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異世界召喚されて最初にできた友達がチートだったんだが………   作者: 鍬富士 広乃武
プロローグ~一章 異世界召喚されて最初にできた友達がチートだったんだが………
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一章 第三話

前回までのおさらい。

異世界召喚されたニシノ君がチート君に助けられました。


「君、怪我は無いかい?」

どこまでも爽やかに訊いてくる。

爽やかすぎて憎たらしいレベルで。

「あ………ああ」

「そうか、それはよかった!」

騎士は本気で俺のことを心配していたようだ。

憎たらしい発言撤回。

「助けてくれてありがとう。変なこと聞くけど、ここ何ていう国かな?」

「ゼクシスメルティ国だけど………君、名前は?」

「あっ、そういや名乗ってなかったや。俺は、西野 英希(にしの ひでき)。高校二年だ。」

「コーコー?なんだいそれは?あと………名前もちょっと変わっているね。」

騎士はやや訝しげに俺を見ている。

高校というものは、やはり無いらしい。

あと、名前もやはり変わっていると見なされるらしい。

(ちょっとというのは、おそらく少し気を使ってくれて付けてくれたのだろう。)

偽名でもなんでも使えばよかった。後悔。

俺が黙っているのを見て、騎士は、俺に対する不信感を露にした。

さすが騎士、ちょっと怖い。

まずい。なにか、取り敢えず言わないと……

「騎士殿は?」

なぜか殿をつけてしまった。

「あ?ああ、俺は、クォリトゥシス・ヴァルメイト・ノーリアス。聖剣王兼、聖賢王兼、魔道王兼、槍術王兼、弓術王兼、斧剣術王兼、騎兵王兼、盾術王兼、体術王兼、斧鎚術王兼、蹴術王兼、文芸王兼、大剣術王兼、暗術王兼………」

「………つまり、ほぼすべての分野で頂点に立ってるって言う感じかな。」

「へぇー。ん?えっ!」

あまりにもさらりと言ったため、流しそうになった。

やべぇ、チートだ。俺はそう思った。

こいつに逆らったやつは、恐らく跡形もなく消され、人々の記憶からも消されるのだろう。

「やべぇ」

つい、声に出してしまった。

その時、騎士はなにかに気付いたような顔をした。

嫌な予感。

騎士は暫く逡巡した後、声を発した。

「まさか………」

「なんでしょう」

またまたしまった。

しかし騎士は、俺が思っていたのとは違う言葉を発した。

「君、ひょっとして、異界の、ニホンという国の者ではないか?」

「ええ、まあ。………ん?なっ、なんでそれを?」

騎士は、再び驚くべきことを口にする。

「神のお告げがあってね。異界のニホンという国の者と仲良くなり、世界を救え。と」

もう、何も言えなかった。

いや、何も言いたくなかった。

俺はどうやら、その神に召喚されたらしい。

目立った異能も与えずに、召喚しやがった神を全力で殴ってやりたかった。

まあ、殴ったからってどうにかなる訳じゃないか。

いや、殴った分はゼロじゃない!

