1−3“大賢者様”
—「【説】伊戸様は、『ギルド』に到着した。そこで、冒険者登録をすることになり、自身のHPやMPを測る事の出来る能力測定水晶に触れるのだが—そこに出現した数列はどこかおかしかった…」—
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「…え…は?」ひょんなことで異世界に転生した青年、凛嶋伊戸—彼は今すごーく…困惑していた。
何故か、それは先ほど情神が説明したからご存じであろう。能力測定水晶に書かれている数列…
そこには、こう、書かれていた。
HP:50、ATK:60、DEF:75、SPE:90。そして—MP:100000000—
そう、どこかおかしかった点の正体は…「以上にMPが高い」だった。
HP、ATK、DEF、SPEは至って普通の数値であろう。何なら低い方だと思う。だがMPだけ1億…桁違いの数字なのだ。
「え…え?えあ…ギ…ギルマスー‼︎‼︎」受付の人に至っては完全に混乱しており、ギルマスを呼ぶ始末。超大慌てで走って行った受付の人を見て、伊戸は何故か…逃げたくなった。
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受付の人がおそらくギルマス?の方に走って行ってから約2分。伊戸は…ギルマスの部屋に連れて来られていた。
「こんにちは。私はここのギルドマスター『フォル=レ・カープレル』と申します。さて、本題に入りますが、伊戸さん、このMP数値は…?」
…どうしよう…やばい所に連れてこられた気が止まない…俺だって好きでこの数値な訳じゃ無いし…どう説明しよう…すると、
「【解】伊戸様の魔力量の所以は、転移した際に生まれた『特殊な力』です。」と、なんと転移のせいだ、とそう情神が(脳内で)言っていた。だが、転移した、と言っても信じてもらえるような信憑性はほぼ無い。
だが、それ以外説明の方法が無い為、包み隠さず言うことにした。
「えと…信じてもらえるか分からないんですが…実は俺、転移者でして…それで、このMP量なんだと思います…」と。
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言ってから数秒後、ギルマスが口を開いた。
「…なるほど…『異世界転移』の成功者でしたか…それならば………納得できますな…」……へ?納得…?え…?
「な、納得できるんですか⁉︎」と変な返答をした伊戸を見て、ギルマスが優しく説明してくれた。
「はい。この世界には『異世界転移』というGRの魔術がありまして…ですが成功率がほぼ10%に等しく…」………成程…?
じゃあ俺はその『異世界転移』とやらの成功者だと…ん?『異世界…転移』?もしかして…
「あの…俺『異世界転移』では無いんですけど…『瞬間転移』っての持ってます…」
『転移』が共通している魔術…関わりがない訳ない…はず…。すると、ギルマスが血相を変えて…
「フ、瞬間転移⁉︎異世界転移の進化前魔術を持っているんですか…⁉︎」…進化前?魔術に進化の概念あるの…?と思いながらも、
「は、はい…。さっき取得しまして…それを使ってここに転移しました…」と、またしても包み隠さず話した伊戸を見て、ギルマスは少し気絶しそうになっていた…。
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—まぁなんとかしてこの一件が終わりました…と、なるわけがなく…
「伊戸さん!あなたは新規登録でここに来たんですよね⁉︎」と、めっちゃ圧をかけながら喋る
ギルマス(フォルさん)を見て、伊戸はさらに困惑していた。
—ど、どうすればいい…⁉︎流れ的に絶対嫌な方向に連れてかれるよな…?どうにかしないと…‼︎
だが、「え…と…はい…。新規登録予定で来ました…」ギルマスの圧に負け、伊戸はしょうがなく流れに乗ることにした。するとギルマスが、
「そうですか!では、即登録完了として…あ!ST見せてもらっても⁉︎」と、壊れたギルマス(フォルさん)が喋る。
もうどうでも良くなってきた伊戸は普通にギルマスの言うことを聞くことにした。
「【解】すでに『位置情報提示』は『情報提示』に進化しています。」との情報を得て、
ため息を吐いた後、スキル発動。「ッ…情報提示…」。またしてもTPが出現した。
ギルマスはそれを見て、急に平常心に戻ったように、冷静に伊戸にこう告げた。
「やはり…伊戸さんはMPの特殊能力を持っていますね…」…特殊能力って何…?
「ですが、MP特殊能力があるため、それ以外のSTが常人よりも下回っています。」
だから特殊能力って何…?
「さっきから言ってるその特殊能力ってのは…?」流石に質問せずにはいられない。
「あぁ、特殊能力は、稀に生まれる他の人と比べるとSTが1つだけ以上な人のことを言います。
伊戸さんは転移者のため、贈呈として『MP異常』の特殊能力を受け取ったのでしょう。」
「【解】名称名フォル=レ・カープレル、呼称名ギルドマスターの言うことは正しいです。」
と、情神の補足も交えて、伊戸は状況を理解した。
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10分程度続いた話し合いがやっと終わると、ギルマスは出て行き、俺は冒険者登録をすることになった。
「おほん。では、正式に冒険者登録をします。必要事項の記入、測定水晶による測定が終わりましたので、級確定になります。級は全部で10個。下からH,G,F,E,D,C,B,A,S級となります。」
この時の違和感を伊戸は見逃さなかった。
「級は…10個って言いましたよね?今のだと、9つですが…?」という違和感である。
「‼︎気づきましたか…気づく人はほとんどいないんですが…分かりました。話しましょう…‼︎」受付の人は改まって話し始めた。
「基本的に、冒険者の皆さんはS級を目指しています。ですが稀にS級をゆうに超える強さを持つ人が現れます。その人を特例として扱い、級をこう呼称します。—X級—と…」
「X…級…」妙に聞き覚えのある言葉が出てきたため、伊戸は声を出せなかった。
「まぁ…最も今までX級になった人は4人しかいませんが…全員…特殊能力持ちでした…」
「俺と同じだ…」特殊能力持ち…何か特殊なことがあったのか…?
