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27/03/1992 10/09/1999

掲載日:2026/09/07

27/03/1992 10/09/1999

1992年3月27日

日本、関東地方、千葉県山武市

・赤ん坊の大きな泣き声。赤ん坊の母親が「アオイ」とつぶやく。

(時期不明、アオイが4歳になる前)

少女アオイは毎日鏡の前でひとりごとを言っていた。彼女は『セーラームーン』に夢中で、セーラージュピターのような背の高いキャラクターが好きだった。

1996年

・アオイ4歳。劇団から勧誘を受け、彼女は承諾する。アオイはそれ以来、子役となった。

1999年

・アオイ7歳。映画やTVドラマに出演し、2002年に10歳になるまで日本のバラエティ番組のレギュラーを務める。

2003年

・アオイ11歳、小学5年生。病気になった元の子役声優の代わりにアニメのキャラクターの声を演じることになり、それ以来、声優の道へと進む。

2007年

・アオイ15歳。ある芸能事務所に所属する。

・この年、アオイはマイケル・ベイ監督の『トランスフォーマー』1作目を観て、それ以来このフランチャイズの大ファンとなる。

1992年3月27日

ー夜ー

・スライムカビの怪物が、日本、関東地方、千葉県山武市のある村の土壌全体に菌糸を張り巡らせた。そしてそのスライムカビの怪物はアオイの家全体を覆うほど巨大化し、家の中に侵入してアオイの両親を捕らえた。そして菌糸を使って両親の血液やリンパ液を吸い尽くし、二人を死に至らしめた。当時赤ん坊だったアオイは、黒いスーツを着た身長180cmの黒い影のような人物に抱き上げられ連れ出された。その後、アオイの家はスライムカビの怪物によって倒壊し、火災が発生した。さらにアオイの親戚たちの家があるエリアでは、地下からメタンガスが噴出して爆発・火災が発生し、残されたアオイの家族や親戚は全員死亡した。こうしてアオイは真の意味で天涯孤独となった。

・その謎の人物は、アオイを森の中にある設備が整った2階建ての廃屋へと連れて行った。

1999年9月10日

・タコの触手のような蔓を持つ3メートルのつる植物の怪物が、現在のアオイの家に押し入ってきた。そしてそのつる植物の怪物はタコ足状の蔓でアオイの身体をきつく巻き上げ、姿が見えなくなるまで完全に覆い隠すと、家から転がり出て、ある部屋へと彼女を連れて行った。

・アオイが目を覚ますと、そこは廃ビルの中を改築したような密室だった。テレビ以外の娯楽設備はないものの、生活に必要な設備はすべて整っていた。

2026年9月10日

・アオイが閉じ込められて27年が経過し、彼女は現在34歳になった。秘密の監禁部屋のドアが開き、身元不明の謎の集団が彼女の目に目隠しをし、手足を縄で縛り、口にテープを貼った。注射で彼女の静脈に睡眠薬を投与した。

・アオイはある森の真ん中に放置された。口のテープが剥がされ、目隠しも外され、手足の縄も解かれた。そして彼女の手には千円札が握らされていた。

・アオイは廃墟の森の中で目を覚ました。山奥の森から街へとゆっくり歩いて下り、手にある千円で生魚の寿司を買い、一食を済ませた。

・彼女は不良グループに絡んで喧嘩を売り、勝利して全員の財布を奪った。

・ラーメン店に入り、盗んだ金でラーメンを1杯食べた。

・彼女は一軒家を借家として借りた。

・彼女はあるボクシングジムでボクサーとして登録した。

2026年9月11日

・アオイは初試合に臨んだ。ボクサーとしての収入により、必要な金を手に入れた。

・彼女は廃屋、廃ビル、放置された森に関する本や地図を探し始めた。

・彼女は資金の大部分を廃屋、廃ビル、放置された森の本や地図に費やした。

2026年9月14日

・27年間の監禁の末、廃墟の森に捨てられた時の記憶と一致する1枚の写真を見つけた。

・彼女はその廃墟の森へと向かった。そこは彼女が27年間閉じ込められた後に捨てられた場所だった。自分が閉じ込められていた場所が見つかるかもしれないと考え、森の中を探索すると、1棟の廃ビルを発見した。

