元魔王、竜王国に行くⅢ
「お父さーん、ロストちんたちを連れてきたよー♪」
ロストたちが応接室に入ると、まず目に飛び込んできたのは、身長三メートルはあろうかという真紅の鱗を持つ堂々たる竜人だった。重厚なソファに深く腰かけ、その存在だけで部屋の空気を支配している。
その隣には、水色の長いストレートヘアを持つ、美しい女性が優雅に座っていた。
この二人こそが、竜王国ザークを治める王――バジュラ・ザークと、王妃ルピア・ザークである。
「バジュラ王、ルピア王妃、お久しぶりです」
「ははははははは! 本当に久しぶりだな、ロストくん! 元気そうで何よりだ!」
「まあ、一年ぶりくらいかしらね? 変わらず凛々しくて安心したわ」
「はい、お二人とも変わらずお元気そうでなによりです。今日は妹を紹介しに来ました。彼女は俺の義妹になったレティです」
「は、初めまして。レティと申します」
「おお、君が噂のレティか! ラピスから話は聞いていたぞ。なんとまあ、可愛らしい少女だ!」
「本当ねぇ、こんなに愛らしいと、うちの娘にしたくなっちゃうわ♪」
「でしょ~♪ レティちんって、ほんとに癒し系なんだよー♪」
「そ、そんな……褒めすぎですよ……」
ラピスたちから次々と褒められ、レティは恥ずかしさに頬をほんのり赤らめた。
「レティ、恥ずかしがることはないぞ。君が可愛らしいのは紛れもない事実だからな」
「あ……兄様……」
ロストの真っ直ぐな言葉に、レティの顔はますます赤く染まっていった。
「ははははははは! 実に仲睦まじいことで、見ていて微笑ましいな! ロストくんたちのための部屋はすでに用意してある。グレンの結婚式まで、我が王国をゆっくり楽しんでいってくれ!」
「はい、お心遣いありがとうございます」
国王と王妃への挨拶を無事に終えたロストたちは、ラピスの案内でそれぞれの部屋へと向かった。
「ロストちんの部屋はこっち、蟻人たちの部屋はあっちねー。レティちんの部屋はこっちだよー♪」
「ありがとう。ところで……結局グレンはどこにいるんだ? ここまでの道中でも姿を見かけなかったが」
「ああ、お兄ちゃんは今ちょっと用事中なんだけど、そろそろ終わる頃だと思うよ~。私、呼んでこようか?」
「ああ、頼む」
「よーし、じゃあ行こっか、レティちん!」
「えっ!? わ、私も行くんですか!?」
ラピスは驚くレティの手を取り、軽快な足取りで部屋を後にした。




