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死神01



 明人がアヤカの部屋に入ると、制服姿のエルは下着姿のアヤカに押し倒されていた。


 制服の下にアヤカの手があり、ブラの上からエルの胸を揉んでいる。


 エルは真っ赤になって震えていた。


「あら、早かったわね」


 アヤカはそう言いながらも、手を動かし続けている。もう一方の手でエルの髪の毛を触りながら自分の体をエルの上に重ねる。エルが逃げようとしているが逆にアヤカに唇をふさがれる。


 アヤカはいつの間にかエルのブラを外していた。それを明人に放ってくる。


「……」


「弟くん、少しそこで待っていてね」


 アヤカがよだれを腕でぬぐいながらそういった。


「いや、この子、いい、すごくいいわ、かわいいし。私好み」


「……明人さん、助けてください」


 さすがに明人はエルを助けだした。




「あたしやっぱり迷惑でしたね」


 明人はエルと繋いでいた手を離して頭をなでてやる。


「あれは姉さまが悪い」


 アヤカの暴走を止まなかったので、明人とエルは和紙司神社から逃げ出していた。


 いったんアパートの様子を見に行ったが、ドアを開けようとしたが鍵が合わなかった。表札も無くなっている。念のため大家に連絡すると既にアヤカが強制解約をしていた。


 慌てて窓側に回り、部屋の中を覗いてみると家具一式、全てなくなっている。これもアヤカが手を回して業者に引き払わせたのだろう。


 今はすっかり日が落ちて夜になっている。


「今日はどこに止まるか……」


 アヤカにアパートを押さえられたのはきつかった。手持ちが無いのでホテルに泊まる事もできない。


 しかたがないので学校に泊まる事にする。


 そっと校門を乗り越えて中に侵入する。


 エルは学校というものを知らなかったので興味深そうにしていた。明人はエルの手を掴みながら警戒して校舎に入った。


 ベットがある保健室に向かう。


「そう言えばさっきから元気がないけど」


「…あたしはやっぱり疫病神だって事を思い知らされて、ちょっとへこんでます」


「ん? あぁあ、この状況の事をいっているの? でもこれはさすがにエルのせいではないとおもうけど。嫌な事が全部エルのせいだとは考えない方がいいよ。それにこのくらいの事だったら問題ないし」


「明人さんはやさしいですね」


 そう言うエルはやはり元気がなかった。


「姉さまは、そのう、きっと明日になれば落ち着くと思うから。……まあでも、ちょっとだけ姉さまには気を付けた方がいいとは思うけど」


「もう絶対にふたりきりには、しないでください」


「悪かったよ。とにかく今日はもう寝よう」


 明人はパイプベットに横になった。エルも隣りのパイプベットに横になる。


「明人さん」


「ん?」


「迷惑ばかりかけてごめんなさい」


「ちがうよ。ここは”ありがとう”と言うところだ」


「……ありがとう」


「どういたしまして。ただ実際にはエルの為だけじゃなくて、自分自身の為でもあるから、そんなに気にしなくていいよ」


「明人さんのため?」


「うん、このタイミングでエルが封印から解かれて、ぼくとこんな事になるなんて事は偶然では片付けられない。鬼姫はまだ気付いていないけどぼくはこれも試練のひとつじゃないかと思っている。あと何かひとつぐらい何か発生したら、ぼくは今回の件は試練だとおもう」


「試練って何?」


「……それはね」


 どこまで伝えて良いのか分からなかったができるだけ詳細にエルに話した。


 本町を救うのか滅ぼすのかの選択を鬼姫がしている事。


 選択の為のリトマス試験紙に明人がなっている事。


 明人は生きている間、ずっと様々な試練に見舞われる事。


 試練に対して明人自身が考えて、自分で解決する事。


 そしてその対応が悪いと本町が滅んでしまう事。


をエルに話した。


「十歳くらいから小さい試練は経験している。この試練の難しいところは正解が分からない点さ、きれい事の善悪判断でなく、僕自身の生き方を問われている気がする」


「生き方ですか」


「ああ、だからぼくが嫌だと思ったら例え一般的には正しいことでも無理にする必要はないみたい。求められているのは、僕がしたい事を覚悟をもってやり遂げる事なんだ。


 例えばエルの事が試練だとしても、ホントはエルの事を助けても助けなくてもどちらでも良いんだ。試されているのはぼくがエルといたいかどうか、そしていたいなら居続けることができるかどうかなんだ。何かをやり遂げる覚悟があるかを判断されているんだ」


「……という事は明人さんはあたしと一緒に居たいから一緒に居ると言う事ですか?」


 エルが真っ赤になってこちらに顔を近づけてきた。ベットから落ちそうだった。息が荒い。


「ああそうだ。だから最後まで一緒にいる」


「最後まで……。明人さんは私とずっと一緒にいてくれるの?」


 がばっとエルが起き上がたのでパイプベットが軋んだ。


「なんかニュアンスが正しく伝わっていない気もするが必要だったらそうするつもりだ」


「そうですか。ありがとうございます」


 エルがベットから起き上がって立ちあがって近づいてきた。


「どうしたの?」


「さびしいので一緒に寝て下さい」


 そう言ってエルが隣りに来た。明人は隣りにスペースを作った。


「別にいいけど。……!」


 明人は咄嗟にエルの肩と腰を掴んでベットから床に転げ落ちる。


「えっ、あ、そ、その、あ、あたしたち、は、早すぎます。い、いえ、け、けして嫌な訳ではなくて。で、でもまだ会って一日しかたっていないのに。い、痛く、し、しないでくだ……うぷ」


 明人はエルを抱いたまま転がって、ベットの下にエルを突き飛ばしす。自分は反対側に転がった。


「ジッとしてて」


 素早く立ちあがって構える。


 いつの間にか目の前に死神がいた。


 さっきまで明人が寝ていたパイプベットが大鎌に真っ二つに切断されている。


 明人の転がった床に突き刺さっている大鎌を死神が構え直す。


「ちっ」



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