三章 第二十七話
二十七
俺はこの世界では畏怖の対象となっている。
よって誰も畏れ多いとか言って話しかけてきてくれない。
どころか、みんな俺の姿を視界に捉えるのとほとんど同時に平伏してしまう。
更に、俺から話しかけると緊張から気絶し、後ろから話しかけると場合によっては心臓が止まったり破裂したりする。
よって俺はむやみに町を歩けない。
どころか、人の寄り付かない谷の家(自発的に作った。)に籠らざるを得なかった。
ここ三、四年人に会ってない(一部例外を除く)。
結構寂しい。
そんな俺は、気晴らしに森を散策しようと家を出た。
じっとり陰湿な森。木漏れ日もほぼなし。
今日はやや明るいから晴れだな。
さて、行くか。
しゅっぱーつ!
その時。
「すいません。」
ああ、ショタボの幻聴が聞こえる
遂に精神もイカれてきたか。
「あの、すいません。」
そんな俺に再び聞こえてくる幻聴あり。
あやしがりて振り向いてみるに何人も無し。
下を見れば四六寸ばかりなる人。
いと円きメガネのショタなり。
さっきのショタボ幻聴じゃなかったんだ………………
ん?丸眼鏡のショタ?
もしかして………
「ジルベニディアス・ネガロティスさんでしょうか?」
違うとは言わせぬ。
「はい、そうですが。」
よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
そこにいずれかの香辛料。
香辛料たちだけは俺を尊敬の目で見てくれる。
だから、時々来てくれるのだ。
それなのにゴメン。名前、全く覚えらんない。
「ヒデキ様!ミニアさんが帰って来ましたよ!」
MJSK
「あっそこに居たんですね。ディアさん。」
ディアさん……
「ミニア………そこに居たのですね。探しましたよ。」
「いいえ、私も探しました。」
これ…どうしよう。
「あの~」
いずれかの香辛料。ゴメンね?
「「何でしょう?」」
「ミニアさん、こちらが先程伝えました……」
「ああ。ミオネの彼ですね。」
「はい。」
いずれかの香辛料。
「うーん。」
ミニアさんがじーっと見つめてくる。
「ミオネの彼にしては少し歳が上ではありません?」
十五年待たされてたからね。
「まあまあ、彼、十五年も待ってたんですから。」
香辛料。
「人間からすれば長いでしょうが聖族魔族からすれば一泊二日の旅行のようなものなんですよ。ですよね。」
俺に同意を求めてくるダンディジルベニディアス。
「えっ?あの~」
「ん?ああ!失礼失礼。貴方にとっては一時間程でしたかな?」
「いえ。十五年でした。」
「いやいや。からかうのはやめていただきたい。」
困った。
この魔王どういうことか俺を聖族魔族だと思ってるらしい。
「あの~私めはあくまで人間であるのですが。」
「しかし!貴方の気は、聖族か魔族の物その物。人間だとすれば………何者ですか?貴方。」
最後の何者ですかから人が変わった。
単純な殺気を感じた。
「落ち着いてください。ディアさん。」
ミニアさんが落ち着かせにかかる。
何か言うべきか。
「あの………『愛』の聖魔が言うには………」
「あの変人………生きてましたか。」
「えっ?あの~」
「私が殺した筈だったのですが。」
マジですかい。
「まあ、そいつが言うには俺はどうやら………」
「『聖』の聖王と『魔』の魔王の寵愛を受けている。でしょう?」
ミニアさん解説ありがとうございます。
「あの方達は気に入る対象がいつも同じでね、大抵は気に入られた人に合う方の力のみが残るのだが………」
「どっちも残ってる俺は異質だと。」
「はい、貴方は直に聖魔になるでしょうね。」
「はい?」
ちょっとよくわかんない。
「聖の気、魔の気のみであれば聖の眷族、魔の眷族になることも有り得ますが、貴方は聖の気、魔の気どちらも均衡を保っています。そうなるともう聖魔になるか神経がいかれるかのどちらかしかありません。今、貴方は正気を保っているということで貴方は聖魔に直になる運命………或いはもう聖魔なのかもしれませんね。」
なっ!
MJSK
頭の中が真っ白になった。
「そっ………それは……………?」
「私達が人間と見抜けなかった。それが根拠です。」
ミニアさんの示した根拠。御尤もである。
「私が思うに、恐らくですが飛ばされる前の姿に戻りたいと念じれば戻れるかと。」
MJSK
でも、もしも………もしも戻れてしまったら………
でも、戻りたい。
俺の体が光に包まれる。
「やっぱり、貴方はもう聖魔だったのですね。」
MJSK
異世界召喚されたら人外になりました。
あはは、あはははは、あはははははははははは………
事態急変!
やっと『慈愛』の聖王魔王が帰ってきました!
聖魔となったニシノ君の運命や如何に!
久しぶりの長めです!




