Zero Star's Moments
Zero Star's Moments
真夜中、月に雲がかかり霞んでいる。そんな中1人の少年、宗田俊輔は走りながら叫ぶ。
「何で俺がっ!?」
彼の後ろには明らかな不良男子。待たんかいワレェ!とか言いながら追いかけてくる。そんな光景は探せばあるような光景、しかしひとつだけ違うものがあった。
少年達は時速80㎞超えで走っていた。
今2050年には超能力というのが実在する。それは発電能力であったり、爆発能力であったりする。俊輔は速度向上で逃げ不良は発火能力で追いかける。
「ったくあんなことしなきゃよかった!」
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「おい、あんちゃん。顔貸しや。」
そう言われたのは数分前のこと。悪い予感しかしないが一応ついていった。
「悪いことは言わないから。カネ貸せよ。」
案の定巻き上げだった。いつもだったら素直に従ってたと思う。しかし今日は違う。財布の中には先ほど引き出した今月分の生活費が入っているのだ。これを取られたら生きていけない。なので勇気を振り絞り不良の顔面に拳を叩き込み最高速度で逃げた。やはり不良は追いかけてきたが速度向上に勝てるわけ無いとたかをくくっていると炎をブースターにして追いかけて来た。
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「あれはやばいって!捕まったらフルボッコじゃすまねぇっつの!」
そんな不安を抱きつつ必死に逃げるが。しかし奮闘むなしく距離は着実に縮まっていく。そしてついに不良に肩を掴まれる。これはもうダメか、と諦めた刹那。
紫電がゴォォォ!という凄まじい音と共に不良を焼き払った
「はっ??」
訳がわからなくて硬直しているとそこに
「貴方が宗田俊輔君かな?」
と可愛らしい声が聞こえた。驚きつつ振り返るとそこには黒いタンクトップにジーパン、そして紅い長髪をなびかせる少女が佇んでいる。
「私は宗田凛。」
彼女が次に発した言葉は俺のどんな想像も遥かに超えたものだった。
「貴方の妹よ。」
ちょっと待って欲しい。まず俺に妹はいないし、こんな従兄弟もいなかった筈だ。それなのに妹だって?何言ってんだこいつ。
「はっきり言うと貴方のお父さんと私の母さんが再婚したのよ。」
なるほど、よくわからんが取り敢えず理解できた。確かに母が死んでからもう十年も経つ。親父も再婚したっていい頃だろう。それでその再婚相手の子がこの子って訳か。
「妹ってことはわかったけどよ、どうしてこんなとこに来たんだ?」
ここにきて妹はさらに爆弾を投下した。
「母さんが中学がこの近くだからどうせなら一緒に住めば?だって。」
「はぁ!?」
普通中学が近くだからって理由で寮で独り暮らししている高校生の部屋に自分の娘を預けるか!?馬鹿じゃないのか?というかそもそも親父は反対しなかったのか?いや、あの親父なら面白がって賛成しそうだな。
「というわけだからよろしくね♪」
どう足掻いても無駄そうだ。そう至った俺は何かを感じる。
この日から俺の波乱の日常は幕を上げる。