過去の夢と現実のプロローグ
本作は、一朝一夕というか、二時間程で書き上げた作品です。ですが、僕の他の作品には無い深みを描けたと思います。なので、半分ぐらいは期待してご閲覧ください。
つい二日前、飛行機の事故で両親が共々亡くなった。
「あんたも高校生になったんだし、彼女の一人や二人家に連れ込んでいいのよ?母さんたち居ないんだし、どんな大きな声で喘がせたって大丈夫だし。」
そんな言葉が、俺が母から聞いた最期の言葉であった。実にくだらない。低俗な話で、母達は帰らぬ人になった。
特別仲がよかったとか、そういうのは無いが、口煩くても、やはり両親だ。居なくなるとやはり淋しい。もう会えないと言うのなら尚更だ。
そんな俺…、自己紹介がまだだった。
俺は、小鳥遊翔太。
県立高校に通う、ごくごく普通の高校生だ。
話を戻そう。そんな俺は遠い親戚の家に引き取られる事になった。遠い親戚だからといって、近い親類にたらい回しとか、厄介者扱いされた訳でもなく、むしろ快く受け入れてくれるようだったが、皆、住んでいるところがバラバラで、近くの人が遠い親戚に当たる鎌原さんしか居なかったので、この家にお世話になる事にした。
一つ問題なのが、鎌原さんと言う人間を全く知らないと言う事だ。会った事も見た事も無い。
通夜の時が初対面だったのだ。
それと、鎌原さんには俺の一つ下の娘さんがいて、その子は俺と会った事があるらしい。未だ会った事は無いが、俺をこの家で引き取るのはその子の希望があったと言う。俺自身、全く身に覚えが無いのだが。
「翔太。岬が帰って来たから、顔見せてあげてくれよ。」
「は、はい。今行きます。」
考え事をしながら、荷物の整理をしていると、ドアが二回ノックされ、鎌原さんが入ってきた。
どうやら、娘さんは岬と言うらしい。
うーん、やはり思い出せない。
本当に一度会った事があるのだろうか。
「おにぃーちゃん!久しぶりっ!」
一階リビングのドアを開け、中に入ると、待ち構えていた少女に抱きつかれる。
突然の事で、一瞬、俺の脳はシャットダウンしたが、直ぐに再起動し、脳が活動を始めた。
脳が再始動し、初めて感じたのは、非常に柔らかい二つの感触だった。
その感触とは、紛れも無く、少女のたわわに実った大きな胸だった。
「なに?えっ、ちょっと!?当たってるって!」
「えー?なにがー?おっぱいの事?」
「そうだよ!分かってるなら、退けてよ!」
「やだもーん!おにぃーちゃんの為にここまで育てたんだから!」
な、何を言ってるんだ?この子は……。
俺の為に?俺が覚えていない程、付き合いが短かったと言うのにか?
それはさて置くとして、至福の感触に、腕が俺の意識化を離れて動こうとしないので、是非早く退けていただきたいのだが。
「岬ー、あんたねぇ、挨拶ぐらいはちゃんとしなよ。翔太コンなのは分かるけどさ。」
「鎌原さん。取り敢えず、俺の名前的にショタコンに聞こえるので、それはやめて下さい。」
「あははっ、おにぃーちゃん昔とおんなじでおもしろーい!やっぱすきぃー!愛してるー!」
俺にしては、初対面の女の子にやれ好きだの、愛してるだの、愛の告白を受けるって、どんな状況だ?俺の頭はもう着いていけん。誰か考えてくれ。
「えっと、岬…さん?だっけ、申し訳ないんだけど、俺、君のこと知らない…ってか、覚えてない。」
少し直球過ぎただろうか。
だか、知らないものは知らない。変に知ったかぶりして、逆に不快にさせるのもよくないと思ったのだが。
岬さんは俺の腕を解放し、よろよろと俯きながら、後ろへ五歩ほど下がる。
「嘘…、だよね?覚えてないって。」
「悪い。」
真実とは言え、心が痛い。
恋愛感情か否かは不明だが、ここまで俺を慕ってくれている子に、覚えていないなどと言うのは。
「えっ?じゃあ、約束も?約束の事も覚えてないの?」
「ほんと、ごめん。何も覚えていないんだ。」
俺が言葉を発し終えるのと時を同じにして、岬さんの目からは、ポロポロと大粒の涙が零れ落ちる。
何故だ?そこまで大切な事、忘れるはずか無いと思うのだが。記憶力はそこそこあると自負していたのだが。
「そう、だよね。私のことなんて、覚えてないよね。うん、そう。私なんて、おにいちゃんの記憶の片隅にも残らなかったんだよね。」
「えっ、えっと…。」
「大丈夫だよ。子供の時の話だし、小さかったし、私、地味で不細工だったし、全然…、全然気にしないから。
ママ。今日はご飯いらないから。」
と、言い残し岬さんは腕で涙を拭いながら、階段を駆け上がって行ってしまった。
なんだか、すごくいたたまれない。
「翔太。少し、話をしようか。」
「はい。」
◇
「本当にすまなかった。」
殴られるのを覚悟していたが、鎌原さんの口からは、予想とは全く別と言うか、正反対の言葉が発っせられた。
この状況、どう考えても、悪いのは俺だ。
なのに何故鎌原さんが謝るんだ?
