3
その後の光景は
想像を絶した
彼は
泣き叫び
狂った様に喚き
暴れた
彼の身体は
しっかりと
痛みを感じていた
傷だらけになった
左半身には
熱を持ち
流れる様に
血が溢れ出した
自分でも
どうなってしまったのか解らなかった
しかし
こうするしか
なかった
いつからだろう…
あいつに
あの紙を貰った時…
彼の意識は
錯乱していた
確か…
あいつに相談して…
あの紙を…
くちづけをした
彼が好意を
寄せていた彼女は
冷たい塊になり
永遠の夢を見ている
彼女の制服の
ポケットから
彼と同じ紙が見えた
体中が
心が
張り裂けそうだった
だった
「僕のせいで…?
僕が奪ったんだ
僕が…?
…ごめんなさい
…ごめんなさい
…ごめんなさい」
彼は
そう繰り返しながら
カーテンを
引き千切った
何故こうしてるのか
解らなかった
しかし
体は勝手に動き
カーテンを
体中に巻き付けると
助走をつけて
窓ガラスに
飛び込んで行った
その時
心が張り裂けた
その瞬間
見覚えのある姿を
見た気がした
■■■■■■■■■
翌日
アイは
ユミの死を知った
そして
イイザワの自殺を
騒ぎを聞きつけた
第一発見者の
用務員は
黒板に
血だらけの字で
カーテンの裏側に
入り込むな
と書かれたのを
見つけたそうだ
そのカーテンも
警察が来た時には
無くなっていたらしい
今その教室は
目張りがされ
誰も入れない
真相を突き詰める
手段は
何も残されては
いないのだ
カーテンも
ユミの死因も
イイザワの自殺も
その動機も
すべてが謎のまま
アイは
2人を失った
アイは
小さな声で呟いた
「2人共…
私を裏切るからよ」
そして
赤い文字で
何かが書かれた紙を
そっと燃やした
そして真相は
灰になり
ひらひらと
空を躍った