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【連載版】妖魔転記—転移者の冒険記録—  作者: 華邨りい
【壱】“妖魔の世界へようこそ”
3/15

1−2“冒険者ギルド”

「なぁ情神(ラトル)、さっきの『悪魔(デーモン)』以降魔物(モンスター)妖怪(フロスター)に合わないんだがどうなってんだ?」

街に向かう最中、伊戸は情神(ラトル)に質問を投げかけていた。

「【解】この付近は『悪魔(デーモン)』の縄張りとなっています。先ほど伊戸様が倒したのが縄張りのボスだったため、これ以上仕掛けても勝つ勝機はない、からと思われます。」

…なるほど、もっともだ。つまり当分魔物(モンスター)妖怪(フロスター)…もとい妖魔に会うことはないと…

「【否】縄張りから出た場合、話は別かと思われます。」…あ、そっか。

まぁ兎に角、少しの間でも妖魔に遭わないで済むのはありがたいな…

「てかさぁ…街まで相当遠いんだが、早く移動できるような魔術ないか?」

位置情報提示で地図を見た際に思ったことが一つあった。それがこれ、街への距離である。大体で考えても十キロはゆうに超えていそうな距離…すでに歩き始めて三〇分弱、元ニートで運動不足の伊戸はクタクタだった。

「【解】魔術の取得を開始します。行動系統、特殊系統、どちらがいいですか?」

系統?行動と特殊か…俺の経験上行動系統だと移動速度UP系が多いだろうしな…

「特殊系統の魔術で頼む!」移動速度UPよりは『浮遊』みたいな感じの方がいいからな…

「【了】、【準】、……………」—…ん?なんか遅くないか…?普段ならもっと早いはず…?

それ以降も同じで、何故か一分以上経っても取得できなかった。

   ≠≠≠

注文してから三分程度経ったが、変わりなく、ずっと読み込みをしているような感じがした。

「…いや、遅くね⁉︎どした情神(ラトル)⁉︎壊れたか⁉︎」と心配していたその時、

「………【解】、取得完了。G(ゴッド)ランク魔術『瞬間転移(フラスパ)』です。」………は?え、G(ゴッド)?どしてそんなヤバいやつを取得したの?特殊系統って言ったから?えぇ…?どゆこと…

と、伊戸は困惑しているがすでに取得したこと、今困惑しても後の祭りなのである。

     ≠≠≠

伊戸の困惑は数分間続いた。やっと気持ちの整理が落ち着いた時、伊戸は情神(ラトル)に質問を投げかけた。

情神(ラトル)さ〜ん?なんだいこの魔術は…理解不能なんだか?」流石に異世界慣れしている伊戸でも

理解ができない状況だった。

「【解】取得魔術はランダムな為、この魔術を取得した理由は情神(ラトル)も知りません。」

ランダム⁉︎知るかよ‼︎瞬間転移(フラスパ)⁉︎ねぇまじでどゆこと⁉︎

と、伊戸が困惑していた理由はG(ゴッド)ランクを取得したからでなく、ただ理解ができないからであった。

「はぁ〜…もう取得した手前、どうしようもないから一旦使うか…」と、伊戸は一度『瞬間転移(フラスパ)』を使って見ることにした。

「えー…と?space metastasis…?」と、いつも通り詠唱をした。が、普段の魔術の発動とは明らかに違う、

とんでもないものが発動するような謎の感覚がした。

「——ッ⁉︎なんだっこれ…普段の魔術と…ッ……」———

     ≠≠≠

——だが、先ほど発動した『瞬間転移(フラスパ)』は何故か何も起こらず、終了した。

「一体何だったんだ…?」内容、即ち中は発動せず外だけ発動した…まぁ外だけでもエグかったが…

兎に角、伊戸はとんでもないものを手に入れたんじゃないか…?と 内心心配までしていたのである。

「【解】G(ゴッド)ランク特殊系統魔術『瞬間転移』の解析が完了しました。」と、満足気な感じで情神が言った。「【説】『瞬間転移(フラスパ)』はその名の通り、転移(ワープ)が可能ですが、転移(ワープ)する場所を指定する必要があります」…場所?具体的にはどういうことだ?転移(ワープ)したい所の名称を言えばいいのか?

「【否】場所を呼応するのではなく、座標を思い浮かべることで転移(ワープ)可能です。」…座標?めんどいな…

「え、じゃあ街の座標が分からない限り転移(ワープ)は不可能だと…?」その場合、詰みだ。

結局歩かなければいけないことになる。別の方法があることを祈るしかなくなる。

「【解】座標がわからない限り転移(ワープ)は不可能ですが、名称名情神(ラトル)は全ての情報を提示が可能です。」………え?