・彼女はその廃ビルの中に入った。しかし建物の中に入ると、そこにはさらに別の建物が存在していた。最初の建物の中に建てられた「二重構造の建物」に入り、すべての部屋を開けると、どの部屋の中にもさらに部屋が重なっていた。彼女はその内側の部屋を開け、ついに自分を閉じ込めていた部屋を発見した。自分を閉じ込めた者を追うため、あらゆる証拠や手がかりを集めると、盗聴器と防犯カメラを発見した。それ以外には、内側・外側の建物のどちらにも何も残されていなかった。

・防犯カメラにはまだメモリーカードが挿入されていた。

・すると、一人のホームレスの男がアオイに近づいてきて、一台の携帯電話を手渡した。

「あいつがこの携帯を渡せってさ。追跡装置と交換だってよ」

「な、なんですって!?」

「お前の背中、左肩のあたりに手術痕があるだろって言ってたぞ。それと、そのビルの部屋を探せば、それを取り出すのに使える道具を持ち出せてるはずだともな」

・アオイは折りたたみナイフを取り出し、自分の左肩あたりの背中を切開して追跡装置を取り出した。アオイは追跡装置をホームレスの男に渡し、傷口に絆創膏を貼った。そしてホームレスの男の後を追うと、男がアストンマーティン・DB5の車内にいる黒いスーツの袖から伸びた謎の手と、両手で抱えるほどの札束と追跡装置を交換するのを目撃した。ホームレスが立ち去ると、彼女はそのアストンマーティン・DB5へと近づいて行った。

アオイは山森に響き渡る声で大声で叫んだ。反響音も同じくらい激しく響いた。

「なんで私を27年も閉じ込めたの!? なんで27年も閉じ込めなきゃならなかったのよ!? ねえ!?」

・ジョニー。身長180センチ、広い額、太くたくましい眉毛、大きな鼻、短い黒髪、茶色の目。日焼けした浅黒い肌。首に一つのあざ、左手首に一つのあざ。体重60キロ。黒いスーツに身を包んだ若い男が、ゆっくりとアオイの方を振り向き、アオイの側の車のドアを開けた。

「乗りな」

「なんでよ!?」

直後、アオイは折りたたみナイフをジョニーの首元に突きつけた。

「俺が死んだら、お前は永久に答えを知ることはできない。俺を殺しても、なぜ俺がそんなことをしたのか分からなければ復讐にはならない。俺を殺しても毎日疑問を抱え続けることになる。一体どちらが復讐を果たしたことになるんだ?」

・アオイはジョニーのアストンマーティン・DB5に乗った。

・ジョニーはアストンマーティン・DB5を走らせ、自身の秘密の館に到着すると、アオイを館の中へと案内した。

「あんた、なんで私を27年も閉じ込めたの!?」アオイが言った。

「なぜお前を閉じ込めたか? 俺に聞くのか? なぜ27年間も閉じ込めたのかとお前は尋ねる。お前は27年間、疑問を抱いたことはあったか? 27年という時が流れ、時間というものに疑問を持ったことはあるか? 時間は巻き戻せないのに、なぜ多くの自然現象は逆行できるのか疑問に思ったことは? 時間は後戻りできないのに、なぜある種のクラゲは再び幼体へと若返ることができるのか疑問に思ったことは? 『なぜ閉じ込められたのか』『なぜ27年なのか』と問うくらいなら、その『27年という時間』そのものに尋ねてみたらどうだ? 時間に対して質問をしたことはあるか? なぜ時間は遡れないのかと尋ねたことは? 時間とは何なのかと尋ねたことは? これらの問いは、アルベルト・アインシュタインですら問いかけたことのないものだ」ジョニーは答えた。

「そんなことどうでもいい! 私が知りたいのは、なんであんたが私を閉じ込めたのかよ!」

「お前と俺の年の差はいくつだ?」ジョニーが問い返した。

「は?」

「お前と俺の年の差はいくつだ?」ジョニーは繰り返した。

「それが何の関係があるのよ!?」アオイが尋ねた。

「お前が閉じ込められたのは何歳の時だ? 今お前は何歳だ? お前の誕生日はいつだ? そして閉じ込められたのは何月何日だ? 俺たち二人は以前に会ったことがあるか? お前は何歳だ? 俺は何歳だ?」ジョニーは畳みかけた。

