表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王、辞めます。  作者: 稲生景


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/50

元魔王一行、竜王城でくつろぐⅠ

 ――竜王城の一室。


「レティ様、大丈夫ですか?」

「は、はい……。もう大分落ち着きました。皆さんにご心配をおかけして、本当に申し訳ありません……」


 先ほどの一件の後、蟻人たちは顔を真っ赤にして固まっていたレティをそっと抱え、部屋まで運んでベッドに寝かせてくれた。彼女たちは優しく扇で風を送り、レティの顔を仰いでくれている。


「ロスト様には、レティ様のこと伝えとくねー」


 蟻人の一人がそう言って部屋を出ていった。


「本当に……ごめんなさい……」

「いえいえ、レティ様は何も悪くありませんよ」

「実際、女性の前に褌一丁で現れたロスト様が一番悪いしな」

「ロスト様って、ああ見えてそういう気遣いがからきしだからな……」

「まぁ、『兄上に悪い虫が付かないように』って、ゼノム様が気がありそうな女性を片っ端から遠ざけてたのも、一因だけどな……」


『だよなぁ……』


 蟻人たちがため息をついていると、扉が勢いよく開いて、ラピスが元気よく飛び込んできた。


「レティちん、大丈夫ー!?」

「ラピス様……。はい、もう大丈夫です。少し動転していただけですから」

「そっかー、良かったよー!」

「ラピス、入口の前で立ち止まるな。部屋に入れん」

「あっ、ごめーん、ロストちん!」


 ラピスが脇に避けると、続いてロストが部屋に入り、レティに近づいてくる。


「レティ、さっき急に動かなくなったから心配したぞ」

「あ、兄様……」


 その姿を見た瞬間、レティは先ほど目の当たりにしたロストの褌姿を思い出し、顔を真っ赤にして思わず目を逸らした。


「? どうして目を逸らすんだ?」

「い、いえ、その……」

「顔が赤いぞ。まさか、熱があるのか?」


 ロストは心配そうに身をかがめ、そっと自分の額をレティの額に当てた。


「うん、やはり少し熱いな……」

「あ、あにさ……あ、あわわわわわわわわわ……!」


 ロストの顔が間近に迫ったことで、レティの思考は一瞬で真っ白になり、顔は沸騰したように真っ赤になる。


「さらに熱くなったぞ!? 本当に大丈夫か、レティ!?」

「ロスト様、申し訳ありませんが、すぐに部屋から出ていただけますか!」

「だが、レティが……!」

「今回ばかりは、ロスト様が近くにいるとレティ様の回復が遅れます。ここは私たちにお任せください」

「……そ、そうか? わかった、任せたぞ……」


 ロストはしぶしぶ部屋を後にした。


「うーむ……」


 廊下に出ると、そこで待っていたグレンがロストに声をかける。


「レティさんは大丈夫だったのか?」

「ああ……だが、俺が近づいた途端、また顔を真っ赤にしてな……。お前は近くにいてはいけないと、あいつらに言われてしまった」

「近づいただけで顔が真っ赤に……?」

「ああ。何もなければいいのだが……」

「まぁ、すぐに元気になるさ。ところで、一風呂でもどうだ?」

「……そうだな。行くとしよう」









「……ぷはぁ、美味しいですね、この魔茶……」


 ロストが部屋を出てからしばらく経ち、レティはすっかり落ち着きを取り戻し、冷たい魔茶を口にしていた。


「それにしても、ロストちんの顔を間近で見ただけで、あんなに真っ赤になるなんて。レティちんったらピュアなんだから~♪」

「い、言わないでください、ラピス様……」

「ごめんごめーん。でもさすがに褌姿で現れるのはどうかと思うよね~」

「ラピス様、その話題を出すと、またレティ様が思い出してしまいます……」

「あ~ごめんごめん、つい……」

「だ、大丈夫です! もう兄様の褌姿を思い出しても、動揺したりなんかしません!」

「おおー! レティちん、かっくいー!」

「ところでレティ様、今日はたくさん歩いて汗もかかれたでしょうし、夕食前に入浴されては如何ですか?」


 蟻人が提案すると、ラピスが勢いよく椅子から立ち上がった。


「それいいね~♪ レティちん、私と一緒にお風呂入ろ~♪」

「えっ? お風呂って、一人ずつ入るものじゃないんですか?」

「あー、ロストちんのお家はそうだったかもだけど、むふふ~♪ この城の大浴場を見たらレティちん、びっくりしちゃうよ~」

「そ、そんなにすごいんですか? なんだか楽しみです」

「よーしっ! それじゃあ大浴場に出発しんこー!」

「きゃあっ!? ら、ラピス様、そんなに引っ張らないでくださーい!」


 ラピスは勢いよくレティの手を引き、ベッドから彼女を起こして、大浴場へと元気よく向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