三章 第四話
前回のおさらい。
ニシノ君は、粒揃いの『香辛料』達に出会いました。
四
気が付くと、近くには誰もいなかった。
ヒデキさんも『愛』の聖魔も。
『愛』の聖魔は、覚えていないけど多分私が消した。
ヒデキさんの仇を私が生かす筈がない。
もし誰かに見られていたら危ういが見られてなければ………
「アネス、今のは?」
しまった。
見られてた。
よりによって、クォリトゥシスに………
「あ、『愛』の聖魔です。」
正直に言うしかない。
「聖魔を殺すとは、どういうことか分かってか?」
分かってるに決まっている。
私だって聖魔なのだから。
「はい、ただ………」
これだけは伝えねばならない。
「ただ………?」
許すことなど決してできないあのことを。
「目の前で………ヒデキさんを消されたので。」
拳に力が入る。
怒りがおさまらない。
「は?ひでまれを消した?」
その通りだ。
「はい………」
でも、許される筈なんてない。
「許すわけにはいかないな。」
そうだろう。だって私は、『聖魔』を殺したんだから。
「はい………」
しょうがない。
幾ら、私が聖魔でも許されないんだ。
「アネス。今回の件、隠蔽する。」
ん?
「はい………?」
ヘ?
「アネス!今から蘇りの石を探しに行くぞ!」
ん????
「えっ?あっ!はい!」
もしかして………
「出発だ!」
「はい!」
「アネス。ひでまれを消した聖魔を殺してくれて、いやひでまれの仇を伐ってくれてありがたく思う。礼を言うよ。」
ヒデキさん………何て人徳。
本来私は許されてはならない筈だったのに。
「いえ、ヒデキさんの仇は私にとっての仇でもありますから。」
「アネス、お前本当に聖魔なんだろうな?」
当たり前だ。
「もっ、もちろんです!」
「分かった、もう疑わない。」
それって、私が聖魔だと認めてくれたってこと?
「あっ、ありがとうございます。」
ならば嬉しい。
「蘇りの石は、『魔』の魔王と『聖』の聖王、後は『生』の聖王、『神』なる聖王及び魔王が持っている。」
それなら、
「なっ、なら『聖』の聖王の所に行きましょう。」
これしかない。
「どうしてだい?『聖』の聖王の攻略は難しいと思うよ?」
いや、大丈夫だ。
「ヒデキさんを殺した『愛』の聖魔が言っていたんです。ヒデキさんは『聖』の聖王と『魔』の魔王の寵愛を受けているって。ヒデキさんの仇の言葉を信じればっていうのも変な話ですけど。」
いや、大丈夫か?
「なるほどな………そういうことか。」
ん?
「どうかしましたか………?」
「ああ、分かったんだよ。ひでまれの異様な強さの理由がね。あと………」
「あと………?」
「いや、気にしないでくれ。」
なんだろう?
クォリトゥシスの「あと………」
意味深ですね。
これの回収は、また暫くしてからです。
ミオネさん、やっとクオリに聖魔と認めてもらえました。(祝)