「何なのよ!?」アオイが問う。

「お前の誕生日はいつだ?」ジョニーが訊く。

ジョニーは続けた。「お前は1992年3月27日生まれだ。閉じ込められた時、お前は何歳だった? 覚えているか? 生まれた時に何が起きたか覚えているか? 閉じ込められる前、どんな家に住んでいたか覚えているか? ん? 閉じ込められた時、自分が何歳だったか覚えているか? 鏡の前でひとりごとを言う癖があったんじゃないか? 『セーラームーン』が好きだったろ? セーラージュピターみたいな背の高いキャラが好きだったはずだ。それと、あの部屋のテレビでベイ版の『トランスフォーマー』が流れて、最後まで観たんだろ? すごく気に入ったんじゃないか? 両親や家族、親戚がどこへ消えたのか不思議に思ったことはないか? 初代『プリキュア』が終わった後の魔法少女アニメを観た時、奇妙な感覚を覚えたことはないか? あるいは特撮番組やTVのゲームCMなんかを観た時、変な感じがしなかったか? 何かが欠けているような感覚だ。声優になりたかったんじゃないか?」

「どうしてそれを知ってるの!?」アオイが問い詰めた。

「今のお前は34歳だろう? 俺は27歳だ」ジョニーが言った。

「なんですって!?」アオイは驚愕した。

「お前が閉じ込められたのは7歳の時だ。その時、俺は生まれたばかりだったんだよ」ジョニーは言った。

「お前が閉じ込められたのは1999年9月10日。俺の誕生日だ。そしてお前が解放されたのは今年の9月10日だ」ジョニーは続け、大きな部屋の二重扉を開けた。「来い」ジョニーが言った。

アオイはジョニーの後を追ってその広い部屋に入った。

「お前は7歳の時に閉じ込められ、27年間閉じ込められていたんだろ? 閉じ込められたのは1999年9月10日だ。生まれたばかりの赤ん坊が、どうやって7歳の少女を捕まえて、自分の27歳の誕生日まで閉じ込められると思う?」ジョニーは言った。

・ジョニーは懐中時計のような装置を取り出した。ジョニーがその懐中時計を開くと、部屋の床は砂地になり、壁は空へと変わり、アオイの後ろには川が現れた。アオイの背後の川の対岸には、完成したばかりのピラミッドが見えた。彼らは川の反対側に立っていた。平らな屋根を持つ日干しレンガの家があり、小麦畑が広がり、坊主頭の男たち、皆同じ髪型をした女たちがいた。その人々は全員白い服を着ており、ハープを奏でる者、笛を吹く者がいた。川にはパピルス船が浮かんでいた。人々は驚きと不思議と疑問の目で彼らを見つめていた。アオイとジョニーは古代エジプトにいた。

・ジョニーが再びその懐中時計を作動させると、古代エジプトは消え去り、元の部屋へと戻った。

「お前はヴィジョン(予知夢)を見たことがあるか? 人々の話し声が頭の中に流れ込んでくるのを感じたことは? ないだろう? 俺は生まれた時からずっとそうだ。最初はそれが何なのか分からなかった。だがついに理解したんだ。頭の中で聞こえる声や、頭に浮かぶヴィジョンは、未来に起きることなのだと。俺は自分に関わる未来を察知できる。頭の中の未来の人々の声、そして俺の人生を永遠に変える出来事を示すヴィジョン。俺はこの力を使い、タイムトラベルの方法を探すのに長い時間を費やした。お前はネット上で見かけた誰かの顔を見て、一度も直接会ったことがないのに、以前会ったことがあるような感覚を覚えたことはないか? 実生活で似た顔の人に会ったこともないのにだ。ネットで見かけて、一度も会ったことがないのに以前会ったような気がして、ドッペルゲンガーにも会ったことがない人物……それが誰だか分かるか? お前だよ。そして俺の力のおかげで、俺はお前と以前直接会ったことがあると分かった。だが、この世界線タイムラインではない。ここは第2の世界線だ」ジョニーは語った。

「第1の世界線でのことね?」アオイが尋ねた。

「違う。世界線は3つある。最初の世界線を俺は『第0の世界線』と呼んでいる。俺は未来を察知できるだけでなく、元の世界線をも認識できる。第1の世界線の俺は、ずっと奇妙な違和感を抱えていた。そして結論に達したんだ。第0の世界線で何か重大な出来事が起きたのだと。それが第1の世界線より悲惨だったかは分からないが、第0の世界線の俺は時間を遡ることを決意し、その結果第1の世界線が生まれた。リスクやその他の要因を全く計算していなかったようで、自分自身の記憶すら失ってしまっていたがな。だが第1の世界線の俺は以前とは違っていた。第0の世界線のすべてを認識できるわけではないが、その断片を感じ取ることはできた。だからお前と直接会ったことがあるように感じたんだ。俺がお前と出会ったのは、その第0の世界線でのことだ。だが俺が力を使いこなし、タイムトラベルの方法を発明したことで、それ以前の世界線のすべてを認識できるようになった。……相変わらず第0の世界線だけは例外だがな」ジョニーは答えた。