「つ、つまり街の座標知って…るの?」確かに…情神(ラトル)は魔物などの情報を提示できるって言ってたけど…

「【解】ここから一番近い街『始まりの街(ファスティスト)』入り口の座標はx1363、y346、z27です。」

…おぉ…ほんとに知ってるのか…てかすっごい雑な座標だな…。

「と、取り敢えず座標を知ることができたから転移(ワープ)することができるのか?」後必要なのはないはず…

「【諾】座標を知ることで転移(ワープ)が可能になります。発動する際は、詠唱すると同時に座標を思い浮かべてください。」

…じゃあ、さっきの座標を思い浮かべて…

「space metastasis……?」詠唱した瞬間、目の前が真っ暗になった…………

     ≠≠≠

先程、目の前が真っ暗になったと言ったが、実際には一秒にも満たない、一瞬だ。

そして、目の前が真っ暗じゃなくなった後、目を開けると…そこには大きな街があった。

「ッ…⁉︎ほ、ほんとに転移(ワープ)した…のか…?え、まじで…?」

流石に信じられない光景を見たため、伊戸は今までにないくらい困惑していた。

「【解】現在座標—x1363、y346、z27—転移(ワープ)に成功したと思われます。」

…つまり、この目の前にある街こそさっき言ってた『始まりの街(ファスティスト)』だと…

「思ってたより…デカくて賑やかだな…俺これちょっとキツい…」

元ヒキニートの伊戸にとってこの賑やかさは結構な(精神的)ダメージになるようだ。

「ッ…と、とりま▶︎街に行く、は完了…。じゃあ次は…」第1課題(ミッション)をクリアしたため、次の課題(ミッション)を決めることに、伊戸はタスク管理アプリを開き、こう入力した。

▶︎ギルドを見つける 「っと…これでいいかな?」ゲーム歴10年。

RPGの世界では街に必ずと言って良いほど『ギルド』と言うものがある。

「この世界のことを知る為にもギルド登録は必須…実際に登録するとなると結構緊張するな…」

     ≠≠≠

街に入る際、関所のような者は存在せず、普通にするっと入れた。

「ほ、本当に広いなこの街…ギルドがどこにあるか見当もつかん…」

客観的に見ても東京ドーム半分以上はあると思う広さを見て、伊戸は少し困っていると、

「そこの旅の方?どこかお探しですか?」と同い年くらいの女性が話しかけてきた。

「…ッ⁉︎え、あ、えぇっと…あの〜…」…伊戸は元ヒキニート、女子慣れしていないのは必然。

こうなるのも当然である。伊戸は戸惑いながらもギリギリで平然を装いこう返答した。

「あ、あの…『ギルド』って何処にありますか…?」明らかにRPGのような世界だが、

『ギルド』がある確証は無い。だが、伊戸は勇気を振り絞り、そう言ったのだ。

「『ギルド』…?あぁ『冒険者ギルド』ですか?案内しますよ」…⁉︎『ギルド』ちゃんとあるのか!

しかも『冒険者ギルド』とは…行くっきゃないな!

と、伊戸はその女性の案内で『冒険者ギルド』に向かった。

     ≠≠≠

見知らぬ女性の案内で歩き続け4,5分…やっと着いたそれは…まじでRPGに出てくるようなガチの『ギルド』であった。伊戸は感心したような喋り方で、

「ほぉ…本当にあるんだな…『ギルド』。」と言っていた。先ほどあった女性も『ギルド』に

用があったらしく、ついでに案内してくれた。彼女の名は{レル・ストシス}と言うらしく、

剣術の名家{ストシス家}の娘だそうだ。まさかの事実に驚きはしたが、平然を()()装っておいた。

まぁ、それは兎も角、伊戸は『ギルド』の中に入った。

     ≠≠≠

「こんにちは!…見慣れない顔ですね…冒険者登録希望ですか?」と受付のところにいた女性が

言っていた。結局女性なのか…と思いながらも伊戸は登録手続きをする事にした。

「はい。新たに冒険者になりたいんですが…どうすればいいですか?」基本的に手続きの内容は大体知っている。が…怪しまれないよう一応聞いた。

「はい。手続きの際はまず必要事項の記入ほか能力測定水晶に触れて頂く事が必要になります。」

能力測定水晶…RPGゲーであったな…確か触れた人のHP,MPとか測れるんだっけ…?

「分かりました。じゃあ新規登録でお願いします。」と、冒険者登録をする事にした。

    ≠≠≠

「なるほど…—()()—さんですね。年齢は1()7()歳と…若いですねー」…へー若いんだ…

…気になった人もいるだろう。なぜ俺の名前が—伊戸—と名前だけなのか。

—凛嶋伊戸—と苗字も含めた全ての文字だとだと明らかにこの世界に合わない。

だからこそだ。名前を下の名だけにし、—伊戸—。この世界ではそれで生活するつもりだ。

それ以外の情報は普通に隠さず書いた。別に隠す必要がないからだ。

「それでは、能力測定水晶に触れてください。ST(ステータス)表示と同時に、

『情報提示』スキルも取得できます。」…?スキルも取得できるのか。『情報提示』?『位置情報開示』の進化系か何かかな…?

「【解】その通りです。位置情報開示の第3進化系になります。」と、情神(ラトル)からの解答があった。

なるほどな…じゃあ触れるのが最善の策…怪しむ必要もないか!

{ポンッ}と、優しく水晶に触れると、神々しく水晶が光り始めた。…{キュイィィ}という機械音と共に…

     ≠≠≠

数分後、機械音と共に光が止み始めると少しずつ文字と数字が浮かび上がってきた。おそらくST(ステータス)表示

だろうと思いながら見ていたが…明らかに何かがおかしかった。その理由は…                                 第三話に続く

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