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明人の日常02

 明人は鬼姫と初めて会話した時にした話をもう一度した。


「鬼姫は本町を救いたいんだよね。正直、ぼくは本町に別に執着していないから本町がどうなっても構わない。それよりもヤドリギがいなくなる事の方が嫌なんだ。どうにかヤドリギとこのまま一緒にいられる方法を教えて」


「ふむ、それは無理だ。何故ならヤドリギは妾と十年後に自ら滅ぶと契約している。契約は絶対履行される。それにヤドリギがずっと明人のそばにいると、明人が自立した大人になれないから、ヤドリギ自身が滅ぶ事が明人の為になると納得している。だから、いまさらどうする事もできぬ」


「正論すぎる。子供はそんなんじゃ納得できない。それにだったらヤドリギが側にいても大人になればいいだけの事だし、そうなるから何とかしてよ」


「無理だ」


 にべもなく鬼姫は断言した。


「どうしてもダメ?」


「ダメなのではない。どうすることも出来ないのだ。もうヤドリギが明人の前からいなくなる事は避けられない。明人よ、いい加減それを受け入れよ。いまさら妾が何かしてそれを覆すことは無理な事は分かっておろう?」


 明人は黙る。


 一度頭を掻いてからかるく両手の拳でコツンと叩く。


 大きくため息をついた。


 ……。


 ……。


 両手で自分の頬を叩いてから鬼姫に視線を向けた。


「ねえ」


 明人の雰囲気が変わった。


「もしも、鬼姫が死んだら、どうなるかな?」


「……無効にはならない。目的は明人の自立なのだから妾が死んでも契約は有効なままだろう」


「ホントに?」


「ああ、なんなら試してみるか?」


 明人と鬼姫の視線が交錯した。


「……」


「……」


「明人……?」


「止めておくよ」


 明人から力が抜けた。


「分かった。ホントにどうしようもないんだろうね。実は色々考えたけど、ぼくも避けられないとは思ったんだけど、最後にもう一度だけ鬼姫に確認しておきたかったんだ。我がまま言ってごめんね。ヤドリギが自分で滅する事を前提に何か対策を考えるよ」


「……明人、ひとつ警告しておくが、妾の意に染まぬ事をすれば明人であっても容赦せず排除するぞ」


「怖いね。なるべくそうならないようにするよ。でもね、」


 鬼姫の視線を正面から受ける。そして破顔した。


「オレも容赦しないからね」


 鬼姫は明人が一瞬放った殺気に気づいた。


「明人は本当に十歳の子供なのか?」


「……やだなあ、ぼくは、ごく普通の子供だよ」


「とてもそうは思えない」


「いったい鬼姫はぼくの事なんだと思っているの」


「エイリアンだと思っている。正直いうと、今の明人の殺気は妾でさえ寒気がした」


「……」


 明人はビックリする。


「あはっ、エイリアンね。もしかしたらそうかも。今度ヤドリギに言ってみるよ」


「止めておけ、本気にされるぞ」


「鬼姫……ちょっとそれはひどいよ」


 明人は半泣きしながら立ち上がった。


「そろそろぼくがいなくなったと言ってヤドリギが探し始めそうだから、今日はこれで帰るよ。またね」


 明人は手をひらひらさせて別れの挨拶をして、姿を消した。


 明人がいなくなると鬼姫は大きく深呼吸をして肩をほぐす。


「明人のやつ自覚が無いわけではあるまいに。わざとなのか?」


 明人を見た瞬間、今日は妾を殺す覚悟で訪れたのが分かった。もうすぐヤドリギと約束した十年が来る。だからもし妾を殺す事でそれが避けられるのであれば明人は躊躇なくそうするつもりだったのだろう。そんな覚悟で明人は鬼姫の元を訪れたのだ。


「明人は妾の事は、どう思っているのじゃろう」


 鬼姫は少し哀しかった。



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