「残りの世界線はどうなったの?」アオイが尋ねた。

「この世界線に上書きされたよ。パソコンのハードディスクで新しいデータを古いデータに上書き保存するようにな。……お前の家族がどこへ消えたか知りたいか?」ジョニーは言うと、歩み寄ってある秘密のボタンを押した。部屋の床が開き、スライムカビの怪物の養殖池、タコ足植物の怪物の養殖池、そして白い粘液状の怪物の養殖池があらわれた。

「このスライムカビの怪物こそが、お前の両親を殺し、家を破壊したものだ。あの白い怪物は、お前の残りの家族の家を爆破するのに使ったメタンガス怪物だ。お前を誘拐した怪物も覚えているだろう? 俺がお前を誘拐するために使った植物の怪物だよ」ジョニーは言った。「スライムカビに一般的なカビのDNAを融合させ、つる植物には大タコのDNAを融合させた。メタンガス発生微生物も含め、すべての怪物には俺の毛髪から抽出したDNAが組み込まれている。こいつらは皆、人間と同等の知性を持っている。そしてその人間と同等の知性というのは、すべて俺と同じ知性ということだ」ジョニーは自身の怪物たちについて説明した。

「時間を遡れるなら、なぜ自分で手を下さなかったの?」アオイが問う。

「俺一人ではできなかったからだ。俺一人では実行できないからこそ、怪物を送り込む必要があった。自分一人では手を下せないからこそ、怪物を生み出さなければならなかったんだ」ジョニーは答えた。

「なぜ魔法少女アニメや映画、TV番組、特撮、ゲームのCMを観た時に、かつて制作に関わっていたような懐かしい感覚を覚えたのか知りたいか? 声優になりたかったんだろ? 第1の世界線でお前が何者だったか知っているか? 俺が時間を遡る前……お前は超有名声優だったんだよ! 俺より遥かに成功していた。たった4歳でだぞ! 4歳だ! 俺は27年もの時間を無駄にし、スコータイ・タマティラート開拓大学(STOU)を卒業できるかどうかで悩んでいたというのに! なのに、お前はたった4歳で成功を収めていたんだ! なのになぜ俺は成功できないんだ!? ええ!? なぜ俺じゃダメなんだよ!!?

第1の世界線で、お前はそれらの作品でメインキャラクターを演じていた。だからこそ魔法少女アニメや映画、番組、特撮、ゲームCMを観た時に、かつて関わっていたような感覚を覚えたんだ。俺が時間を遡ってもそれらの作品は存在し、お前が演じていたキャラクターも存在し続けた。お前が声優にならなくても、他の誰かが代わりに演じた。なぜだか分かるか? お前という存在が、大して重要ではないからだ! お前が声を当てなくても、他の奴が代わりに演じる。お前など重要ではないからだ。ミクロレベルの変化は、マクロレベルに何の影響も与えられない。たとえ洗脳された者たちにヘイトを植え付けられないようにしてヒトラーの戦争参戦を防いだり、彼を画家に仕立て上げたとしても、彼がただの一般人であったとしても、第二次世界大戦は結局起きていた。ヨーロッパ諸国を和解させようとしたところで、フランツ・フェルディナント大公は暗殺されていたはずだ。お前が俺と同じただの一般人になり、声優にならなかったとしても、お前が演じるはずだったキャラクターは存在し続ける。ミクロの変化はマクロを変えられないんだ。癌細胞や腫瘍細胞がたった1細胞だけ存在して死んだところで、何の変化も起きないのと同じだ。人間の体に何個の細胞があるか知っているか? 30兆個だ! 癌細胞がたった1個あったところで、どうやって体に勝てるというんだ? 免疫細胞だって10兆個もあるんだぞ! たった1個の癌細胞が転移もせずに、どうやって数兆個の身体細胞に勝てる? 病気になった時、免疫細胞がたった1個で数百万の病原菌と戦って治ると思うか? だが体全体に熱湯を流し込めば、病原菌は全滅する。ミクロはマクロを変えられない。政治を変えたいなら国民全員が変わらなければならない。国を変えたいなら住民全員が変わらなければならない。この世界を良くしたいなら、人類全員が変わらなければならないんだ! たった一人がプラスチックを拒否したところで、たった一人が賄賂を受け取らない・支払わないところで、たった一人が不正をせず、たった一人が私腹を肥やさないところで、どうやって世界が変わるというんだ!? これこそが多くの国が失敗する理由だ。一人の変化で国は変わらない。一人の変化でこの世界は変わらない。一人の変化で世界が良くなることなどない! 一人じゃ世界は変えられないんだよ! 『長短経』を読んだことはあるか? 第1章を読んだか? 『凡人の能は己の能を使い、賢主の能は人の能を使う』……この世界で成功した奴らはな、決して自分の能力だけで成功したわけじゃない。全員、他を利用したからこそ成功できたんだ!

