表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

サンタクロースの忘れ物  作:春野天使

『サンタクロースさんへ、

今年一年、ぼくはずっと良い子でした。

だから、どうかプレゼントをください!』


 ジャックは三度目のサンタクロース宛の手紙を、ポストの中に入れました。というのも、去年ずっと良い子でいたはずなのに、サンタクロースからのプレゼントをもらえなかったのです。


 そして、クリスマスの夜。

 サンタクロースは大忙しです。なにしろ、世界中の子供たちにプレゼントを配らなくてはいけないからです。赤鼻のトナカイをせかしながら、猛スピードで空を駆け回ります。

 そして、夜明け前、ようやく全てのプレゼントを配り終えると、ほっと安心して帰って行きました。

 が、白い大きな袋を下ろし、一眠りしようとした瞬間、袋の底に一つだけプレゼントが残っているのに気付きました。

「大変だ!また、やってしまった!」

 去年もサンタクロースは、一つだけプレゼントを配り忘れたのでした。気付いた時にはもう夜が明けていて間に合わなかったのです。

「まだ間に合うかもしれないぞ」

 星のちらつく空を眺めると、サンタクロースは大急ぎで、寝ぼけ眼のトナカイを起こしました。そして、夜明け前寸前の空へと出発したのです。

「ここじゃ、ここ!」

 ようやく、サンタクロースはビルの谷間に挟まれた、小さな家を見つけました。

「この家は分かりにくいんじゃよ」

 太めのサンタクロースは、なんとか細く小さな煙突に入り込み、子供の寝ている部屋に辿り着きました。


 明け方、ジャックはドシーン!という大きな物音で目を覚ましました。枕元にはリボンで飾られた紙包みが置かれています。今年は、サンタクロースのプレゼントが届いたのです。ジャックは小躍りして喜びました。

 みんなにサンタクロースのプレゼントを見せようと、走って暖炉の部屋を通った時、暖炉の灰がそこら中に散らばっているのがみえました。 灰には誰かがしりもちをついたような、大きな後が残っていました。何だろうと思って、ジャックが煙突の上を見上げた時、ヒラヒラと何かが舞い降りてきました。それは、大きな赤い三角帽子でした。


 白み始めた空をそりで走りながら、サンタクロースは何度もくしゃみをしました。なんとなく頭が寒いと思って手をあててみると、帽子がなくなっています。

「こりゃ困った。帽子をどこかに落としたらしいぞ」

 いいながら、また大きなくしゃみをしました。

「やれやれ、どうやら風邪をひいてしまったらしい」

 サンタクロースは、すっかり冷たくなった頭を手でさすりました。赤鼻のトナカイは、後ろを振り返りながら笑いを堪えています。

 風邪をひいたサンタクロースは、これから寝込んでしまうかもしれません。けれども、サンタクロースの休暇はとても長いのです。来年のクリスマスまでには、風邪もよくなり新しい帽子も出来ていることでしょう。







この作品も、かなり前に書いた物を少し修正した作品です。空を駆け回るサンタの中にもドジなサンタがいて、プレゼントを配り忘れることがあるかもしれません。たまたまそれに当たったら悲惨ですね。(^^;)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