第二話「恐怖とは何か」
ふと、こんなことを考えていた。
「もしかしたら、
魔王を倒せば誰か俺の仲間になってくれるのではないか」と。
しかし、すぐに考え直す。
魔王なんて本当に存在するのかもわからないし、
なにより、俺一人でできることの限界をゆうに超えている。
「まぁそうだよな…」
「………」
あれ、なんだこの感じ…
少し違和感を覚えた。
その違和感の正体に気づくことはなかったが。
「じゃあ、魔物退治にでもいk…うわっ!」
ドシン!
ドアを開けたとたん、驚いて尻から床に倒れ込んでしまった。
そこに転がっていたのは、数十匹程度の魔物の死骸だった。
「なんだよこれ…誰かの悪戯か?」
しかし、悪戯されるような覚えはないし、
なにより悪戯をしてくれるような奴なんて
俺の周りには、いない。
「ったく、何なんだよ今日は。」
やはり、今日はいつもと違っておかしい。
身の危険を考え、今日は魔物退治は止めようかと思ったが
それだと給料が減るだろうし、
他の奴等が働いてるのに俺一人だけ休むのは良心が痛むので、
渋々家の鍵を締めて、魔物のいる所へと向かうことにした。
どこに行こうか迷っているところだった。
フラフラ歩いていると、途中で5人程度の小ギルドの連中とすれ違った。
何かいい情報がないかと、さりげなく近寄った。
「今日はあそこでも行くか」
「いや、やめといた方がいいッスよ」
「お前、あの噂信じてんのか?」
「アッシもあそこには近づかない方がいいいいと思うデシ」
「あそこ<魔獣森羅>は止めときましょうヨー」
「そうだな…」
魔獣森羅か。
聞くところによると、誰も行ってないらしい。
俺もあそこには最近行ってなかったので、そこに行くことに決めた。
でも連中、何で躊躇ってたんだろう?
まぁいいか。
しばらく歩くと、<魔獣森羅>の入口にたどり着いた。
久しぶりだなぁ、会いたかったぜ。
気のせいか、少し空気が重い気がする。
一抹の不安を残しながら、俺は森の中へ吸い込まれるように入って行った。
(盗み)聞いた話だと確か、入り口には魔物は少ないはず。
今日はそこで稼ぐか…
入り口らしき門をくぐると…
目の前に広がっていた光景は
まさに〈地獄〉そのものだった。
「なんだ…これ… 一体どうなんってるんだ…?」
前に来たときは、もっと草木が繁っていて、
もっと温かみのある場所だった筈だ。
しかし今は、そんな温かさは欠片も無く
ただ、深淵の暗闇が蠢いていた。
気になったのは、家の前に転がっていた魔物が
無数に散乱していたことだ。
草木はまるで燃えたかのように、黒く染まっていた。
〈天変地異〉物語
今は亡き祖母に聞いた話だ。
昔の昔、そのまた昔にあった出来事。
天から突如現れた龍と、勇者との激闘を描いたお伽噺だ。
似てる。いや、〈天変地異〉物語そのものだ。
雰囲気や状況・、景色が
見せて貰った物語と酷似していた。
昔、初めてその物語を読んだとき
怖くて読むのを躊躇ってしまったことがあった。
純粋な恐怖。
あの時感じた〈一人〉という絶望にも似ている。
俺は足が竦み上がって、動くことが出来なかった。
後ろから近づいてくる、不気味な物音にも気づかずに。
その音は、確実に俺を狙っていた。
すいません
今回少し構成を練り直すことになり、次話が遅れます
というか、最初からやり直します
申し訳ありませんm(__)m
終わり次第投稿しますので、そちらもどうか宜しくお願いします(_ _)