お前は知りたいか? なぜ27年なのか。なぜ俺の誕生日に閉じ込めたのか。お前の誕生日に家族が死んだ時、なぜお前は生き残れたのか? 誰がお前を救ったのか? 誘拐される前、お前は誰の家にいた? 誰と一緒にいた? ……スマホを見てみろ」ジョニーが言った。

・アオイはスマホを開いた。画面には、黒いスーツを着た何者かの腕に抱かれた赤ん坊の頃の写真と、閉じ込められる前の幼少期、自分がかつて暮らしていた2階建ての建物でジョニーと並んで座っている写真が映し出されていた。

アオイはショックのあまりスマホを落とした。

「元の世界線で、俺は27歳になるまで何一つ成功しなかった。一方のお前は小学生になる前から成功していた。だから俺はお前の誕生日に閉じ込め、俺の今の年齢に達するまで監禁し続けたんだ! 言っただろう、ミクロの変化はマクロに何の影響も与えられないと。お前の家族を殺す前、俺は自分の本当の両親を殺した。俺たちなど重要ではない。両親を殺そうが、俺たちは結局生まれてくるんだよ。時間を遡って親を殺したところで、時間は新しい親を用意するだけだ。言ったはずだ、俺たちなど重要じゃないと。タイムトラベルで自分の人生をやり直そうとしたところで、歴史など変わりはしない。そう考えた時、バタフライ効果だの親殺しのパラドックスだのといったものは、くだらない戯言に思えたよ。だから俺は元の両親を殺し、新しい親に変えたんだ。成功した家庭に生まれるためにな。そうでなければ俺は成功できず、怪物を作ることも、お前の家族を殺すことも、お前を閉じ込めることもできなかった。この世界線で俺は金持ちの家に生まれ、裕福な家庭に生まれたからこそ成功した。俺が生まれた日にお前を捕らえ、俺が27歳になるまで閉じ込めたんだよ。お前が俺より先に成功しないようにな! 少なくとも、俺より先に成功させないためだ! 俺が27歳になるまで、成功なんてさせないために!!」ジョニーが叫んだ。

「あんた……!」アオイは折りたたみナイフを抜き、ジョニーに向かって走り出した。ジョニーは彼女の手を掴んで拘束し、アオイの手からナイフを奪い取ると、それを手中に収めた。

「俺は未来を察知できる。タイムトラベルだってできる。お前が俺に勝てる要素がどこにある? 俺を殺したところで、お前がどうやって成功できるというんだ? お前は何歳だ? 34歳だ。身分証明書はあるのか? お前の出生届はな、名前を残して火事で焼け落ちたよ。苗字すらない。俺の仕業だ。学校に通ったことはあるか? 住民票はあるか? 34歳、家族なし、出生届なし、住民票なし、公的書類なし、学校教育の経験なし、身分証明書なし。そんなお前が、どうやって成功できるというんだ? ……一体どちらが復讐を果たしたことになると思う?」

「あぁぁぁっ!」アオイが悲鳴を上げた。

ジョニーは振り向き、着替え始めた。青いスカートに水色のベルト、白い靴下、青いブーツ。襟元と胸元に青い模様の入った白いノースリーブジャケットを羽織る。さらに手首から肘まで覆うフィンガーレスグローブを装着し、ロングのブロンドウィッグを被った。『遊☆戯☆王GX』の天上院明日香のコスプレ姿になった。

「『遊☆戯☆王GX』を観たことはあるか? 天上院明日香のこの言葉がすごく好きなんだ。『外の世界で戦うより、飛んでいったほうがいい』……お前はどうだ? 飛んでみたいか?」

天上院明日香のコスプレをしたジョニーは歩き出し、最後に言い残した。

「自分の力だけで成功した奴なんて一人もいない。成功した奴らは全員、他を利用したんだ。

『成功したければ、他者を敗北させろ』」


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