「それぞれの人を紹介しましょうか…?」…紹介か…まぁ、気になりはするな…よし、
「…教えてください…その4人を…‼︎」シリアスすぎる雰囲気だった為、伊戸は真剣に質問をした。
「…まず、1番最初のX級、レテ・エクス=モトル。ATKの特殊能力持ちです。」ATKか…最強だな
「次に、フィン・スピネルカ。DEFの特殊能力…」めっちゃ硬そうだな…戦いたくねぇ…
「メテル・ストシス。HPの特殊能力持ちです。」ストシス…?レルさんの親族か…?
「そして、最後にクレン・スピネルカ。SPEの特殊能力を持っています。」スピネルカ…さっきも…
4人の説明が終わり、伊戸は特殊能力を持っていることがX級の条件と、勝手に悟り、質問を投げかけた。
「…その人たちって全員転移者…的な感じですか?」と、伊戸との共通点を疑う質問を、だ。
「…いえ、今のところの4人のX級、全員転移者ではなかったはずです。」
成程…?特殊能力を生まれながらにして持っていた人たちってことなのか…と考えていると、受付の人が
「あの…そろそろ本題に入っていいですか?」と、質問を投げかけてきた。
本題…?まだ別のことがあるのか?思考しながらも返答を考えて、伊戸は口を開いた。
「大丈夫です。本題に入ってください。」今の雰囲気的に聞かざるを得ない。伊戸は勇気を振り絞った。
「はい…。本題というのはですね…あなたに…X級になって頂きたいんです!大賢者様!」…は?なんて?
「な、なんで俺がX級に⁉︎大賢者って何⁉︎」完全なるパニック状態に陥った伊戸は、困惑を隠せなかった
だが、受付の人はその回答を者ともせず、X級になってください!と頼むばかりだった。
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結果、俺は…X級になってしまった。まぁ“事実上”だがな…公だとH級になっているらしい…
兎に角、ドタバタだったが俺の冒険者登録は終了した。次は課題でも受注するかな?と考えていると…
「伊戸さん…でしたっけ?登録お疲れ様です。一緒に課題でもどうですか?」と、レルさんが話しかけてきた
!ありがたいな…登録したばっかりだから仲間がいると心強い…ッ
「いいですよ!ちょうど誰かと一緒にやりたいなと思っていたところなので…」と、返答。
「それでは…これとかどうでしょう?」レルさんが勧めてきた課題名は次の通りだった。
—魔鬼の討伐—F級に設定されている課題だった。
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課題を受注した後、俺はレルさんと一緒に街を出た。
「そういえば伊戸さんって職業は何でご登録されました…?」と、雑談的なのをしながら歩いていた。
「伊戸でいいし敬語じゃなくていいよ。俺もそうするから、後俺の職業は『魔術師』だよ。」
ほんとは『大賢者』っていう隠し謎職業だけどね…X級になった際、職業も強制的に決定されちゃったし…
「魔術師かぁ…私は双剣使いだから介護職がいないね…2人とも攻撃職だし…」
…確かに俺のRPG経験上、介護職がいないのは相当な縛りだ。でも…
「まぁ、しょうがないんじゃないか?他誘えるやついるなら別だけど…」俺はいる訳ないし…
「ん〜…2人でやるしかない…かな…」…ぼっちなのか…?
とか話しているといつの間にか目的地付近についていた。
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目的地に着いた為、課題内容の『魔鬼』を探すことにした。
「【解】妖怪系統の一種『魔鬼』は魔力の濃く、薄暗い場所を好む8級の妖怪です。」…成程。
『魔力の濃い』は兎も角、薄暗い場所か…この辺はまだ太陽の光が通る…居ないだろうな…魔鬼。
「伊戸、この辺には魔鬼の気配がないから別の場所探そ?」レルもそう言ってるし、移動する…か…?
……待てよ…?確か俺の魔力値は1億…魔力解放すれば魔鬼寄ってくるんじゃないか?
「【解】寄ってくるのは確かですが、名称名レルが死亡する可能性があります。」…えぇ⁉︎死ぬの⁉︎
それは流石にできないな…じゃあ結局探すしか…
「【案】魔力障壁を発動し、名称名レルを守る。のはどうでしょう。」魔力障壁?新たな魔術か…
…分かった。取得を始めてくれ。…確かに障壁でレルさんを守るのは得策だ。
「【了】、【準】、【解】、完了。取得しました。Rランク『魔力障壁』です。」…OK、取得したな!
じゃあ、まずはレルに障壁を張って〜…
「レル、ちょぉ〜っと目ぇ閉じてもらっていい?」なんか少しウザい喋り方ながらもレルにそう言った。
この喋り方に対しレルは、「え…?何で…?まぁ良いけど…」と困惑しながらも目を閉じてくれた。
「じゃあ、早速…magic canopy…っと」小声で詠唱、結果、伊戸の掌上に正二十面体のような物が現れた。
伊戸は取り敢えずレルさんの方に掌上の障壁を飛ばし、早速!と言う感じで、魔力を今いる場所一帯に解き放った。
第四話に続く