「えっと、俺が忘れてたのが悪い訳で…、えっと、すみません。」
「そうだ。忘れたのも、私が悪い。私の責任だ。」
「えっ?どうしてです?俺が勝手に忘れただけなのに。」
鎌原の言っている事が全く理解出来ない。
覚えていないのは俺の記憶能力のせいで、鎌原さんや岬さんは何も悪くない。なのにどうして?どうして鎌原さんは俺に頭を下げるのだ?
「あんた、額の横にさ、擦れたような傷無い?」
「ありますけど。子供の頃、転んで出来た傷らしいです。覚えてないんですけど。」
「その傷は、今から七年前。あんたら二人を私がデパートに連れて行った時に強盗に拳銃に撃たれて出来た傷なんだ。」
強盗…デパート…拳銃…岬…岬…岬。
「うっ、うぐっ…、ぐああああ!!」
頭が割れる程の頭痛で、俺は床に倒れ込む。
鎌原さんがなにか言っているようだが、よく聞こえない。思考が停止する。何も…考えられない…意識が…遠く…
そのまま俺は意識を失った。
◇
『おにぃーちゃん!だーい好きぃ!』
岬さんの声がする。少し幼い感じはするが、確かに岬の声だ。俺はまた、告白されたのか。
知らない女の子に。
『おにぃーちゃん!一緒にお買い物しよ?パパとママがおにぃーちゃんも連れてってくれるってー!』
買い物?何処へだろう。
と言うか、パパって事は、鎌原さんの旦那さんか。
確か、旦那さんは七年前に亡くなったって…
七年前…何か引っかかる。
『みさきのおうちの近くにね!おっきなお店やさんができたんだよ!おもちゃとか、ゲームとかおいしいものとかもいいっぱい売ってるんだってー!』
お店やさん?デパートとかか?
ん?デパート?そう言えば、鎌原さんがデパートで強盗がなんちゃらって。
『テメェらは、人質ダァ!!テメェらを餌にして、クソッタレな奴らから、莫大な身代金を要求して、海外でウハウハ生活するんだよぉ〜!!だからヨォ!逃げようとか、考えんじゃねぇぜ?俺たちゃヨォ、最後の一人さえいりゃあいいんだ。逃げようとした奴、即死刑きゃっはー↑↑↑』
何だこれ?強盗か?じゃあ本当なのか?鎌原さんの言っていた話は。
『ふざけるな!子供もいるんだ!』
鎌原さんだ。容姿が全然変わらないからすぐ分かった。
『そうだ!子供には関係ないだろ!解放しろっ!』
隣の男も同調して、反発する。
鎌原さんの旦那さんだろうか。
よく見ると、小さい岬さんともう一人の少年…、もしかして、俺なのだろうか。
『あん?テメェらヨォ〜。立場分かってんノォ〜?俺に逆らったらなんだっけ?シ・ケ・イ!って事でェ〜!バーン!』
強盗が男性の頭部を目掛けて発砲する。
その弾丸は命中し、男性の額を貫通する。
頭にぽっかり空いた穴から血が大量に漏れ出している。
『い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
すぐ隣にいた、鎌原さんが悲鳴をあげる前に、既に岬さんが叫んでいた。
それに続き、鎌原さん含めて、人質一同が、絶叫する。だが、何故か俺だけが叫んでも、泣いてもいなかった。怖すぎて、声も出なかったのだろうか。
『うるせェェ!!一人ずつ殺して行くぞコラァ!!まずはテメェだ!!さっきの男の嫁ってとこかァ?夫婦共々、地獄に行きなァ↑↑↑』
やばい!!鎌原さんが!!
『やっ、やめろ!岬も岬のママも俺が守る!』
小さい俺は、強盗に向かって行く。
勝てるはずが無いと分かっているだろうに。
『おいっ!ヤメろッ!!クソガキ!!』
強盗は小さい俺目掛けて銃を発砲するが、当たらない。しばらくはそれで持ち堪えたものの、ちっぽけな小学生が叶うわけもなく、蹴りとばされ、小さい俺は吹っ飛ぶ。
『テメェは、後で嬲り殺す。やっぱ最初は、この女からダァ!!死ねクソアマァァ!!』
倒れていた、小さい俺は起き上がると、鎌原さんを庇うように倒れ込む。そして、小さい俺の頭を弾丸が通過する。
これで致命傷でなかったのは奇跡だな。
そうか、こんな事があったのか。
俺は忘れていた。俺は過去にこんな体験をしていたんだな。何はともあれ、岬の父親…、鎌原さんの旦那さんは亡くなってしまったが、岬さんと鎌原さんを救う事が出来て良かった。
この頃の俺は勇敢だった。今の俺はあんな状況で、あの決断は出来ないだろう。
でも、これからは過去の自分に恥じぬような人間になろうと思う。
前書きで、この作品は二時間で書いたと言いましたが、ネタを考えたのは、学校の授業中です。
あとは、書きながら考えました。そんな感じで、書きながらネタを考えるのが僕のスタイルです。
語彙力やセリフの言い回しなど、至らない点ば非常に目立ちますが、今後とも宜しくお願い致します。
感想も頂けると非常に嬉しいです。




