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エルとアヤカ 02


 明人はタクシーで自宅であるアパートに戻った。すでに登校時間はとっくに過ぎていた。


 さすがみに朝アパートの前で待っているアヤカの姿もなかった。


 後で怒られる事を覚悟する。


「こ、こんな時間に明人さんの家を訪れるなんて、躾の悪い子と思われないかしら?」


「……独り暮しだからその心配はいらない」


「えっ、そ、それって……」


「?」


「優しくしてください。……きゃ」


 デコピンした。


「安心してくれ、何もする気はないから。しかも、もう朝だし」


「でもあたしにキスしたじゃないですか」


「あれは、挨拶だ」


 明人がキスをしようとすると、エルに避けられた。


「明人さんて、ひょっとして鬼畜なひと?」


 明人は憂鬱そうに溜息をついた。


「今日は和紙司神社に泊まる」


「……はやくも実家に招かれるのですね。ではその時にきちんと挨拶できるように今日は徹夜で練習します」


「いや、挨拶なんて適当でいいから。それにさっきも言ったけど、もう朝だし」


「実家の方にきちんと挨拶して印象を良くしておかないと。後からいろいろ面倒じゃないですか?」


「どんな面倒があるのさ」


「嫁姑問題とか」


「そんな問題は発生しないから安心していい。そもそも北町の封印の問題のついでに、繋がった縁も何とかしてもらうつもりだから」


「あ……」


 急にエルが暗くなった。


「もしかして、明人さんはあたしと縁を切りたいんですか……。そうですよね、私はどうせ疫病神なんだから、すみません、ちょっと浮かれすぎていました。反省します」


「……」


 エルには言うつもりはないが死神の大鎌を使えば縁など簡単に切ることができる。それをしないと言う事は、明人は縁を切りたいとは、思っていないのだ。


「冗談だ。折角繋がった縁は大事にしたいから、切る事はしないよ」


「ホントに?」


 エルがピタッとくっついてきた。


 軽く明人はドキっとした。


 そう言えば縁が強くなればそれに比例して落神からの悪影響が大きくなると聞いた事があった。だから本当はなるべくエルとの縁を弱い状態にしておかないといけない筈だが、


 「まあ、いまさら無理かな」


 明人はエルを意識しながらそう思った。


 なんとなく明人はエルとの縁が先ほどよりも強くなった気がする。


 すっかり日が昇っているが明人はそのまま学校に行こうかとも思った。しかし「あたしも付いていく」とエルが言うので今日はサボることにした。エルをつれて学校にはいけない。


 だから色々考えないといけない事があったりするが、とりあえず眠いので仮眠を取る事にする。


 エルは特に眠くはないようだ。このあたりは人間とは違う。少し羨ましい。


 少し本町を散策したいと言う事だったのでアパートの合い鍵を渡しておく。


「とりあえず少し寝かせて欲しい。午後には起きるから」


「うん。あたしも午後には戻って来る」


 そういってエルが外に出かけていった。


 エルを見送ってから明人はベットに横になる。すぐに意識がなくなった。



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