ともかく、俺たちは最寄りの村を目指して歩き始めた。

「ニホンってどんなとこ?」

出し抜けに、クォリトゥシスに訊かれた。

「えっ、えっと………一言に説明するのは難しいな。」

それに、俺の知識では、誤解を生む可能性がある。

「そうかー。」

こいつ、思ったより軽い。

「そうだ!歴史の教科書がたしか鞄の中にあったはず。」

学校帰りだから入ってた。

クォリトゥシスに渡す。

「はい、クッククオリ……」

おもいっきし噛んだ。

「クオリでいいよ。仲が良い人にはそう呼ばれてるから。ニシノヒデキ」

「ニシノとかヒデキとかでいいよ。」

「仲が良い人には、何て呼ばれてたんだ?」

「色々あるよ。 ニシキとかニキとか中王とか平均王とかドイマナカとかドマンナカ地味男………平々凡々太郎くん……………あと、ひでまれとか。」

今、改めて並べてみると酷いものである。

「じゃあ、ひでまれって呼ぶよ。」

薄々気付いていたが、こいつ、不知火と同じタイプのやつだ。

もっとも、頭は百段階以上、他の部分は二段階くらいもクオリの方が上だが。

まあ良い。なんとでも呼べばよい。

「じゃあ、そうよんでくれ。」

そういえば、不知火(あいつ)は、どうしているだろうか。

明日、学校にいって俺がいなかったら、行方不明だと聞いたらどう思うだろうか。

きっと、ばかみたいに放課後返上して俺を探し、宿題もせずに学校に行き、みっちり怒られるのだろう。

それを、毎日毎日繰り返して、俺が死んだという判断が行政から下されたとしても、俺が見つかるまで探し続けるのだろう。

良い友を持ったものだ。

「ひでまれ!ひでまれ!ひーでーまーれー!」

クオリに現実に引き戻される。

「ああ、ごめん。ちょっと考え事してて。で、何?」

「なんか、嬉しそうだったから、何かなーって。」

軽い。軽すぎる。そして天然だ。

強くて、賢くて、爽やかなのに。

これで、あらゆる分野で頂点に立ってるなんて、この国、超実力主義か。

いや、性格の欠点を越える強さ、賢さ、爽やかさを持っているからこその頂点だろう。そう思いたい。別に悪いやつじゃないし。

そう思いながら、クオリに理由を伝える。

「俺の世界の、お前によく似た奴を思い浮かべてたんだよ。向こうでの、親友でね。」

「へー。ひでまれの世界にも俺みたいなやつがいるんだな。」

「どバカだけど。」

「ハハハ」

笑い方も爽やかだ。

俺も笑う。

そこで急に、クオリが真顔に戻る。

何かと思う。

「ーあれ、笑ったのまずかったか?………」

心の中で、焦る。

「ひでまれ。これからよろしく」

ほっとした。

「ああ、こちらこそよろしくだ。」

こうして、俺たちは、一番近い村に向かって歩き始めた。

近くに、小規模な村があるらしい。

クオリは、俺の渡した日本史の教科書を読み、

「へー」とか「えっ」とか「マジか」とか「国始まって以来王の血筋が一度たりとも途切れてないなんて」とか「何それ、何それ、何それ」とか終始さわいでいた。

この軽さ、とあるラノベのヤンキー風サブカル好き王女並だな。

それからしばらく経った。

クオリは、相変わらず異世界史に興奮していたが、俺は、村、近いとか言ってたけどなかなか着かねぇな、とか思い始めていた。

そんな時、急に視界が開ける。

「これは……村か?」

目の前に広がっていたのは、大規模な町だった。

クオリは、一番近い村に行こうと言ったはずだ。

ひょっとして、この世界の村の規模ってこんななのか?

訊いてみようと横を見る。

歩きスマホならぬ、歩きテキストブックをしていた。

そのせいでクオリは、町に出たことにさえ気づいてない様子だった。

クオリの肩を叩いて訊く。

「ここが…村か?」と。

ようやく顔を上げる。

「うん、そうd…ん?……いや………ここは…………」

クオリが呆然とする。

「ここは?」

「ここは……たぶん王都の隣町だ………そして…………こんなところに森は……………昨日まで、森なんてなかった。いや…………………………………あってはいけない。だって…………今、森のある方には………」

何故、クオリが呆然としてるのか分かった。

どうやら砂漠化ならぬ、急激な森林化が起きているようだった。

そして、村を幾つか飲み込み、消し去ったらしい。

えらいことだ。

しかし、クオリは、俺が思ってたよりも、数倍衝撃的なことを言った。

「………森のある方には………王都があった筈だ……………………………なのに……………………………………………跡形も…………………………………ハ……ハハハ………ハハハハハ………………」

大変だ。クオリが壊れた。

頼む。正気にもどってくれ。

俺は、お前だけが頼りなんだ!

ここで壊れられたら、俺どうしたらいいんだ!

「ハハ、ハハハハハ」

俺ももう、笑うしかない

「ハハ、ハハハハハ」

「ハハ、ハハハハハ」

「ハハハハハ」

「ハハ、ハハハ」

「あは、ボク●ッ●ー」

「ゲ●ハハハ」

「ハーハッハッハッハッハ」

「ハーハッハッハッハッハ」

「ウハハハハハ」

「ヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ」

「ヌハハハハハハハ」

「イェーイ!」

「ジャースティス!」

「ク●リ●のことかー!」

………………………………………………………………………………………………

………………………………………………………………………………………………

………………………………………………………………………………………………

………………………………………………………………………………………………

王都の隣町の空に、二人の狂った笑い声が響き渡った。

J●SR●C税徴収すれすれの笑い方をしてしまった。

あと、デ●ズ●ーに訴えられそうなことも言っていた。

あと、一回衛兵さんに職質されかけた。

隣にいたのが、クオリであるのを見て目眩を起こし帰っていったが。

クオリが隣にいなかったら、異界に飛ばされ一日も経たないうちに牢屋行きになるところだった。

クオリに感謝感謝。

まあ、取り敢えずこうして俺の異世界ライフが始まったのであった。

さて、どうなることやら。

一章完結です。

ここからが本番!

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