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前編

さてさて、むかしむかしのお話です。

ある村に、お母さんと、それは可愛らしい女の子が住んでました。


「ハーイ! あたしローレ。でもみんなお婆さまからもらったこの赤い頭巾をもじって「赤どきんちゃん」って呼ぶの。歌の大好きな16歳。今日は、お母さんに頼まれて大好きなお婆さまにケーキとワインを届けに行くのよ!」


そう。この勝手に自己紹介した女の子こそ、タイトルにございます、「赤どきんちゃん」。

なにやら珍妙にクルクルと回っております。

どうやらお婆さんの家に向かうようですよ?


赤どきんちゃんはお母さんから三つのお約束をされました。


1つ、早いうちにでかけること

2つ、道草をくわないこと

3つ、お婆さんにちゃんとご挨拶すること


「かんたん、かんたん」


と言いながら赤どきんちゃんは早いうちに出かけました。


「……あれ? ローレ?」


赤どきんって言うてへんやん? って感じですが、それもそのはず。

赤どきんちゃんが振り返ってみると、幼馴染みの狩人のニックでした。


「あら、ニック!」

「どうしたの? どこに行くの?」


「町外れのお婆さまのところ。ケーキとワインを届けようと思って!」


二人は、村の中央にある石造りのベンチに並んで腰をおろしました。


「へー。お使いかぁ」

「うん。エライ? 頭ナデナデしてぇ~」


「はいはい」


彼は彼女のずきんをおろして、その金髪の髪をなでさすりました。


「でもさ、気をつけろよ? 森は危ないからさ。できれは大きく迂回しろよ」

「ん~。でも、お母さんに道草するなって言われたからな~」


「そう? でも迂回くらい」


「ねね」

「なに?」


「あたしたちさ~。他の人から見たらどう思うかな?」


「(ドキ)どうって──。それは、つまり、その……」

「兄妹? それとも、友だち? それとも恋人かな?」


「まさか。村の人はみんな知ってるだろ? 兄妹じゃないことくらい」

「なぁんだ。つまんない」


赤どきんちゃんは可愛らしくプゥっとふくれました。


「あのさ~。じゃぁさ~、男女の友情ってありえるのかな?」


赤どきんちゃんは未だ誰も解決してこなかった問題をなげかけました。

ニックは焦った様子で銃をもって立ち上がりました。


「ああ! そうだ。はは、仕事にいかなきゃ。じゃーな。ローレ」


そう言って、手を振って行ってしまいました。


「──なによ。いくじなし」


ニックは恋に臆病な男でした。



そうだよ。ずっと逃げてるんだ。

ローレから──。

もしも、気持ちを伝えてフラれたらどうしたらいいんだ?

毎日顔合わせるのに……。



そう思いながら森の中に入って行く赤どきんちゃんの背中を見つめていました。


森に入った赤どきんちゃん。

歌を歌いながら、うっすら土色をした道を進んで行きます。


「あ! 木いちご! お母さんに、木いちごのジャムを作ってもらおう!」


赤どきんちゃんが木いちごを摘んでいると、なにやら背後から禍々しい雰囲気が漂って参りました!


すわ! なにごと?

と赤どきんちゃんが身構えますと、そこには人ではございません。

けむくじゃらで長い腕、大きな目、尖った鼻、耳まで裂けた大きな口。オオカミが立っていたのです!


「あなたはだあれ? あたし、赤どきんちゃん! 歌が大好きな16歳!」


といって、クルクルと回りました。


「我が輩は、オオカミさん」

「まぁ! 素敵なお名前! 『さん』がついてるから三番目に生まれたのかしらん?」


いや、キミが自分を『ちゃん』付けで呼ぶから合わせたんだよとオオカミは思いました。


「あたし、今からお婆さまのお家にいくの!」


オオカミは赤どきんちゃんに呆れました。


「あのねぇ、キミみたいな素敵な女の子が聞かれても無いのにペラペラと自己紹介するもんじゃないよ。それにこんな人気のないところで。悪い人がいたら襲われちゃうよ?」

「え? そーかしら」


「そーですよ。──うん。しかし、なんか無理に明るく振る舞ってない?」

「……え?」


「なにか…。悩み事でもあるのかい?もしよかったらオオカミのおじさんに話してご覧。」


「うーん。逆に知り合いじゃない方が言えるかもね。実はサ──」


赤どきんちゃんはオオカミにニックとのことを話しました。


1つ。ずっとお互いに思い合ってるってことは知ってるってこと。

2つ。でもお互いに一緒にいすぎて素直になれないってこと。

3つ。じゃぁ、今の関係のママでいいのかな? ってこと──。


「でもさ。いいんだ。あんなヤツ」

「どうして?」


「勇気がないもん。逃げてばっかりで。あーあ。もうどうでもいいや。変な男に捕まったって。ニックのせいだもん」


オオカミはニヤリと笑いました。


「ああ、そう? じゃぁ、おじさんなんてどうかな?」

「──え?」


オオカミは本性を現しました!


その大きな腕は赤どきんちゃんを抱きしめるため。


その大きな目は赤どきんちゃんがもだえる様をみるため。


その大きな口は赤どきんちゃんを食べるためだったのです。そっちの意味で。



オオカミは赤どきんちゃんが身構える前に襲いかかってきました!


「キャーー! ダメよ! このケーキとワインはお婆さまのもの! この体はニックの──。ニックのものなのに」

「関係あるか! おとなしくしろ! おあつらえさまにひと気のない森の中だ。徹底的に可愛がってやるよ!」


しかし、まるでメタルスライムのように赤どきんちゃんは逃げ出しました。


「はっはっは。待て待て! そっちのほうが興奮するわ!」


オオカミはそれを追います。

赤どきんちゃんの後ろに魔の手が迫ります!

逃げて! 赤どきんちゃん! 逃げて!

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