1−4“道順の悪魔”
「【報】伊戸様は魔鬼を誘き寄せる為、普段自動的に抑えている魔力を解き放ちました。伊戸様は魔力の特殊能力持ちの為、魔力が常人の1万倍近くあります。常人がその魔力の下にいた場合、死に至る可能性もある為、現在名称名レルに障壁を張っています」
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伊戸が魔力を一帯に放つと、禍々しい鳴き声と共に紫色の『鬼』が出てきた。
「ッ⁉︎情神あれ魔鬼だよな⁉︎魔力解放したってのに違うのだったらちょっと凹むぞ俺‼︎」と言いながら全力で逃げ回る伊戸を見て、障壁内にいるレルは唖然としつつ、状況理解に勤しんでいた。
「何あれ…どんどん魔鬼が集まってる…それにこの障壁は…?どう言うこと…?」…困惑しているようだった
「レル⁉︎目ぇ閉じててって言ったじゃん‼︎なんで目ぇ開けてんだよ!」少しだけ怒り気味に言う伊戸。
それを見てレルは少し怖がるような素振りを見せながらも伊戸にこう言った。
「い、伊戸!この障壁解いて‼︎あなたじゃ魔鬼は倒せない‼︎」…ッ‼︎確かに…今の所だと勝率ほぼ皆無だ!情神‼︎今って障壁解いても大丈夫系⁉︎と、走りながらも質問を投げかける伊戸。もう呆れるのも疲れたのか、
「【解】現在伊戸様の魔力は自動収拾&自動燃焼の最中の為、解いても問題はありません。」と普通に言っていた。
「分かった!今障壁を解く‼︎ちょっと待ってろレル!」と、焦ってるのか早口で言った。
{パリィィン}とまさしくと言う感じの音を出しながら壊れた障壁を見て、レルは腰に下げていた二つの刀を構えた。
「…ストシス流双剣術、『鏡面波郷』ッ‼︎」—瞬間、その場にいた全ての魔鬼が倒れた。それを見て伊戸は
「…いや強くね⁉︎そんな強いのストシス家&ストシス流⁉︎」と、レルとストシス家を賞賛していた。だが、
「【解】魔鬼5体の討伐を確に……【否】、【謝】魔鬼以外の敵反応を確認。強さ…魔鬼の5倍以上…?」と、
普段はおとなしい情神でさえ様子がおかしい、やばい状況なのを察した。
「…確かに気配を感じる…やばいよ伊戸…どうしよう…逃げる?」魔鬼を瞬殺したレルでさえも怯えている。
どうすれば…今俺が持っている魔術で太刀打ちできるような敵じゃないだろうし…ん〜…と、熟考しているが、
そんな暇はない。{ガサッ}と近くの草藪から音が鳴る。もう手遅れ、そう思っていた伊戸に襲いかかってきたのは…
—小さな『悪魔』だった—1番最初に会った『悪魔』よりも小さく、弱く見える為…
「こ、こいつがさっきの奴の5倍の強さ?」流石に疑う。情神がミス?それはないだろうが、疑わざるを得ない。するとレルが…
「嘘…小さな体に長い星型の尾を持つ『悪魔』…『道順の悪魔』…本物?」レルは相当焦っている様子。すると、
「あれ?おかしいな…この辺に超特大魔力を感じたんだけど…勘違いだったかなぁ…?」と、その『悪魔』が喋る。
普通喋らないのだろうが、今はそこじゃない。問題は内容だ。特大魔力—伊戸が魔鬼を誘き寄せる為に放ったあれである。
要するに、この『悪魔』は伊戸に用があると言う事、これに対し伊戸は…
「だ、誰だお前は…?特大魔力…?さっき俺が放ったあれか…?」と、何と正直に白状。
呆れるべきか恐るるべきか…伊戸のこの解答にレルと情神は複雑な感情になった一方…
「え、君が⁉︎あの大魔力君が⁉︎えぇ⁉︎」と、その『悪魔』は困惑していた。だが、
「人間があんな魔力出せるわけないよ…勘違いだったかなぁ…?失礼しましたぁ」と、勝手に事を片づけその『悪魔』は、飛び去ろうとしていた。それを見て伊戸は、
「だから俺の魔力だって‼︎もう一回やろうか⁉︎」と、何故か信じてもらおうと必死だった。
「そんな訳ないでしょ…?人間の魔力はせいぜい1500程度…先の魔力はそれを圧倒してたよぉ…?」と、絶対信じないようとする『悪魔』
—伊戸は流石にムカついたようで、レルに爆速で障壁を張り、もう一度魔力を一帯に解き放った—
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魔力をもう一度放ち、数秒後…『悪魔』は疑いの目を向けていた。
「ほ、本当に君の魔力だったの…?人間が持てる量の魔力じゃ…ドユコト…?」
「俺は特殊能力持ちなんだよ…普通の人間とは箍が外れてる。」と、テキトーに説明。すると…
「特殊能力⁉︎MPの⁉︎それなら納得できるなぁ…」と、なんか納得してくれた。
…基本的に人間の特殊能力持ちは居ないらしい。だから全員特殊能力を持っているX級は特別だったんだろう。すると、
