2−2“魔術操作”
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現在位置:幻影都市『メタノアス』
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—此処は幻影都市…レル達が一足先に入ってしまった。
入って行った理由は単純、幻影都市だと知らなかったからだ。
此の都市の元凶を倒さない限り恐らく抜け出せないだろう。
「クソ…もっと早く気づいていれば…!!」
レル達が街に入ってから5分。ずっと無音の儘だ。
中がどうなっているかは分からない。霧で囲まれているのだ。
—現在の座標を元にして瞬間転移を使ってみるのはどうだ…?
情神!現在の座標は?
「【解】現在の樟標ィ縺ァ讓呻シ噎1912縲y603縲】222縲縺ァ縺吶」
!?ちょ、どうした情神!?
「【解】き…の…響だ………われ…す。」
え?今なんて言った?霧の影響…?
そうだとしたら情神が使えないのは確定…厄介だな。
そう思考していると、
「—だよね〜。此の街、邪魔なんだよね〜…。」
と男性の声が伊戸の後ろから聞こえてきた。
咄嗟に伊戸は振り返る。そこには、初心者用であろう服を着た男が立っていた。
「あ、あなたは…?」
—気づかなかった。何時から俺の後ろにいた?気配が全くない…
「ん?あぁ、僕は『クレン・スピネルカ』だよ!」
クレ…は?X級の?否々…そんな事ない…よなぁ?
「その反応、僕のこと知ってるね?いやぁX級ともなると有名になるんだねぇ…」
……間違いない。此の人はX級だ。
さっき迄放ってたオーラが一瞬で消えた。
どう言うことだ…?何故X級…災害級のバケモノが此処にいる?
*ん、此処にいる理由かい?*
念話!何時の間に繋がれた!?
其れより、今読心術も使ってなかったか?
*“も”…?あぁ、『二重詠唱』の事かい?*
『二重詠唱』…あの2つの魔術を同時に詠唱する…ってやつ?
そんなの出来るのか…?1人の人間だと不可能なんじゃないか?
*可能だよ。詠唱がすこーし面倒臭くなるだけで!*
か…軽いな。だが、『二重詠唱』を習得できたら魔術の便利性が跳ね上がる。
*その『二重詠唱』、教えてもらえませんか…?*
≠≠≠
「じゃあまずは炎と焔系統の魔術を二重にしてみようか!」
俺は事情をクレンさんに包み隠さず話した。すると、潔く手伝うと言ってくれた。
その手伝いとして、俺は『二重詠唱』のやり方を教えてもらう事にしたのだ。
が、問題がある。問題、それは
ルトがいない為、鏡帝回復で倒れてしまう、と言う事である。
—情神の情報によると、常時発動魔術をOFFにする事は出来るらしい。
だが、現在の俺はその技術を有していない。要するに、止められない。
*ふむふむ、成程ね…鏡帝回復か。*
少しの間熟考していると、そうクレンさんが(念話で)話しかけてきた。
何時読心術を使ったのかは分からないが、何やら考えている様子だった。
——………………。
無言の間が続く。
クレンさんは相当熟考しているようだった。
≠≠≠
「よし!僕なら出来るかも!」
数分後、大声に近い音量でクレンさんが叫んだ。
「え、な、何ですか!?何が出来るんですか…?」
これには伊戸も驚きを隠せない。
さっき迄黙りこくっていた人が急に大声出すんだもん。
「何が出来るって、一択じゃん!『スキルディスク』だよ!」
……?ス、『スキルディスク』…?
情神、何そ………あ、使えないんだった。
じゃあ、直接聞いてみるか。
「クレンさん…?『スキルディスク』ってのは?」
RPG系ゲームでも聞いたことがない単語だ。
此の世界にしか無い物だのだろうか…?
「良くぞ聞いてくれました!『スキルディスク』とは—」
≠≠≠
「と、いう訳なのです!」
クレンさんの説明が終わった。要約したものは、次の通りだ。
#スキルディスク#
スキルを破壊することで手に入るスキル片を一定量使用することで作れる。
スキルの波長が登録されており、使用することで其のスキルを取得することができる。
……相当便利なものだ。此の『スキルディスク』ってのは。
—其れを使って俺に『魔術操作』というスキルを覚えさせたいようだ。
「理解はしました。でも、肝心の『スキルディスク』、持ってないじゃ無いですか。」
俺はもちろんの事、クレンさんも『スキルディスク』は持っていない。
作るしか無いのだ。スキル片を使って。
「うん。確かに持っては無いけど、『魔術操作』ならたくさん持ってるんだよ」
……ほお?たくさん持っている…とな?
じゃあそれを壊して入手→ディスクを作れば……
「て事でやりまーす!」
何故かめっちゃ軽いノリでクレンさんは言った。
言うと同時、スキル波長が記録された『魔水瓶』と呼ばれる物を取り出した。
「えーと…?『魔水瓶』に『炮烙の結晶』を入れて…」
入れた刹那、『魔水瓶』が光り始めた。
中には細かい泡のような物、炮烙が始まっているようだ。
≠≠≠
—数分後、魔水瓶は薄い水色の液体が溜まった物となった。
「これが…スキル片…?綺麗だ…」
分かるよ〜伊戸くん。スキル片、綺麗だよねぇ〜。
後は、此の魔台に入れるだけっと。
{トポトポトポ}
クレンさんが少しずつ魔台にスキル片を注いでいく。
魔水瓶に入っていた分が全てなくなった時、スキルディスクが完成するらしい。
≠≠≠
「できた!」
クレンさんが少し声を大きくしながら言う。
手には少し小さめのディスクがあった。
「これを…どうするんですか?」
伊戸が問う。
先ほどは“使う”とだけ言っていたからどう使用するのかは知らない
まさかとは思うが“食べたり“…?
「食べる?まさか(笑)。使用者はこれを砕くだけだよ。」
何時読心術を使ったのか、心を読みながらクレンが答う。
……砕く?其れだけで習得出来るのか…?
そう思いながらも、伊戸は『魔術操作』が入ったスキルディスクを受け取る。
「其れを手に乗せた状態ででグッと力を入れれば良いよ!」
……成程?じゃあ力をグッと入れてぇ〜
{パキンッ}
力を少し入れた瞬間、手にあったディスクが弾け飛ぶ。
ディスクの破片は、伊戸の掌上に吸収された。
「【解】UNスキル、『魔術操作』を獲得しました。」
情神!?ちゃんと喋れてる…どうしてだ?
「【解】魔術操作を名称名情神が自動発動し、霧の効果を無くしました。」
お、おう。魔術操作ってそんな便利なんだな…?
で、此れが出来たって事は…
「【告】SRランク常時発動魔術、『鏡帝回復』を一時停止しました。」
よし!成功した!!気絶は無くなったし、情神も使える!
此のスキル、便利だ!
「ん、出来たみたいだね!じゃぁ、早速此の街『メタノアス』に入ろうか!」
『メタノアス』……レルとルトは此の中に!
新たなスキルを獲得した今なら行ける気がする!
—そう思いながら、伊戸はクレンと共に幻影都市、『メタノアス』に入って行くのだった。
第九話に続く
2−2.5(第2章-第2話 OAD)休みます。
脱稿間に合わなくなってきたんだが…?




