1−6“新たな魔術 其の2”
—【報】現在伊戸様は、ルトと共に新たに入手した魔術、『鏡帝回復』の対処法を考えています。
≠≠≠
「で、何なんですかぁ?その対処法ってのは…?」
ルトが問う。コンマの単位…そう簡単にできるようなものじゃ無いですぅ。一体全体どうやってぇ…?
「簡単だ。見てろ?」
伊戸がそう口に出す。そして指で形を作り—
{パチン}
—指パッチンをした。
音が鳴ると同時、伊戸の姿が消える。
「え⁉︎伊戸は⁉︎何処行ったの⁉︎」
1番最初に反応したのはレル。何処へ行ったのか、其れは伊戸次第である。
その理由は単純。今行ったのは指パッチンによる瞬間転移。
—簡略術式。情神の力で強引に作った技である。
「あぁ…簡略術式ですかぁ…成程ぉ。」
簡略術式を1番最初に見破ったのはルト。さすが妖怪、とでも言っておこうか。
だが、
「此処何処だよぉぉぉ!!!?」
伊戸が叫ぶ。其れも其の筈、簡略術式を発動する際、イキって転移場所を指定するのを忘れていた。転移先選択を行わないで瞬間転移…本来は発動しないが、情神が居るなら別である。
「【謝】申し訳ございません。転移先未指定だったため、自動座標指定を行いました。」
自動座標指定⁉︎で、何処に飛んだんだ俺は⁉︎情神!現在の座標は⁉︎
「【解】現在の座標—x1600、y550、z12—成長の街付近です。」
成長の街付近…?じゃあ俺らが元いた場所の座標は…?
「【解】元いた場所の座標—x1590、y600、z12です。」
…‼︎良かった…ちょっと南に移動しただけじゃ無いか、助かったな。
「【案】この距離なら、『念話』が可能です。」
念話?何だそれ、説明を頼む。
「【解】Cスキル『念話』。魔力を文字に変換し、相手に飛ばすことで長距離での会話が可能なスキルです。」
成程…?魔力を文字に変換…特殊な内容のスキルだな。
「分かった。取得を開始してくれ。」
「【了】、【準】、【解】…完了。取得しましたCスキル『念話.Lv1』です。」
OKだ。早速使ってみるかな、
—スキル発動。
「『念話.Lv1』………」
*ルト!聞こえるか?*
脳内で言葉をスキル発動と同時に思考。魔力に変換し、相手に飛ばした。
*!これはぁ…念話?伊戸ぉ…ですか?*
!上手く伝わったようだ。ノイズも何も無しか…このスキル、使えるぞっ!
*あぁ、俺だ。早速だがルト、俺はそこから少し南に移動した所に居る。*
—南…成程ぉ…情神が転移先を自動選択したって感じですかねぇ?
*分かりましたぁ、今からそっちに向かいますのでぇ…待っててくださいぃ。*
うん、伝わったようだ。じゃあ後は待つだけだな。
≠≠≠
「伊戸!」
真っ先に走ってきたのはレル。心配してくれていたようだ。
「大丈夫?急に消えるから吃驚したよ。」
確かに…“急に”消えるのは得策じゃなかったな。少しは許可取るべきだったかも…
「あ、あぁ。大丈夫だ。ごめん…簡略術式見せびらかそうとしてイキった…」
「いいよ謝らなくて…で?その簡略術式?ってので何とかできるんだよね?」
あぁ。“理論上”何とかできる。理論上…な。
*はいぃ。そうですぅ、理論上は可能ですが実際にはできません…*
—念話!やっぱし……ルト、実際にはできないってどういう事だ?
*えぇっとぉ… まず前提としてぇ、簡略術式は『発動を簡略する』ものですぅ*
うん。情神もそんなことを言ってたな…
*で、それに僕の未来視予知を組み合わせるのは不可能なんですぅ*
……できない?具体的にはどういうこー
「ねぇ!急に黙ってどうしたの?また何かあった⁉︎」
念話でルトと話していたからか無言になっていた2人。心配したレルが話しかけてきた。
「ごめんごめん。ちょっと『念話』で話しててな…?」
レルは剣士、潜在魔力が少ないのだろう。念話を察知できないようだった。
「『念話』…スキルのこと?其れで何を話してたの?」
レルが問う。伊戸が答えようと口を開いた時、
「簡略術式じゃぁ解決できないよ、って話をしてたんですぅ。」
—ルトが代わりに説明してくれた。
「解決できない?どういうこと?」
俺も其れを聞きたかったんだ、レルナイス!
「あぁ…はい。まず、魔術やスキルには『魔術英列』というものがあります。」
魔術英列…?初めて聞いた言葉だな…
「『魔術英列』はa,b,c,d,e、5つの単語を並べて作られていますぅ。」
a,b,c,d,eか…瞬間転移の魔術英列はどんなのだろうか…?
「【解】魔術名『瞬間転移』の魔術英列—『daccabe』です。」
……成程?で?其れが何なんだ?
「……未来視予知の魔術英列は—『abaadcec』…ですぅ。」
?至って一般的な魔術英列じゃないのか?何故簡略術式で解決できない?
「【解】簡略術式を組むことができるのは初字英列が『b,c,d,e』のもののみです。」
……要するに最初の文字が『a』だと簡略できないってことで良いのか?
「はいぃ…そうですぅ。此れにより未来視予知は簡略ができないんですぅ…。」
そうだったのか…と、なるとどうすれば良いんだろうか…情神、何かないか?
「…………【案】『操作術式』はどうでしょう。」
…操作術式?内容はどんな感じなんだ?
「【解】対象の魔術、スキルに規程を儲ける代わりに自由操作ができるようになる術式です。」
成程…?便利そうだな。操作術式…未来視予知に使えるのだろうか?
「操作術式ですかぁ?其れなら可能ですケド…適応に時間かかるんじゃぁないですかぁ?」
適応の所要時間?問題ない!よし情神!回復と未来視予知の混合で操作術式、組んでくれ!
「【了】、【準】、【解】………………」
少しは時間がかかるか…待機だな
「……完了。規程の設定を、お願いします。」
よし、段組は終わったようだ。規程…ルトは何がいいのだろうか?
「僕ですかぁ?特に希望はないですよぉ…勝手に決めちゃってくださいぃ。」
了解。じゃあ……
「規程決定 ♢魔力使用量+1~5%♢」
「【了】操作術式規程確定。最終段組、開始します。」
OKだ。始めてくれ。
「【了】、【準】、【解】…完了。操作術式、段組完了しました。」
≠≠≠
操作術式の発動の影響で2回目以降の気絶はなかった。無事に街で物資の収集も完了。
俺らパーティー『光の道標』は、再び旅立つのであった。
第七話に続く




