ピカソ 『ゲルニカ』鑑賞を経て
例によって独学の産物です。
事実関係を記した部分に限っては
資料的価値はほとんどございません
(情報の精度という点なら
ウィキペディアの方が上です)。
絵の解説の部分は自信満々。
学芸員王に俺はなる
天才の代名詞パブロ・ピカソ(1881~1973)。
ピカソは何がすごいのか。
ピカソの天才性とは何か。
ピカソの代表作に
『ゲルニカ』という作品があります。
白黒の巨大な画面の中に
お化けみたいな
人間や動物が激しく蠢き
入り乱れている『変な絵』です。
「ゲルニカ」という言葉は
スペインにある村の名前、地名です。
ゲルニカでは第二次世界大戦が始まる
少し前にナチス・ドイツによる
空爆がありました。
当時スペインは共産主義者とファシズム派が
対立する内戦状態にあり、
ナチスが対スペイン外交において
ファシズム派を支援していました。
ゲルニカは共産勢力の秘密基地に
なっているという理由で
ファシズム派の要請を受けたナチスに
空爆されたのです。
フランスに住んでいたピカソは
祖国で起きたその事件に
大きな衝撃を受けました。
その衝撃に駆られて
書き上げたのがあの絵、
『ゲルニカ』なのです。
『ゲルニカ』は
爆撃を受けた人々や家の様子を描いた
戦争記録の絵、歴史画なのです。
『ゲルニカ』の絵の中では
人や家畜の牛や馬が
原型をとどめないまで
輪郭が歪んでいたり
体や顔のパーツが滅茶苦茶だったり
横を向いた瞬間と
前を向いた瞬間の両方の瞬間が
同時に描かれていたりします。
これは複数の時間や複数の視点、
例えば爆発の瞬間とその直後といったものを
一つにまとめて描いているからです。
強い衝撃に襲われた人間のものの見え方を
ピカソは直接絵に表そうとしているのです。
爆撃の衝撃を受けた人間が
極めて激しい恐怖や驚愕、嘆きや怒りで
様々な混乱――
空間認識の混乱、同一律の混乱、
出来事の前後の混乱、時系列の混乱、
文脈の混乱――に陥ることにより
目にする光景を
ピカソは一つの絵の中に複数の時空を
描きこむキュビズムの手法によって
描き出してみせます
(女性の肖像や裸婦像では
混乱するほどの激しい愛や官能が表される)。
このことは
人間の目がカメラのレンズとは
全く違うものであること、
あるものをそのまま認識把握するものでは
ないことを証明するものに他ならない。
人間の認識能力の実態、
人間にとっての『世界』を
追及し解明し暴露しようとする試み、
その知的な試みの意識が
極限状態の人間に対する
根源的な共感から出発している
ということ、
それがピカソの芸術なのです。
ピカソはまさに混迷と破壊の20世紀に
生まれるべくして生まれた
芸術家なのです。
「ピカソの絵は子供の落書きのようだ」?
「価値なんてない」?
そんなことおっしゃらずに
どうぞご覧になってください!
本文ではピカソの
社会的発言・思想信条に関する論点を
あえて省き
芸術性にのみ焦点を当てる書き方を
しました。
よって歴史の概略も歴史論争を
加味したものではございません。
どういう意味か気になる方は
ウィキの当該項目でもご覧下さい。