。壮真にまた罪悪感を植え付けてしまう、考えろ壮真を傷付けずにバッドエンドから逃げる方法を。嫉妬のエイクなのに私が軽率だった。結局、マリアは自分の気持ちを告げずに監禁された。それならば。


「聞けよバカ壮真!」


壮真はびっくりしてこっちを見ている。やっと目が合って少し壮真が涙ぐんでいる事が分かった。そうだ壮真が言った事、前世の私達は子供で言葉が足りなかった。


「私は壮真に幸せになって欲しくて身を引いたの!壮真は前世の罪悪感から私に協力してくれているでしょう!それが嫌だったの。最初は何も考えずに壮真に頼んだけど今は分かる。私のせいで時間とか素敵な女性とか犠牲になるでしょう!せっかくの新しい人生なのに!」


「桃。」


「分かった?それに罪悪感とか前世の感情に引っ張られているからって私を好きになって欲しくなかった。私は今の壮真が好きなんだから!」


「桃、ごめん。頼むから泣かないでくれ。」


「本当にバカ。」


「ごめん。本当にごめん。」


壮真が抱き締めながら頭を撫でてくれる。いつの間にか流していた涙を壮真が優しく拭ってくれる。


「だったら1番大事な事言って!」


「1番大事な事。」


「分かるでしょう!閉じ込める必要なんてないもの。」


「桃、好きだよ。前世がきっかけではあるけど引っ張られている訳じゃない。今の桃が好きだ。」


「うん。それで?」


「それで、本当に付き合って欲しい。」


「はいこちらこそお願いします。」


私達は泣きながら微笑みあった。


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