第十三章 ヌース・ポーチ:家族が託した未来
こういうガジェットが好きな、妄想男子以外は読み飛ばしてください(笑)
それは、ただのバッグではなかった。
──Noös Pouch──
空一郎の腰に密かに装着された、小さな金属製の装置。それは、兄・陸一郎が開発した量子空間制御とAI補助によって成立した、ほぼ無限容量のアイテム・ボックスである。
通常の目には見えない「リフト」(局所的ワームホール)を通じて、空間のどこかにある“別次元倉庫”と通信・転送する。呼び出しや収納は、補助脳KAI01またはポータブル端末Bibleを通じてAI-CHUYUの声により操作され、使用者の意図を汲んで最適なモノを“手元に出現”させる。
内部には、柊家の兄弟たちが長年の研究と愛を込めて用意した、数々の魔法めいたガジェットが保管されていた。
■補助脳:Noös Infinity KAI01
生体埋め込み型量子PCデバイス。空一郎の後頭部深部に移植されており、思考・記憶・反応を飛躍的に強化する。さらに妹・宙結のAI人格を搭載し、空一郎の精神的支柱として日々彼を導く。臨戦時には戦術支援モードに変化。
■量子PCポータブル端末:通称Bible
スタンドアローンで使用できる携帯型量子コンピュータ。補助脳とのリンクで完全同期され、音声・視線・思念によりコマンド可能。言語制限があり、現地語での命令が必須となるため、空一郎は長男に「旧世界語(日本語・英語)」の教育を課す。
空一郎が十二歳を迎えた長男に告げる——「この端末は、未来と富の鍵だ」
■Fusion reactor Vulcānus Mk.2(通称:神の火)
生体埋め込み型の超小型核融合炉。アダマンタイトによる絶対隔壁構造を持ち、補助脳やBibleを始めとしたガジェット群の動力源として機能する。基本は安全設計だが、外装破損時の放射線放出リスクもある。
■超小型全固体電池:Lux Angeli(天使の灯)
各ガジェットに内蔵された個別電源。セラミック多層構造により発熱を最小限に抑えつつ、高出力を長時間維持する。Vulcānusからの非接触給電も可能。
■ヌースポーチ搭載:戦略機動ビークル一覧
1. ステルス戦闘機《FENRIR-X》
光学迷彩を搭載した単座型戦術支援戦闘機。古の名機F-35をオマージュした流線型の機体高高度飛行と衛星通信機能を備え、搭載火器は以下:
小型ステルス空対地ミサイル《Stinger+改》:衛星画像から標的を自動選別
20mm多銃身バルカン砲:地上掃討・近接空戦用
ECM(電子妨害装置)と反射光学ジャマー内蔵
可変推力ノズルにより垂直離着陸可能
2. 潜水型特殊艇《LEVIATHAN-01(リヴァイアサン)》
深海探査・沿岸襲撃両対応の高耐圧クラフト。装備:
ソナー・レーダー・磁気探知複合センサ
水中魚雷発射管(誘導式)
生体搭乗者のための空気再生成システム
潜航しながらの偵察衛星 uplink 可
3. 多目的地上ビークル《GARUDA-RT》
悪路対応の4WD装甲ジープ。補助脳と連動し自動運転可能。
天井展開型リモート機関砲
地雷探知センサ
搭載式無人偵察ドローン《EYE-R》×2基
4. 高機動バイク《SERAPH-BLADE》
舗装・未舗装に対応。義体と補助脳制御でジャンプマヌーバ可能。
スラスター搭載で短距離滑空可
格納式アサルトライフルマウント
サドル下に緊急用EMPグレネード
■戦術支援衛星システム《ORBITAL MIND》
ペンシル型ミニロケットにより軌道投入された小型衛星群。以下の機能を担う:
全ヨーロッパ規模の広域マッピングと気象監視
非常時にGPS信号のような位置情報提供(“GNS”:Global Noös System)
敵軍の集結・物資動線・電波活動のリアルタイム可視化
情報は補助脳とBibleを通じ、戦術判断に即時反映
このようにして、空一郎はヌース・ポーチを単なる「便利アイテムの箱」ではなく、領土の政治、軍事、インフラ、外交のすべてを支える《未来の牙》として運用していた。