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時はながれて

明人が高校生になりました

 明人は高校生になると同時に和紙司の家を出て小さなアパートの一部屋を借りて一人暮しを始めた。


 鬼姫の近くにいたくなかった。ヤドリギがいなくなった日に和紙司の家を出ようとしたが、さすがに反対された。十一歳で一人暮しする事はできなかったので高校生になるのを待って独り暮しを始めた。


 ヤドリギがいなくなった日から明人は鬼姫が封印されている大岩には近づかなくなった。鬼姫を責める事が筋違いなのは分かっているし、そのつもりもないが、衝動的に鬼姫を襲ってしまいそうな自分を止める自信がなかったので、ずっと会うのを避けている。


 独り暮らしを初めて一年たったがその間に一度も和紙司の家に行っていない。用があるときには外であったり、和紙司アヤカが明人のアパートに訪ねてきた。もっともアヤカとは毎朝会っている。


「おはよう」


 アパートを出たところにある少し大きな桜の木の下にアヤカがいた。明人に気づいて手を振りながら挨拶をしてくる。


「おはよう、姉さま」


 明人がそういうとアヤカが飛びついてきて、キスをされた。明人の方が頭ひとつ背が高いのでそうしないと明人にとどかないのだ。


 明人は抵抗しなかった。というか抵抗する気がもともとなかった。抵抗しても無駄なのは分かっていた。


 アヤカは始めは唇を触れている程度のキスをしていたが、徐々に調子にのって舌を入れてきた。明人はアヤカの舌を軽く咬んだ。


「痛っ!? ちょっと弟くん、何するのよ」


「何すんのじゃないでしょう? いー加減、やたら抱きついてくるのとキスしてくるのを止めてほしいいんだけど」


 いつもの風景だった。


「あらっ? 弟くんはお姉さんとのスキンシップを拒否するの? 家族崩壊? それじゃあお姉さんが弟くんの事を更正させる為に、今日は学校を休んでふたりっきりで話をしましょうか。もちろんお互い正直に話をする為に裸でベットの上ってことで。ちなみにその後は、弟くんは初めてだからお姉さんが上になるね。それとも初めてはお姉さんの事を下にして弟くんがリードしたい?」


「姉さま。許して下さい。ごめんなさい。姉さまとキスするのはイヤじゃないです。でも、人目があるとちょと恥ずかしいから……。それに高校生にもなって姉と弟がキスするなんてまずいでしょう?」


 明人はその場でとりあえず謝った。


「いいんです。お姉さんが許します。ちょっとかがみなさい」


「はい?」


「そのままお姉さんにキスをしなさい」


「……」


「は、や、く」


「姉さま……。人の言う事は聞いください」


 アヤカが睨んでくる。


「いっつもお姉さんからキスしているから、たまには弟くんからしてもいいでしょう? ねえ、は、や、く」


 うーん。


 周りを見ると当然同じ高校の制服の生徒がチラホラ歩いている。


「は、や、く」


 明人は仕方なくアヤカの頬に軽くキスをした。恥ずかしくてそれが限界だった。


「ヘタレは嫌いだよ」


 結局、アヤカが両手を伸ばして明人の頭をガシッと掴んで唇でキスしてきた。


 アヤカは毎朝、明人を迎えにきていた。始めはアパートの中まで入って明人の事を起こしてきたが、その起こし方が布団の中に裸で添い寝をしながらという、訳が分からない起こし方になった時に外で待ってくれるように土下座してお願いしたのだ。


 その時の交換条件みたいな形で毎朝キスされる事をアヤカに強制されてしまい、明人はそれを消極的に受け入れてしまっていた。今はそれが習慣になりかかっていて気が重い。


「慣れは怖い……」


「どうしたの? 学校行くわよ」


 アヤカに腕を掴まれながら明人は歩き出す。


 アヤカはやたら腕に体を押しつけてくる。胸と腰と太ももが明人に密着している。


「姉さま、もう少し離れませんか」


「やだ」


 さらに密着された。



誤字脱字その他感想受け付けています。

ではでは


(名前間違いがあった………)

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