「あ、あの…伊戸?その『悪魔』…3級だよ…?」と、怖がりながらもレルが口を開いた。それを聞いて伊戸は、
…3級?えと、確か魔鬼は8級…え?妖魔の級と冒険者の級別強さは比例する…。
つまり3級の敵の場合、A級以上である必要があるのだ。レルさんはE級…俺は(事実上)H級…勝てる見込みなど………
—ヤバい、ヤバいヤバいヤバい‼︎俺エグい奴に魔力放ったかもしれない…⁉︎どうすれば…と、考えていると
「いやぁ〜、まさか僕と同じ特殊能力持ちがいるとは…運命ってあるもんですねぇ…」『道順の悪魔』がそう口を開いた。
………オナジ…?エ、コイツ特殊能力モッテルノ…?ウソォ…
「えぇっと…その…貴方も特殊能力を…?」恐れながら伊戸はその『悪魔』に問いた。
「ん?あぁ僕のですか?『道順』ですよ、知らないんですかぁ?僕結構有名なのにぃ…?」と、ふよふよ浮く『悪魔』は答えた。
「ル…『道順』…?どういう能力なの…それ」またしても恐れながら伊戸は問いた。この状況を唖然としながら見つめるレルは、『混乱している』としか表すことのできない感じだった。
「ん〜?『道順』の能力ですかぁ…?じゃあぁ、試しに僕のこと殴ってみてくださいぃ…。」……いや、殴れる訳無ぇだろうが…此奴3級だぞ?多分このままだと死ぬ…でも、そっちが殴れって言ってるんだし…えぇい!もう、どうにでもなれぇ‼︎
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その時の状況を説明するには、この言葉が1番最善だろうと思う。
『避けられ、勢いのままにすっ転んだ』と、いう言葉に…
どうやら、『道順』の能力は次の2つの通りらしい。
1.相手の行動を予測し回避ができる
2.相手の行動を予測し偽造ができる
要するに此奴に攻撃を当てることはほぼ不可能。だって避けられるから。じゃあどうするか、元ヒキニート伊戸の場合は、—全力で逃げる—。だが、逃げられる気配がない。詰んだのだ。絶望しようとしていると、
「あのぉ〜…出来ればで良いんですが…貴方がたと一緒に冒険しても…?」と、『悪魔』が言った。
「え⁉︎一緒に冒け…ドユコト⁈」この言葉に、伊戸は恐れることも忘れ、ただ疑問詞を浮かべていた。
「え…一緒に…いいの…?」久々に口を開いたレルもこの反応。情神は…
「【疑】この『悪魔』の言動の意図不明。伊戸様、どうする…?」完全なる他人任せだった。
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色々と話を聞いた結果、先程の『一緒に冒険したい』という言動に悪意などなく、只々純粋な意見だったらしい。
色々あって、俺は…『道順の悪魔』と仲間(友達)になった。
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色々あった後、「えぇっと…タメ口でいいのかな…?それと…君の名は?」伊戸は『悪魔』に質問を投げかけていた。
「タメ口でも大丈夫だよぉ♪それと、僕に名はないから好きに呼んでっ!」と、『悪魔』は答えた。
「そっか…じゃあ呼び名……レル、何か思いつく…?」伊戸はこの『悪魔』、もとい彼の名前を決めようとレルに話しかけた。
「ちょ⁉︎なんで命名権私なの⁉︎まぁいいけど…」レルは潔く命名権を受け取ってくれた。
「じゃあ…彼は『道順の悪魔』って呼ばれていたし…名前をそこから取って…『ルト』ってのは?」…ルトか、良い名だ。彼の反応は…?
「ルト⁉︎めっちゃ良い名だよぉ!じゃあこれからは『ルト』って呼んでぇ!」うん☆嬉しいみたいで何より…
「よし、ルトの件も一段落したし、レル、お前も一緒に冒険しないか?」伊戸はレルに誘いを掛けた。
「え、一緒に⁉︎良いんですかぁ⁉︎」この誘いに対しレルはとても喜んでいる様子だった。
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結果、俺らはパーティーを結成した。
パーティー名『光の道標』。俺らの名を取った名だ。
パーティーメンバーは以下の通り、
転生者の凛嶋伊戸、剣術の名家ストシス家の娘レル・ストシス、『道順の悪魔』のルト、そして情報神のラトル。
情神のことは皆んなに話した。Gレアスキルという事で最初こそ皆んな驚いていたが、今ではもう慣れた様子だ。
まぁ何はともあれ俺はこの世界に転移させられ、ドタバタの冒険者登録を済ませ、新たな仲間と共にパーティーを作り、この世界での冒険を楽しんでいた。
第五話に続く




