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13、壮真の幸せ


発表まで後5日になって私が発表する部分は完成していた。壮真があの約束を覚えているか分からないけど。


最近、壮真とタイミングが合わなくて全然話せていない。原因は2つで1つはマコちゃんだ彼女の私を差し置いてずっとそばにいるのだ。私と壮真は偽物の恋人なので人がいるとボロが出てしまう事を恐れて誰かがいる時は話したり傍にいないようにしている。

もう1つは瀬良君だ彼は何かと私に関わってくる。何か甘い物をくれたりジュースを奢ってくれたり勉強を聞きにきたり発表の相談をしたり、たまに壮真が助けてくれようとするのだけどマコちゃんが壮真を捕まえてしまい結局、瀬良君といるはめになる。でも瀬良君は仲良くなってみると普通に良い人であれから1度も前世の話をしなかった。


「壮真さん。付き合ってください。」

「桃と付き合ってるし、君しつこいよ。」

「でも好きなんです。一目見たときから。」

「ははは、可愛い事を言うんだね。」

「壮真さん。」

「マコちゃんって素直なんだね。」

「壮真さんの前だけです。」


ずっと2人はこんな感じだ。

正直、もしも壮真がマコちゃんを好きになってしまったら私は身を引かないといけない。壮真は私を好きではないのだから。偽の恋人なのだから。前世でどのルートに入っても辛い思いをするエイクは今世では幸せになってほしい。好きだからこそ今やっとそう思えるようになった。私は竹中桃だけどマリアでもある、エイクは傷付くイベントが多くてそれを思い出したのだ。エイクには幸せになって欲しい。


「竹中さんここってどうした?」

「瀬良君。これはここを使ってこうしたよ。」

「ありがとう。そうか分かった。」

「いいえどういたしまして。」

「竹中さんあの子許していいの?彼氏に引っ付き過ぎじゃない?」

「ああ、いいの信じてるから。」

「そっか。竹中さん発表のあわせしよう。」

「うん。」


手を引っ張られて教室の隅へ連れて行かれる。もう慣れっこになってしまった。少しの移動は目をつぶるようになった。今回は発表の練習をするので邪魔にならないようにだし。

瀬良君はやっぱりアランっぽい、いつも甘い物を持っているし、少しわがままで瀬良君の思い通りにならないと不機嫌というか涙ぐむのだ。仲良くなればなる程アランっぽさを見つけてしまって気が緩んでしまう。アランが病んでしまう前は弟ポジションでマリアが他の人のルートに入ると、恋人を連れてきてWデートをするし。



「桃ちゃん。桃ちゃん!」


「あっ英子ちゃん。どうしたの?」


「もう授業終わったよ。なんだかずっと前を向いたままだったから。大丈夫?」


「うん大丈夫だよ。ありがとう。」


「もう今日は終わりでしょ彼と帰らないの?」


「ああそうだね。じゃあ行こうかな。」


「うん。何かあったら言ってね。バイバイ。」


「うん。バイバイ。」


待ち合わせの場所はいつも通り図書館だ。図書館の前には壮真がもう待ってくれているけど、既にマコちゃんが居て楽しそうに話している。


「壮真さん帰りましょうよぉ。」

「いや、桃を待たないと。」

「ええー授業の後もずっと勉強してましたよ。」

「それでも待つ。」

「それに瀬良君と勉強してたし。」

「ハイハイ。」

「あー信じてない。本当なんですよ2人で楽しそうにしてて。」


「壮真!」


「桃帰ろうか。」


「桃ちゃん。瀬良君はいいの?」


「えっ大丈夫だよ。」


「桃ちゃんこの頃瀬良君とばっかりで壮真さん放ったらかしで可哀想だよ。」


「マコちゃん俺はそうは思ってないよ。」


「ああ、ごめんね壮真。」


「もう壮真さん優しすぎです。ビシッと言わないと!」


「マコちゃん俺怒るよ。」


「壮真ごめんね。」


「桃は謝らなくていいよ。さあマコちゃんあっちの道だろ。バイバイ。」


「えー送ってくれないんですか?」


「俺は桃の恋人だから。」


「えーわかりましたぁ。じゃあバイバイ壮真さん。桃ちゃん。」


「ふうやっと行ったな。」


「………。」


「大丈夫か?」


「あっうん大丈夫。ありがとう。」


「マコちゃんって可愛いけど面倒臭い時があるな。」


「ははそうだね。」


「元気がないけど大丈夫か?」


「うん大丈夫。じゃあバイバイ。」


「ああ、またな。」


私、壮真が好きなんだ。でも前世と同じ運命を辿らない為に全く違う人を選ばないといけない。マリアはエイクをたくさん傷付けたのだから。


「桃ちゃんなんかあったんか?」


「どうしてアンちゃん?」


「顔が暗いで。なんかあったんか?」


「友達がね私と瀬良君が付き合ってるっていう噂を流そうとしてるの。それがしんどい。」


「ああ、最悪やな。その子とは関わらない方がええな。でもあんまり気にしんときや案外周りはその子の言う事信じてへんかもしれへんで。」


「ふふそうだね。ちょっと楽になった。ありがとう。」


「ごめんな。なんもできひんくて。もうはよ寝えや。」


「ううんありがとう。うんすっと寝ちゃう。おやすみ。」


あの時は私の事しか考えていなかったけど、壮真の幸せを考えると別れた方がいいかもしれない。



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