表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王、辞めます。  作者: 稲生景


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/50

元魔王、竜王国に行くⅡ

 ――出発してから、早くも数時間が経っていた。


 ロストたちは、近くの草原に降り立ち、小休憩を取っていた。


「兄様、どうぞ」

「ありがとう、では……うむ、美味い! やはりレティの手作りサンドイッチは絶品だな!」

「本当ですね、これは美味しいです」

「レティ様、料理の腕がまた一段と上がりましたね」

「このタマゴサンド、ふわふわしてて美味しい~♪」

「こっちのハムサンドもなかなかイケるな」

「ふふっ、ありがとうございます」


 皆がサンドイッチを頬張る様子を見て、レティは嬉しそうに微笑んだ。


 そのとき、レティがふと思い出したように問いかける。


「そういえば、詳しく聞いていなかったのですが……竜王国って、どんなところなんですか?」


 その問いに、蟻人たちが次々と答える。


「竜王国ザークは、巨大な山の麓に広がる王国で、様々な効能を持つ温泉が豊富なことで有名ですよ」

「温泉……ってなんですか?」

「えっ、レティ様ご存じないんですか? 温泉っていうのは、地面の中から湧き出てくるあったかいお湯のことなんですー」

「地面からお湯が!? すごいですねぇ……!」


「それだけじゃありません。城下には温泉街もあって、竜王国の名産品といえば、温泉卵や“竜泉饅頭”などがありますよ」

「竜泉饅頭?」

「はい。生地に温泉水を使って、蒸しの工程では温泉の蒸気を利用することで、ふっくら仕上げたお饅頭なんです」

「ひと口食べれば、ほっぺが落ちそうになるくらい美味しいんだよねー♪」

「いやいや、俺たちに“ほっぺ”なんて無いだろう?」

「えへへー、そうだったー」


 みんなの楽しそうな会話に、レティも自然と笑みをこぼす。


「そんなに美味しいんですか……楽しみです!」


 ――数十分後。


 サンドイッチを食べ終えたロストたちは、再び竜王国を目指してクロに乗り込んだ。







 ――さらに三時間後。


 遠くに、大きな山と、それを囲うように築かれた城壁が見えてきた。その麓には、堂々とした造りの城がそびえ立っている。


「兄様、あれが……竜王国ですか?」

「ああ、そうだ。見事な城だろう?」


 クロが城壁に近づくと、壁の上に立つ竜人の兵士が、青いランプの光を点滅させながら敬礼した。


「兄様、あの光は……?」

「城の中庭に着陸せよ、という合図だ」


 ロストの説明にうなずきながら、クロは中庭を目指して滑空していく。


 そのとき、城から小さな飛行物体がこちらに向かって飛んできた。


「ん? あれは……」

「ロストち~ん! レティち~ん!」


 高らかに響くその声に、ロストとレティは顔を上げる。


「この声は……ラピス様!」


 近づいてきたのは、竜王国第一王女、ラピス・ザークだった。以前にロストたちと親しく接した人物である。


「久しぶり~♪ 元気にしてた?」

「ああ、お前は相変わらずだな」

「ラピス様、お久しぶりです」

「レティちんも元気そうで何よりだよ~♪」


 和やかな会話が続く中、クロは城の中庭に静かに降り立った。


 ロストとレティがクロの背から降り、蟻人たちも荷物を積んだ箱から姿を現す。


「さぁさぁ、ロストちんたち、ようこそ竜王国へ~! 盛大に歓迎するよ~♪」


 ラピスの呼びかけに応じ、中庭に集まった兵士たちが整列して一斉に敬礼を送った。


「ところでラピス、グレンの姿が見えないが……どこにいるんだ?」

「ああ、お兄ちゃんはねー……うふふふ♪」


 何やら意味深に笑うラピスに、ロストは小首を傾げる。


「……?」

「それより~、お父さまたちが応接室で待ってるから、早く行こっ!」


「分かった、行こうレティ」

「はい、兄様」


 ラピスに案内されながら、ロストたちは応接室へと向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