弱者の決意
「新規生徒会役員の一員となりました。レオン・キーザです」
そういって深くお辞儀するレオン。
なんで⋯⋯。
さっきまでそこにあったはずのぬくもりはもうずっと遠くに、手の届かないところにいってしまった。その理由がわからない。
「ほら〜そんな、固くなんな、って!」
そういってレオンの肩をバシバシ叩くチャラい雰囲気の生徒会役員サティロス。
ギュッと唇をかむ。なんでレオンが知らない人に囲まれて楽しそうに笑ってるのかなんて知りたくない。けど⋯⋯!!
「お前らなんで勝手に式始めてるんだよ!おれの帽子がないっつってんだろ!」
いきなりステージに現れて怒鳴り散らしているのはヒューマンの青年。
彼もまた生徒会役員なのだろうか?
「うるっさいわね〜。少しは慎みというものを持ちなさいよね〜。」
そういって明らかに顔を歪めるウンディーネ美女。
「また、エルンのお遊びかぁ〜?」
甲高い笑い声をあげながらそういうチャラ系サティロス。
んっ?エルンって⋯⋯
「どこにもないのだ。普通に考えてお前の帽子はこの式会場にあるだろう」
嫌味な笑みを浮かべるその人は朝あった変人。ヒューマンの青年の後ろから颯爽と現れる、その堂々とした様はさながら王様だ。
あいつがエルン?⋯⋯
「新入生が持ってるとでもいいたいのかよ」
そういって鋭い睨みをきかせる青年。
「見物、見物〜♪」
その間に席につくチャラ系サティロスとレオン。そっか。空いてた席は3つ。元から用意されてたんだ。レオンの居場所は。
「これだから、エルンは⋯⋯」
そういって深くため息をつくウンディーネ美女だが、すぐに性根の腐りきった笑みを浮かべる。
「高みの見物ね」
⋯⋯もしかして⋯⋯いや、もしかしなくても、私の帽子があの人のなんじゃ?⋯⋯
エルンって人が仕組んだっぽいし⋯⋯
帽子をとり、まじまじと見つめる。他の子のと変わらないと思ってたけど、これはすごい使い古してある。
ってことは、もう⋯⋯
確証を覚えた私は立ち上がる。
「そこの方の帽子なら私が持ってますっ!」
声高らかに宣言すると会場の視線が一斉にこちらに向けられる。
「なに、あの子⋯⋯」
顔を歪めてそうつぶやくウンディーネ美女。
「お前かよっ!」
えっ⋯⋯。すごい勢いでかけてくるヒューマンの青年。こわ⋯⋯仕組んだ人がいるって分かんないの?
「よこせっ!」
乱暴に帽子をとられる。
「ちょっ⋯⋯」
帽子をしばし見つめたその人はバッと顔をあげる。
「これは俺のだ!返してもらう!」
「いや、えっ?あの⋯⋯」
帽子をギュッと握ってそう宣言すると私の手にポケットから取り出したクシャクシャの帽子を握らせる。
「なに、これ⋯⋯」
「お前の」
そう、一言だけいうと去っていく。
「なぁんだ。帽子探すのに一人一人いたぶるのかと思って少し期待しちゃったじゃないの。いけずねぇ、リンネちゃん」
そういって、ステージ上に戻ってきたヒューマンの青年を流し目でみるウンディーネ美女。
「まあ、この楽しい劇を終わらせるようにしたのはリンネちゃんじゃないけど。」
金色の大きな冷たい瞳に睨まれて思わずひるみそうになる。けど、精一杯に睨み返してやる。その人の後ろにいる大切な幼馴染を取り戻したいからーー。