2−1“新天地”
「暇だなー」
何もない平野でそう言う青年、伊戸。彼は1週間前、日本から転移した。
—1週間…もうそんなに経つんだよな〜。にしても暇だなー
と、暇々暇々ボヤいていると
「さっきから五月蝿いよ伊戸!私たちだって暇なんだから少しは我慢してよね?」
女性の声、剣術の名家ストシス家の娘、レル・ストシスが伊戸に話しかけてきた。
彼女は伊戸がリーダー(強制)を務めるパーティー『光の道標』の一員である。
「僕だって暇ですよぉ〜何なんですかここぉ、何もなぁい……。」
語尾が特徴的な声、3級の特殊能力持ち悪魔、ルトだ。
彼も伊戸、レルと同じく『光の道標』のメンバー。
『光の道標』それは、先程の3人ともう1人。その4人で構成されたパーティーだ。
4人目、それは転移した瞬間から伊戸に付き、今も尚居る者、
『情報神』の情神だ。この世の全ての情報を提示可能なチートスキルである。
—メンバー紹介はこの辺にして、本題だ。
俺らは今、『ロスフォレス平原』と言う場所に居る。
—そこで何をしているかって?それはね…
「【説】特に何もしてません。」
オイ情神。貴様何勝手に答えている?
ここは俺がビシッと答えて“色々知ってますよ”感出したかったのに
「【 】…………」
此奴…黙りやがった。
—それは兎も角、俺らは情神が言った通り特に意味もなく平原を彷徨っている。
平原を歩き続けて1時間ちょっとかな?皆んなの疲労も感じつつ、
ギルドで課題でも受注しておけば良かった。と思うこの頃である。
「本当に何もないんだね…この平原。」
脳内で(誰かに)話しかけているとレルがそう口に出した。
情神の情報によれば、此処は昔大きな“森”だったらしい。
だが、ちょうど1年前、突如としてその森が消えたのだと言う。
理由は誰にも分からない。元は此処、『入らずの森』って言われてたのもあってな
森が消えた。その出来事から『Ross Forest』、と呼ばれているらしい。
—まぁ、それは兎も角、疲れてきたし一旦休憩を取りたいな…
「皆んな、疲れてないか?そろっと休憩したほうがいいと思うんだが、」
俺は皆んなに問いた。先程も言った通り、俺らは1時間ちょい歩き続けている。
俺はもう限界に近い。回復を使っているとはいえ、完全回復とはいかないからだ。
「はいぃ…ちょっと疲れてきましたぁ。僕は休憩を所望しまぁす…」
「そうだね、もう1時間も歩いてるしね、休憩しよっか。」
よし、レルとルトも休憩OKの満場一致。じゃあ休憩といきますか。
「休むに当たってレル、買った“アレ”を頼む。」
俺は休憩を決断した時、レルにとある物を頼んだ。
とある物、それは街の商店で購入した商品の1つだ。
「ん!“アレ”ね、分かった。ちょっと待ってね〜」
レルはそう言って腰にかけている剣を地面に置いた。
そして口を開き、こう言った。
—「スキル発動、『アイテムボックス.Lv1』」
#アイテムボックス#
魔力消費無。スキルのLv×100㎥の空間を虚空に出現させる。
—アイテムボックス、それはレルが持っていた数少ないスキルの1つ。
Lv1とはいえ100㎥の空間を出現させるスキルだ。
「いつ見ても便利だなーコレ。」
伊戸が口に出す。
—俺だってこんなスキル欲しいものだ。
…まぁ情神がいるからいつでも入手できるんだろうが…
「【解】入手しますか?」
ほらね?来ると思った。いいよ、まだ入手しなくて。
そんな事をしている間にレルはアイテムボックスから2つのテントを取り出した。
レルがアイテムボックスを持っていると知った時、とある物、テントを買ったのだ。
本来なら嵩張る筈の商品、だがこのスキルがあるなら別だった。
「えぇ〜と?今は、後刻6時半だね。」
テントと一緒に時計を取り出したレルが喋る。
—後刻、それは日本で言う午後みたいなものだ。
要するに今は日本時間午後6時半。どうりで周りが暗いわけだよ、
「6時半…テント出して飯食わない?」
俺は提案を投げかけた。
商店での買い物のおかげで物資(食料)は結構ある。
この平原を抜けるのに時間がかかったとて物資に関する問題は起きないだろう。
「分かった。今テント建てるねー」
そう言いながら、レルは2つのテントを建て始めた。
≠≠≠
数十分後、2つのテントが完成した。
無論俺らも手伝った。
「ふぅ〜…やっと休憩できますよぉ…」
ルトがふよふよと真っ先にテントの中に入る。
よっぽど疲れていたのであろう、飯ができるまで休ませてやるか。
≠≠≠
さらに数十分後、俺とレル2人で作った飯が完成した。
元ヒキニートと言うのもあって俺は殆ど何もしてないが…
「ルト!ご飯できたよー!」
レルがテント内にいるルトを呼ぶ。
寝てる様子だったが…妖怪って寝起き良いのだろうか?
「ふぁ?あぁ、はいぃ…今起きますよぉ…」
ん、ある程度寝起きは良いようだ。
—さて、飯を食ってキャンプとするかな。
▶︎▶︎▶︎
—翌日
「ルトとレル〜起きろー。」
俺は結構早く起きた。
レルから渡してもらった時計を見たところ、俺が起きたのは前刻6時だ。
今は前刻8時前。1人で軽く飯(パンと目玉焼き)を作った。
「はぁい…今起きまっすよぉ〜」
声をかけて1番最初に目を覚ましたのはルト。昨日の検証通りだな。
寝起きが悪いのかレルは起きそうにない。少し放置するか、
—結局、レルが目を覚ましたのはルトの5分後だった。
≠≠≠
「「「いただきま(ぁ)す」」」
レルが目を覚ました後、俺の質素飯(パンと目玉焼き)にスープを追加してくれた。
—昨日も思ったことだが、レルの飯は異様に美味い。
ストシス家って皆んなそんななのだろうか?
と、考えているとレルが口を開き、欠伸混じりに言った。
「ひょうはふぁにふる予定なの?(今日は何する予定なの?)」
おいレル、口に食べ物を含んだ状態&欠伸混じりで喋らないで貰えるか?
まぁ、俺らしか居ないからいいが…
「今日の予定…僕も気になりますぅ…。ここ何も無いですしね。」
ふむ。今日の予定か…
『ロスフォレス平原』…ここまで何も無いのは想定外だったしな〜。
「【案】『瞬間転移を使用しつつ、この平原を抜ける』はどうでしょう?」
…!流石情神、良い案だ。
「今日の予定は、『瞬間転移を使用しつつ、この平原を抜ける』、だ!」
情神の丸パクリだが、良い案だったので其の儘伝えた。
「「…分かった!」」
レルとルトも了承してくれたみたいだ。
んじゃぁ飯食い終わったら出発するとしますか!
≠≠≠
「………暇だ。」
2日目、出発して40分程度。情神による自動座標指定の瞬間転移を2回使った。
だが、やはり抜けられそうにない。
「どんだけ広いんだよこの平原…」
と、口に出した時、レルが興奮気味に言った。
「伊戸!ルト!あれ見て‼︎」
ん?何か見つけたのだろうか…?どれどれ〜?
「ッ⁉︎オイ、街じゃねぇかよアレ‼︎」
平原を抜けた⁉︎いや、先を見ながら歩いていた時、こんな所に街は無かった筈…
ーまさか。
情神!解析鑑定、頼む!
「【了】、【準】、【解】…完了。『幻影系統魔術』を確認しました。」
……‼︎予想通り!どこかに術者(いや術魔or術妖か?)が居る筈!
幻影だと分かった以上、近づくのは危険だ!注意しない…と……
—時すでに遅し。レルはもう既に街(幻影)の方へと走っていった。
≠≠≠
「はぁ…はぁ…おい、レル!此処は…ッ…本物の街…じゃない‼︎」
息切れをしながら伊戸が叫ぶ。だが、レルは既に街に入っていた。
「クソッ…ルトも幻影だと気付かず行っちまうし…俺も街に入るしかない‼︎」
そう言いながら伊戸は街(幻影)に入っていった—
***
現在位置:幻影都市『メタノアス』
***
第八話に続く
secret
1.伊戸の1人称を『僕』から『俺』に変更しました。
2.前刻のイントネーションは前⤴︎刻⤵︎です。
3.後刻のイントネーションは後⤴︎刻⤵︎です。




